必殺技なしでイナズマイレブン??できらぁぁ!!!!! 作:きりきり舞い
間持天翔。
突如ジュニアにて才覚を十二分に見せつけた不気味な子供。
チームメイトに吹雪士郎、吹雪アツヤがいる中でも見劣りしないどころか遥かに上回っていたと言えるものだった。
あれは完成している。
あの子供の父親、間持天智は現役でも優れたサッカー選手として有名だが、あの子供の技術に父親の血を全くと言って感じなかったのは異質と言えた。
素早く繊細なタッチに、針の穴を通すかのような的確なパス、ボールが体に吸い付くかのような完璧なトラップやドリブル、盤上を操る優れた戦術眼、あの年齢にして中学生に劣らない強靭なフィジカル
あれが11歳の子供には到底思えない完成度だった。
あのプレイはどこ一つ似ている部分などなかったが…影山東吾を彷彿とさせた強さを感じさせたのだ。
あぁだが、しかしあれはダメだ。神は二物を与えなかったようだ。
あれは必殺技を使用できない欠陥品だ。見ればわかる。
それ故にすぐに通用しなくなり、これ以上伸びることはないだろう。全く残念…残念…?なぜ残念に思うことがあるのか。
帝国のこれから警戒に値するのは吹雪士郎、吹雪アツヤの二人だ。
いずれ潰す。そうそれでいいのだ。
そんな時だあの子供と出会ったのは
3年前。イタリア、ナポリにてのことだった。
私はガルシルド・ベイハンの指示の下、彼の政敵に当たる人物の始末に動いていた。
ガルシルドの直属の傭兵共は別の任務に駆り出さているため手を貸せないときた。
全く気の乗らない。サッカーへの復讐にもならない無駄な仕事を任せてくれたものだ。
忠誠心でも試すつもりかね。あのお方は
どうやら、哀れな政敵はガルシルドの弱みを握り、伝手を頼り情報をイタリアへそこからイギリスへと亡命を図るようだがよくやることだ。こんなことをしたところで奴の追手からは逃げられない。現に今日イタリアまで出向いた私と金で雇ったごろつき共の手によって直々に葬られるのだ。事故に見せかけてそのままお陀仏だ
【ターゲット裏路地に入りました。】
【ご苦労。手筈通り終わらせる】
工事現場には事故がつきものだ
例えば、そう鉄骨が落ちてくるかもしれない
【ガキが、裏路地に入ってきやがったぞ!!】
【なに?見張りは何をしている。】
【あ、ガキ!待ちやがれ!は、はや!】
すでにタイマーは止められない。
私は焦った。計画の失敗と無駄な殺害は許容できない。
「ちょっとおじさん!落とし物だよー!!」
「はぁ…はぁ…ッ…!?!嬢ちゃん!!?こんなとこにきちゃダメだ!!」
ミシリミシリという音と共に、ブチッと縄が切れる音がした。
それは、ガラガラと雪崩のようにターゲットと無関係な少女へと降り注いだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「きゃぁああ!」
そんな時、同時に
サッカーボールらしき物体が現場に蹴り込まれ、鉄骨が甲高い音を立てて一部吹き飛び軌道が変わった。
その後鉄骨が地面に突き刺さる凄まじい音が周囲に響き渡った。
土煙が晴れていくと、鉄骨がちょうど二人を避けるように地面に突き刺さっていた。
「…た、助かったのか…い、生きてる。」
「うわぁぁぁぁん!!」
そしてそのサッカーボールを蹴り込んだのは
「あ、あぶねえ…。女の子がこんな裏路地に走って来るから怪しいと思ったらどうなってんだよこの世界。いやまじでちゃんと管理しろよ。なんで鉄骨落ちてくんだよ。影山かよ」
あの子供は…そう間持天翔だった。
イタリアまで来てとんだ出会いだ。今年のジュニアには確かに出ていなかったが
【ターゲット生存…!まずいこの音で住民達が出てくる。】
【フフフ…まさか、こんな面白いこんなこともあるとは】
【何を笑ってんだミスターK。作戦失敗だぞ!!】
【あぁ。問題ない。お前たちもここで解散だ。証拠は消しておけ。金は入れておく。ターゲットは私が対処する】
彼がイタリアにいる理由はおそらく留学だろう。
ガルシルドの件は誤魔化しを入れておけばよい。
それよりは先に
「君たち。無事だったかい?まさかこんな事故が起こるなんて。こちらの管理が杜撰でこんなことになってしまってすまない。」
「…ッ君たち。ちょっとあっちに行ってなさい。ここから先はおじさんの仕事だからね。」
