やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第4話

やまとside

「今日、史上初めて一般公開が行われているやまとに来ています。

現在やまとは海上自衛隊由良基地に停泊しております。

甲板上のみの公開となっていますが、それでもこの船の巨大さが見て取れます。

また甲板に据えられた46cm砲の大きさは、大人が蟻のようにみえる程巨大です。」

テレビのリポーターがマイクを片手に喋っている。

「副長 どうしたんですかね。 今頃一般公開させるなんて」

吉井一尉の言うことは、尤もである。

今の今まで、やまとは一般公開されたことが無い。

理由としては、艦内構造が複雑でコースを区切ったとしても、何処かしこに分岐している場所がある。

その全てに、警備の要員を置く訳にはいかない。

まして、どこぞの悪ガキの考えることは分からない、そんな奴らが艦内を逃げ回れば、捜索を行うのはやまとを管理している海上自衛隊であり、やまと乗組の海上自衛隊隊員達である。

しかも、やまと艦内の構造に詳しい隊員しか、捜索を行えない。

素人が行けば、広大で複雑な艦内構造、またの名をダンジョンがお出迎えをしてくれる。

そして、あえなく二次遭難というオチ付きでである。

事実、ダンジョンというのは、冗談でも誇張な表現でも無い。

過去にも、数例、特に新人の自衛官が遭難している。

彼らは、一日か二日後に決まって衰弱した状態で見つかるのだ。

鍛えた自衛官がそうなのだから、子供が迷い込めば危険なのは明白である。

そうなったら、責任を取らされるのは、海上自衛隊上層部であって、保護監督義務を怠った保護者ではない。

「上の考えることなんて私に分かるわけないじゃないですか。

そうでしょ。 機関長?」

「そうやな 何かあるんやとは思うんやけどさっぱりやわ。」

上は、この時点で何も考えてはいなかったのだ。

テレビのリポーターがこちらに走って来る。

「副長の上条二等海佐がおられました。」

「お呼びやで。」

といって機関長は艦内に消えて行った。

「副長の上条二等海佐ですよね。」

「ええ そうです。」

「取材してもよろしいですか?」

「どうぞ。」

「この船に乗ってどのくらいですか?」

「まだ6日ほどです。人事異動で此処に来ました。」

「こんな時期にですか?」

「ええ。 やまとは佐世保を出港した後、南シナ海に出てASEAN諸国海軍艦隊と米国海軍との多国籍合同演習に参加する予定となっていて、帰投するのが4月17日になるのです。

だから早めに呼ばれたのでしょう。」

「では最後に、どうして海上自衛隊に入隊されたのですか?」

「私もともとが軍事オタクだったんですよ。

それでいろいろ本を呼んでたら、いつの間にかなってたんですよね

人生になんら目標があった訳じゃなく、親に言われて防衛大学校に入ってからですかね。

人生に目標ができたのは、」

「へぇ。 済みませんがその目標というのは何ですか?」

「この国と自分の仲間を守るということでしょうか。」

「なるほど、ありがとうございました。」

やまとside out

 

自衛隊情報保全隊side

海上自衛隊由良基地内事務所。

情報保全隊員達の待機場所に指定されている一室があった。

電話にて連絡を取っていた隊長が戻ってきた。

「我々は警備に参加しなくていいんですか?」

若い隊員が聞いてくる。

「そう焦るな はしょって言うぞ。

奴らが此処で動くとの情報が入った。」

「本当ですか 隊長。」

「ああ、だから我々に待機命令が出ている。

こう言えば分かるな。」

「「了解しました。」」

全員が敬礼をした。

全員が気を引き締めたところで、

「楽しみだなぁ」

海上自衛隊特殊警備隊(SBU)上がりの隊員が、腕を鳴らす。

「コード中国諜報機関(020109) 開設以来噂は聞かなかったが、やっと動き出したようだ。」

隊長が自慢の髭を右手で扱きながら、そう呟いた。

自衛隊情報保全隊side out

 

中国工作員side

「潜入するものの武装は、これしか用意できなかった。」

トップは22口径のデリンジャーピストルを指した。

そして実行役の張上尉に聞いた。

「張同志 済まないなこれでいいか?」

「はっ 故郷の家族に私の栄誉を伝えてください。」

「分かった。 善処しよう。」

「ありがとうございます。」

しかし、トップは家族に知らせるという行為を行うつもりはなかった。

どれだけ情に篤くても、行えばこの工作に中国政府の関与が明らかになる可能性があった。

それは工作が失敗したと同義である。

優秀な工作員を失った対価がそれでは本末転倒である。

(すまない 張同志 私はこうするほかにないのだ。

恨むなら国ではなく私個人にしてくれ。)

心の中でそう唱えた。

中国工作員side out

 

日本政府side

「情報本部長 それは確かなのかね」

銀髪の穏和そうな老人が陸上自衛隊の将官に問いかける。

情報本部長の池田陸将は丁寧に答えた。

「はい。 確かな情報です。

中国諜報機関コード020109が行動に移ったらしく、

現地の公安関係者から不審な日本人や中国人の集団を確認したとの通報がありました。

ですから現在由良基地に待機している情報保全隊に対し、警戒するように伝えました。」

横に控えていた海上自衛隊の将官がしどろもどろになりながらも伝えた。

「また江田島のSBUが由良基地に向け出動しました。

間に合うかは分かりませんが……」

「そうですか。 ふむ。」

少しの間総理大臣直木光宏は黙考する。

「統幕議長 君はどう思う?」

統幕議長の鳥羽空将は即答する。

「中国との戦争を覚悟すべきです。

何の考えもなしに、やまとを沈めにかかるとは思えない。

尖閣諸島か沖縄県を狙ってくるでしょうな。」

これには情報本部長も同意見な様で、しきりに頷いている。

「私の代でこのような事態になるとは正直思わなかったな。」

そう言って総理は苦笑した。

つられて情報本部長と統幕議長も苦笑する。

日本政府side out

 




設定
諜報機関のコード
これは上2桁で国、真ん中2桁で目的を下2桁で確認できた順番を表す。
情報自衛官や公安関係者の共通呼称である。


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