遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

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創造の問いと、時空を超えた絆

 

レジギガスの力で開かれた**「創りし者の道」**は、通常のテンガンざんの登山道とは比べ物にならない、神秘的な通路だった。古代の文字が刻まれた岩壁と、時折響く地響きが、道の先に待つものが、シンオウの根幹に関わるものであることを示唆していた。

 

「ここが……テンガンざんの、真の姿」テルは息をのんだ。周囲の空気は、ディアルガやパルキアの伝説が語られる、神話時代の雰囲気を色濃く帯びていた。

 

「すごい冷気と、熱気が混ざってるぜ。この道、時間が歪んでるんじゃないか?」ジュンは背筋に冷たいものを感じながらも、興奮していた。

 

ヒカリは、道を進みながら、シロナから託されたプレートの光を頼りに、古代の文字を解読しようとしていた。

 

「この文字……ディアルガとパルキア、そしてギラティナの伝承が刻まれていますわ。そして、その全てを**『統べる者』**の存在が……」

 

ヒカリは、テルの横顔を見た。「テル。貴方の故郷、ヒスイ地方で語られる**『創りし者』**の神話と、このシンオウの神話は、全て繋がっていますわね」

 

テルは、ヒスイで出会ったアルセウスの存在を思い出し、深く頷いた。

 

「ああ。この道は、俺を**『始まりの場所』**に連れて行こうとしている」

 

彼らが歩を進めるうちに、道は徐々に上り坂となり、天井が開けた。テルたちの目の前には、シンオウの最高峰、テンガンざんの山頂が広がる、巨大な空間が現れた。そこは、槍の柱と呼ばれる場所に酷似していたが、もっと原始的で、力強いエネルギーに満ちていた。

 

そして、その山頂の、空間が最も歪んでいる場所―――テルが以前**「空白」を感じた場所の中央に、一筋の青い光の柱**が立っていた。

 

「あれだ……」テルは確信した。「俺の**『空白』。そして、ギンガ団が俺を『定着』**させようとした場所」

 

ジュンは、その光の柱から恐ろしいほどのエネルギーを感じ、思わず後ずさりした。「あの光が、お前をヒスイから呼んだ、時空の歪みの中心ってわけか……」

 

ヒカリは、光の柱に刻まれた古代の模様を見て、シロナのプレートと照らし合わせた。

 

「テル! シロナ様が託したプレートを、あの光の柱に重ねるのですわ! それが、**『創りし者』が貴方に与える、最後の問いの『鍵』**です!」

 

テルは、シロナから受け取った**『ガンバットの枝』と、その場に刻まれていた古代の羊皮紙を思い出した。そして、今、シロナが持っていたプレート**が、この場所でテルの使命を完遂するための、最後のアイテムとなる。

 

テルは、意を決して光の柱に近づいた。

 

「行くぞ!」

 

テルがプレートを光の柱にかざした瞬間、柱は白く眩い光を放ち、シンオウ全土に響き渡るような、巨大な声がテルたちの心に直接響いた。

 

 

 

それは、**『創りし者』**の声だった。

 

「テルト。汝の『空白』の旅は、終焉を迎えた。

 

汝は、『異物』としてこの時代に『定着』せし存在。

 

汝の帰るべき『過去の時』は、汝の『定着』により、微かに歪み、今もなお不安定なり。

 

故に、汝に問う。

 

この『定着』を永遠のものとし、シンオウのチャンピオンとして『現代の歴史』に生き続けるか?

 

あるいは、汝の存在をこの時代から『抹消』し、元の『過去の時』へと歴史を『修復』するか?

 

汝の『選択』こそが、このシンオウ、そして汝自身の未来を決める」

 

 

 

巨大な声が消えると、テンガンざんの山頂は静寂に包まれた。

 

テルは、自分が現代のシンオウに留まるか、それともヒスイの時代の歴史を救うために自らを犠牲にするか、という究極の選択を迫られていることを理解した。

 

ヒカリは、涙目になりながらテルの手を握りしめた。

 

「そんな……テル……貴方を**『抹消』**だなんて、許しませんわ! 貴方は、シンオウのチャンピオンよ! 私たちの時代に留まってくださいまし!」

 

ジュンは、いつものせっかちな口調を封じ、静かに言った。

 

「テル……オレたちは、お前がどんな選択をしても、お前のライバルだ。だが、ヒスイの仲間のことを考えると……」

 

テルは、ヒスイでの仲間たち、そして自分を育ててくれたデンボク、シマボシたちの顔を思い浮かべた。同時に、このシンオウで築いたヒカリ、ジュン、そしてシロナとの新しい絆も。

 

「俺の**『空白の旅』の最後の目的地は、ここだ。そして、俺の『選択』**が、全てを決める」

 

テルは、光の柱を見つめ、静かに、しかし決意のこもった声で、自らの未来を告げるのだった。

 

 

