実家での告白と、時空を超えた同居人
テルは、ナナカマド博士の研究所でひとまずショウの身元と立場を確保した後、**「ショウを現代に連れてきてしまった責任」**を取るため、彼女を自宅で預かることを決めた。
「ごめん、ショウ。俺が時空の扉を潜る時にもっと気を付けていれば……。とりあえず、この時代に慣れるまで、俺の家にいろ」
ショウは、**デンボク団長(と勘違いしているナナカマド博士)**の命令と、テルへの感謝で、すぐに承諾した。
「い、いえ! テルさん! 時空を超えることも、ポケモン図鑑完成のための重要な調査であります! お言葉に甘え、未来のシンオウでの共同調査に励ませていただきます!」
しかし、話はそれだけで終わらなかった。
ヒカリ:
「待ちなさい、債務者テル! なぜわたくしとジュンまで付いていく必要があるのですか!」
テル:
「当たり前だろ、ヒカリ! お前たちも時空の奔流に巻き込まれてきた被害者だ。そして何より、ショウの面倒は、ヒスイでの共同調査隊員としての責任でもあるだろう!」
ヒカリ:
「フフフ。そういうことでしたら、債権者として、債務者テルが逃げ出すことのないよう監視する義務がありますわ。それに、ヒスイの調査隊員が現代の生活に順応する観察記録は、未来の科学にとって極めて重要なデータとなります!」
ジュン:
「チクショー! ロマンだぜ、テル! 時空を超えたシェアハウスか! オレ様はロマンの立役者として、この感動的な同居生活を見届けるぜ! 罰金10万円だ、このワクワクする展開に!」
結局、テルはヒカリ(監視役兼研究者)とジュン(ロマン追求者)、そしてショウ(過去からの転校生)という、時空を超えた奇妙な四人組を引き連れて、自宅であるフタバタウンの家へと向かうことになった。
フタバタウンのテル(主人公)の家。
テルの母は、息子が見知らぬ奇妙な服装の三人(ヒカリとジュンは私服だが、ショウはヒスイの調査服)を連れてきたことに、目を丸くした。
テル母:
「テル! おかえりなさい! ……あら、素敵な未来のお友達と、それにその…奇妙なコスプレのお友達は?」
ショウは、テルの母の優しそうな雰囲気を前に、デンボク団長の妻だと勘違いし、再び直立不動になった。
ショウ:
「お、奥様! 未来の調査隊員のショウであります! ご子息様のポケモン図鑑完成という大いなるロマンのため、一時的に身を置かせていただきます! ご迷惑をおかけし、申し訳ありません!」
テル母:
「あらあら、ポケモン図鑑に情熱的な子ね。テル、そのギンガ団とやらの制服、可愛いじゃない。さあ、とりあえず上がって、お茶でも飲んで」
ヒカリは、このままでは誤解が歴史的なレベルに達すると察し、テルに告白を促した。
ヒカリ:
「テル! もう誤魔化せませんわ! お母様に全ての真実を話すのです! さもないと、時空の混乱が、現代のフタバタウンにまで影響を及ぼしますわよ!」
テルは、深く息を吸い込み、時空を超えた旅の全てを、優しくも聡明な母親に打ち明けることを決意した。
テル:
「……母さん。実は、この話をするには、まず時空の歪みと神話のポケモンの話をしなければならない。俺は、ヒカリとジュンと一緒に、数百年前のヒスイ地方に行っていて、世界の創造主アルセウスに会ってきたんだ」
テル母:
「……ええ、知ってるわよ。あなたがヒスイ地方に行ったのは知っているわ。ナナカマド博士が、テルが遠い地方へ調査に行ったって教えてくれたもの」
テル:
「いや、そうじゃなくて! 数百年前の、過去のヒスイだ! そして、ショウは、そのヒスイ時代から、アルセウスの力で、一緒に現代に連れてきてしまったんだ……!」
テルは、ウォロの野望、ジョウトへの転移、セレビィの導き、そしてショウの強制転移という、時空を超えた壮大な物語を、母親に語り聞かせた。
テルの母は、最後まで静かに話を聞き終えると、微笑んで答えた。
テル母:
「……そう。時空を超えた旅をして、世界の創造主に会ってきたのね。そして、その過去の旅の相棒を、間違って現代に連れてきちゃったと」
テル母:
「ふふふ。テルらしいわね。旅に出れば、必ず新しい友達を連れてくるんだから。心配しないで。ショウちゃんも、ヒカリちゃんも、ジュン君も、テルのお友達でしょう? フタバタウンの家が、時空を超えた調査隊の本部になっても構わないわ。さあ、みんな、ゆっくり休んで。お腹が空いたでしょう?」
