遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

12 / 48
Chapter2 新ギンガ団の野望
くろがねの遺跡と、ギンガ団の再動


 

作業服に着替えたテル、ヒカリ、ジュンは、ヘルメットとつるはしを手に、ヒョウタに続いてクロガネ炭鉱の奥深くへと足を踏み入れた。

 

「ヒョウタさん、私たちは主に化石を探す作業でお願いします。特に、時給の高い場所があれば……」ヒカリが早速交渉に入ろうとする。

 

「まあまあ、ヒカリちゃん。時給は僕がきちんと保証するから、まずは手伝ってくれ」ヒョウタは笑った。

 

ヒョウタは、テルたちを新しい試掘場所へと案内した。その場所は、以前ヒョウタが調査に来たときにはまだ開発されていなかった、炭鉱の中でも特に古い層だった。

 

しかし、その新しいエリアに足を踏み入れた瞬間、テルは顔をしかめた。

 

「なんだ、この匂いは……」

 

テルが鼻を近づけると、空気が異常に重い。火薬と硫黄の、強烈な刺激臭が充満していた。

 

ヒョウタも怪訝な表情を浮かべた。

 

「ん?なんだ?こんな匂い、前来た時には無かったのに……。ちょっと待って、この奥で何か作業をしている者がいるのかもしれない」

 

テルとジュンは、顔を見合わせ、同時に囁いた。

 

「もしかして、ギンガ団!?」

 

シロナのメッセージと、ハクタイシティでの残党との遭遇が、二人の頭をよぎった。ギンガ団は、破壊工作を好む。火薬の匂いは、彼らの存在を強く示唆していた。

 

テルが「警戒しろ!」と声を上げようとした、その矢先。

 

ドォォォォン!!

 

炭鉱の奥深くから、耳をつんざくような巨大な爆発音が響き渡った。同時に、地盤が激しく揺れ、砂埃と硫黄の臭気が一気にテルたちの方へと吹き込んできた。

 

「みんな大丈夫かい!」ヒョウタがすぐに岩陰に身を隠しながら、テルたちを気遣った。

 

「大丈夫です!」テルはポッチャマを庇いながら答えた。

 

「問題ないぜ! ロマン爆発だ!」ジュンも興奮気味に返事をした。

 

砂埃が晴れると、爆発の中心地―――炭鉱のさらに奥深くへと続く通路の前に、一人の男が立っていた。

 

その男は、他の残党とは異なり、ギンガ団の黒い正装を、科学者然とした雰囲気で着こなしていた。分厚いゴーグルを額に乗せ、白い口ひげを蓄えている。

 

その顔は、テルがヒスイで経験した神話の事件とはまた別の、現代のシンオウで起きたギンガ団の悪事の記憶を呼び起こすものだった。

 

**「プルート……!」**ヒカリが震える声でその名を呟いた。

 

「おお、これはこれは。チャンピオンのテル君に、ジムリーダーのヒョウタ君。そして、厄介なポケモンコーディネーター。随分と賑やかだねぇ」

 

ギンガ団の元幹部、プルートは不気味に笑った。彼の足元には、爆発によって開いた、古代の遺跡へと続く新しい穴が開いている。

 

「このクロガネ炭鉱の地下には、**『くろがねのいせき』**が隠されていることは、薄々気づいていたよ。そして、その遺跡には、鋼の伝説のポケモン、レジスチルが眠っている」

 

プルートは、手に持った特殊な装置を起動させながら、得意げに言った。

 

「アカギ様が目指した『ユートピア』の実現には、強力な力が必須だ。我々、真のギンガ団は、アカギ様が残した**『時空の歪みを固定化させる装置』**を起動させるための、レジスチルの強固なエネルギーが必要なのだよ!」

 

テルは、シロナのメッセージの内容を思い出し、即座に動いた。

 

「待て、プルート! レジスチルを捕獲させてたまるか! その装置は、俺たちを抹消するために使うつもりだろう!」

 

プルートはテルの言葉に驚きを見せず、むしろ愉快そうに笑った。

 

「ふむ、どうやらシロナ君から、ある程度情報を受け取っているようだね。その通り、君たち**『定着した異物』は、我々の計画の障害になる。レジスチルさえ手に入れば、君たちのヒスイのポケモン**もろとも、歴史のゴミ箱へと送り返してやろう!」

 

ギンガ団の元幹部プルートの登場により、テルの**「空白のシンオウ再調査」**は、レジスチルを巡る、シンオウの存亡を賭けたバトルへと突入したのだった。

 

「レジスチルのエネルギーを、俺たちを抹消する装置に使うだと!」テルは怒りに震えながら、ポッチャマをヒカリに託した。「ポッチャマを頼む、ヒカリ!」

 

