火の鳥ですが、なにか?   作:GGO好きの幸村

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2 溶ガニ

 獲物を探してバタ足すること30分くらい─羽根が濡れてて上手く飛べなかったからだ─オレは未だに何も食べられずにいた。

 いや、当たり前だと言われたらそうなのだが、空腹の状態で景色の変わらないマグマの中を泳ぎ続けるのは中々心にくる。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『遊泳LV1』を獲得しました》

 

 へー、思考系以外にも種類あるんですね…確かに、心做しか泳ぎやすくなってる気が…ん❓

 今話しかけてきたの、誰だ❓

 

 言語は日本語…いや、こっちの世界の言語をスキル❓とやらで翻訳している可能性もあるか。

 実際に人と会話する時も日本語になるかは不明だけど、これは結構大きな進歩じゃないか❓少なくとも、こっちにも言語を用いる知的生命体が居るのは確かになったし。

 

 声の人物…人なのかも分からないけど、声色からして悪い人❓では無さそうだ。

 

 疑問は増えたが、なにはともあれ腹ごしらえだ。

 …とは言っても、食べれそうな植物は勿論無いし、パッと見動物も居ないからなぁ…まぁ、マグマの中で生息する動植物が沢山居ても怖いけど。

 

 あーあ。周りの生物とかを()()する()()()でもあれば楽なんだろうけどなぁ…

 

《現在所持スキルポイントは100000です。

 スキル『探知LV1』をスキルポイント100使用して取得可能です。

 取得しますか?》

 

 おっと、また新しい単語が出てきたぞ。スキルポイント…察するに、これを消費する事で新しいスキルを得られるって事か❓

 

 でもさっきは考え事をしてる時に『集中』と『予測』、泳ぎ続けた事で『遊泳』を手に入れた。つまり、スキルの習得にスキルポイントは必須じゃないって事になる。

 

 限りのあるものみたいだし、慎重に使いたいけど…とりあえず今回は使っちゃって良いかな。よし、探知を取得します‼️

 

《『探知LV1』を取得しました。残りスキルポイント99900です。》

 

 よし、早速探知発動‼️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『探知LV1』が『探知LV2』になりました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『並列思考LV1』を獲得しました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『演算処理LV1』を獲得しました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『外道耐性LV1』を獲得しました》

 

 はっ⁉️ハァ、ハァ…ふぅ。

 いや、探知バケモンだなコレ…情報の暴力が頭に殴りかかってくる。

 なんというか、めちゃくちゃ高性能なんだけど、高性能過ぎてオレ側のスペックが追いついてないというか。

 スマホに買い換えたのは良いものの、通話機能とラ○ンくらいしかまともに使えないうちの親みたいな感じだ。

 

 でもこの辺の地理と獲物の場所はなんとなく分かったし、スキルにありそうな言葉を考えながら向かってみるか。

 

 …で、来てみたけど特になにも見えないな。

 まさか覚え違いか❓いや、でもこの辺だった筈…もっかい探知を使うか❓でもあれめちゃくちゃ痛いんだよなぁ…

 

 なんてことを考えていると、岸辺の溶岩になんとなく違和感を感じる。

 上がって様子を見てみると、小さめの穴が2つほど空いていた。

 

 …似たようなものを人間だった頃に見たことはある。

 いや~でも溶岩だぞ❓1000℃くらいするんだぞ溶岩。

 

 ありえないだろうと思いながらも、腹もすいてるし、オレもマグマの中を泳げる鳥なんだからワンチャンあるかもと考えて、穴の中に嘴を突っ込む。

 

 いでっ‼️

 嘴に走る鋭い痛みに、思わず後ろに飛び退く。

 そこにいたのは、やはりオレが想像していた生物だった。

 

 硬い甲羅に大きいハサミ、目玉は大きくくりりとしている。

 俊敏な動作で横に駆ける、海水浴場のアイドル

 

 …そう、カニだ。

 サイズは小さめで、見た目はスナガニに近い。熔岩に隠れていたし…とりあえず熔ガニとでも呼ぼう。

 

 ともかく鳥になって初めての食事だ。

 ねぐらから引きずり出された獲物めがけて、思いっきり嘴を突き出すが…

 

 ひょい

 

 っと音が鳴るように、やつは悠々と攻撃を避け、すたこらサッサと横歩きで逃げて行く…家に出てくる黒光りのG並みのスピードで。

 

 …え、あいつ早くね❓

 とか言ってる場合じゃねえ‼こちとら生後1日未満、ここで食べられなきゃ飢え死にする‼️

 うおー‼️待てー‼️急に転生して、なんにも出来ずに死んでたまるかーっ‼️

 

 と気合を入れて走り出したは良いものの、アイツとの距離は一向に縮まらない。そう、気分はまるで悟○ちゃんをOPで追いかけている恐竜の如し…

 

 …というか、待てよ❓そもそもなんでオレは走っているんだろうか。

 勿論カニを食べるためではあるのだが、今のオレは鳥。さっきは生まれたてで羽が濡れてて上手く飛べなかったが、元々羽は燃えていたし、なにより一面がマグマで眩しさすら感じるこの灼熱の環境なら、もう乾いていてもおかしくはない。

 そう考えたオレは、走りながらチラリと羽を確認する…羽は既に、乾ききっていた。

 

 ─いける‼️

 

 オレは走りながら両腕(両翼❓)を横に広げ、力を込めて大地を蹴り上げる。

 すると体はスイ~と上がり、先ほどとは比べ物にならない速度が出る。

 

 今度は逃がさない

 

 オレは羽を勢いよく空気に叩きつけ…

 

 いっけぇー‼️

 

 羽を閉じて重力に極力逆らわないようにしながら、いつの間にか炎を纏っている嘴を奴の甲羅にぶつける。

 溶ガニは砕けた甲羅から血を吹き出すと、そのまま動きを止めて、倒れた。

 

 やったぜ初勝利‼️…コスパ悪っ‼️

 と、まぁなんやかんやあったものの、オレは無事に飢え死にを免れる事が出来たのだった。

 

 

 …この後、岩に擬態していて(探知なら問題なく見つけられる)硬い殻に籠り(炎やなんか出来た風を纏った嘴なら簡単に砕ける)酸攻撃をしてくる糞不味い(殻を砕いた直後だから照準ブレブレで当たらないし、味を選り好みできる状況じゃない)フジツボみたいな生き物というオレにとって格好の獲物が見つけて「溶ガニより先にこっちを狙うべきだっただろ‼️」と声に成らない鳴き声を上げたのは、完全なる余談である。

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