遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

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Chapter4 プレートの謎を追いかけて
コギトが語るプレートの真実と、神話的ロマン


 

コンゴウ団とシンジュ団への挨拶回りを終えたテルたちは、次に、テンガンざんの麓にある神の遺跡を守る、特別な存在であるコギトの元を訪れた。コギトは、古代シンオウの装束を纏い、威厳と神秘性を兼ね備えた女性だ。

 

テルが、コギトの庵の前に到着し、声をかけると、コギトは静かに現れた。

 

「コギト。戻りました。俺は未来のシンオウから、ヒスイに戻ってきました」

 

コギトは、テルの横に立つヒカリとジュンに目を向け、小さく頷いた。「時空の歪みを感じていた。その強大さは、貴方一人で戻ってきたものではない。やはり、**『未来からの客』**を連れてきたか」

 

ヒカリは、コギトの姿を見た瞬間、目を見開いて硬直した。コギトの、水色の長い髪、古代の装束を纏いながらも隠しきれない気品、そして知的な雰囲気は、ヒカリが知る未来のシンオウチャンピオンと驚くほど酷似していた。

 

「あ、あの……シ、シロナ様……?」

 

ヒカリは、思わず現代のチャンピオンの名前を口にした。

 

コギトは、怪訝な表情でヒカリを見た。「シロナ? それは、誰だ?」

 

テルが、コギトの耳元で小声で囁いた。「コギトさん。彼女は未来の人間で、未来のシンオウチャンピオンと血縁があるかもしれないんです。そのチャンピオンが、コギトさんの面影に酷似しているんですよ」

 

コギトは、その説明に納得したように、ヒカリに微笑みかけた。「ほう。わしの遠い子孫が、未来で強きポケモンの使い手となっておるか。それは、喜ばしいことだ」

 

ヒカリは、**「シロナ様の先祖」**と思われる人物との対面に、興奮を抑えきれない。

 

「わたくし、未来のチャンピオン、シロナ様を心から尊敬しておりますわ! 貴方の子孫でしたのね! 貴方の気品と古代の知識を、わたくしに伝授してはいただけませんかしら! わたくしの血が、今、目覚めていますわ!」

 

ヒカリのテンションの上がりぶりに、ジュンは呆れた。「チクショー! ヒカリはロマンじゃなくて家系図に興奮するのか! 罰金100万円だぜ、そのミーハーな遺伝子に!」

 

コギトは、ヒカリの熱意に驚きながらも、すぐにテルの真剣な顔に目を向けた。

 

「テル。それで、わしに会いに来た真の目的は、ヒスイに戻った報告だけではあるまい」

 

テルは、頷き、コギトに切実な相談をした。

 

「はい、コギトさん。俺はヒスイの歴史を修復するために、存在を抹消する覚悟で戻ってきました。ですが、ヒカリとジュンまで、この時代に連れてきてしまった」

 

テルは、空に再び現れた時空の裂け目のことを話した。

 

「時空の裂け目がまた現れています。このまま、ヒカリとジュンをこの時代に留めておくと、未来の歴史にも、このヒスイの歴史にも、さらなる大きな歪みを生じさせるのではないかと危惧しています」

 

テルは、コギトに、縋るような目で訴えた。

 

「コギトさん。俺は、この二人に手を繋がれたまま、もう一度、元の時代に戻ることは可能なのでしょうか?」

 

コギトは、静かに目を閉じ、辺りの大地の鼓動、そして時空の歪みの力を感じ取った。

 

「……テル。貴方の**『空白』の旅は、時空の結び目を辿る旅だった。貴方自身は、時空を越える鍵となり得る。しかし、未来の人間を、現在から未来へ送り返すのは、『過去から未来へ旅する』**ことよりも、遥かに難しい」

 

コギトは、ゆっくりと目を開け、テルに告げた。

 

「だが、可能性はゼロではない。貴方のポケモンへの強い想いと、未来の二人の強い絆が、再び時空の扉を開くかもしれない」

 