テルの母の底知れぬ包容力と、息子の『時空を超えるロマン』に対する理解の深さは、テル、ヒカリ、ジュン、そしてショウの全員を、ヒスイの調査隊の時よりも、さらに強固な絆で結びつけるのだった。
テルは、母の時空を超えた包容力に感謝しつつ、ひとまずショウを連れて帰ってきたことを受け入れてもらった。しかし、ショウの現代への順応は、テルが思っていた以上にアグレッシブな方向へと進むことになった。
翌朝、ショウは**ナナカマド博士(と勘違いしている)**のもとへ行くべく、ヒスイの調査服を着て玄関に立っていた。
そこへ、目を輝かせたヒカリが、巨大な紙袋を抱えて現れた。
ヒカリ:
「待ちなさい、ショウさん! ヒスイの調査服は、この時代では完全にコスプレですわ! デンボク団長(ナナカマド博士)の研究のお手伝いをする前に、現代の調査隊員として、まずは現代のファッションを身につける必要がありますわ!」
ショウ:
「は、はい! 未来の調査員としてのおめかしでありますね! テルさんのご母堂様からいただいた現代の服(パジャマ)しか持っていませんが……」
ヒカリ:
「フフフ。ご心配なく。フタバタウンの家の近くに、わたくしの家がありますわ。そして、わたくしのクローゼットがあります! 未来のファッションを、徹底的に体感していただきますわよ!」
ヒカリは、有無を言わさずショウの手を引き、自分の家へと連れ去った。テルの母も、娘ができたとばかりに興味津々で付いていった。
ヒカリの部屋は、一瞬にしてファッション・ショーの舞台と化した。
テル母:
「あら、このフリルがショウちゃんには似合うわ! ギンガ団の団長さんも、これならきっと喜ぶわよ!」
ヒカリ:
「違いますわ、お母様! 現代の調査員は、機動性も重視しなくては! このショートパンツに、カジュアルなパーカーこそ、ポケモン図鑑完成のための最適解ですわ!」
ショウは、次から次へと奇抜な現代の服(ヒスイから見れば)を着せられ、着せ替え人形のようにされるままだった。
ショウ:
「は、はい! これは……未来の服は機動性に優れていますが、露出が多いであります! しかし、これも調査……ギンガ団の名にかけて、着こなして見せます!」
テルは、ヒカリの家の窓の外から、女性陣の凄まじい熱意を感じ取り、顔を引きつらせた。「……俺には、関われない世界だ」
このカオスな状況から一時的に逃れるため、テルはナナカマド博士に連絡を取ろうとしたが、電話が繋がらない。そこで、時空を超えた出来事の公式な報告と、ショウの身柄に関する相談を、地方の最高権力者にすべきだと判断した。
テルは、チャンピオンとしての職務を果たすため、ポケモンリーグへと足を運んだ。
リーグの待機室に入ると、そこには四天王のオーバ、キクノ、リョウ、ゴヨウ、そしてシロナが、珍しく全員揃ってテルを待っていた。
シロナ:
「テル、無事に戻ってきたわね。あなたの**『空白の時間』については、ナナカマド博士から極秘裏**に報告を受けているわ。時空の歪みに巻き込まれ、生死不明だったと」
オーバ:
「心配したぜ、チャンピオン! お前がいねえ間、リーグはゴヨウさんのインテリジョークで凍り付いていたんだぜ!」
ゴヨウ:
「オーバ君、私の知的なユーモアが理解できないのは、君の感性が過去のヒスイ時代にでも取り残されているからではないかね?」
シロナは、テルに真剣な眼差しを向けた。
シロナ:
「テル。あなたの長期不在は、シンオウリーグにとって由々しき事態よ。そして、あなたの**『空白の旅』が、時空の修復という世界的な使命**を伴うものだったとしても……」
シロナは、表情を引き締めた。
シロナ:
「シンオウチャンピオンとしての責務を果たすべき時よ。シンオウの平和を取り戻した英雄として、そして現チャンピオンとして、私たちはあなたに提案するわ」
シロナ、四天王一同:
「チャンピオン防衛戦を、直ちに再開しなさい!」
テルは、時空を超えた騒動が終わる間もなく、現代シンオウのチャンピオンとしての重責と、四天王という最強の壁に直面することになった。ショウの現代への適応と、チャンピオン防衛。二つの責任が、未来のシンオウチャンピオンに重くのしかかるのだった。