黒服がシャーレの先生になった世界線   作:黒服先生

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偽便利屋作戦

『おっけー、風紀委員たちは予想通りのルートで進行して来てるね! 先頭はイオリだね。ちょっと誘導したら乗ってくれると思うよ。 爆音に気を付けて~』

 

 浅黄ムツキからの通信。監視ドローンで確認しているが、曰くこちらの監視に気付いている様子は全くないようだ。

 私自身もシッテムの箱の戦闘支援システムで状況を離れたところで確認している。先行して1部隊、さらに後方には複数の方向から部隊が展開している。

 

 

 数秒後、予告通り爆発音と複数の銃声が近くで響く。そして間もなく、複数の足音が近づいてくる。

 

「爆発があったから来てみたら、探す手間が省けたな! 覚悟しろ便利屋68! ……あれ?」

 先行してきたのは銀鏡イオリ。これも聞いていた通りだ。

 

「ふ、風紀委員会ー!? どうしてこんなところに。便利屋68、撤退ですよー☆」

 一人の少女が叫び、それを合図に全員が予定通り行動し始める。

「ん。了解。社長」

 黒いパーカーを身を包んだ少女。

「もう、本当にこの作戦で良いの!?」

 ゲヘナの制服に帽子をかぶった黒髪の少女。

「うへー。アルちゃんも一緒に逃げるんだよー」

 4人の中で最も小柄な少女。

 

 4人が手際よく路地の中へと逃げていく。決め台詞を言ったにも拘らずまるで自らの接近がバレていたかのような振る舞いに、銀髪に褐色の少女、銀鏡イオリは慌てている。

 

「待て、逃がすわけないだろっ、規則違反者……っていうか……っていうか……」

 言いながら2,3歩踏み出して、銀鏡イオリが堪えきれなくなったように立ち止まる。

 

「お前ら誰だよ!!?」

「イオリ!? どうしたんですか?」

 銀鏡イオリの叫ぶようなツッコミと、追いついてきた火宮チナツの困惑する声が端末越しに聞こえてきた。

 

 大きな車両が進むには困難な、狭く、しかも砂まみれの路地で行われる逃走劇は、追手を疲弊させるには十分なものであった。

 逃げている側は、砂道の移動に慣れているらしく、苦も無く進んでいく。

 あえて距離を離さず挑発するように誘導し、合流予定地へと到着した風紀委員会と便利屋を名乗る集団。

 

「はあっ……はあっ……追いついたぞ、お前ら。バカにしやがって、何なんだお前らは!?」

 むきになって追いかけていたためかなりの疲労が見られる銀鏡イオリが怒りに満ちた様子で問い詰める。

 

 何故逃げていた者たちが立ち止まっているかもわかっていないようだった。

「じゃあ、自己紹介しよっかー。誰から行く?」

 

「ん。ゲヘナ学園の鬼方カヨコ。よろしく」

「よろしくじゃないよ! 鬼方カヨコに犬耳生えてないだろ!?」

「あ。これはファッション」

 砂狼シロコが淡々と嘘をつく。

 

「うへー、おじさんは浅黄ムツキちゃんだよー」

「おじさんって何!? 後、髪の毛、ピンク!? 私の記憶と全然違うんだけど!?」

「おー、良いツッコミだね」

 小鳥遊ホシノが感心したようにうなずく。

 

「これ、もうバレバレだけど続ける必要あるの? 一応、伊草ハルカってことになってるけど……」

「もう諦めてるじゃん! お前が一番ちゃんと変装してる感あるけど!?」

 イオリの指摘通り、耳を帽子でうまく隠し、後ろ姿からでは瞬間的には伊草ハルカと見間違うような恰好になっている黒見セリカ。

 

「そして~。私がこの便利屋68のリーダー、陸八魔アルです☆」

「いや、お前が一番おかしいっていうか、そもそも変装すらしてないじゃん!? アビドスの制服だよなそれ!?」

「それはそのー……えへへ、サイズが合わなくて」

「だよな!? 確かにちょっと規格外のサイズしてるもんな!?」

 十六夜ノノミの照れたような発言に、通信越しに浅黄ムツキの笑い声が聞こえてくる。

銀鏡イオリが逐一ツッコミを入れているうちに、後から追いかけていた風紀委員の部隊も追いついてくる。

 

「イオリ!? 何を叫んでいるんですか……って、よく見るとあの人たち……」

 そのうちの一人である火宮チナツも、凡その状況を察したようだ。

 

「とにかく!? 邪魔するってならお前らも許さないからな! 総員、戦闘突入……」

「待ってください、イオリ。……してやられましたね」

 怒りに任せ突撃しようとする銀鏡イオリにストップをかけたのは、風紀委員側からだった。

 

 通信越しではあるが、今回の黒幕と目される人物、天雨アコが現れた。

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