コギトは、テルの持つプレートに目を向けた。

 

「今は、目の前の災厄からムラを守り、プレートの真の意味を理解することに専念せよ。時空の扉は、創りし者の意思と、貴方の決意が再び揃った時にのみ、開かれるだろう」

 

テルは、コギトの言葉に、未来への帰還という、新たな希望と課題を胸に刻んだ。ヒカリは、「シロナ様の先祖」から得た「時空の法則」という最高の情報に、興奮を隠せないでいた。

 

コギトから、元の時代に戻る可能性を告げられたテルは、わずかな希望と新たな使命を胸に刻んだ。その時、テルの胸元にあるプレートに視線が集中していたジュンが、前のめりになって質問を投げかけた。

 

「ところで、コギトさん!」ジュンは、興奮を抑えきれない様子で、テルの胸を指さした。

 

「テルが持っているそのプレートってやつだぜ! 未来でもシロナさんが持っていたが、あれは一体何なんだ!? 最強のロマンが詰まっているのか!?」

 

ジュンは、未来でシロナがチャンピオンとしてそのプレートを携えていた姿を思い出し、そのプレートが最強のポケモントレーナーの象徴ではないかと考えていた。

 

ヒカリも、ジュンの質問に同意した。「そうですわ! 未来では**『古代の神秘的な石板』として知られていましたが、正確な用途は謎でしたわ。ただの装飾品ではないはずです! 貴族の財産**として換算すれば、どれほどの価値になるのかしら……」

 

コギトは、テルが所有するプレートを見つめ、静かに微笑んだ。その表情は、未来のシロナが遺跡を見つめる時の、神秘的な微笑みと瓜二つだった。

 

「フフ、良い質問だ、若者たち。プレート……それは、この世界を**『創りし者』の魂の欠片**だ」

 

コギトの言葉は、静かな庵の中に、神話的な重みを響かせた。

 

ヒカリは、思わず息を飲んだ。「魂の……欠片ですって!? 科学的・歴史的価値が、私の想像を遥かに超えていますわ!」

 

コギトは、穏やかな口調で説明を続けた。「『創りし者』が世界を形作る際、その力は多くの石板に分かたれた。このプレート一つ一つに、ポケモンのすべてのタイプの力が宿っている」

 

彼女は、テルのプレートを指さした。

 

「テルがプレートを持っている時、彼のポケモンがそのタイプへと力を変えるのを見たであろう? それは、世界がどのように形作られたかを示す、太古の記憶そのものだ。プレートは、命の源、世界を構成する力の、最も純粋な形なのだ」

 

テルは、コギトの言葉に、プレートの真の重さを改めて理解した。「なるほど……単なる道具ではなく、世界そのものなんですね」

 

ジュンは、コギトの**「創りし者の魂」という説明に、完全に打ちのめされた。彼の頭の中で、「ロマン」の概念が神話**のレベルまで書き換えられたのだ。

 

「うおお! 創りし者の魂だと!? そんな神話的なロマンがこの小さな石板に……! 最強とか財産とか、そんな陳腐なロマンを語ろうとした自分が恥ずかしいぜ!」

 

ジュンは、その場で頭を抱え、叫んだ。「罰金500万円だ、この重すぎる神話的設定に! オレ様のロマンの財布が破裂する!」

 

コギトは、ジュンの大げさな反応を面白そうに見ていた。「フフ。その興奮こそ、神話に触れた者の正しい反応かもしれないな、若者よ」

 

ヒカリは、**「未来の知識」**を司る者として、プレートの真実に触れたことに深い感動を覚えていた。

 

「コギト様……ありがとうございます。この知識は、未来のポケモン学に、計り知れない進歩をもたらしますわ……。シロナ様が、なぜあのプレートを大切にしていたのか、今、理解できましたわ!」

 

こうして、テルたちは、プレートが**「時空を超えた鍵」であると同時に、「世界そのものの記憶」であることを知り、未来への帰還、そしてヒスイの災厄**への対処の鍵が、この小さな石板にあることを確信したのだった。

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