必殺技なしでイナズマイレブン??できらぁぁ!!!!! 作:きりきり舞い
白恋中学校の今日の授業は終わり、各々帰り支度をしていた。
新学期だからか、みんなどこかそわそわしている。
小学生の頃からのクラスメイトも多くいるし、正直あんまり変わり映えはしなかった。
「ふーぶきくーん!!一緒に帰ろ!!」
「帰りに最近できた駅前のスイーツ屋さん行かない?」
「あははまた、今度ね。今日は僕も大事な用事があるからまた次の機会があったらご相伴に預からせてもらうよ。じゃあね!」
「ちぇー残念。またね吹雪くん!!」
女の子のお誘い断るのも申し訳ないけど、今日は外せないのだ。
何せ今日の放課後にちょうど1年ぶりに帰ってくるんだから僕の親友であり、僕の、僕たち家族の恩人の彼がイタリア長期留学から
もう新学期始まっちゃってるけど、彼大丈夫かな。いろいろと
「遅いぜ兄貴。何してんだよ。天翔の母ちゃんが空港連れて行ってくれんだからトロトロするなよ」
「わかってるさ。だから女の子の約束を断ってきたんじゃないか。じゃあ行こうか」
天翔君のお母さんが校門で車を止めて待ってるらしいからすぐに向かった。
ーー
天翔くん。彼との出会いは幼稚園だった。
最初はサッカーボール持っていきなり泣き出した子でびっくりしたんだよね。
サッカーボール持ってたし、サッカーが好きなら友達になれるかなって話しかけたら、サッカーが僕と同じく大好きで、ぼくよりも凄い上手かった子だった。
ドリブル対決では同い年だったのに彼に全く敵わなかった。ボールを初めて取れたとき彼はびっくりしていたけど、すぐ取り返して振り出しに戻されたんだ
あれ以来ついこないだまで、彼からボールは取れていない。
彼から一緒に強くなろうと言われて、もっと強くなれると太鼓判を押された時、なぜか自然と受け入れられたんだお世辞にも、嫌味にも感じなかった不思議な子だった。どこか大人びていたのかもしれない僕は兄だけど、彼が僕にとっての兄のように見えてたのかもしれない。
それから彼とはよくサッカーをしたり、家に招いて、アツヤとも一緒にサッカーをしたりもした
「いくぜ!天翔、今日こそお前抜かしてやるからな!!」
「二人同時に来てもらっても構わないぜ」
「!!っ言ったな!!兄ちゃん、こいつにそろそろギャフンと言わせようぜ」
「そうだね。僕たちを侮ったこと後悔させてあげる」
アツヤも僕も何度も彼とドリブル対決はやってきたけど、彼を抜ける気がしなかったし、彼がボールを持ったらまるで取れる気がしなかった。
まるでボールが彼の足に張り付いてるかのようだったな。
どうしてそんなに強いのかと聞いたことはあったけど
「ちょっとしたズル。あと俺が天才だからさ。でも、やったことは基礎をひたすら固めだ。本当にそれだけだよ」
とよくわからなかったけど、その基礎固めというのは実際に本当なんだろう。
彼は地元だとちょっとした有名人だ。
彼は毎日のように幼稚園、小学校の後に熱心に走り込みをしていていたらしい。体に重りをつけて階段を上り下りをダッシュで何本もやったり、重りを体に巻きつけた上でさらにタイヤ引きながらドリブル練習に入ってるなんて練習してたらそりゃ目立つ。
キーパーならタイヤをぶん投げて受け止める練習をするなんて言ってたかな。
アツヤと僕も彼に習ってやろうとしたけど流石に最初は負荷が大きすぎてついていけなかったな。
「はぁ…天翔、あいつ…おかしいよ…」
「はぁ…はぁ…天翔くんが強いのは納得かな…」
「今日の負荷は軽めにしてるし、次行くぞ次ー」
そんな3人でサッカーを続けながら、僕たち3人は小学生に上がったら、地域の強豪ジュニアのクラブに全員で同じクラブに所属することになった
もちろん天翔くんは、その中でも抜きんでいたのは変わらない。
小学生1年生なのに、小学6年生相手に引けを取らないどころか、余裕で勝ってしまうんだからその強すぎると言っていいだろうね
僕とアツヤも彼についていこうとしたおかげか、チームでも上級生に引けをとってない
結果としてレギュラー入りしている。
彼はボランチの位置で相手からすぐにボールを奪えば、そのまま、1VS1ならドリブルだけで全員抜き去って完璧なコースにシュートを叩き込んで一点をもぎ取ってしまう
故に知られた相手なら、僕たちチームの中で最も警戒されるプレイヤーだった。
彼1人に相手が3人がかりでマークをつけに行くなんてこともあった
でも彼は相手プレイヤーからの強烈なプレッシャーを受けているのに、ボールを軽々キープし続け、相手をドリブルでゆさぶりをかける。そのうえで彼はフィールドを上から見ているのかと錯覚するぐらいには広くフィールドが見えている。
