必殺技なしでイナズマイレブン??できらぁぁ!!!!!   作:きりきり舞い

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第1話 世界への挑戦!!

今、スタジアム会場は熱気、熱狂に包まれていた。

晴天に恵まれ、絶好の試合日和だろう

 

俺たち日本人は完全にアウェイだったが、サポーター達は遠路遥々俺たち日本代表を周りの敵サポーターに負けないぐらいの大きな声で応援してくれていた。

 

席は満席、それだけ今回の試合に対する注目度も高いのだろう。

特徴的な青のカラーのウェアに刻まれ、背負った日の丸の重さを今更ながらに実感する。

 

 

サッカー界でもっと権威と規模を誇る最高の舞台サッカーFIFAワールドカップ

俺たち日本はワールドカップ出場をきめて、いまついにその夢へと臨もうとしていた

 

これは俺にとってとてもとても遠かった夢想の舞台だった。

 

ーー

俺は生まれつき肺に欠陥を抱えていた。

呼吸器系の疾患は身体のパフォーマンス全てに関わる。

少し動くだけでも息が上がり、肺に負担をけると痛みで動けなくなる

本来ならスポーツなんてできるものじゃなかった。やるとしても繰り返しの手術や厳しいリハビリを繰り返しだ。

体への負担は大いにある。

そして治る保証なんてどこにもない。

お袋も泣いていた。元気に産んであげることができなくてごめんねと

サッカー選手だった親父も俺に気を遣ってスポーツなんて勧めようとはしなかった

 

そんな俺だったが、俺はサッカーに惹かれてしまったんだ

 

現役の親父のサッカーで活躍する姿は輝いていたんだ。

親父の身長はそれほどなかったがそれでも海外の選手に当たり負けないボディバランス、精密なコントロールのパスによるアシスト

自陣営での安定した立て直しによるカウンターなど、間違いなく親父はチームの柱だった。

親父もつい最近の40代手前までDFやってたんだからその凄さは折り紙つきだ。

誰もが親父のプレイに魅了されていたと思う

俺も親父のプレイは大好きだった。

 

あと俺もガキだった。俺の小学生の頃にはイナズマイレブンが大人気でサッカーが好きだったが故に繰り広げられる熱いシナリオ、馬鹿馬鹿しいけどかっこいい必殺技等、俺のサッカーのモチベーションに大いに掻き立てていた。

染岡や一之瀬なんかはお気に入りと言ってもいいだろう。

一之瀬は病を患っていても試合に出たいという熱い意志や復活してくる不屈さ

染岡はチーム内でもストライカーの2番手であっても腐らずに、食らいつき、口は悪いがチーム内の精神的支柱となったり、努力しつづけた結果としてプロサッカー選手になる男気など

所詮ゲームやアニメの設定とはいえ、それは大いに俺の心に刻まれた

 

 

そして、

 

「俺も父ちゃんみたいにサッカー選手になりたい!!!」

 

最初の一言にそこまでの覚悟はなかったかもしれない。だけど、俺のオリジンはまさしくこれであり、この後決して燃え尽きることもなかったんだ。

 

その時お袋や親父はお前の道は茨の道であり、大変だと言ってくれたけど、強くは止めはしなかった。

あの人らは、俺の夢を否定しないで見守る選択をしてくれたのだ。

 

お袋と親父には迷惑をかけることになったが、

親父の紹介で専門医と相談したり、お袋は栄養バランスを考え抜いた食事や体の細かいケアなどをしてくれて小学校、中学校、高校、大学とずっとサッカーと向き合い続けることができ、走り抜けることができたんだ。

 

いつか、サッカーの結果を出して、親を安心させてやりたい。そして恩返ししたいとそう思えた。

 

勿論上手くなるまでの過程はきついなんてものじゃない。俺は誰よりも持久力で圧倒的に劣っていた。肺機能が弱いというのはそれだけでハンデだ。

それを効率よく鍛えることができる高山トレーニングなんて心肺への負担の大きさから出来やしないから尚更だ。

 

持久力で劣るのは走って止まってを繰り返す90分もの試合時間のサッカーでは致命的といってもいい。出来ないことは出来ないものと割り切るしかなかった。

だから日本中にいる、いや世界中にいる選手に圧倒して勝てるほどの技術力が必要だった。

 

そして俺には持久力以外でのセンスがあった。

それが幸いだった。親父のおかげかもしれない。

持久力がないなら限られた時間で結果を出せるプレイをしなければならない。

 

それを実現するために、世界的プレイヤーの親父とのマンツーマンによるタイマン指導、ドリブルの捌きの技術や、正確なトラップやパス等の基礎的なコントロール技術などの身体的ステップアップと、他の世界的プレイヤーの動きの研究、座学による戦術といった理解的ステップアップの2軸を中心にした。

 

短時間でいかに効率的な動きをできるかを体と脳に叩き込む。

日常会話で脳みそなんて使わない。それと同じだ。反射で、本能のままに効率を求められるようにする。

 

俺の持久力はとても低い水準で限界がある。このハンデを覆さなければ代表になんてなれないし、世界とも渡り合えない。

俺の20年はこれを研ぎ澄ますことに注力しつづけた。

 

「………っ!!」

 

