切れば良いのだ、何事も!   作:葛城

35 / 57
※ 生々しい話が冒頭から始まりますので注意
  ここをなあなあには出来ませんし、曖昧にするのは性格上違うと思いましたので


第30話: 冬だから誤魔化されていたこと、その一つ

 

 

 それから、しばらくして。

 

 

 なんとか我に返った頃にはもう、レイダも愛もシャワーを浴びてすっかり身支度を整え終えていた。

 

 で、僕はとりあえず……床に手をついて深々と頭を下げたわけだ。

 

 そりゃあ、まさかバナナ食ったら理性飛ばして発情おサルさんモードに突入するとか想像すらしていなかったけど……だとしても、やることをやっちゃったわけで。

 

 

 しかも、がっつり生でしちゃったわけで。

 

 そのうえ、しっかり覚えているときた。

 

 

 これで記憶が完全に飛んでいたなら、僕もちょっと思うところが出てくるわけだけど、ガンガン腰を振っているときの事は、頭の中にある。

 

 だからまあ、完全に僕だって被害者……ってなわけでもなくて。

 

 心のどこかで、『あれ? なんかおかしくない?』って考えたっぽいけど、なんかもう興奮して気持ち良すぎて、流しちゃったんだよね。

 

 いや、まあ、アレだよ、想像してみてよ。

 

 もうとにかく心臓がドキドキしているわ、固くなりすぎてアソコが痛いわ、二人の匂いがするわ、柔らかくて暖かいわ、でさ。

 

 なんかもう、言葉にできなくて。

 

 おまけに、二人ともおっぱいが大きいから、抱きしめあうとプニプニして、お互いの汗がこすれあって、股の毛も触れ合って、さ。

 

 なんかもう無我夢中に腰が動いちゃって、それなのに、二人とも両足を腰に回してくるから……で、気づいたら、なんかもう二人へ交互に腰を振っていたわけで。

 

 そりゃあ……頭の一つぐらい下げないとアカンと思ったわけです。

 

 

「──謝らなくていいよ。脅されて無理やりされたのならともかく、アタシだって自分で股を開いたわけだしさ」

「まあ、子供ができたのならお互いのことなので話し合いになりますけど、私も、自分から上に乗ったりしちゃったわけですしね、お互い様みたいなものですよ」

 

 

 そんな僕に対して、先ほどのとおり、二人は怒っていなかった。

 

 

「だいたい、本当に嫌だったら、もっと死に物狂いで抵抗するって」

「そうですよ。それに、同い年なのに男子だけが責任を取るってのも変な話じゃないですか」

 

「え、いや、だって妊娠とか……」

 

「そんなの、私たちが一番わかっていますって。妊娠を盾に自分の見る目の無さを誤魔化すの、まるで私たちがバカみたいじゃないですか」

「そう、だいたい、それを言えるほどアタシたちの世代って貞操観念固くないし。結婚まで大事に処女を守っている女なんて、絶滅危惧種でしょ」

「自由恋愛って、そういうことなんですよ。自由に好きな人とセックスしたいけど、責任は女の子だから相手に……そんな良いとこ取り、私なら恥ずかしくて堪りませんって」

「アタシが男だったら、そもそも最初から居られなかったわけで……悲惨だよ、アタシみたいな立場になっている男って、マジで誰にも知られず顧みられずひっそりと死んでたりするから」

「そうそう、私が男だったら、今頃ダンジョンで死に物狂いですよ。さんざん女だからこそ利益を享受できていたのに、それを無かったことにして被害者面ってのは……私、そこまで恥知らずじゃないですから」

 

 

 というか、なんか思っていたよりもドライだった。

 

 レイダもそうだけど、愛のドライっぷりはけた違いで、僕の方がタジタジだ。

 

 

「──それで、次は何時します? さすがに、昨日の今日はちょっと腰が気怠くて大変なんですけど……」

「アタシはもう平気かな。なんか、みんながコンドームを買ってまでやるのが分かった気がする」

 

 

 おまけに、昨日の今日だというのに、もう愛とレイダは次回の話を始めようとしているのだから、そりゃあもう色々といっぱいいっぱいだ。

 

 というか、だ。

 

 普通、こういうのって、男側が夢中になってもっともっとな流れでおねだりするのだと思っていたけど……もしかして、無理していたりする? 