「上がれ!士郎!預利!!」
別に僕もゴールを決められない訳ではない。
前の試合でも僕がゴールに関わっているのは見せているから相手も警戒せざる得ない。
タイミングよくラインを一斉にあげて、マーク外だった僕たちが出る
釣られないわけもなく、意識が向いてしまう。
ボールを一旦ぼくに預け、彼は3人のマークを振り切って外へ
ぼくにヘイトが向いたら、阿賀くんにパスをして
阿賀くんがうまくマークを撒いた天翔くんにちょっとパスミスをした山なりのボールを出し、天翔くんは完璧なヒールトラップで受け取り、駆け出す。
勿論天翔くんが警戒対象なのは変わらない相手チームは一斉に天翔くんの周りを取り囲もうとしていた
「アツヤ!!いまだ飛び出せ!」
そしてアツヤに対するマークが緩んだ隙を見逃してない天翔くんは、敵プレッシャーが迫る最中、正確な指示タイミングと同時にアツヤの動き出しに合わせた正確なパスを蹴り出した。
それは、正確にボールはアツヤの足元に収まり、アツヤはそのままゴールを決め切る。
「やりぃ!!」
「ナイスゴールだ。アツヤ。士郎も預利もナイス撹乱」
「なんで、天翔はあのパス出せるんだよ」
「俺が天才だからだ」
「あはは」
自信家すぎるぐらいだけどそれに実力が伴いすぎてるからなにも言えないよね。
今日のジュニアユースの試合も12-0の圧勝で終わった。
彼はこのジュニアユースの試合があるとき少し変わったルーティンがある。
ジュニアユースの試合が終わった後は僕の母さんと父さんに決まって言うんだ彼は
「今日、北ヶ峰方面から車で帰るならちょっと20分ぐらい待ってください。雪崩の危険がある」
ってね。
だいぶ不吉な予告であり、彼は本当に未来が見えていたのかもしれない。
これは何度も繰り返したことであり、試合があるたびにこれなんだ
母さんと父さんも最初は訝しんではいたけど、彼は常に真剣に伝えていたことはわかっていた。それもあって、実際に帰り道で通る時は20分待っていたんだ。
その間、天翔くんと母さん父さん、僕たち二人の5人で今日の試合の振り返りをしてから帰るっていうルーティンになった。
そして彼が言っていたその日は来たんだ。
雪崩だ。
ぼくたちが天翔くんと別れ、車を走らせていると、北ヶ峰で大規模な雪崩が発生した後の現場に到着したんだ。
ぼくたちも現場を改めて見てその規模の大きさに慄いた。
道路は流石に通行止めで、今日は帰れない。
後にニュースで巻き込まれた人はいないことが確認されて死傷者が出なくて済んだのだった。
「僕たち…彼に助けられたな。」
「ええ…もし20分前に通ってたら…」
父さんも母さんも顔面蒼白だった。ぼくたちも危機一髪だったことを悟ったのだった。
そして彼は恩人になった
その後、次に会った時に事の顛末を伝えたら
「よかった。雪崩に巻き込まれなくて本当に…よかったな」
と僕たちの無事を喜んでくれたのだった。
「さてと、湿っぽい話題はもう終わりだ。…こっからだ。大会にお前らが出られないなんてあり得ない。俺たちでジュニアで俺たちは。」
「もちろん。優勝だよね」
「あぁ。優勝すら通過点に過ぎない。俺たちはもっと強くなれる」
そして僕たちは
「は、は、は、僕たちが…負ける?…こんな大差で…!ダメだ…ここは玄武に繋いで1点を…!」
「ここから先は通せないかな。来なよ。君にぼくを抜けるかな」
彼らはジュニア優勝候補。今年1番注目されていたクラブだった
「舐めるなよ!!【バーニングサマー】を喰らわせて…!」
挑発されても、なんとかDFラインを突破しようと必殺技で突っ込んで来ようとしている。
司令塔の青龍君だっけ?さすがと言いたいけど
「遅いね。いくよ…っふっ!【アイスグランド】」
体の回転に冷気を纏い、地面に一気に流し込む。
この氷結の速度からは逃れる術はない
ぼくが完成させた最初の必殺技
君の必殺技を発動させる隙は与えないよ
「なっ…!」
アイスグランドによって動きを完全に封じ、ボールをぼくが奪取した。
じゃあ、この試合を決めようか
「天翔君!」
彼にボールが渡った。
「「「っ!!通さねえ!!【ノーエスケープ】!!!」」」
四天王の一人DFの朱雀君を中心にした、3人の連携必殺技かぁーいいなぁぼくたちもやりたいよ。
相手の【ノーエスケープ】を発動を見て、即座にノールックで天翔くんは阿賀君にバックパス
「な、はや…!」
阿賀君も見事に反応して、そのボールを即座に秋山ちゃんへ
この高速パスも一連で練習したものだ。
MF陣による三角パス
