やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第61話

海上自衛隊特殊警備隊(SBU)side

訳あって彼らは、米国上空にて待機していた。

正義の鉄拳作戦(オペレーション・フィストオブジャスティス)が発令された。

この軍事行動は日米両国の合意の上に行われる。

なお、目標は米国海軍の保有するセーフハウス。

適宜、周辺に展開している連邦捜査局(FBI)の対テロ部隊員が情報を転送してくれる。

心配することは何一つ無い。」

隊長の訓示が終わった。

しかし、正義の鉄拳作戦(オペレーション・フィストオブジャスティス)は急ぎ立案された無謀な作戦ではある。

入念に準備された作戦ではあっても、失敗する可能性はかなりの可能性となる。

今彼らが乗っているのは、海上自衛隊が保有するC-130Rである。

海上自衛隊特殊警備隊(SBU)第四小隊、陸上自衛隊を除いては公式に空挺レンジャー徽章を獲得した隊員が在籍する唯一の部隊である。

そのうえで、全員が空挺降下課程を修了した精鋭揃いである。

そんな彼らは紛争勃発と同時に厚木基地から米国へと飛んだのだ。

現在の米国では米国全土に非常事態宣言が発令されている。

この事態は、防衛省情報本部と仲の良い連邦捜査局(FBI)が仕組んだことである。

したことというのは、大統領に対し連邦捜査局(FBI)長官が、海軍作戦部長の行方が不明となっていること、それについて海軍に陰謀ありと報告しただけである。

その結果、大統領は陸空軍に対し、出動を要請した。

本土にちょうど待機していた陸軍の各部隊、第1機甲師団、第1騎兵師団、第1歩兵師団、第4歩兵師団、第3ストライカー騎兵連隊、第3歩兵師団、第10山岳師団、第82空挺師団、第101空挺師団のすべてに出動が命ぜられ、その一部は既にワシントン.D.Cに到着しているという。

