遠き郷から来たシンオウチャンピオン   作:gp真白

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時空の誤算と、現代シンオウの再会

 

シンオウ神殿の祭壇。アルセウスの光がウォロの邪悪な狂気を凍てつかせ、テルに創造の力を託した。テルは、ヒスイの平和と、ヒカリ、ジュン、そしてショウの未来への帰還、世界の調和という強い意志を胸に、ウォロとの最後の戦いに臨む。

 

ウォロは、テルに宿るアルセウスの力を前にしても、その探求心を捨てようとはしなかった。

 

「テルさん! 創造主の力を借りての勝利など、究極のチートではありませんか! しかし、そのロマン、受けて立ちましょう! 私の探求は、この世界の法則を知ることにあります! そのために、最強のポケモンと共に、あなたを打ち破る!」

 

ウォロは、最後に残された邪悪な知識と執念の全てを、手持ちのポケモンに注ぎ込んだ。

 

テルは、アルセウスのテレパシーに従い、プレートの調和の力を最大限に引き出す。ヒカリとジュンは、未来の知識を活かした早業と力業の指示をテルに送る。

 

「行くぞ、ウォロ! 俺の調和の意志、受けてみろ!」

 

ウォロは、次々と古代の伝承に登場する、強力なポケモンたちを繰り出す。トゲキッス、ガブリアス、ゾロアーク(ヒスイのすがた)、ミロカロス、ムウマージといった、バラエティに富んだ強力なポケモンたちだ。

 

ヒカリが冷静に指示を出す。「テル! ウォロのポケモンは、タイプバランスが完璧ですわ! プレートのタイプ変化を最大限に活かし、弱点を突くのです!」

ジュンも興奮しながら叫ぶ。「チクショー! 未来の戦略を見せてやれ、テル! 早業で先手を取るんだ!」

 

テルは、アルセウスの力で増幅されたプレートの力で、瞬時にポケモンのタイプを切り替え、ウォロのポケモンたちの弱点を的確に突いていく。ウォロもまた、古代の知識を活かした狡猾な戦術でテルを追い詰めるが、世界の調和を願うテルの強い意志と、未来の仲間の戦略が、ウォロの執念を上回る。

 

壮絶な連戦の末、ウォロのポケモンたちは、次々と打ち破られていった。

 

ウォロは、膝をつき、残された最後の力を振り絞る。「バカな……! 私の完璧な探求が、この程度の力に……!」

 

ウォロが全てのポケモンを失った瞬間、神殿の上空の時空の裂け目が、再び大きく脈動した。ウォロは、最後の狂気に満ちた笑みを浮かべた。

 

「ふふふ……ですが、切り札は残されていますよ、テルさん! アルセウスの創造の裏側には、常に反転世界の影がある!」

 

ウォロは、時空の裂け目に向かって叫んだ。「ギラティナ! 創造主の傲慢な力を、反転世界の力で打ち破れ! テルを、反物質の塵と化せ!」

 

「ギュラララララ!!!」

 

ギラティナが、反物質的なエネルギーを漲らせ、テルの前に降り立った。

テルは、プレートの調和の力を全て集中させ、アルセウスと共に、創造の力を最大限に引き出す。

 

「行くぞ、ギラティナ! 調和の意志の力、受けてみろ!」

 

アルセウスの力でテルの体が虹色の光に包まれ、創造のエネルギーが放出される。ギラティナは、その世界の法則を司るエネルギーの奔流に、圧倒的な暴力で立ち向かう。

 

**「シャドーダイブ」と「創造の光」**が激突する。

 

ドオオオオオオオオン!!!!!

 

テルの一撃は、世界の調和を体現する、絶対的な力だった。ギラティナの反物質の力は、その奔流に飲み込まれ、神殿の壁を突き破り、反転世界へと強制的に押し戻された。

 

ウォロは、ギラティナの敗北と共に、全ての野望を打ち砕かれた。彼は、その場に崩れ落ち、虚ろな目を宙に向けた。

 

「あ、ああ……私の探求は……究極のロマンは……」

 

テルは、アルセウスの力でウォロの記憶から神話の真実を全て消し去った。ウォロは、時空の奔流に飲み込まれ、ヒスイのどこか遠くへと強制的に転移させられた。

 

ウォロの野望は潰え、ギラティナは反転世界へ。

 

時空の歪みの源は、完全に消滅した。シンオウ神殿の上空には、**穏やかで安定した『時空の扉』**が、テルたちを未来へ帰すために、静かに開いていた。

 

