葉隠傭兵団シリーズ   作:ビリーT

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20年以上前に遊んだメックウォーリアのキャンペーンで使用したキャラクター達をアレンジして小説を書いてみました。

基本は貧乏傭兵団の地味な戦いがメインかと。
年代は3025年です。
基本思いつきで、日本語の資料しかあたっておりません。
英文もたしなまれているコアな方ごめんなさい。


葉隠傭兵団の出撃

●副長の憂鬱~葉隠傭兵団の何時もの風景

 

「小隊長、この領収書は何ですか!」

 

 ああ、また怒鳴られている。何時もの事だ、もう慣れた。

 

「何って、接待だよ接待。正規軍の皆さんと少しでも仲良くする為にだね」

「小隊長のポケットマネーでやられる分にはあたしも文句言いません! 只でさえ報酬は安いのに!」

「まだ着任したばっかりじゃないか。それにうちの機体は実弾兵器少ないだろ?」

「それはそうですが……それでも、うちの台所はカツカツなんです! 食事減らしますよ?」

 

 それは困る。只でさえ娯楽は少ないと言うのに。楽しみが減るじゃないか。全く、中島君は真面目すぎて困る。

 傭兵稼業なんざ緩くやってなんぼだろう。

 

「分かった、その領収書は撤回する。これで良いだろう?」

「ええ、素直に認めてくれて助かります。では整備班と打ち合わせがありますので」

 

 中島君は部屋を出ようとする。

 

「全く、だから婚期が遅れるんだ……」

 

 凄い早さで私のデスクに戻って来た。

 

「何か仰いましたか?」

 

 私を見る目は険しい。眼鏡の奥からまなじりを釣り上げて睨み付けている。私はにはそう言う趣味はないぞ。

 

「いや? 何でも無い」

「そうですか。では改めて失礼します」

 

 今度こそ彼女は部屋を出て行った。

 

* * *

 

 さて、私の話をしよう。少し長くなるが付き合ってくれ。

 私はガブリエル・陳中尉、メック戦士にして、葉隠傭兵団の団長だ。

 これでも代々続くメック戦士の家系である。我が家に伝わるメックはフェニックスホーク。45tの中量級メックだ。

 高い機動性とバランスの良い火力を持つ良い機体である。領地が無い為、私の家は代々傭兵団を率いている。先日惑星ガラテアで、私を含めて4人のメック戦士を漸く集める事が出来、傭兵団を再編成する事が出来た。

 それまでに居た隊員は戦死したり契約満了と共に逃げてしまったのだ。

 

 そしてその後、カペラ大連邦国主席:マクシミリアン・リャオ()の依頼を受け、惑星フナンに着任したと言う訳だ。これが3025年の1月1日の事になる。

 惑星フナンに駐留している正規軍は一個連隊。但し、長年のダヴィオンとの抗争で消耗している。

 その穴埋めと言う形で我々が雇われたのだ。

 たった一個小隊でどうにかなると思ってるのだろうか、あの主席は。ともあれ、我々はプロの戦争屋である。死なない様にして依頼主から毟ら無いと。

 

 ついでに小隊員も紹介しておこう。まずは中島晴子少尉。日系ドラコ人で我が隊の副長だ。ちと生真面目で小姑みたいに煩いのが玉に瑕。経理に明るいから事務仕事を丸投げ出来るのはは助かるのだが。黙っていれば美人だ。グラマラスには程遠いが。

 乗機はパンサー。ドラコ連合謹製の35tメックだ。軽量級なのにPPCを一門備え、フェニックスホークには劣るがジャンプ能力もある。機体の軽さ以外は文句の付けようが無い機体だ。

 

 次にゲルトルード・マリーネブラウ少尉。ドイツ語名なのでライラ人の様に思うだろうが、恒星連邦の出身だ。いかにもアーリア系と言った金髪碧眼の美女なのだが……。必要最低限の事しか会話しない。正直な所何を考えて居るか分からない所が少々不安要素である。

 乗機はフェニックスホークD型。ノーマルのフェニックスホークからマシンガンと弾薬を外し、放熱器を二基追加した機体だ。オリジナルよりバランスが良いと評判である。

 