「…まさか…いや…わかったよ。さぁ、行くよ。」
「う、うん。おじさんバイバイ」
ーー
「…そう身構えなくていい。話もすぐ終わる。警察もそろそろ到着する頃だろう。」
「お前たちの目的はわかっている。まさかここまでしてくるとはな。あの子がいなければ、あの嬢ちゃんまで巻き込まれるところだったんだぞ…ッ!!」
「フフフ…巻き込んだのは君ではないか。いやそんなことはどうでもいい。」
そう、どうでもいいのだ。興味もない。殺した工作さえすれば何も問題ない。ガルシルドも資料はすでに外部に渡ってる前提ですでに動いているだろう。弱みさえどうせ握り潰す。
今回のこの殺害も気に食わない人間の処理による憂さ晴らしに過ぎないのだ
「ガルシルドの件はこちらでお前が死亡したという事で処理をする。あとは好きにするがいい。」
「なに…。どういうつもりだ。殺すつもりでこんなことまでして…今更なにを言っているんだ??!」
「事情が変わったのだよ。せっかく拾った命と資料を無駄にするつもりかね。こちらとしては君が死んでくれる方が手間が省けるのだが?命を拾えたことをあの子供に感謝しておくんだな。」
「…くっ…」
〜
「ははは、良かったよ。普通こんなこと起きねえよ。ははは。はぁ…何がどうなって」
ホームステイ先の近くでこんな事故が起きるとかマジでどうなってんだ。
あまりに杜撰すぎるだろ工事現場
しっかりしろ
「あぁ…ありがとう。君はアジア人か。…君があのボールを蹴ってくれたから僕は助かったんだ。じょうちゃんもごめんな。こんなことに巻き込んでしまって。その落とし物もありがとう。」
「お兄ちゃん!助けてくれてありがとう。私ルシェっていうの!おじさんも良かったね!」
「ルシェ…?あれ…まさか…えこれマジ?…」
あ、すまん。これ事故じゃねえ事件じゃねえか?!影山ァァァォァァァ!?!(鬼道)
ルシェはイナズマイレブンの世界への挑戦編に出てくる女の子だが、影山がサッカーに全く関係ないにも関わらず事故によって目を負傷させてしまい、その治療費をルシェに送り続けて目の治療の入院代や励ましの手紙などを送って交流をした人物だ。
そしてルシェが怪我をしなくて済んだことは何よりだが、まさかこんなとこで事件現場に出くわすとはなんという確率。
そして…
「君たち。無事だったかい?まさかこんな事故が起こるなんて。こちらの管理が杜撰でこんなことになってしまってすまない。」
「…ッ君たち。ちょっとあっちに行ってなさい。ここから先はおじさんの仕事だからね。」
このおじさんが、影山の本来のターゲットだったのか。どういう繋がりだ。サッカー関係者か…?それにしたってわざわざ影山がイタリアまで来る理由はないだろう。
ならば…そうガルシルドの依頼だろう。
ガルシルド=ベイハン。
イナズマイレブン世界への挑戦編で暗躍して事件を引き起こした最終的な黒幕であり、影山自体をずっと前から裏から長らく操っていた人物でもある。
自身の所有する油田の資源である原油が減り、僅かとなったことで、その油田の利益を最大化するために、原油価格を高騰させるために戦争を画策した。自身が買収した軍事企業の武器を各国に売りつけることでさらに利益も得ようとしていた死の商人と言える男だ。
サッカーを自身の開発した戦争道具の実験場としてしか見ておらず、「神のアクア」「RHプログラム」を使用させ、軍事転用への足がかりにしようとしていた。
日本サッカー界を対しての憎しみを持っていた当時中学生だった影山を引き込み、所有する組織によって影山の復讐のサポートをすることで、中学生だった影山を帝国の理事長へ、そしていずれ影山を少年サッカー副会長の席にまだ押し上げている。
影山だけでは到底なし得ない規模の事件を引き起こせたのもガルシルドの支援あってこそだ。
影山がこの後、あのおじさんをどうするかはわからないが、殺される可能性もある。
まず警察に連絡して…ルシェを安全なところに送って追わなくてはならない。
と思っていたのだが、おじさんは普通に戻ってきた。
「あぁ、君か。まだいたんだね。本当に君のおかげで助かった。ありがとう。もし困ったことがあったらここに連絡してくれ。君の助けになれることがあったらすぐ言ってくれ。助けられる範囲で手助けするさ」
影山のターゲットの筈だが…逃すのか?
