中国潜水艦side
「張兄弟が、両方連絡を絶つとはな。」
そう呟くのは、張兄弟の従兄弟である劉仁であった。
彼は、中校の階級を持ち、636型、改キロ型哨戒潜水艦の一隻である遠征67号の艦長であった。
元々の所属は、
「あの二人が敗れると言うことは、それだけ日本軍が、侮れない敵という事なのだろう。」
しかし、劉仁自体重大なことに気付いていなかった。
これから戦うのは、現代の対艦攻撃用兵器を考えれば、完全なる不沈艦と化したやまとであると言う点である。
核を持ち出さない限り、勝てるという保障は無い。
キロ型といった通常の潜水艦であれば、やまとは、攻撃を吸収して反撃を加える。
その結果は、返り討ちである事は間違いない。
しかも、今回はやまと単艦ではなく、第二護衛隊群及び第5潜水隊の護衛付きである。
攻撃を加えられるかどうかすら怪しい。
「魚雷を全部撃ち込めば、勝てるだろう。」
そう楽観的なことをつぶやいていられるのは、今だけであることを彼らはまだ知らない。
中国潜水艦side out
護衛艦はるさめside
「ソナーをパッシブからアクティブに切り替えよ。」
「しかし、アクティブだと敵潜水艦にも気付かれます。」
ソナー員の反論は、艦長にとっては的外れだった。
「馬鹿が。
水上艦と潜水艦では、騒音が違いすぎる。
パッシブソナーという同じ条件ではどちらの方が有利だ?
あちらさんだろう。
それに、こちらは、やまとよりも敵の潜水艦の気を引かねばならん。」
「哨戒中の
敵潜水艦を確認。
キロ型潜水艦と確認されました。
阻止線まで20km、11ktで接近中。
阻止線には約1時間後に接触します。」
「対潜戦闘。
ヘリには魚雷が積んであるのか?」
艦長は対潜戦闘を指示。
「確認しました、搭載されています。」
「攻撃の指示を出せ。
浮上されると、ヘリにとっては厄介だ。」
「了解。」
それから、数分後。
「攻撃を実行しました。
命中を確認。
艦体破壊音を確認したそうです。」
その報告とともに、
彼らが沈めた潜水艦には、52名の乗員が乗り込んでいて、その人数分の人生があったのだ。
そんな空気はどこ吹く風で、艦長は呟く。
「まずは一杯だな。
まあ気にするな。
こちらが殺らなければ、第二護衛隊群のうちのどれかが殺られていた。
戦争というのは、得てしてそう言うものだ。」
はるさめside out