「任せて! でも、無茶はしないでくださいまし、テル!」ヒカリはポッチャマを抱きしめ、警戒態勢に入った。

 

ジュンはすでに闘志を剥き出しにしていた。「ふざけんな、プルート! お前の悪だくみなんか、オレ様がぶっ壊してやるぜ! 罰金100万円を、お前らに課してやる!」

 

「レジスチルの捕獲は、僕がこのクロガネシティの責任者として絶対に阻止する!」ヒョウタはつるはしを捨て、ポケモンボールを構えた。

 

プルートは鼻で笑った。「ふん、寄せ集めの集団が。君たちの抵抗など、アカギ様の残した叡智の前には無意味だよ」

 

プルートはボールを投げ、ポリゴンZとヨノワールを繰り出した。

 

「行くぞ、テル! ヒョウタ!」ジュンが先陣を切った。「オレ様のエース、エンペルト! 行け!」

 

ジュンがチャンピオンリーグに向けて鍛え上げたエンペルトが、威風堂々と立ち塞がる。

 

「僕の番だ! ズガイドス!」ヒョウタもエースを繰り出す。

 

テルは、プルートの持つポリゴンZの異様な電子的な動きに、ギンガ団の科学力を感じていた。

 

「ヒョウタさん、ジュン! 奴らはレジスチルに集中している。まずポリゴンZを止めないと、空間を歪める装置を使われる可能性がある!」テルが指示を出す。

 

「わかった!」ジュンは叫んだ。「エンペルト! ポリゴンZにハイドロポンプだ! 一気に攻め立てろ!」

 

エンペルトの強力な水流がポリゴンZを襲うが、ポリゴンZはテレポートのような動きで躱し、ヨノワールが前に出る。

 

「ヨノワール! かげうちでエンペルトの動きを止めろ!」プルートが指示を出す。

 

「ズガイドス! ずつきでヨノワールにカウンターだ!」ヒョウタが岩のように堅い頭突きを指示した。

 

その隙を逃さず、テルはヒスイの仲間たちを繰り出す。

 

「バクフーン! ゾロアーク!」

 

再び、地下炭鉱の薄暗闇に、青白い炎と銀色の毛皮が現れた。

 

プルートは目を見開いた。「おのれ、その異形のポケモンども! これこそが、我々が抹消すべき**『歴史のゴミ』**だ!」

 

「バクフーン! ヨノワールにシャドーダイブ! ゾロアークはポリゴンZにうらみだ! 容赦するな!」

 

テルが叫ぶと、ヒスイのポケモンたちは迷うことなくプルートのポケモンに襲いかかった。過去の力と、現代の科学力の激突だ。

 

バクフーンの神速のシャドーダイブは、ヨノワールを壁に叩きつけ、ゾロアークのうらみは、ポリゴンZの電子回路に致命的な負荷を与えた。

 

「くっ、やはりそのポケモンどもは厄介だ!」プルートはすぐにポケモンを戻し、ゴーグルをカチャリと下げた。「だが、もう遅い!」

 

プルートは爆発で開いた遺跡の入り口に、手に持っていた装置を投げ入れた。

「レジスチルは、我々の装置が自動で捕獲する。その間に、お前たちを始末してやる!」

 

テルは、レジスチルが捕獲される前に遺跡に入る必要があると判断した。

 

「ヒョウタさん、ジュン! 遺跡へ入るぞ! レジスチルの捕獲を止めないと、俺たち全員が危ない!」

 

ヒョウタは真剣な眼差しでテルを見た。「わかった、テル君。君たちチャンピオンの事情はよくわからないが、このクロガネの地下で悪の組織の野望は阻止する。僕がここで奴らを食い止める。君たちは先に進め!」

 

「ヒョウタさん!」テルは驚いた。 

 

「大丈夫さ。僕のジムリーダーとしての使命だ。それに、この炭鉱の地形は僕が一番詳しい。ジュン君、ヒカリちゃん、テル君を頼むよ!」

 

「くそっ、わかった! ヒョウタ、絶対に死ぬんじゃねえぞ!」ジュンは涙目で叫んだ。

 

テルはヒョウタの覚悟を受け止め、強く頷いた。

 

「ありがとうございます、ヒョウタさん。必ず、平和を取り戻します!」

 

テルはヒカリ、ジュンと共に、プルートを牽制するヒョウタに背を向け、爆発によって開いた**「くろがねのいせき」**へと続く暗い通路へと飛び込んだ。プルートの野望を阻止し、シロナが託した「鍵」の真価を問う、決戦の火蓋が切って落とされた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。