よくわからないがおじさんから電話番号を貰い、そのまま立ち去ってしまった。
そこに
「やぁ、さっきの君のシュート見ていたよ。」
影山が来たのだった。
「か、おじさん。あんな鉄骨管理どうかしてるよ。ルシェちゃんが死ぬかもしれなかったんだぞ!!」
「痛いところをつくね。すまなかった。こちらの管理不足なのは確かだ。一つ聞きたかったことがあるところで君、間持天翔君だね。」
「…?!あぁはい。そうですなんでが俺のことを知っているんですか?おじさんが」
そりゃ影山なら俺のジュニアの試合を見ているだろうし、知ってるのもおかしくはないが、お前イタリア人設定にしてるわけじゃないのかよ。
「私は君と同じ日本出身でね。サッカーも多少知ってるのだよ。君が出ているジュニア決勝。実にいいものを見れたよ」
「あ…あはい。どうも。」
普通に日本人でいいのか。じゃあなんだその変装。ガチでただの変装なのかイタリア人に扮したとかじゃなく。いやまぁそっちの方が浮かないのかイタリアだとイタリアマフィアっぽいもんなマジで
「一つ君に聞きたいことがあったのだ。君はおそらくこのイタリアにサッカー留学をしに来たのだろう。君は必殺技が使えない欠陥品であることを自覚しているのかね?」
ーー
私が彼に問いたかったのは自覚があるのかそれともないのか。
「…?あぁ、俺は必殺技が使えないって父さんに言われてるから知ってるさ。何が言いたいんだおじさん」
そうか自覚があるのかなら
「我が社の事故を未然に防いでくれた恩人である君に1つ言っておこう。これから先、その欠陥品のままでは君のサッカーの技術は通用しなくなるだろう。イタリアまで来て努力するのはいいか心掛けだが、無意味になるだろう。」
「必殺技がないと絶対に通用しない壁が存在するということですか?」
「そうだ。…あるプロサッカー選手は全てにおいてパーフェクトだった。フィジカル、スピード、テクニックの全てが高水準の上に強力な必殺技を扱えていた。だが、それもすぐ陰りがかかった。その下の世代に追い抜かれ、サッカーに縋り続けた上で疫病神にまでなって無様にも散ったのだ。君の技術だけのサッカーでは追いつけない次元の話さ」
あぁこの現役最強の子供が、今栄光を手にしている姿が、重なるのだ。あの男と。そしてあの男より必殺技が使用できない時点で遥かに劣っている
それが落ちぶれる
2度もフラッシュバックさせようとするこの子供が憎たらしく思えるのだ。
「だからやめろって?いーや。やめないね。」
「…ほう、どうしてかな?君に未来はないと言っているのだが」
「俺は生まれる前からサッカーが好きだからだ。そして、この大好きなサッカーでいずれ恩返しをしなくちゃならない。だからやめないよ。」
「……。」
哀れな子供だ。そう、小学生まではそこまでの差が生まれないが、中学生からは体も出来始め必殺技の練度も上がり始めていく。
それはつまり、ここから落ちぶれていくのだ
いずれ勝てないサッカーに苛立ち、憎しみを覚えることだろうバカな子供だ。
「おじさん。おじさんってサッカーのことそんなに詳しいんだしサッカー好きなんでしょ?俺の必殺技が使えるかどうかなんて父さんぐらいしかわからなかったんだ。後は秘宝堂の親父さんぐらいかな。」
「…フフフ私はサッカーのことはそこまで好きではないよ。むしろ」
そう私は憎んでいる。父、影山東吾
私の理想…私のサッカーを破壊した敗北者…
そして父を否定したサッカー界を…
そのはずだ
「俺のこと知ってるんだし、俺が中学生になってからいつかはわからないけどフットボールフロンティア出場するんだよ。その時おじさんに見せるよ。俺の強さを証明するよ」
「…フフフ。良いだろう。見せて貰おうか、君のサッカーというものを。そして知るだろう。壁を」
「約束だからね。」
〜
【まさか、結局地区予選で一度すらも必殺技を使用せずに全国大会への切符を掴み取ってしまったぁぁ】
「フフフ、なるほど。格下相手とはいえ、よくここまでチーム全員を鍛え上げ、必殺技なしで勝ち上がらせたものだ。体力温存、情報封鎖もあるだろうが私への当てつけもあるのだろう。」
白恋メンバー全員のポジションも一定ではないため、ステータス数値化は詳細までできていないが、相当仕上がっているのは確かだ。
「わざわざ君のために今回白恋の妨害はしなかったのだ。プロジェクトZのデータの強化幅では今の状態だと到底世界に通用するものではないが、雷門、帝国程度なら問題にもならない私の可愛い選手たちだ。さて、どれほどの力があるか見せてもらおうではないか。間持天翔。フフフ…お前の絶望する顔を早く見せてくれ…その次は鬼道お前だ。」
ーー
【毎年幾多の名勝負を生み出してきたフットボール全国大会!!このフロンティアスタジアムは試合開始を今や遅しと待ち構えている!!
