やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第58話

日中休戦交渉side

日中休戦交渉は予備交渉が、北京で行われていた。

これは、本交渉を行う前に、行われる要求とそれをどうにかして緩和するために行われるすり合わせである。

大抵は敗北した側には、過酷な条件が突きつけられることが多い。

しかし、日本政府はそれほど過剰な要求を出していない。

「今回の紛争において、休戦状態に置くにあたっての、我々の要求は次の三つです。

尖閣諸島の領有権の明確化。

南京大虐殺の再調査。

今回の紛争の戦犯に対する訴追。」

しかし、この交渉には、元駐中国日本大使館職員は関与していない。

今、この場にいるのは、中国担当の防衛駐在官である。

総理の外務官僚不要論は、この交渉の場にも及んでいた。

このことを、左翼政党が知ったら、政権のバッシングに使うだろう。

一部新聞なども、自衛隊の暴走だ、文民統制(シビリアン・コントロール)の侵害だ等とこぞって、政権を批判するだろう。

当然、中華民国側も日本の事情を理解している。

つまり、日本の外務官僚の能力の低さを理解しているのだ。

しかも、直木総理の持論は、文民統制(シビリアン・コントロール)はこっちがキチッと手綱を締めていれば、どんな状態であっても機能するである。

だからこそ、こんな重要な予備交渉も、自衛官に任せられるのだ。

「無論、上の二つは当然です。

しかし、下の要求に関しては、我が国独自に行う予定です。」

「そうですか、取り敢えず、上の二つに関して認めていただけるということですか?」

「その通りです。

しかし、最後の条件に関しては、二重の行為となりますので、いかんともしがたい。」

「では、その件に関しては本国に問い合わせてみます。」

「では、またお昼からでよろしいですか?」

「ええ、お願いします。」

控室に戻った防衛駐在官は、秘密受話機能付きの衛星電話を取りだし、本国の外務省ではなく内閣府に直接かける。

これは、この電話を送ってきた防衛省からの厳命であった。

万が一にでも、外交音痴の外務省の横槍が入るのはまずいというのが内閣府、統合幕僚会議と防衛省さらには国家公安委員会・警察庁の統一された見解である。

現場の自衛官、警察官の犠牲の上で勝ち取った勝利を、台なしにされては堪らないのだ。

「どうやら、中国側も対応策を練っていたようですな。」

一通り防衛駐在官の報告を聞き終えた総理はつぶやいた。

この予備交渉の際には、総理大臣より直接、指示がだされるとあってこの防衛駐在官はかなり緊張していた。

「三番目の条件をどうしますか?」

改めて、防衛駐在官が聞く。

「では、取り下げてしまって構いません。

新たな条件を突きつけることもしません。

彼らの方でやってくれるのでしたら、こちらから文句を言う必要はありません。

以上。」

「了解しました。」

「私は、そちらに出向くことはできませんが、頑張ってください。」

「ありがたいお言葉、しかと受け取りました。」

そして、昼からの戦いが始まる。

「本国政府よりの回答では、三番目の要求。

今回の紛争の戦犯に対する訴追でしたね。

それに関しては取り下げても構わないとのことでした。」

「そうですか。

基本的な合意はなりましたね。」

「ええ。」

後日、中華民国側の担当者は周囲に、こう漏らしたという。

「今回の相手が日本と聞いて、楽な仕事だと思ったが。

交渉に出てきたのは、無能な外務官僚ではなく自衛官だった。

第一の誤算はそれだった。

無論、要求の内容も予測できていた。

だから、どこを落としどころにするかも決まっていたのだ。

そして第二の誤算が、その自衛官が交渉巧者(タフ・ネゴシエーター)だったことだ。」

しかし、この外交官も、勘違いをしていた。

交渉巧者(タフ・ネゴシエーター)なのは、自衛官ではなく指示を出していた総理自身である。

この二つの誤算が、中国優位で進むはずだった休戦交渉を、ひっくり返したのだ。

日中休戦交渉side out

 




佐藤五十六よりのお知らせ。
二つくらい前の話で立てたフラグを回収する話を書こうと思うので、投稿が遅くなると思います。
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