葉隠傭兵団シリーズ   作:ビリーT

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お約束の展開。


葉隠傭兵団の襲撃・エピローグ

●惑星フナン・リャオ軍基地メック駐機場:3025年2月4日

 

「やっぱり予想通りですね」

「仕方無いでしょ、重量級メックはどこでも引く手数多だし」

 

 中島君がクリップボードに挟まれた受領書を見ながら言う。先日の戦闘より一週間が経過した。そろそろChinese New Year休暇が明けて基地機能が戻って来た頃だ。そんな時、今朝一番に兵站部から連絡があり、今こうして新しいメックを受領したばかりである。

 我々が受領したメックは、大方の予想通りライフルマンであった。

 オートキャノン好きのダヴィオン軍なら兎も角、60tにしては薄い装甲、そして過剰に装備された武装で廃熱すら儘ならないバランスの機体として通常のメック戦士達には認識されている。――勿論一部熱狂的なファンも居るのだが。

 

「オートキャノンの弾薬は在庫有るかい?」

「そんな事ある訳無いじゃないですか。今までうちはレーザー兵器が主体だったから、実体弾の調達はしていませんよ。……はあ、また発注掛けないと」

「で、パイロットだが……中島君、任せた」

「え! 何でですか! 私が乗るんですか?」

「常識的に考えて、機種転換をする人数が少ない方が良いのは分かるね? そして、君のメックが一番重量が軽い。そこを補強するのが小隊にとって最も合理的と判断した」

「そんなあ……」

 

 中島君はかなり不満そうである。こら、そんなに上目遣いで見ても私の考えは変わらんぞ。

 

「機種転換訓練の間、副長の仕事は小隊で分担して片付ける。それで我慢してくれ」

「はい……わかりました……」

「それと、傭兵団のメンバー全員に連絡してくれ。18:00に食堂に集合するように」

「え、何かやるんですか?」

「正月から仕事だったからな。偶には労を労うのも必要でしょ。宴会だよ」

「了解しました。早速伝えてきます」

 

 そう言って中島君は整備班の方へ行った。話を聞いた整備員達が歓声を上げている。只飯ほど美味い物は無いからなあ。

 

●惑星フナン・リャオ軍基地食堂:3025年2月4日夕刻

 

「それでは、諸君らの一年の労を労うと……」

「隊長、乾杯はリャオ式で?」

 良い所で邪魔をされた。何時になくうきうきした様子で中島君が質問している。

「……リャオ式で、だ」

「了解。皆さん乾杯はリャオ式です」

「――ええい、では今年も宜しく、乾杯!」

「乾杯!」

「乾杯!」

 

 傭兵団の皆がそれぞれ杯を交わす。そして一息に中の酒を飲み干した。リャオ式の乾杯は文字通り”杯を乾す”である。どんなにアルコール度数が高かろうが一息で飲み乾すのが礼儀だ。なおドラコ式だと、口を付けるだけで許されるらしい。

 

「さあ、今日は好きなだけ食べて飲んでくれ。酒保には話を付けてるから、どんどん注文してくれよ」

 

 既にテーブルにはある程度の料理が並んでは居るのだが、20人から居るのだ、どうせ直ぐに無くなってしまうだろう。

 

 ――二時間後――

 

 おかしい、どうしてこうなった。隣ではクルツが潰れて突っ伏している。そして私はと言うと、中島君とマリーネブラウ君から、向かい合わせで説教されている。喋っているのはもっぱら中島君だが。

 テーブルの上には、一升瓶――途中で退席した中島君が自室から持って来たらしい――がどん、と置かれ、自分の杯――否、あれはもうグラスだ――が空になったら自分で注いでいる。確か持って来た時には一杯入っていた筈だが、もう半分位無くなって居るぞ。

 

「……だからあ、聞いてます? 隊長。もっと無駄遣いをですねえ」

「……副長、もう一杯頂戴。美味しい」

 

 マリーネブラウ君は全く顔色が変わっていない。こいつ、ザルか。さっきから料理はぱくぱく食べるわ、酒はがぶがぶ飲むわで、一体どこに入るのか謎だ。そのうちデザートまで要求するに違いない。

 こりゃいかん。こいつらに酒を飲ませたら駄目だわ。説教癖とザルとは思わなかった。なんとか逃げねば……。

 

「おっと、ちょっと用足しに」

「逃げないでくださいよたいちょー」

「……副長、アイス頼んで良い?」

「好きにしろー! 今日は隊長のおごりだー!」

 

 何か知らない間にそう言う事になっているらしい。中島君は恐らくどんなに酔っていても銭勘定は出来るタイプだ。どうやら今月の給料からさっ引かれるのか……。

 ともあれ宴会から離脱できたぞ。ハンガーにでも逃げるか。

 

●惑星フナン・リャオ軍基地メック駐機場:3025年2月4日

 

「ありゃ、整備班長はもう引き上げてたんですか」

「そりゃそうですよ隊長。若いのに付き合ってたらきりが無い。どうせあなたも逃げ出してきたんでしょう?」

「ええ、まさか中島君の酒癖があんなに悪いとは思いませんでした」

「ああ、ありゃストレス過多でしょうな。普段は幾ら飲んでもけろっとしてますし。すこし業務を減らしてやったら如何で?」

「とは言えねえ……。うちも人手不足なんですよね。うん、少し考えておきます」

「それが良い。整備班はライフルマンの整備の習熟で暫く忙しいですからな」

「整備班長は良い秘書官の心当たり有りません?」

「有ったらとっくに言ってますよ。現地採用したら如何ですか」

「むう。そううまい話は無いか……」

「当たり前です。ちっとは自分の脚でやってみるんですな」

「ありがとう、参考になりました。これからも頼みます」

「あい、了解です。ではこの辺で」

 

 どうやら整備班長は自室に戻る様だ。私ももう休むか。食堂の惨状は見なかったことにしよう。次の出撃は何時になるやら、だ。

 




さて、お約束通りライフルマンが配備されました。
私の最もお気に入りでもあります。あのピーキーさが良いと言うか何というか。
次回はメック戦から離れて、シティアドベンチャー風味になる予定です。
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