 最後にクルツ・シュタルツ軍曹。彼だけはメック戦士養成校を出ていない。が、シミュレータで見た腕は一般兵にも劣っていなかった。ライラ共和国の出身だ。メック弄りが好きみたいで、暇さえ有れば自分のメックを弄っている。整備兵を一人雇う経費が浮くので私には有り難い。

 乗機はオストソル。60tで実体弾兵器を一切搭載していない。

 

「これで弾薬が誘爆する事は無いですよ!」

 

 と、彼は言っていたが、何というか個人的には好きでは無い。

 正直な所中島少尉以外とは先日ガラテアでスカウトしてからの付き合いである。これから追々性格も分かっていくだろう。

 

* * *

 

●3025年1月4日(地球標準時)

 新年早々正規軍の連中のご機嫌取りと、新年休暇の為に少々呆けていた所に緊急招集のアラームが基地に響き渡った。折角の休暇が台無しでは無いか。まあ、Chinese New Yearの長期休暇がまた来るから良いのではあるが。

 ゆるゆると戦闘服に着替え、私は当然の様に最後にブリーフィングルームに到着した。既に他の小隊員は到着して基地指令の話を聞いている様だ。

 

「遅いぞ陳中尉」

 

基地指令が不満げに言う。

 

「失礼、タイミング悪く浴室に居ましたので」

「まあ良い、詳しい話は中島少尉に話した。後は君たちの仕事だ」

 

 基地指令がブリーフィングルームから退出する。その後を受けて中島君が指示棒を持って作戦地図の前に立つ。レーザポインタでも良いのに、変な所をアナログに拘っているなあと思いつつ、これはこれで女教師みたいで良いかもと考えていると、当人から叱責が飛んできた。

 

「小隊長、説明を始めて宜しいですか! もう正月休みは終わったんですよ!」

「ああ、始めてくれ」

「……全くこの人は。こほん、では状況を説明します。15分前、本惑星の防空網を越えて一隻のレパード級降下船が着陸しました。場所は本基地より北に100kmの荒野です」

「気圏戦闘機隊は何をしていた?」

「この基地に居る気圏戦闘機は25t~35t級が一個小隊ですよ? 下手に手を出したら返り討ちです」

「ああ、そういえばそうだったな」

「説明を続けます。降下船は着陸後メック小隊を展開、この基地に向けて威力偵察を行う模様です。なお、確認されたメックは、ワスプ・グリフィン・ウルヴァリン・ライフルマンとのことです」

「……総重量で負けてる」

 

 ぼそりとマリーネブラウ君が呟く。確かにうちの小隊は185t。対して敵方は195tである。

 

「10tの差じゃないですか。それにワスプは居ない様なもんでしょ」

 

 クルツが気楽そうに言う。

「基地指令からの依頼内容は『基地に接近される前に撃退しろ』です。整備班には連絡済みで、既に出撃の準備が整っています。我々も早急に準備せよと。作戦は移動しながら考えよとの事です」

「面倒くさいなあ。まあ10t差なら楽勝だ。総員出撃準備! 5分後にハンガーに集合」

「了解しました」

「……了解」

「わっかりました!」

 

 三者三様の返事を聞きながら私はハンガーへ向かった。

 

* * *

 

 惑星の大気を切り裂くレーザーの光が幾筋も走り、目標を外したオートキャノンの弾丸が地面に穴を開ける。

「……Hotel3、敵ワスプ背後に接近。格闘戦を行う」

「Hotel1了解。そのまま脚を蹴り折ってやれ!」

「Hotel2よりHotel1、一機でライフルマンを抑えるのは限界です」

「Hotel1よりHotel2、装甲はHotel2の方が上だ。接近せずにPPCを撃ち込んでやれ」

「Hotel4よりHotel1、グリフィンのPPCを無力化しました」

「Hotel1了解。そのままウルヴァリンのお相手をしてやれ」

 