見える。

そんな感覚になったのは高校サッカーの頃だ

コースを塞ぐかのように迫ってくる敵のディフェンスの抜け道

どのようにすれば切り抜けられるか、体が見た瞬間に勝手に動く

 

「っな」

「嘘やろ…あいつ、追いつけへん!」

 

【後半途中出場した、間持君、ボールを保持したまま2人、3人目と抜いていきます!!完全にフリー!!キーパーと1対1!!】

 

 

そして…俺は、俺は今はこの世界のピッチに立っている

数多いる強豪の日本人サッカー選手のライバル達を蹴落とし栄光の代表の座を手に入れた

 

「おい、間持!体のアップは済んでるな?」

聞こえてくるのは監督の交代の合図だ。

ついにこの時が来た。

試合は後半残り10分ほど

点数ボードは未だに0vs0

なんだこれ。俺のためのドラマが用意されてるかのようじゃないか

 

「残り10分だ。残り時間も少ないお前が出せる最高のパフォーマンスでいけ。敵さんの右サイドバックも右サイドハーフもこの時間のお前を止められる奴はいない。チャンスを作ってこい」

 

「はい!」

 

ボールが外に出て、交代するのはここまで格上相手にピッチに立ち続け、敵のサイドからの猛攻を凌ぎきって体力を削ってくれた高校時代から共に鎬を削ってきた優秀な友人だ。

 

 

「さすがに遅いんじゃねえか?秘密兵器。あとは流石に疲れたから頼むぞ。勝ってうまい焼肉食おうや天翔」

 

「いま、脂質抑えてんだよ。まぁいいや。じゃ、10分で1点入れてくるわー」

 

バトンタッチだ。

間持天翔、俺の、試合がいまから始まるんだ

試合は膠着状態、流れを変えるのは俺だ。

取れるセカンドボールは譲らない!それは絶対だ

最適な体勢でキープしろ

最速で抜き去れ!

 

「抜かせてもらうぞ…ッ!」

 

『シッッッ!!ノア、イーサン!!』

 

 

【おっとここでこぼれ球、日本キープしたいところだが、!!素早く間持が反応。セカンドボールを拾って切り込んでいく。マーティンのプレスも速いが、おっとここで前にさらにボールを蹴り出して捕まる前に強引に突破してボールに追いついたぞ!間持速い速い!!!だがここで間持に2枚、ノア、イーサンのチェックが速い。】

 

「天翔!ボール回せ!前前!!」

 

「いや…持って行く…!」

 

「はぁ!?お前、まぁいい」

 

他は間に合わん。残り3人同じように抜く、それだけでいい。そうそれだけでいい。

ボールタッチは最小、フェイントも最小、かける時間は最短、最適の動きが取れ

障害がなくなった先の展開まで見える

 

『コイツッ…!!』

 

『速すぎる!』

 

 

残り1人!

ここは絶対にものにする 

 

 

【抜いた抜いた!!!二人のプレッシャーを諸共しない!!!間持以前ボールキープで敵のペナルティエリア内へと左足で切り込んでいく!相手DFルシェが速い反応!もその裏にマークを外れた東野も中に入ってきているぞ!】

 

そうここだ。パスは最速、DFの裏に走り込んでくるのは東野さん

 

「東野さん!!!」

 

『しまっ!!』

 

東野さんには先行してもらった甲斐があった。

あの人も俺が持って行けると確信をしていた。

その信頼に応えなければ俺はここに立っている意味がない。

 

パスルートも完全に…見えた!!ここしかない

決めてくれよ!東野さん!!

 

「ナイスパスだ!!!!!!!天翔!」

 

東野さんの足元ドンピシャ、これならあの人は外さない。

 

【東野に完璧なパスが通って!!!!!ゴール!!!!決まったぁぁぁぁぁあ!!!!!!!残り3分!!日本ここにきて先制点を取りました!!!!交代早々に間持天翔が完全に流れを手繰り寄せました!!!!】

 

得点板に1-0

あとは、徹底してセカンドボールを取り、守り抜くだけだこのチームなら余裕だろう。

 

ついに俺は最高の舞台で最高のプレイを披露できる。これから始まるんだ俺の…夢、俺のサッカーは!

 

そう思っていたんだ。

俺の持病は俺をそれ以上を…許してはくれなかった。

 

俺は次戦に備えていたとき、急激に持病が悪化した。

元々ドクターストップがいつかかるかもわからなかったが…手術だってやって…ここ数年は落ち着いていたはずだったんだ

 

 

結果として俺は選手として途中離脱を余儀なくされた。俺は所詮欠陥品止まりだった。

 

最悪だ。よりによって癌を併発していたなんて

 

緊急入院して俺は…サッカー自体を続けられなくなった。

闘病生活に俺の気力、体力を奪われていった。

転移していた癌をもはやどうすることもできず、俺の夢は終わったんだ。

 

辛かった。苦しかった。悲しかった。

サッカーを諦めきれなかった。

 

 

結局親父とお袋に恩返しもできずに、先に死ぬ?ふざけるなよ…親不孝にもほどがある

ありえない…ありえないだろマジで…

 

俺は徐々に意識を手放していった




イナズマイレブンが入ってないやん!!
次話からになります。
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