また、空軍特殊作戦コマンドも非常待機している。

これは、命令あり次第すぐにワシントン.D.Cに入る予定の予備部隊である。

「こちら、機長。

進入コースに入った。

降下(エアボーン)ポイント、ゴー、ゴー。」

機長の声がすると、間髪入れずに隊員が飛び出していく。

今回採用された降下方法は、高高度降下高高度開傘と呼ばれているもので、米軍内では英語の頭文字を取って"HAHO(ヘイホー)"と呼称されている。

この降下方法は目標以外からの抵抗の有無、また指定されたポイントに的確な降下が求められることなどから検討された。

最後に全員が飛び降りたことを確認した隊長が飛び出した。

高度10000mから隊員達は降下して、間隔を開けて落下傘を開くのである。

その高度は大体9900m前後。

前方を見ると、18個の落下傘の花が咲いていた。

隊員には、個別に降下地点が指定されている。

その様子をコックピットから見た機長は、つぶやいた。

「グッドラック。」

この言葉は小隊長には届かない。

地表に到達した隊長は、散らばって降下した隊員達に連絡を取る。

南アフリカで開発された変幻無線機である。

これは、数分おきに交信する周波数が切り替わるスグレモノである。

「アルファ・ワンより各員、全員無事か?」

「ブラボーチーム、無事です。」

「チャーリーチーム、同じく無事です。」

「デルタチーム、無事です。」

「エコーチーム、無事です。」

「フォックストロットチーム、無事です。」

「ゴルフチーム、無事です。」

「ホテルチーム、無事です。」

「インディアチーム、無事です。」

「了解。

各員は行動を開始せよ。

以上。」

今回の小隊の編成はいびつである。

なぜなら、二人班(ツーマン・セル)が8個、三人班(スリーマン・セル)が1個という塩梅だからだ。

通常は、さらに二人班(ツーマン・セル)を組み合わせて四人班(フォーマン・セル)を組むのである。

連絡を切ったあと、アルファチームも移動を開始する。

草原の上をカモフラージュ・ネットを被った状態で匍匐前進する。

ある地点で動きを止める。

「通信拠点を確認しました。

警備はいますね。

完全武装の四人です。」

双眼鏡を覗き込んで偵察を行っていた隊員が報告する。

「ほぉー。

野戦用の移動通信システムだな。

我が海自では採用していないが、米国海軍では採用していたのか?」

.「そんなことは無いと思いますが、というか民間で売買されているものでしょう。

傭兵とか民間軍事会社が成り立つ社会ですからね。」

「そうだろうな。

周りに立つ人間の練度は低い。」

「確かに、ありゃあ街のゴロツキですよ。

どちらにしても、海兵隊(マリーン)海軍特殊部隊(ネイウ゛ィーシールズ)でなくて良かったですよ。

彼らと殺り合ったら、こっちも被害続出ですからね。」

しみじみした様子で言うのは、先任下士官の海曹長である。

「命令に従い、あれを破壊する。」

「ではこれで、やりましょう。」

曹長が差し出したのは、手榴弾である。

なにせ、屋敷内に突入したら最後、この手の殺傷性の高い手榴弾を使う機会は無い。

ここで使っておいても、問題は無い。

しかも今、爆薬は最低限しか持っていない。

そのことを考えると、手榴弾で破壊しても特に問題は無い。

隊長が指でまさしく字の通り、指示を出す。

距離が近くなったところで再び指示を出す。

今度は、スリーカウントを取りはじめる。

ゴーとばかりに手を振り下ろす。

スタングレネードを取りだし、四人のところへ投げ込む。

閃光と轟音が四人を襲う。

屋内で使用することを前提として開発されているが、屋外で使用しても特に問題は無かった。

三人を射殺して、一人を気絶させる。

そのまま縛り上げると、野戦用の移動通信システムに手榴弾を仕掛けていく。

その縛ったロープを手榴弾の安全ピンにくくりつけておく。

あとは、動こうとして安全ピンを抜いてくれるだけで、仕事は終わりだ。

あとは遠くからたたき起こすだけで十分である。

無論、この仕掛けは相手がド素人だからこそ出来るのである。

十分に距離を置いてから、携行してきた銃を発砲する。

この銃というのが、ヘッケラー&コッホ社製のMP-7A1個人防御火器(PDW)である。

これに装填する、4.6x30mm弾自体に通信システム本体を破壊する威力は無い。

あくまでも、相手をビビらせて逃げさせるために撃つのだ。

事実、起き出した男はそのまま何処かに逃げようとして、安全ピンを抜いてしまった。

轟音とともに男の身体は何処かに吹き飛んでしまった。

後に発見された遺体の一部は、大きくえぐられていた上に内蔵はぐちゃぐちゃであった。

野戦用移動通信システムの完全破壊を確認したアルファチームは屋敷に向け移動を開始する。

そして、屋敷の周りに取り付いた特殊警備隊(SBU)隊員達は、2個隊に分かれる。

「アルファ・ワン。

ファイアー。」

隊長の短い言葉の直後に、爆発の轟音と同時に屋敷のドアが吹き飛ぶ。

「突入。」

隊長の掛け声とともに、隊員が屋敷内に突入する。

いたるところから銃声が怒号が響く。

そのほとんどが次の言葉である。

「JMSDF、JMSDF。

ホールドアップ、リリースユアウェポン。

リピート、ホールドアップ、リリースユアウェポン。」

訳すると、こちらは海上自衛隊だ、武器を捨てて手を挙げろである。

武器を捨て投降した者は殴り倒し、武器を捨てずに抵抗する者には鉛玉がお見舞いされる。

「フォックストロット・ツーよりアルファ・ワンへ。

2階廊下にて海軍作戦部長(ターゲット)を確保しました。

しかし、敵の猛攻を受く。

至急、増援を求む。」

「了解。

至急向かう。」

隊長は警戒を続ける隊員四名を残し、2階に向かった。

「フォックストロット・ツーへ。

そちらを確認した。

援護するこちらに走れ。」

「了解。」

スタングレネードを投げ込み、MP-7A1で弾幕を展開する。

大まかな照準で撃っているのだ。

これで当たる奴はただのウスノロである。

その間に、エコーチーム、フォックストロットチームはこちらに退却する。

勿論、海軍作戦部長も一緒だ。

「アルファチーム、ブラボーチームは制圧に向かう。

デルタチーム、エコーチーム、フォックストロットチームは海軍作戦部長を連れて下に行け。」

反対側からも、デルタチーム、ゴルフチームが援護射撃を加える。

デルタチーム、ゴルフチームの射撃は正確であった。

次々、頭を撃ち抜かれ沈黙する。

そして、近くの部屋から掃討していく。

そして、安全を完全に確認した特殊警備隊(SBU)隊員は外に待機していた連邦捜査局(FBI)対テロ部隊員に海軍作戦部長を引き渡す。

「ずいぶんと派手にやったんですな?」

互いにバラクーダ帽を被ったまま、会話をする。

血まみれの海軍作戦部長の顔を見て、気を使うように尋ねて来る。

「部下によると、ピストルを片手に抵抗したそうです。

ただ、絶対に生きて捕らえよと命ぜられていたので、この程度で済みました。」

「そうですか。

あとは我々に任せて、輸送機が待ってますよ。」

そう言って、連邦捜査局(FBI)対テロ部隊隊長は、アンドリューズ空軍基地の方向を指した。

「お気遣い感謝します。

では、我々はこれにて失礼します。」

特殊警備隊(SBU)隊員達は、米国陸軍の用意した車両に乗り込んで現場を離れた。

海上自衛隊特殊警備隊(SBU)side out

 




特殊警備隊第四小隊、この部隊の設定は捏造です。
ただし特殊警備隊の隊員は空挺降下を訓練しているというのは事実らしいです。
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