 

 

「……??? いえ、普通に私もレイダさんもしたいから、次は何時しましょうかって話をしているだけですよ?」

「そうだよ。別にハチくんがしたそうだから、次を決めようって話じゃなくて、アタシたちがしたいから、次は何時しましょうかって話」

 

 

 そう思って尋ねたら、二人からそんなことを言われた。

 

 

 ……正直に、思ったことは、だ。

 

 

 ぶっちゃけると、女の子ってそんなに性欲あるのだろうか……とてもじゃないけど、僕を気遣って行為をしようって……そう、思ったわけである。

 

 なので、僕はそれを正直にぶっちゃけた。

 

 隠したって意味はないし、隠したところで、僕ってそういう隠し事って嫌いだし……だいたい、僕ってこういうことをしてほしいから、一緒にいるわけじゃないし。

 

 これだと、まるでコレを目当てにしていたって思われそうで……けっこう、嫌だった。

 

 

「……? ごめん、なんでハチくんがアタシたちの言葉を信じられないのか分からない。アタシ、別に嘘とか付いていないよ?」

 

 

 でも、レイダにはどうにも伝わっていないようで、本当に不思議そうに首を傾げていた。

 

 

「……ああ、なるほど」

 

 

 それを見て、なにやら気づいた様子の愛が……ポンと手を叩いて一つうなずくと、僕へと……とんでもない事を告げた。

 

 

「たぶん、ハチは誤解しているのでしょうけど……女子だって普通に性欲ありますよ。男子とは方向性が違うだけで、男子並みに性欲バンバン出ていますって」

 

 

 あ、愛も僕を名前で呼ぶように……そういえば、昨日の夜にそう呼びたいって……いや、そうじゃなくて。

 

 

「女子は自覚していないだけなんですよ。そこらの男よりも厳格に性欲ジャッジで男を選んでいますよ」

「それは、愛だけでは???」

「いえいえ、性欲ジャッジでアウト判定すると、自動的に視界からも記憶からもスッパリ抜けてしまうから気付かないだけですから」

「そ、そう……」

 

 

 そこまで言い切られると、僕としては何も言えず……チラリと、レイダはどうなのかと視線を向ければ。

 

 

「……性欲がどうってのはわからないけど、アタシは嫌じゃないし、もっとハチくんとしたいと思っている。それじゃあ、ダメ?」

「……ダメじゃないです」

 

 

 はっきりと、そう断言されてしまったら……もう、僕からは何も言えなかった。

 

 

「それよりも、ハチくんもシャワー浴びなよ。けっこう臭うよ」

 

 

 おまけに、そんな言葉まで付いたら……僕はもう、情けなくなるやら、それはそうだなと納得するやら、どうにもこうにも、であった。

 

 

 

 

 

 

 ──さて、色々とドタバタしていたので話を戻すわけだけど。

 

 

 先日のダンジョンで手に入った『バイオ・ポーション』だけど、コレは売りに出せず、『鍵&家』の中に放置することにした。

 

 理由はまあ、考えるまでもなく危険過ぎるからだ。

 

 1歳2歳若返る程度であっても相当な騒動が生まれそうだっていうのに、望む年齢まで身体が若返るって時点で災厄以外の何物でもない。

 

 僕たちが使うにしても、正直なところ……今より若返っても、困るだけじゃん? 

 

 でも、必要ないからって下手に売っちゃったら、どこで情報が漏れるか分かったもんじゃない。

 

 正直なところ、僕はそこらへんに関しては欠片も信用しちゃいないのだ。

 

 所詮は他人だし、彼らだっていざとなったら正義の顔をして裏切りを正当化するわけだし……なので、放置一択である。

 

 

 では、もう一つの方……『バナナ』の方はといえば、これもまあ『鍵&家』にて放置確定である。

 

 

 なんでかって、そんなの男女問わず理性吹っ飛ばしてエロおサルさんモードに突入させる食べ物とか、普通に麻薬や劇薬の分類だからだ。

 

 あの後、総合センターのロボットに詳しく聞いてみたのだけど。

 

 どうやらこの『バナナ』は鎮痛作用や興奮作用があるのに加えて、簡単な傷を治したり、体力を回復させたりといった効果もあるらしい。

 

 つまり、騙して半分でも食べさせたら、小一時間後には相手に圧し掛かって腰を振りまくる状態に陥るというわけだ。

 

 しかも、強烈すぎる興奮作用のおかげで、相手が誰であろうと関係ない。

 

 それこそ、モデルをやっていそうな美少女であっても、だ。

 

 傍に他の選択肢がなければ、お世辞にも平均には届かないレベルの男に自らキスして、自分から下着を脱いで股を開くぐらいに、効果が強いらしく。

 

