銀行強盗
阿慈谷ヒフミへの誤解が解け、謝罪と感謝を引き出したのを良いことに、アビドスの生徒たちは特に私が何かを言うまでもなく、
案内役として彼女をこき使うことに決めたようだ。
そして、案内役としての阿慈谷ヒフミは「何度か来たことがある」程度では説明がつかないほどブラックマーケット内部について詳しく、
次々と武器の販売経路についての心当たりを回っていた。どうも、一般流通していないグッズ入手目的のみならず、戦車にも興味があるようだ。
しかし、私自身は分かっていたことだが、流通元の特定には至らない。
行き詰まりの空気を感じ、偶然を装って何か手を打てないか考えていたところ、そういったことが不必要なほど明確な手がかりが現れた。
カイザーローンの現金輸送車が闇銀行へと入っていったのだ。誰の目があるとも知れないこの場所に、まさか堂々と同じ車で乗り込んでいたとは考えもしていなかったが、
これで何故以前の時間軸で『先生』やアビドスの生徒たちがカイザーの悪事に気付き、闇銀行への銀行強盗を敢行したのか、という疑問が解決された。
生徒たちも当然、見覚えがある車の登場に興奮と憤りを隠せない様子である。
程なくして、アビドス生徒全員の賛成の元(トリニティ生を巻き添えに)銀行強盗の実行が決定した。
銀行内部への侵入は生徒たちのみで行い、私は奥空アヤネおよびその他実行犯と通信を結び、サポートをしつつ脱走準備をする手はずとなった。
待機している便利屋に連絡し、警備の陽動と念のための追手の排除を依頼し、目的は無事達成されたのだった。
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陸八魔アルとの通信記録
モモトークの記録
黒服:本日は何もなければ夕方まで待機とします。
陸八魔アル:了解
黒服:申し訳ありません。成り行きでブラックマーケットへ行くことになりました。
陸八魔アル:承知したわ。こちらもすぐにブラックマーケットへ向かうわ。
黒服:ありがとうございます。
陸八魔アル:何でも言ってくれて構わないわよ
黒服:申し訳ありません。成り行きで銀行強盗を行うことになりました。サポートをお願いできますか?
陸八魔アル:任せなさい。何をすればいいかしら?
黒服:出口の警備員を出来るだけ長く引き付けてください。それと、脱出後に再度連絡しますので、もし追手があるようでしたら排除をお願いします。
陸八魔アル:承知した。気を付けて
黒服:脱出成功しました。追手の確認をお願いします。
陸八魔アル:了解。バッグが落ちているけどあれは何かしら?
黒服:アビドスの生徒たちには不要なようです。処理は任せても良いですか?
陸八魔アル:了解
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浅黄ムツキとの通信記録
モモトークの記録(黒服としての連絡先をいつの間にか入手されていた)
浅黄ムツキ:暇ー。アルちゃんのモモトークチェック回数のカウント位しかやることない(端末を眺めている陸八魔アルの画像)浅黄ムツキ:いきなりブラックマーケットに行くことになったときのアルちゃんの顔(何かを叫んでいる陸八魔アルの顔写真)
浅黄ムツキ:いきなり銀行強盗をするって聞いた時のアルちゃんの顔(白目を剥いて何かを叫んでいる陸八魔アルの顔写真)
浅黄ムツキ:銀行強盗を成功させたアビドスの子たちに感動してるアルちゃん(陸八魔アルが興奮して語っている53秒の動画)
浅黄ムツキ:バッグの中の現金に驚いてるアルちゃんの顔(白目を剥いて何かを叫んでいる陸八魔アルの顔写真
さすがに現金入っているのは私も驚いたよ!
黒服:顔写真を勝手に送るのはやめてあげませんか?
浅黄ムツキ:はーい