葉隠傭兵団シリーズ   作:ビリーT

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降下編になります。
降下殻の資料が見当たらなかったので殆ど妄想で書きました。


葉隠傭兵団の襲撃・中編

●惑星フナン衛星軌道上:3025年1月28日深夜

 

「コントロール、こちらHotel1。全員出撃準備良し。誘導を頼む」

「コントロールよりHotel1。順次ハッチを開く。開いた者より降下開始せよ」

「Hotel1了解。小隊各位、コントロールの指示通り降下せよ」

「Hotel2了解」

「……Hotel3了解」

「Hotel4、了解!」

 

さて、いよいよ降下作戦の開始だ。メックによる衛星軌道からの降下作戦は滅多に行われない事は述べたと思う。実際この私も数度しか実戦経験は無い。

 降下作戦の仕組みは簡単だ。メックを降下殻で覆い、そのまま大気圏へ落ちて行くだけ。しかし、宇宙空間ならば兎も角、大気圏突入時の衝撃に耐えたり、地表へ無事着陸する為にはかなりの操縦技量が必要である。

 新米のメック戦士ならば、それだけで全滅する可能性が高い。従って通常は航空優位を得た上で降下船を下ろすか、防空網の薄い所を狙って降下船を下ろす事が多い。新年早々の襲撃も、そうやって我が軍の防空網が薄い所を突かれたものだ。

 目の前の格納ハッチが音も無く開く。外は真空の宇宙だ。眼前には惑星フナンの青い空が見える。

 

「Hotel1、降下を開始する」

 

 私は降下殻の制御を開始した。降下殻に搭載された推進剤が噴射を始め、最初はゆっくりと、そして徐々に加速が始まる。降下殻は単純にロケットの如く推進するだけだ。若干の位置修正は出来る様になっているが、基本は直進である。

 惑星フナンの映像が徐々に大きくなってきた。モニターに目をやると、他の小隊員のビーコンが表示されている。どうやらトラブル無く降下を始めたらしい。すぐに降下殻が摩擦熱で発光し始めた。もうフナンの大気圏に囚われたらしい。さて、ここから気合いを入れなければ。酷い振動と熱が操縦席を襲う。熱は兎も角、振動に対しては慎重に操縦桿を操作しなければならない。神経反応ヘルメットの制御もそこまでは完璧では無いからだ。少しでも操縦を誤って降下殻の恩恵を受けられなくなったら、それだけで燃え尽きてしまう。慎重に、慎重に……。

 やがて永遠にも思われた大気圏突入が終わる。通信のノイズも回復した様だ。小隊のビーコンは全て健在。脱落した者は一人も居ない。

 

「Hotel1より各位。損害状況を報告せよ」

「Hotel2、損害無し」

「Hotel4、問題なしっす」

「………………Hotel3、異常なし」

「了解。小隊各員、事前に指示した降下地点Foxtrot付近を目指せ。着陸後に再度報告されたし」

 

 全員より了解の返事があった。さて、もう地表まではすぐだ。僅か数十秒後には地面とご対面である。一歩間違えば衝突や落下と呼ばれる物になるが。

 私は降下殻のパージ操作を行う。降下殻がバラバラになり空に散っていった。同時にパラシュートが開いて減速を始める。後はジャンプジェットで細かい調整を行いながら着陸するだけだ。まずは姿勢を修正……地表になるべく垂直に……ふう、これで良し。

 着陸の衝撃で機体の脚が大きく曲がる。丁度人間が高い所から飛び降りた衝撃を吸収するように。ビーコンは……どうやら全機無事に着地出来た様だ。1km範囲内に全て反応が確認できる。

 

「Hotel2、降下完了。損害無し」

「Hotel3……問題無し」

「Hotel4、無事着陸しました」

「良し、ではHotel3、先行して基地周辺の偵察を頼む。残りは私の周辺にて待機」

「……Hotel3了解」

「まずは、相手の編成を確認して頂戴。偵察用ドローンは搭載していたよな?」

「……分かった。行ってくる」

 

 マリーネブラウ君の機体がジャンプして行く。すぐに結果は出るだろう。それから5分後、通信が入った。

 

「……Hotel3、目標位置に到達。ドローンからの情報を転送する」

 

 敵機体の映像がスクリーンに映し出される。そこには、ウォーハンマー1機、マローダー1機、ライフルマン1機……それとワスプが5機映し出されていた。

 

「……現在ワスプはエンジンを停止している模様。熱源反応無し。残り3機には熱源反応有り」

 

 私はこの情報に愕然とした。ワスプは兎も角、重量級が3体だと?

 

「Hotel2よりHotel1。どうしますか? かなり分が悪い勝負になりそうですが……」

 

 中島君も不安そうだ。しかし、我々は勝たねばならないのだ。幸いな事に相手にはジャンプジェット付きの機体が稼働していない。これは我々に有利であると言えよう。

 

「Hotel1よりHotel3。敵情は理解した。急いで帰還せよ」

「……Hotel3了解。帰還する。……あ、補足情報。敵メックにはダヴィオンの紋章がペイントされているが、該当する部隊名は本年1日付けの編成表には存在していない。どう判断するかはHotel1に任せる」

 

 は? 存在しない部隊だと? また面倒な事に……。取り敢えず今は奴らを倒すことを考えよう。手持ちの装備とメックを考えると……正面からでは打ち負ける。となれば虚を突くしか無いわけだ……うん、この手で行ってみよう。

 

「Hotel1より各位。これより作戦を説明する。傾注するように」

 

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