テルは、テンガンざんの山頂に立つ青い光の柱の前で、究極の選択を迫られていた。シンオウのチャンピオンとして現代に留まるか、それともヒスイの時代に戻り、自らの存在を「抹消」することで歴史を修復するか。

 

ヒカリは涙を流しながらも、テルの手をしっかりと握っていた。

 

「テル……お願いですわ。貴方は私たちのチャンピオンよ。この時代に残って……」

 

ジュンは、葛藤の末、静かにテルの反対側の手を掴んだ。「テル。オレはお前が、ヒスイのポケモンたちと、ちゃんと笑って再会できる方を、選んでほしいぜ。……それが、一番のロマンだ」

 

二人の強い思いが、テルの心に響いた。しかし、テルの心は決まっていた。

「ヒカリ、ジュン。聞いてくれ」

 

テルは、二人の手を強く握り返した。

 

「俺は、このシンオウで、チャンピオンとして、君たちと出会えたことが、何よりも嬉しかった。シロナさんや、ナナカマド博士、みんなとの絆も、俺にとって大切だ」

 

テルは、ヒスイのポケモンたち、そして、自分がいないことで不安定になっているヒスイの歴史を想像した。

 

「でも、俺の故郷は、ヒスイだ。俺が元の時代に戻らないと、ヒスイの歴史が不安定になり、そこにいる大切な仲間たちがどうなるか分からない。俺は、ヒスイのポケモンたちを、**この時代の『異物』**として、危険に晒したくないんだ」

 

テルは、光の柱に向かって、はっきりと宣言した。

 

「俺は、『過去の時』へと戻り、歴史を『修復』する。俺の存在を、この現代から『抹消』する!」

 

テルがそう決断した瞬間、光の柱は、青から虹色の光へと変わった。そして、柱から発せられる巨大なエネルギーが、テルを包み込み始めた。

 

「テル!」ヒカリが叫んだ。

 

「待てよ、テル!」ジュンも叫ぶ。

 

テルは、ヒカリとジュンの手を、最後まで離さなかった。

 

「ヒカリ、ジュン。短い間だったけど、楽しかったぜ。さよならだ!」

 

テルは、二人の手を強く引き寄せた。ヒカリとジュンは、テルの決意に押され、抵抗する間もなく、テルの体から溢れ出す虹色の光に巻き込まれた。

グワァァァン!!

 

時空の歪みが、テンガンざんの山頂を激しく揺らした。光が収束し、テル、ヒカリ、ジュン、そしてテルが連れていたヒスイのポケモンたちの姿は、そこから完全に消滅した。

 

 

激しい光と、土煙が収まった。

 

テルは目を開けた。冷たい風ではなく、ヒスイの澄んだ空気が鼻を抜けた。目の前には、見慣れたコトブキムラの柵と、遠くに見えるテンガンざんの姿があった。

 

「戻ってきた……ヒスイに!」

 

テルは安堵のため息をついた。しかし、その安堵はすぐに驚愕に変わる。

 

「うぐっ……寒い……氷点下ですわ!?」

 

「うおおお! ここ、どこだ!? すげぇ古い建物ばっかりだぜ! 罰金100万円だ、この街に!」

 

テルの両側には、まだパニック状態のヒカリとジュンが、彼の両手を掴んだまま立っていた。彼らは、現代の服を着たまま、完全に時空を超えて、ヒスイ地方に連れてこられていたのだ。

 

ヒカリは、目を丸くして周囲を見渡し、テルの顔を掴んだ。

 

「テ、テル! なんですのこれ! 私の過払い請求はどうなるのですの! なんで貴方に手を繋がれたまま、タイムスリップしているんですの!?」

 

ジュンは、見慣れない風景に興奮しつつも、現状に頭が追い付いていない。「うそだろ!? オレ、**『抹消』じゃなくて『強制連行』**されたのか!? 時空を超えた強制労働かよ!」

 

テルは、まさか二人まで巻き込んでしまうとは想像もしていなかった。

 

「え……? まさか、俺が**『抹消』を選んだことで、俺と手を繋いでいたお前たちまで**、**時空の歪みに『巻き込まれた』**ってことなのか!?」

 

テルの手には、ヒスイのバクフーンとゾロアークのボールが握られていた。そして、その腰には、レジトリオのボールが三つ。彼らは、三人の現代人と、ヒスイと現代のポケモンたちと共に、遥か昔のヒスイの地に降り立った。

 

「ま、まずいですわ! テル! ポケッチが圏外ですわ! GPSも効きませんわ! 私の文明的な生活と、貯金が!」

 

「ちくしょう! 罰金だ! このヒスイの時代にも、罰金100万円だ!」

 

こうして、テルの**「空白の旅」**は、**ヒカリの「過払い請求」と、ジュンの「時空を超えた債務」を巻き込み、シンオウの原点であるヒスイの地で、新たな、そして予想外の「三人旅」**として幕を開けたのだった。

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