遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

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時空を超えた瓜二つと、ヒカリの遺伝子鑑定

 

ラベン博士からヒスイの調査服を受け取り、早速着替えたテル、ヒカリ、ジュン。ヒスイの服装は、現代の派手な服に比べ、寒冷地に適した動きやすいデザインだ。

 

テルは、着替え終わったヒカリとショウを改めて見比べた。二人とも、同じデザインの調査隊の服を着ている。

 

「うむ。二人とも、なかなか似合っておるのう!」ラベン博士が満足そうに頷いた。

 

しかし、テルは二人の姿を見て、思わず目を擦った。

 

「ええと、ショウ……ヒカリ……」

 

ジュンは、新調した服に大満足の様子でテルの横に並び立ったが、テルと同じように目を凝らした。

 

「おい、テル。なんかデジャヴだぜ……お前ら、双子か?」

 

テルとジュンが指差す先で、ショウとヒカリは互いの顔を見合わせ、目を丸くしていた。

 

ヒカリは、自分の手をショウの顔の横に並べ、まじまじと観察した。

 

「な、なんですの、これ! 顔の輪郭、目の形、髪の色……わたくしと、驚くほど瓜二つですわ!」

 

ショウも、ヒカリの顔を指さしながら、驚愕の声を上げた。

 

「ほ、本当に! 鏡を見ているみたいです! テルさんが**『未来の相棒』って言ってたから、てっきり別人**だと思ってたのに……」

 

確かに、ヒカリの長い水色の髪と、ショウの少し短めの水色の髪は、全く同じ色合いだ。顔立ちも、テルから見れば、**「瓜二つ」**と言って差し支えないほど酷似している。

 

テルは、頭を掻いた。「実は、俺もシンオウでヒカリに初めて会った時、**『デジャヴ』**を感じたんだ……もしかして、お前たち……」

 

ヒカリは、突然目を輝かせ、**「債権者の使命」**を帯びた表情になった。

「なるほど! そういうことですわね! 遺伝子ですわ!」

 

ヒカリは、テルのヒスイの服の袖を掴んで揺さぶった。

 

「テル! わたくしたちは、きっと遠縁の親戚ですわ! 貴方がヒスイに来た時、ショウさんの顔を見て**『未来』の記憶が呼び起こされた……これが、貴方の『空白』**の正体の一部ですわ!」

 

「え、そんな、急に**『空白』の解明**!?」テルは戸惑った。

 

「落ち着きなさい、ヒカリ! **『ロマン』**は一歩ずつ踏みしめるもんだぜ! 罰金100万円だ、その早とちり!」ジュンがヒカリの頭を叩いた。

 

ヒカリはジュンの罰金を無視し、ショウに向き直った。「ショウさん! 貴方のご実家は、どちらにありますの? 血縁関係を調査すれば、**テルの『空白の旅』**の謎が、また一歩解明できますわ!」

 

ショウは戸惑いながらも答えた。「ええと、私はヨスガムラの近くの集落の出身……あ、でも、今はもうないんです」

 

ヒカリはさらに興奮した。「ヨスガムラですって!? わたくしのご先祖様は、ヨスガシティからシンオウ地方に移住した記録が……!」

 

ラベン博士は、二人の異常な**「遺伝子のロマン」**の盛り上がりを見て、嬉しそうに手を叩いた。

 

「おお! これは面白い! 時空を超えた『遺伝子のルーツ』の解明じゃな! やはり、テルが来たのは偶然ではない。この瓜二つの二人の調査員を観察することが、ポケモン図鑑の完成、そして**『人の歴史』**の解明に繋がるかもしれん!」

 

シマボシ隊長は、遠くからその様子を監視し、額の血管が浮き出るのを感じた。

 

「あの**『未来の女』**は、テルの空白だけでなく、ヒスイの調査隊の秩序まで乱している! しかも、ショウまで巻き込みおって……! **ケイブ博士、今日から『テルの調査任務とヒカリの遺伝子調査が一致したか』**の項目を、報告書に追加しろ!」

 

テルは、ヒカリとショウという**「二人の自分」に囲まれ、ヒスイでの調査が、単なるポケモン図鑑の完成だけでなく、自身のルーツと時空の謎**を解明する旅になることを悟った。

 

「よし! 行くぞ! 調査の目的地は黒曜の原野だ! ヒスイの相棒と未来のライバルと、時空を超えた債務者! 全員で、このヒスイの謎を解き明かすぞ!」

 