 そのくせ、本来であれば激痛どころか出血して当然な年齢であっても、鎮痛作用のおかげで……というのだから、これはもう媚薬を通り越して麻薬の一種である。

 

 と、僕だけでなく、レイダも愛も判断したわけで……最終的には、『成果無し』、との結果になったわけであった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、まあ、それならば、だ。

 

 

 これまでなら、1,2日休んでもう一回行くかなってところなのだけど……さすがに、今回はもう少し休むことにした。

 

 レイダは平気そうだけど、ちょっと僕と愛は慣れない事(当たり前だけどね!)をしたものだから、変な部分が筋肉痛になっちゃったみたいなんだよね。

 

 あ、でも、幸いにも愛も特に行為そのものからの痛みってわけじゃないみたい。

 

 怪我の功名ってやつなのか、今回のトラブルの原因が例の『バナナ』なら、初行為の怪我とか痛みとかを防いだのも、『バナナ』のおかげってわけで。

 

 実際、レイダも愛も、初めて指を入れた時は思わず体が跳ねたぐらいに痛かったとかで……なら、でも、それだけで大丈夫だったのか……って? 

 

 どうも、愛の体内も『もちふわプルプル柔らかむっちりボディ体質』の影響があるみたいで、そこらへんは平気だったみたい。

 

 ただ、愛自身は非力だから……慣れない姿勢や、慣れない動きをしたものだから、普段使っていないところの筋肉が痛いのだそうな。

 

 僕も愛も、ふとしたタイミングで顔をしかめていたし、こういう余計な不安要素を堪えて行かなければならないほど切迫していないから、休みましょうって決めたわけ。

 

 

 レイダだけは、本当に平気な顔で……冷静に考えると、レイダの回復力ってえげつないよね。

 

 

 だって、愛だって怪我とかはしていないけど、体力は人並みぐらいだから、行為が終わると普通に疲れちゃうのだけど。

 

 レイダの場合は、行為で出血したのに、一夜(どころか、2,3時間?)で完全回復しただけでなく、次の行為ができるというのだ。

 

 ぶっちゃけると、僕は女性経験なんて昨日まで無かったし、誰かと猥談とか、そういうのをする機会なんてなかったから、それが早いのかどうかは分からない。

 

 でも、横の愛がけっこう驚いた様子で「痛みが引くの……早いね」って呟いていたから……たぶん、レイダがそういう部分でも頑丈なのかもしれない。

 

 

「……別にアタシは痛くないし、むしろ……だから、遠慮しなくていいよ。別に、生理が始まっているわけでも、危ない日でもないし」

「いや、その、気持ちは嬉しいけど、昨日怖いぐらい出したらもうしばらくはそんな気にならないです……」

「──っ!? (信じられない者を見る目)」

「待って、もしかしてレイダさん……あれ、愛も? あの、2回も3回も連続して出来るとか思ってない?」

「ち、違うの? その、大人向けの漫画とかだと、何回もしちゃうけど……」

「それは漫画の中だけの話ね? 一回出したら、しばらく休憩しないと無理だから、出した後にそのまま連続で出来る人がいたら、マジで大したものだよ」

 

 

 あと、とりあえず、本当に嫌がっているわけじゃないっぽいのが分かっただけでも、僕としては気分的にとても楽だった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………さて、そんな感じで。

 

 

 しばらくダンジョンには行かず学校に向かい、炊き出しみたいな感じで昼食を用意して、しばらく過ごしていると……ちらほらと、学校に来る生徒が増えてきた。

 

 もちろん、それでも人数は去年に比べて明らかに少ない。

 

 いくら食料が安易に手に入るようになったとはいえ、そもそもが、最低限どころか、まったく足りていない状況が続いていたのだ。

 

 あくまでも、来るようになったのは当分の食料を確保できたところぐらいで。

 

 肉が足りないとか野菜が足りないとか、核家族や母子&父子家庭などで、マンパワーが足りないところはどうしてもまだ来られないというのが多かった。

 

 でもまあ、それも時間の問題だろう。

 

 なにせ、食料さえあれば生きていけるにしても、それは不測の事態に陥らなければの話であって。

 

 一度でも何か起これば途端に破綻してしまいかねない、薄氷の上の話である。

 

 あと、なんとか供給が間に合っているのは食料だけで、それ以外の部分は現時点でも何一つ解決していない。

 

 たとえば、以前に比べて『火』が使えない家が格段に増えた。

 

 これまでなんとか節約に節約を重ねてガスボンベなどを使っていたが、いよいよ完全に底を突いてしまい、ほとんどの家ではすべて常温か生のまま食べるようになっていた。

 