ウォロとギラティナが去り、時空の歪みの源が消滅した瞬間、アルセウスはプレートの力を用いて、シンオウ神殿の上空の裂け目を、**穏やかで安定した『時空の扉』**へと変えた。

 

(導き手よ。貴方の意志は、世界に調和をもたらした。未来へ帰る扉は開かれた。さあ、進みなさい)

 

ヒカリは、目を見開いた。「時空の扉ですわ……! テル、ジュン! やっと、私たちの時代に戻れるのですわ!」

 

ジュンは、目に涙を浮かべた。「チクショー! ロマンは終わっちまうのか! でも、最高のロマンだったぜ、テル!」

 

テルは、ヒスイの平和、未来への帰還という、二つの目的を果たした達成感を噛みしめた。そして、隣に立つショウに視線を向けた。

 

「ショウ……」

 

ショウは、泣き出しそうな顔で、テルを見つめ返した。「テルさん……。行くんですね……」

 

テルは、ショウの目を見て、優しく微笑んだ。「ああ。俺たちの**『空白の旅』**は終わった。このヒスイは、俺が記憶している未来のシンオウへと、正しい歴史を歩み始めるだろう」

 

「……はい!」ショウは、涙を拭い、笑顔を作った。「テルさん! 私は、このムラで、ギンガ団の調査隊として、ポケモン図鑑を完成させます! そして、テルさんが未来のシンオウチャンピオンになったら……ヒスイの歴史を、未来のテルさんに伝えます!」

 

テルは、ショウの変わらぬ強さに、未来への希望を託した。

 

「ありがとう、ショウ。……また、未来で会おう」

 

テルは、ヒカリ、ジュンと共に、アルセウスの祝福を受けた時空の扉へと向かった。

 

テル、ヒカリ、ジュンが扉の光の中へと消えていく。

 

ショウは、ヒスイの調査服の裾を掴み、最後まで笑顔で見送ろうと、手を振った。

 

「テルさん、お元気でっ!」

 

その瞬間、時空の扉が、最後に不安定な脈動を見せた。ヒカリとジュンは既に光の向こう側へと消えていたが、テルが扉を潜り抜ける直前、アルセウスの制御をわずかに超えた時空の奔流が、祭壇に立っていたショウを、強く巻き込んだ。

 

ショウは、テルに託した想いとヒスイの調査服を身にまとったまま、光の渦の中へと吸い込まれていった。

 

テルが現代のシンオウ地方のテンガンざんに降り立った瞬間、そのすぐ横に、見慣れたヒスイの調査服の人物が、ぐったりとした様子で転がっているのを見て、絶句した。

 

 

光が収束し、現代のシンオウ地方、テンガンざんの山頂。

 

テルが目を覚ますと、そこには見慣れたヒカリとジュンが、安堵した顔で立っていた。

 

「テル! 大丈夫ですのね! やっぱり、時空の扉は、私たちを正しい時代に戻してくれたわ!」ヒカリが安堵の声を上げた。

 

ジュンは、テルの肩を叩いた。「チクショー! 最高のロマンの旅だったぜ! これで元の生活に戻れるな!」

 

しかし、テルは二人の言葉に応えず、横に倒れている人物を指さした。

 

「ヒカリ……ジュン……ショウが……」

 

ヒカリとジュンは、テルが指さす方向を見て、顔面蒼白になった。

 

そこにいたのは、ヒスイのギンガ団の調査服を着たまま、気を失っているショウだった。

 

ヒカリは、ショウのヒスイの調査服を凝視し、時空の法則の誤算を悟った。

 

「な、なんですって!? 時空の扉が閉じるとき、ヒスイの時間の流れに強く結びついていたショウさんまで、**『空白の旅の付随物』**として、現代に連れてきてしまったのですわ!?」

 

ジュンは、新たなロマンの発生に、もはや興奮を通り越した絶叫を上げた。

 

「チクショー! ヒスイの歴史まで連れてきちまったのか! 罰金10億円だ! 時空を超えた転校生だぜ!」

 

テルは、意識を失っているショウを抱き起こした。ショウの顔は、現代の空気と時間軸のズレによって、まだ少し青白い。

 

「ショウ……」テルは、ヒスイで共に過ごした大切な相棒が、未来のシンオウにいるという、予測不能な事態に、ただ茫然とするしかなかった。

 

テルたちの**『空白の旅』は、ヒスイの歴史を救済し、時空の歪みを修復したが、時空の扉が最後に起こした小さな誤算によって、ヒスイの相棒を現代のシンオウ**に連れてきてしまうという、新たな物語の幕開けとなったのだった。

 

 

— 終 —

(ただし、物語は続くかもしれない)




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