遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

22 / 48
ラベン博士の調停と、時空を超えた同居生活

 

テルの両側で繰り広げられる、ヒカリとショウによる**「テルの存在意義」**をかけた激しい争奪戦は、コトブキムラの一角で、大きな注目を集めていた。ジュンは遠巻きにその様子を観察し、時折「罰金ロマン」と叫んで場を盛り上げていた。

 

そこに、聞き慣れた、陽気な声が割って入ってきた。

 

「おお、これはこれは! 賑やかじゃのう!未来からの訪問者が来て、テルはモテモテじゃな!」

 

白衣を纏い、いつものように満面の笑みを浮かべたラベン博士が、テルの元にやってきた。彼は、テルの両脇で火花を散らすヒカリとショウを、面白そうに眺めていた。

 

ショウは、尊敬するラベン博士の声を聞いて、ようやく冷静を取り戻した。

「ラベン博士……! すみません、テルさんのことでちょっと……」

 

「ん、気にせんでよい、ショウ」 ラベン博士は優しくショウを宥めた。「テルは無事に帰った。わしにはそれが一番うれしいわい。君たちとテルの絆は、**『未来』**に行ったくらいじゃ切れんよ」

 

ショウは頷き、テルから手を離した。テルは、解放された腕を摩りながら、ラベン博士に感謝した。

 

 

その隙に、ヒカリはラベン博士に詰め寄った。

 

「博士! 貴方がラベン博士ですのね! テルの**『時空を超える債務』**の状況について、至急お話ししたいことがありますわ!」

 

「むむむ。こりゃまた、興味深い言葉じゃな!」 ラベン博士は目を丸くし、ヒカリの異様な剣幕にたじろいだ。「**『時空を超える債務』**か……しかし、まずは身の振り方じゃ。わしは、ポケモン図鑑を完成させるのに忙しいのでな」

 

ヒカリは、ポケモン図鑑という言葉に反応し、目を輝かせた。

 

「あの……博士? ポケモン図鑑ですって? 貴方が、あのオーキド博士やナナカマド博士にも匹敵する、ポケモンの研究の権威になる、ラベン博士ですのね!」

 

「む? 知っておるのか、わしのことを?」 ラベン博士は、自分の名が未来にまで轟いていることに驚きを隠せない。

 

ヒカリは興奮を抑えきれない様子で、テルの腕を小突いた。「テル! あのラベン博士よ! ポケモンの研究で、国際的にも有名になる、あのラベン博士! こんなに有名な方に、直接会えるだなんて! 夢にも思いませんでしたわ!」

 

テルは苦笑いした。「ヒカリ、落ち着け。未来じゃ有名だけど、この時代じゃ、まだ怪しい自称学者扱いされてるんだぞ……」

 

ラベン博士は鼻の下を擦りながら、嬉しそうに笑った。「ほう! わしが未来で有名じゃと! それは良いデータじゃな!」

 

「閑話休題じゃ!」 ラベン博士は、周囲を見渡し、コトブキムラの宿泊施設の現実的な問題に言及した。

 

「当面、君たち二人の寝床を決める必要がある。見ての通り、コトブキムラはまだ開拓の途中じゃ。宿泊の場所は限られておる」

 

ラベン博士は、テルとショウ、そしてヒカリとジュンに視線を向けた。

 

「そこでじゃ! ジュン君。君は、テルという面白そうな奴のライバルじゃな。君には、テルが使っている調査隊の寝床で、テルと同室になってもらう! 互いのロマンを語り合い、切磋琢磨するが良い!」

 

ジュンは目を輝かせた。「な、なんだって!? テルと同室か! 時空を超えたライバル同士の同居! これこそロマンだぜ! 遅れたら二人で罰金な!」

 

そして、ラベン博士はヒカリとショウを見た。

 

「ヒカリ君。君は、ショウのテルの相棒としての地位を脅かしておるようじゃが、これは良い機会じゃ! テルがいない間、共に過ごしたショウの寝床で、ショウと同室になってもらう! 互いのテルの知識を語り合い、絆を深めるが良い!」

 

ヒカリは、一瞬渋い顔をしたが、すぐに**「テルの未来の相棒」**としての情報収集のチャンスだと悟った。

 

「フフフ。結構ですわ、ラベン博士。テルの過去の生活圏を調査し、債務者の精神状態を把握するのも、債権者の義務ですからね! ショウさん、テルの過去の食費について、詳しくお話を聞かせてもらいますわよ」

 

ショウは、ヒカリの有無を言わせぬ圧力に少し怯えながらも、テルの相棒として受け入れることにした。「は、はい……ヒカリさん。テルさんのことを、たくさんお話ししますね」

 

シマボシ隊長は、遠くからその状況を見て、眉間に深い皺を刻んだ。「ケイブ博士。監視報告書に、**『未来の女のテルの占有率』**という項目を加えろ!」

最後に、ラベン博士は布の山から、簡素なヒスイの調査隊の服を取り出し、ヒカリとジュンに渡した。

 

「そしてじゃ! 君たち二人。その派手な未来の服は、ポケモンたちを警戒させてしまう。コトブキムラじゃ、これを着るのが掟じゃ。生活に馴染む努力も必要じゃぞ」

 

ヒカリは、豪華なコートとミニスカートを脱ぎ、簡素な調査服に袖を通した。少し不満そうだが、その姿はテルの横に立っても、違和感がなくなった。

 

ジュンは、新しい服に目を輝かせた。「おお! これがヒスイの作業服か! ロマン溢れる制服だぜ! よし、これでテルのヒスイ時代のライバルになるぜ!」

 

こうして、テル、ヒカリ、ジュンは、ヒスイの地で、男女混合の相棒とライバルとの同居生活という、新たな調査任務を開始することになったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。