やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第67話

やまと乗員side

上条の事前の指示により、やまとの乗員達は沈みゆくやまとから、無事に脱出できた。

脱出した乗員から整列し、所属長から点呼を受けている。

点呼が完了し、各所属長から報告を受けたのは、この場での最上位士官である砲雷長であった。

リストを片手に報告をするのは、無事な各科の最先任士官である。

「砲雷長、負傷者を除く航海科員の姿が見られません。」

「人数は?」

「副長を含む航海科の40人です。」

報告を聞いた砲雷長の顔には、苦渋の色が浮かぶ。

「機関長、救助部隊の編成は可能ですか?」

砲雷長は自らの後ろで聞いていた機関長に聞く。

「無理だな。

今のわたしらじゃ二次災害を引き起こすだけだ。」

疲労の溜まったやまとの乗員達では、救助には足手まといとなる。

機関長はそう言った。

「そうか、やはりそうですよね。」

その時である、上空よりヘリコプターの音が聞こえてきた。

海上自衛隊員であれば、聞き馴染みのあるSH-60Jのものである。

「上空より、SH-60Jが接近しています。」

上空を見ていた一人が叫ぶ。

「おいっ、野郎共仕事の時間だ。

それに探照灯を持って来い。 」

何処からか通信長が飛びだし、部下達に檄を飛ばす。

「了解。」

通信科自体は船務科に含まれる小規模な部署である。

つまり、航海科以上に人が少ないということである。

通信長の意図を理解した砲雷長は全員にその準備を進めさせる。

「他の探照灯はやまとの艦橋を照らせ。

ボサッとするな。

急げ。」

怪我もしていない乗員達は、佐世保地方総監部の隊員に混じって作業を進めていく。

「通信文はこれでいいな。

通信長、これを送ってくれ。」

砲雷長は手元のメモを取り上げ、通信長に手渡した。

「了解。

すぐに送ります。」

駆け戻った通信長は、部下とともに探照灯を上空へと向けた。

「コ・チ・ラ・ハ・ヤ・マ・ト

ヤ・マ・ト・カ・ン・ナ・イ・ニ・ヨ・ウ・キ・ュ・ウ・ジ・ョ・シ・ャ・ア・リ

バ・シ・ョ・ハ・カ・ン・キ・ョ・ウ

ニ・ン・ズ・ウ・ハ・ヨ・ン・ジ・ュ・ウ・ニ・ン

ク・リ・カ・エ・ス

ヤ・マ・ト・カ・ン・ナ・イ・ニ・ヨ・ウ・キ・ュ・ウ・ジ・ョ・シ・ャ・ア・リ

バ・シ・ョ・ハ・カ・ン・キ・ョ・ウ

ニ・ン・ズ・ウ・ハ・ヨ・ン・ジ・ュ・ウ・ニ・ン 」

上空のSH-60Jもこちらの言わんとしていることが分かったようだ。

艦橋上空を旋回している。

ホバリングではない、あくまでも旋回である。

何故旋回なのかと聞かれると、ヘリコプターの燃費の問題だと答えるほかない。

地球では常に重力が発生している。

ホバリング中のヘリコプターはその重力に負けないだけの出力で飛んでいると言うことである。

これでも分かりにくい人は、ボールを思い浮かべてほしい。

ボールは投げれば緩やかな曲線を描いて進むが、手に持った状態からそのまま手から放すと真下に落下するだけである。

ヘリコプターは、この真下に落ちようとする力に真正面から力で飛んでいるためにホバリング中の燃費が悪くなるのである。

「あっ、ホバリングを始めました。

隊員を降下させるつもりです。」

最初の一機が乗せられるだけの人員を救助すると、続々とSH-60J/Kが群がりはじめる。

そして、七機目のSH-60が40人目を引き上げはじめた。

「副長に敬礼。」

おそらく上条だと当たりを付けた砲雷長が全員に告げる。

やまとの乗員、佐世保地方総監部の隊員は砲雷長に従い敬礼した。

「無事に帰ってきてください。」

それが全員の思いだった。

やまと乗員side out

 

日本政府side

「こことここにサインしていただくだけで、日中和平協定は発効いたします。」

中華民国外交部長に外務大臣が示したのは、予備交渉の合意書をベースに公文書として使用するものである。

外交部長は慣れた手つきで、サインを入れていく。

「日中関係の新たな一歩となるのですね。」

「その通りです。

後、我が国の防衛省から日中安全保障協定を締結したいとの意見をいただきました。

これについての貴国の意見を聞きたいのですが?」

「内容にもよりますが、前向きに検討したいと思います。

内容はどのようなことをお考えですか?」

「二国間における防衛協力協定とお考えください。

もし、貴国が他国との間にて戦争に巻き込まれた場合、我が国は直接間接問わず貴国を支援致しましょう。」

「我が方からしかけた戦争であった場合はどうなるのでしょう?」

「状況と場合にも異なりますが、基本的には遵守します。」

「それならば、前向きに検討しましょう。

しかし、これを結んであなた方、日本には何のメリットがあるのですか?」

「未来のためですよ。

近い将来、再び東アジアで火が燃え上がるでしょう。

その被害を抑えるためにも、中国政府には我が陣営にいてもらわなくてはいけません。

戦争というのは、たちの悪い生き物でしてな。

一時の敵意が百年、二百年の努力を無駄にする。

だから、世界には偽善が満ちているのですよ。」

一時の友好など大国の外交官にして見れば大笑いの元である。

しかし、無駄とわかっていても、努力を怠ることはできない。

その国との関係の悪化=その国の国民感情の悪化である。

国との関係が悪化しても、国民感情がこちらを険しい目で見ることが無ければ、戦争まで進むことはありえないのだ。

「我々も備えなければいけないのですね。

これからは互いの装備更新の状況について、査察団を派遣しあいましょう。」

「それは、いいアイデアですね。

至急本国に持ち帰り、検討したいと思います。」

結果、後日日中外交安全保障の担当者が集まり、会議が行われた。

その場にて、日中安全保障協定は締結された。

ある種の歴史的な瞬間であった。

日本政府side out

 

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