 さて、こっちも仕事をしないと。

 この位置からだと……丁度ライフルマンの左側面が狙えるな。

 ジャンプして大口径レーザーを一発。見事左脚に命中だ。

 元々脚の装甲が薄いライフルマンだ、そろそろ機体中枢が露呈する頃だ。

 おっと、止まってたらこっちも良い的だ。移動せねば。

 しかし気がついたら敵ワスプの右足が折れて転倒している様だ。

 

「Hotel1より各位。損害を報告せよ」

「Hotel2、右腕・左胴の装甲が8割損傷しています。弾薬に問題無し」

「……Hotel3、装甲の損耗は1割程度。その他問題無し」

「Hotel4、装甲損耗2割程度。まだまだ行けます」

 

 ふむ、割と順調だな。そろそろ向こうに通信を入れてみるか。

 

「あーあー、聞こえるかダヴィオンの諸君」

 

 ノイズと共に応答有り。

 

「こちらダヴィオンリーダー。何の用だ?」

「いや、一機行動不能じゃないか? そろそろ退却して貰えないかと」

「……まだ火力ではこちらが上と思うが?」

「いやいや、そっちのグリフィンのPPCを破壊したのは確認している。そしてあんたのライフルマンもそろそろサウナじゃ無いのかね?」

「熱が発生してからがライフルマンの本領じゃないのか」

「痩せ我慢は無しだ。今ならワスプを持って帰っても見逃してやる」

「……」

 

 おや、応答が無い。まだ勝てると思ってるのかね相手は。

 返事はライフルマンからの全弾射撃だ。無茶をする。

 

「Hotel2よりHotel1。今の射撃でジャンプジェット一基破損。SRM4も破損しました。幸い弾薬への誘爆は無し。装甲もかなり拙い事になってます」

「Hotel1よりHotel2。了解、君は下がってなさい。後はこっちで何とかする」

「Hotel2了解。後退します」

 

 中島君は何時も無茶をする。一番軽いメックで最前線なんて。

 さて、こっちもケリを付けることにしよう。

 

「Hotel1よりHotel3。聞こえるか」

「……こちらHotel3。何」

「その位置からだとライフルマンの後方に飛べるな? 私も一回で接近できる位置だ。同時に飛んで奴の脚を蹴り折る」

「……Hotel3了解」

「Hotel4、聞いたか? 遠慮は要らん。ウルヴァリンに全弾だ」

「Hotel4了解」

 

 私は最大出力でジャンプジェットをふかし、操縦桿をせわしなく動かしながらライフルマンの背後に着地する。同時にマリーネブラウ君の機体も着地した。

 二機で同時にライフルマンの左脚へキックを決める。45t二機の蹴りだ。先程のダメージもあり、さしものライフルマンも駆動装置にダメージが入ったらしくそのまま擱座する。その頃、クルツの射撃で敵ウルヴァリンも全身まんべんなく装甲が剥がれていた。

 

「参った、降参だ。アレス条約に則った処遇を求める」

 

 敵リーダーからの通信だ。コクピットを開けて両手を挙げている事がカメラで確認できる。

 

「さっき逃げてれば良かったのに、無駄な損害だね。まあいいや。我々は無法者では無い。勿論適切な処遇を取らせて頂く」

「貴官の好意に感謝する。ウルヴァリンとグリフィンは撤収させるが問題無いな?」

「ああ、その代わり、ワスプとライフルマンは身代金の対象になるが良いか?」

「仕方あるまい。破壊されていないだけマシだ」

「了解。では回収部隊を要請する。ワスプのパイロットと君は一旦捕縛させて頂く。Hotel2、こちらに。お客人を丁寧に歓待せよ」

「Hotel2了解」

 

 さて、基地に戻って一風呂浴びますか。




どうも、ビリーTです。
今更誰得なバトルテック(&メックウォーリア)SSを書いてみました。

元々は20年程前に遊んだキャンペーンで使ったキャラクターとメック達を元にしていますが、面白くする為にキャラ設定や舞台を変えています。

リャオとダヴィオンの資料は英語版のハウスブックPDFしか無いんですよね……。

このまま3028年の第四次継承権戦争辺りまでを気紛れで書き連ねて行きたいと思います。
宜しければお付き合いください。それでは次回。
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