悪夢の体育祭   作:3442

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40代化学教師の想い

私には、同い年の優しい夫と二人の子供がいる。

私には、結婚当時から変わらない想いがある。

それは、女の子が欲しいという事。

しかし、一人目を産んだ、13年前は、男の子だった。

今度こそはと思って、二人目を産んだ、10年前も男の子だった。

私は、二人目を産んですぐに、性転換薬の開発に取り組んだ。

三人目は、どうしても女の子が欲しいからだ。

女の子が産まれれば、それはそれで良いし、男の子が産まれれば、性転換薬で、女の子に変えてしまえば良いと考えたのだ。

性転換薬を作り始めてから、10年の月日が流れたある日。

40代の化学教師は、夫に、「ねえ。あなた。私、もう一人子供が欲しいの」と言った。

「おいおい。俺達は、42だぞ。高齢出産は、命に関わるかもしれないんだぞ」と夫が言った。

「私だって、わかっているわ。でも、どうしても、もう一人欲しいの」と40代の化学教師が言った。

「わかったよ。お前が、女の子を欲しがっているのは、知っているからな。人工授精でやってみよう」と夫が言った。

「ありがとう。人工授精でも構わないわ」と40代の化学教師は、夫に言った。

 

そして、人工授精による、妊娠が発覚したのは、今年の初めだった。

「やったわ。あなた、妊娠したわ」と40代の化学教師が、夫に言った。

「やったな」と夫が言った。

「え? 母さん、妊娠したのか?」と長男の憲一(けんいち)が言った。

「やった。俺、弟か妹が欲しかったんだ」と次男の法次(のりつぐ)が言った。

「二人は、男の子と女の子どっちが欲しい?」と40代の化学教師が言った。

「二人とも男だから、男の子じゃないかな? でも、妹が欲しいかな」と長男の憲一が言った。

「俺は、兄弟が出来れば、どっちでもいいよ」と次男の法次が言った。

 

40代の化学教師が、性転換薬を完成させ、モルモットの実験に成功したのは、今年の3月の頭のことだった。

彼女は、子供に使う前に、人体実験を行った方がいいと考えていた。

そして、男子高との合同体育祭での人体実験を行ったのだ。

人体実験は、成功し、後は、子供が産まれてくるのを待つのみだった。

彼女は、赤ちゃんの性別は、聞かないようにしている。

産まれてくるのを待つだけとなったが、その赤ちゃんを流産してしまった。

私は、流産した時、産まれてくるはずだった赤ちゃんの性別を先生に聞いた。

「女の子でした」と担当の先生が言った。

「お、女の子?」と私は驚いて言った。

「はい。女の子です」と言って先生は、性別が判断できる大きさの時のエコー写真を見せてくれた。

産まれるはずだった赤ちゃんが、待望の女の子だったと聞いて、私は、号泣した。

性転換薬を作った無理が(たた)ったのだろうか?

女の子ががほしいという夢が遠退いたかに見えた。

が、そこに、『二人の子供を女の子にしてしまえ』と悪魔の囁きが聞こえた気がした。

そうだ、私には、まだ、憲ちゃんと法ちゃんがいた。

二人を女の子にしちゃえばいいんだと私は思った。

だが、この決断が私の家族を思わぬ方向に向かわせることになってしまうことを、この時、私は知らなかった。

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