方やここまで必殺技なしで全国大会へと駒を進めてきた初出場の白恋中学VS戦績不明特別招待枠の世宇子中学、この一戦はその名勝負の列に名をきざむことになるのかぁぁぁ!?】
「世宇子中学、全く無名の学校だね。」
「あぁ、だが油断はできねえよ。ここまで来れたのだって正直うちのブロックの連中がそこまでだったからだろ?」
素直だな。アツヤ。まぁ合ってはいるが
いずれ帝国、世宇子と当たることを想定するなら、情報は絶対に渡せなかったからな。ただでさえ、こちらはジュニア優勝チームメンバーが揃ってしまってるわけだし、警戒はされていたはずだ
「アツヤ。まぁいい。キャプテン今回はどうする。」
今回、予想外ではあったが初戦からおそらく現状全国大会では最強チームの世宇子だ
帝国戦を挟んでから実力を見ておきたかったが、仕方ない。世界レベルよりは低いそれだけで十分だ。今の俺たちのレベルは流石にそこまでは無いが、士郎、アツヤがそもそもエイリアに通用する実力と考えればこのチームで世宇子に遅れを取るとは思っていない。
「今回は俺たちの全力で行く。間違いなくそういう相手だと見た方がいいだろう…俺の勘が当たっているなら今大会で1番の激戦になる可能性もある」
「天翔君の勘なら間違い無いね。」
「わたしたち本当に全国勝てるのか不安だべ…」
それはそうだ。鉄、烈斗、アツヤ、士郎以外の新規参戦組は余計に公式戦をまともにできてないからレベルを把握しづらいだろう
「1つお前たちに言っておこう。お前たちはすでに前年の帝国のレベルを大幅に上回っている。ここまでの特訓は全く無駄じゃないし、お前たちはすでに去年なら優勝できていたんだ。だから自信を持ってくれ。
紺子。お前は身長が低いし、女子というフィジカル面での欠点はあっても、ボールに対する反応速度による的確なカットボール保持時間を短くする代わりに的確なパスで前線に戻せるのは長所であり強みだ。覚えた必殺技も強力だ。」
「そ、そんな照れるべ。」
「いきなりここで口説かないでくれないか間持」
「やるなぁ天翔君」
「いらん口出しをしないでいい烈斗。士郎。宗司は士郎をMF起用に耐えられるだけのセンターバックとしてちゃんと育ってくれた。攻撃的布陣にする場合でも士郎を下げた防御よりの布陣にするのも自由が効くようになったのはお前が頼もしいDFになってくれたからだ。珠香と紺子でも難しいカバーをお前はできる。シュートブロック対応できるのも士郎より優れたポイントでもある」
「あ、あぁ普通に褒めるなよ。照れる」
「目深先輩…気持ち悪ぃぞ」
「黙れアツヤ」
「僕もシュートブロック技覚えるべきかな。」
「珠香も士郎に習って必殺技を習得してくれたことで、白恋全体のDFの硬さが上がったことに寄与してくれたな。お前が言い出したおかげで全員それぞれの個性を持ちながらのDFができるようになった。お前の持ち味の粘りの体力による敵のウイングに対する振り切れないマークはすでに必殺技が関係なしでも強力なものだ」
「うんうん。キャプテンはよくわかってるべ!士郎君も褒めて褒めて!」
「あぁーうん。真都路さんのおかげで実際みんな必殺を覚えられるきっかけになったしね。実際すごいよ」
「と、お前たち。全員成長してるんだよ。」
「おい。キャプテン僕たちMF陣とFW陣は全員スルーかい!?」
「ちょっと褒め疲れた。お前たちみんなすごい。わかったか?」
「あはは、雑だねー」
「さてと、そろそろだ。行くぞ。俺たちの本気を見せつけてやろう。相手に不足なしだ」
「いい感じに締めたなこの人。まぁいいよ。僕もFWとして、氷上や吹雪たちに負けるつもりはないし居屋、空野。キャプテンをあっと言わせてやろう」
「僕たちを省いたこと後悔するべ。キャプテン!」
「ま、練習の成果思う存分発揮するだけだね」
「行こうぜ。全国優勝へ!」
「「「おーーーー!!!」」」
俺は、俺たちは勝つ。
なんで世宇子戦に入ってないんですか?この人
ルシェ周りの時系列が独自解釈なんですいません。