やまとside
3月20日 海上自衛隊横須賀基地第1埠頭
「出航用ー意。 もやい放て。
「アイ・サー 左舷微速横進。 よおそろ。」
「総員 帽ふれ」
上甲板にて整列した隊員、艦橋の見張り員と一緒に艦橋脇の見張り場から上条も帽子をふる。
やまとは東京湾に入った。
「総員対水上監視を厳と為せ。」
特に何も無くやまとは、浦賀水道に出た。
「艦長 久しぶりにやりませんか。」
「副長か。 そうだな、やるか。」
上条の手には暑いお茶が握られていた。
艦橋脇のウイングで話し合うのだ。
「佐世保まで6日ですか。」
「ああ 途中で由良に寄港する予定だ。」
そして由良では艦艇見学会が開催されることになっている。
上条と長谷川は会話を始めた。
「由良ですか? 2人で若い頃に無茶をして、由良の駐在さんに怒鳴られましたねぇ。」
「そうだったな あの頃が懐かしいよ。」
「そうですねぇ でも戻りたいとは思いませんがねぇ。」
「まったくだ。 はは」
長谷川はそう言って笑った。
上条もつられて笑う。
若い頃の無茶を、笑えると言うことは、それだけ落ち着きが出ていると言うことなのだろう。
やまとは日本列島に沿って太平洋を下って行く。
それから2日後 やまとの姿は由良基地にあった。
やまとside out
某国工作員side
「我が国の野望を阻止してきたあの悪魔に鉄槌を下す時が来た。」
工作員のトップらしき男はそう言った。
場がシーンと静まり返る。
トップらしき男はさらに畳みかけた。
「作戦計画は、由良港に停泊中のやまとに対して要員を送り込み自爆する。
というごくごく単純なものだ。
しかも見学会を開催する為に警備は手薄で1番確率の高いやり方だ、だが問題がある。
その要員の生還できる可能性がかなり低いのだ。
諸君らは、我が国の精鋭足る訓練を受けかなりの予算がかかっている。
要員を失ってまで行うべき作戦なのか、とても悩ましい。」
工作員のトップはそう言って口を閉じる。
その姿を見た部下達は、いきり立った。
「やりましょう。 我らは此処にありという所を見せてやりましょう。」
「「そうだ やろう」」
部下達の心は1つになった。
そうなったことに対して、トップは驚きを隠せないでいる。
最近の彼らは、命を捨てるということを肯定できていなかったからだ。
「では詳しい計画を話そう。 闇に紛れてやまとに接近する。
そして艦内に潜入、潜伏して機械室まで辿り着け。
そこに爆発物を仕掛けて戻るだけだ。
質問はないか?」
「その作戦に投入される人員の数は?」
「多くて2人、一応1人のつもりだ。
だが諸君らにはやってもらわなくてはならないことがたくさんある。
取り敢えず実行役を選ばなくてはな。
誰かやりたいものはおるか?」
静かにその場の全員が手を挙げた。
某国工作員side out