最後に天翔君にボールが戻り、ペナルティエリア内へ
「ナイスパスだ。預利、海里!!決めろ。アツヤ!!」
完璧なセンタリングがアツヤに上がる
「よっしゃぁ!俺が、決めてやるぜ!!ええぁや!!」
アツヤのダイレクトオーバーヘッドシュートが相手のゴールに飛ぶ
「これ以上は…点は…!入れさせねえ!!【爆裂パンチ】!!!」
キーパーの白虎君もやはり四天王と言われるだけあってあのオーバーヘッドに反応して必殺技を合わせきったのは流石だね。
でも
弾かれたボールの先にもうすでに彼はいた
「アツヤ悪いな。今回は俺の点だ!!」
「あっ…!!」
彼の押し込みダイレクトシュートはゴールに突き刺さり、得点
ゲームも5-0で僕たちの優勝が決まったのだった。
ーーー
表彰を受けてから会場で一旦解散した僕達は父さん達が車を取りに行ってる間、勝利の余韻に浸っていた。
「あーあ!俺のハットトリック返せよ!天翔」
「決めきれなかったのが悪い。」
「アツヤが最後の最後に【エターナルブリザード】しなかったからね。」
「位置的に打ちづらかったんだよ。あとあの場面だと俺のオーバーヘッドキックの方がカッコよかっただろうが」
「点が入らないなら意味ないよアツヤ。あ、そうだジュニア優勝したんだし、チーム全員と祝勝会しようよ。父さんたちもいいとこ連れて行ってくれるって」
あとでチームみんなで集合する手筈になってるらしい。
それなりに大きな会場で食事会になったらしい。
いいよね。チームでの集まりもあんまりなかったから新鮮で楽しみなんだ
「おーいいじゃないか。と、ジュニアも優勝したことだし、お前らに伝えなきゃいけないことがあるんだが…」
「なんだよ。パーティより大事なことなのか?天翔」
だけどそんなことも吹き飛ぶような発言が飛び出したんだ。
「あぁ。俺来年からイタリア行くんだよ。1年間」
「「えぇ!!聞いてないぞ」よそんなこと」
あまりに唐突なイタリア留学の話だった。
「来年のジュニアがラストだったけど、今回の優勝で決心したよ。今のままやっても俺はいずれ必殺技の前に叩き潰されるってな。」
「よくわからないだけど…」
天翔君の動きに特に違和感はなかった。ぼくとタイマンをした時に隠し持っていたアイスグランドを初見で避け切って、さらに今回の相手DFのノーエスケープだって事前に練習していた高速パスでかわしていた。
「俺は無意識に必殺技を恐れている。正面からぶつかることがセオリーじゃないのはわかっている。だが正面から打ち破るフィジカルと度胸がなければ、小手先の技術じゃ通用しなくなることも確かなんだ。」
「それは日本じゃ難しいことなの?」
「あぁ。別に日本でもダーティプレイがないわけではないが、サッカー大国連中どもの差別的プレイの陰湿さほどではないからな。全てに自分が不利な笛が吹かれる。そういった感覚を味わっておきたいのもある。」
確かに日本のプロサッカー選手が海外にて差別的な扱いを受けることもあるのは言われていることだけど
「そして単純に今の日本より遥かにレベルが高いと言われてる故に必殺技の完成度含めてかなりの高水準だと言われている。それに当たり負けない根性も鍛えるチャンスだ。いずれ俺がこれを乗り越えられなければ勝てないと親父からも言われていることだし、士郎、アツヤにもいずれ技術面だけでは俺が足手纏いになっていくだけだと今日の試合でも実感したよ」
だから彼は親に相談して、元から1年のサッカー留学を視野に入れていたのだという。
彼はあれだけのプレイをしながら満足なんてまるでしていなかったんだ。天翔君らしいと思った。
彼が確信しているということはおそらく本当にそうなるのだろうし、意志も固いのだろう
「なら、天翔君を応援するしかないね。中学の頃には戻ってくるんでしょ?白恋中に来なよその時はまた…」
「あぁ、サッカーしようぜ。」
「なんだよ…兄貴まで…。…いいぜ。ま、お前がいなくても俺たちだけで次のジュニアも勝つし?お前がいなくても変わらないってところを見せてやるよ」
「あぁ、イタリアから帰って来て会う時が楽しみにしている」
「僕たちも君に負けないぐらい強くなるよ。みんなで強くなるんだから」
そして彼は、イタリアへと旅立って行った
彼は僕たちにも勝てないといっていた。それはそれだけの期待をしているということだ。その期待に恥じないように僕たちももっと強くならないといけないとそう思えたんだ。
話が進んでないやん!?許して…
次話から中学編に進みます
そりゃ必殺技痛そうだしビビるわよ。殺人シュート受け止めないとボロクソに評価されがちな超次元サッカーのキーパーには同情します