三人は、時空と血縁の謎を背負い、広大なヒスイの原野へと足を踏み出した。

 

 

コトブキムラでの最初の任務は、テルとショウが向かう黒曜の原野でのポケモン調査のための準備だった。ヒカリとジュンも、**「未来の知識を持つ人材」**として、その準備を手伝うことになった。

 

ヒカリは、早速テルの**「必需品」**としての役割を果たそうと、コトブキムラを歩き回った。しかし、すぐに不満そうな顔でテルに駆け寄った。

 

「テル! ちょっとよろしいですの!?」

 

「どうした、ヒカリ? もう何か問題か?」テルは、ヒカリの顔を見て警戒した。

「問題どころの話ではありませんわ! フレンドリーショップの代わりになる、この時代のお買い物が出来る場所はどこですの?」ヒカリは、現代の充実したショッピング環境をヒスイにも求めていた。

 

テルは苦笑いしながら答えた。「ヒカリ、ここにはフレンドリーショップなんて気の利いたものはないぞ。あるのは……イチョウ商会だ」

 

「イチョウ商会?!」ヒカリは顔をしかめた。「まさか、あそこの怪しい行商人たちが、道具を売っているのですの? しかも、品揃えが少なすぎますわ! キズぐすりくらいしかありませんわよ!」

 

ジュンが横から興奮気味に口を挟んだ。「ヒカリ、何を言ってるんだ! キズぐすりが売ってるだけでもロマンだろ! あの時代じゃ、そんな便利なもの、作ってもらったんだぜ!」

 

ヒカリはため息をついた。「あの方々が作っているのは、せいぜいボールくらいですわね……って、ボールすら売っていないではありませんの!」

 

テルは、ヒカリが抱える**「現代文明の喪失」**というショックを理解した上で、核心を告げた。

 

「ヒカリ。この時代では、モンスターボールを含めて、ほとんどの道具は自分で作るんだ」

 

「え? 自分で作る?」

 

「ああ。材料を集めて、クラフトする。ラベン博士が教えてくれただろう。この時代で一番重要なのは、クラフトキットだ」

 

ヒカリは、テルが差し出したクラフトキットを見て、顔を覆った。

 

「な、なんで原始的なのですの!? あんな木の実と石を組み合わせて、一体何が作れるというのですの!? 私の知っているモンスターボールは、最新の技術と合金で作られた、芸術品ですわ!」

 

ヒカリは、科学の進歩が失われたことに、心底ショックを受けていた。

 

その様子を見ていたショウは、ニヤニヤと笑いながら、ヒカリに近づいた。

 

「ふふっ。ヒカリさん。未来のポケモンコーディネーターさんは、そんなに驚くんですか?」

 

ショウは、手早くバッグからぼんぐりとたまいしを取り出した。

 

「まあ、未来の人たちは、私たちヒスイの調査隊の技術には劣りますよね?」

 

ショウは、ヒカリの目の前で、クラフトキットを使い、慣れた手つきでぼんぐりとたまいしを組み合わせていく。その動作は流れるようで、迷いが一切ない。

 

カチッ、カチッ……

 

数秒後、ショウは自慢げにピカピカのモンスターボールを一つ作り上げ、それをヒカリの鼻先に突きつけた。

 

「ほら、見てください。モンスターボールの完成です! 木の実と石ころでも、私たちの手にかかれば、すぐに作れるんですよ?」

 

ショウは、ヒカリを軽く見下ろすような目で、優越感を滲ませた。

 

「未来じゃ、こんな簡単なことも、機械に頼らないとできないんですか?」

 

ヒカリは、ショウの完璧なクラフト技術と、その挑発的な笑みに、屈辱を感じた。

 

「な、なんですって!? この文明の敗北者が!」

 

テルは、二人の間に再び険悪な空気が流れるのを感じ、慌ててヒカリを宥めた。

 

「ヒカリ、落ち着け! ショウは悪気があるわけじゃ……」

 

「いいえ! テル!」ヒカリは、ショウから顔を背け、クラフトキットを掴んだ。

 

「わたくし、決めましたわ! 未来の債権者として、この原始的な技術をマスターしてやりますわ! モンスターボールを作るくらい、コーディネーターの芸術性で、すぐに追い越してやりますわよ!」

 

ヒカリの**「クラフトによるプライドの回復」**という、新たなロマンスが、このヒスイの地で始まった。ショウは、その挑発が成功したことに、満足そうな笑みを浮かべたのだった。

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