 さすがに生肉に関してはそのまま食べるのは危険すぎるので、町内会や自治体などで回数や時間を決め、とにかく数を焼いて……という方式になっている。

 

 当然ながら味など二の次、三の次。

 

 塩が掛かっているだけ一般家庭では上等なぐらいにまで調理関係は悪化しており、飲食店関係も大衆店は軒並み閉業、一部高級店のみが辛うじて部分的に営業している……というのが、現在の状況であった。

 

 また、薬関係は軒並み壊滅しており、以前はドラッグストアに行けばいつでも買えた頭痛薬やビタミン剤なんかは、貴重品の仲間入りである。

 

 同様に鎮痛剤(湿布なども含めて)なんかも貴重品になりすぎて、買おうと思ったら誰かしらの伝手を頼らないと手に入らないモノになってしまった。

 

 

 ……そして、そこからさらに時は流れ、4月。

 

 

 その頃になると、さすがに僕たちもダンジョン探索を再開し、えっさほいさと中に入ってはモンスターをぶっ殺し、ついに借金完済を目前に控えて……ん? 

 

 

 ──なんか、やけに時間が掛かっているのではないかって? 

 

 

 それはまあ、色々あるんすよ。

 

 灯油とかも、さすがにバシバシ死者が出まくっている中で売るのはってことで、受け取ったお金をちょろっと抜いて、直後に残りを投げ捨てるという茶番を……あ、これね、意味あるんだよ。

 

 変に安くしたり、立場とか周りの空気を動かして暗に強制させたりすると『呪い』が発動しかねないけど、受け取った僕たちの意思100%で捨てると、なんかギリギリ回避できるっぽいらしくて。

 

 傍から見たら意味不明すぎる茶番だけど、ポイ捨てした物を拾って活用したってだけの話だから、なんかギリギリOKっぽいのだ。

 

 もちろん、暗に捨てるのを強制させたり、そういう空気を作ってやらせようとしたりなんてのはアウトらしいけど……とにかく、そんなわけであんまり石油ダンジョン関係での儲けは無い。

 

 もちろん、それ以外の利益はバンバンあるわけで、それでチャッチャと返済し……もう間もなく返済完了という段階に至ったわけである。

 

 

 ……で、話を戻すけど、4月だ。

 

 

 本来ならば、僕たちは高校2年生へと進級しているところなのだが……今回は、そうならなかった。

 

 まあ、ちょっとは予感していたのだ。

 

 だって、まともに授業できていないし、テストだってやっていないし、そもそも、2年生になった後の話がまったく出なかったし。

 

 こんなんで進級して良いんかって思っていたら、なんと、今年の学生は原則として留年処置にする……という話になった。

 

 なんでも、4,5か月以上まともに通学できていない生徒が全国規模で大量発生している現状での従来通りの進級は、深刻な勉強格差を生み出すため……というものだった。

 

 でもそれって色々問題が……って思ったけど、あくまでも緊急的な処置とのことらしい。

 

 つまり、とりあえず先送りするということ。

 

 不幸中の幸いというのはあまりにも不謹慎だけど、全国的に子供の数が少なくなっていたので、学校とか教室の数は余っているところが多いんだとか。

 

 これがさらに1年、2年、3年と続きそうであれば、さすがに強制的な進級も考慮せねばという話らしいけど、とにかく、今回はそういうことになった。

 

 そこまでは、まあ、良いのだ。

 

 

 ただ、問題はその後で。

 

 

 ポツポツと、少しずつではあるけど、以前よりも日に日に登校してくる生徒が増え始めたあたりで、とある問題が生じた。

 

 それは、これまでは時期が時期なので辛うじて表面化しなかった問題であったのだが、ここにきて無視できない状況になろうとしていた。

 

 いったい、それは何なのかと言うと。

 

 

(……なんか、教室の中が臭い)

 

 

 1月、2月、3月、そして4月と来て、ちょっとずつ平均気温が上がるにつれて表面化してきた……衛生関係のこと。

 

 僕には、わかる。

 

 僕と同じく素知らぬ顔をしているけど、愛もまた、ちょっと顔を強張らせながらもクラス内に充満しているソレを我慢しているということに。

 

 そう、それは、衛生問題を考えるにおいて、絶対に無視できないこと。

 

 

(……さ、さすがにまともにお風呂に入れていない人が30人以上も集まると、わかっちゃうなあ……)

 

 

 すなわち、お風呂問題。

 

 冬の時期は寒さのおかげで抑えられていた、衛生……すなわち、悪臭問題が……いよいよ、無視できない話になろうとしていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。