テルは、レジアイスがハンサムの足元の**『監視装置』**に集中している隙を見逃さなかった。ハンサムは、レジアイスの静かな怒りによって、ポケモンたちを動かしづらくなっている。
「ジュン、ヒカリ! レジアイスが狙っているのは、あそこにある装置の破片だ! 奴は、その『歪んだ力』の根源を排除しようとしている!」テルが叫んだ。「バクフーン、シャドーダイブでレジアイスの注意を引け! ジュンはエンペルトで冷静にダメージを与えろ!」
「おう! 今度こそマイナスにはならねえぜ!」ジュンはエンペルトに冷静な指示を出す。
ヒカリはテルの背後で叫んだ。「ポッチャマ! バブルこうせんで、ハンサムのポケモンたちの動きを凍らせなさい!」
しかし、ハンサムは国際警察のエージェントだ。レジアイスの動きを察知すると、すぐに判断を下した。
「チッ……レジアイスを暴走させるわけにはいかない。テル! 君の目的がレジアイスの捕獲にあるのなら、一時的に手を貸そう!」
テルは驚いた。ハンサムが協力するというのか?
「ハンサム!?」
「国際警察の使命は、世界の調和を守ることだ。このままレジアイスが暴走すれば、キッサキシティ全体が凍結する。それは、私の任務に反する。アブソル! ルカリオ! レジアイスの周りの装置の破片を、いあいぎりで一掃しろ!」
ハンサムの指示で、アブソルとルカリオはレジアイスに向かって突進した。彼らは攻撃するのではなく、氷の床に張り付いたプルートが残したギンガ団の装置の破片や、ハンサム自身の監視装置を、正確に破壊し始めた。
装置が破壊されると、レジアイスの体から出ていた冷気のオーラが、わずかに落ち着いた。
「今だ、テル! 暴走が止まった! 捕獲するチャンスだ!」ヒカリが叫んだ。
テルは、ハンサムの一瞬の判断力と、その真の目的が**「世界の調和」**にあることを理解した。この協力は、彼の抹消を諦めたわけではないだろうが、今はチャンスだ。
テルは、渾身の力を込めてハイパーボールを投げた。
「行け! ハイパーボール!」
ボールは、静止したレジアイスの巨大な体に命中し、レジアイスを中に吸い込んだ。しんでんの冷気が一瞬にして弱まり、静寂が訪れた。
ボールは、激しく揺れ動いた。レジアイスの抵抗は、レジスチルやレジロックよりも強烈だ。テルの手のひらに、ボールの振動が激しく伝わる。
一回、二回、三回。
そして、**カチリ、**と静かな音を立てて、ボールは止まった。
「やった……レジアイスも捕獲した!」テルは安堵とともに、レジアイスのボールを強く握りしめた。
ハンサムは、レジアイスの部屋の奥から、静かにテルたちの前に戻ってきた。彼のマスクの奥の瞳は、依然として鋭い。
「これで、ギンガ団の**『時空固定化装置』の主要なエネルギー源は、全てあなたの手に渡った」ハンサムは淡々と述べた。「あなたは、一時的に世界の危機を回避**させた。しかし、覚えておきたまえ、テル」
ハンサムは一歩テルに近づいた。
「あなたの存在そのものが、**『世界の調和を乱す火種』**であるという事実に変わりはない。私に協力したのは、より大きな脅威を回避するためだ」
ハンサムは、テルを抹消するという意思を、決して変えていない。
「この件は、国際警察本部へ最高機密として報告する。しかし、次にあなたが**『調和を乱す行動』に出たとき、私は躊躇なく、あなたを排除する。テンガンざんでのあなたの行動を、私は監視**する」
そう言い残すと、ハンサムは優雅な仕草であなぬけのひもを取り出し、床に叩きつけた。白い閃光が弾け、次の瞬間、彼の姿はレジアイスのしんでんから消えていた。
「な、なんだアイツ! 最強のロマン協力をしてくれたと思ったら、最後は脅迫かよ!?」ジュンは興奮して叫んだ。
ヒカリはテルの腕を掴み、その顔は真剣そのものだった。
「テル。これでレジトリオは全て確保できましたわ。ギンガ団の野望も、これで大きく後退したはずです。ですが、ハンサムという新たな脅威が、私たちを監視しています」
テルは、レジアイスのボールを胸に抱いた。
「ああ。急ぐぞ、ヒカリ、ジュン。もう迷っている時間はない。シロナが俺に残した**『創造の場所』**―――テンガンざんへ向かう。これが、この問題を全て解決する最後のチャンスだ」
三人は、絶対零度の冷気を後にし、シンオウの運命が待つ、神話の山へと向かうのだった。