結局、梯スバルへのメッセージが残されたその一冊のノートだけは、その本人に渡すことの出来るよう手元に置いておくことにした。
彼女へと連絡しノートを鞄に入れ、再び作業に取り掛かる。
次は、これまでに関わった各学校との関係と現状について書いていこう。
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③各主要校の状況について
・トリニティ総合学園
百合園セイアの復帰と、聖園ミカが内部的にも謹慎期間を終えた結果生徒会長3人体制が復帰しています。桐藤ナギサも含め、3人ともにシャーレとの協力体制に意欲的であり、個人的に良好な関係を保てていると考えています。
加えて、シスターフッドと救護騎士団も協力的であり、当初考えていたよりも一つの組織として全体の連携が取れているものになっています。
エデン条約の締結への動きが再開されたこともあり、依然首脳陣に暇はなさそうですが、目下の問題が解決に向かっているため、今後も、現状の関係を保っていることが重要と思われます。
治安部隊である正義実現委員会と直接の繋がりが薄いことはやや気になる点であるため、エデン条約締結後にでも、連絡を取ってみる予定です。
・ゲヘナ学園
トリニティと比べると、主要と考えられる生徒との繋がりが薄い、というのは事実です。
特に、生徒会長である万魔殿の議長、羽沼マコトの動きは突拍子もないことが多く、エデン条約の締結における最後の壁となる可能性を持ちますが、戦車長の棗イロハ、書記の元宮チアキは意欲的、かつ協力的であり、また彼女に対する切札となりうる丹花イブキも同様です。
最終的な場で邪魔の入らないよう、彼女達とは連絡を取っていく必要があると思われます。
治安部隊の風紀委員会は、正義実現委員会と同様に直接の繋がりは薄いですが、幸いなことに委員長の空崎ヒナはエデン条約に深く関わっていたこともあり、ゲヘナの中でも連絡の取りやすい立ち位置です。近いうちに、シャーレに招くか、こちらから訪問する形で面会する必要があると考えています。
また、ゲヘナの生徒という枠に収待っているとは言い切れませんが、ゲヘナ学園の生徒の中では便利屋68との繋がりが最も強い、と言えるでしょう。シャーレとしての協力要請、という枠では難しい依頼でも出しやすい、という点は他の組織にはない魅力です。
・ミレニアムサイエンススクール
実質的なナンバー2である早瀬ユウカがシャーレの臨時職員(アルバイト)となっているという事実は、自分で勧誘したことでありながら負担になっていないのか不安な点でもあります。
生徒会長である調月リオは、天童アリスのことを名もなき神々の王女であると気付いており、彼女がミレニアム及びキヴォトスに対する重大な懸念点であることを正確に認識していました。
偶然にも彼女が直接的な手段に及ぶ前にそのことを知れたため、何かあった場合に間に入ることの出来る余地を生むことが出来ました。
もし、何かしらの手を打たなければならないことがあったとしても、調月リオにそれをさせることはミレニアムの分断を生みかねないため、提案可能な別の方法を考えておかなければなりません。
天童アリスは、彼女の自我を確立しているため外的要因が無ければ暴走の可能性は低いと考えていますが、廃墟での由来不明のAI等、懸念点もあります。
いずれにしても、トリニティの件がある程度落ち着いたので、再度ミレニアムへ訪問する機会は作るべきでしょう。
・アリウス高等学校(仮称)
秤アツコとティーパーティーとの打ち合わせの後、アリウス全生徒に対する聞き取り調査を行ったようです。
結果、凡そ90%の生徒がアリウスとしての学校を存続し、その生徒になることを望んだため学校としての復興計画が進行中です。
それにあたり、『アリウス分校』という呼称は無くなり、現在名称についても検討中です。今のところアリウス高等学校という線が有力なようですが。
残りの1割の生徒の内、大半はトリニティへ残ることを希望しており、ほとんどが救護騎士団への加入を望んでいます。数名、ゲヘナ学園への編入を希望している生徒もいるため、調整をしているようです。
また、シャーレ居住区で保護していたスクワッドのメンバーについては、近いうちにアリウスに建てられる予定の新学生寮に転居することになっています。
・アビドス高等学校
カイザーという民間からの借金から、連邦生徒会に対するものに変わったこと、そしてそのためにヴァルキューレの駐在所などが新設されたこと、カイザーへの工作が機能していることなど、様々な要因が重なり、治安は回復してきています。
現在は余剰資金を活用しての新事業などが対策会議の主な議題となっているようですが、暫定的
に資金運用について奥空アヤネへ助言をしています。
また、小鳥遊ホシノに関しては、早瀬ユウカと同様の形で、臨時職員になってもらえないか、という勧誘を検討しています。彼女に対して契約を持ちかけることには少し思うところはありますが、出来る限り彼女の意向に沿う形で、実現したいと考えています。
・百鬼夜行連合学院
出自不明、記憶喪失の少女テマと、彼女の持っていた本にまつわる事件をきっかけに、実質的な生徒会組織である陰陽部との繋がりが生まれました。
未だ彼女の件については殆どのことが分かっていませんが、天地ニヤとの情報共有、及び個人的な調査により、いくつか興味深い話が出てきました。
例えば、百鬼夜行自治区のどこかにあり、入ると世界から忘れ去られると言われている「不忍の山」と呼ばれる場所の話や、『怪談』を操り、人々を惑わす「花鳥風月部」の話などです。
ただし、今のところはいずれも憶測の域を出ておらず、今後とも重ねて連絡を取り合う必要があるでしょう。
百鬼夜行で起こっている大きな問題として、治安部隊である百花繚乱紛争調停委員会が活動停止状態にあることです。副委員長である
また、現在この学校を停学中であり、矯正局から脱獄中の狐坂ワカモが、シャーレと協力状態にあることに関しては報告していません。いずれ気付かれてしまう話ではあるので、そのまえに天地ニヤだけにでも話しておくべきでしょうか。
・SRT特殊学園/ヴァルキューレ警察学校/連邦生徒会
シャーレと直接の関係が深い組織群です。
特に、SRT特殊学園は現在シャーレ支部として関連する学校となっており、シャーレが事実上の校舎になっています。
ヴァルキューレとは今後も捜査上の連携などが必要な場面が出てくることが考えられますが、やや硬直的な傾向のある組織のため、あまり深く入り込めていない状況にあります。
一方連邦生徒会そのものに関しては防衛室長とSRTの支部長を兼任している不知火カヤが一定の協力者を獲得しているため、ある程度動向を把握できています。
いずれにしても、私自身に直接関わりのある組織であるため、関係強化の継続が必要です。
また、先述したテマについてですが、SRT特殊学園への編入を検討していますが、本人はあまり乗り気ではないようです。
・その他
クロノススクールについては、現在と同様につかず離れずの関係で行くのが最も良いでしょう。敵対はよくありませんが、過度に友好なのもそれはそれで問題です。
その他ではハイランダー鉄道学園からアリウスへの線路の延伸の提案、というより営業活動がありましたが、最優先事項ではありません。
まだ関わりの少ない学校に対しても、今後は手を広げ、主要人物との面会を行っていく予定です。
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各校についてはこのようなものだろうか。個別の生徒との関係は様々だが、対学校との関係は繋がりの深いところとそうでないところの差は顕著だ。
また、各校の治安組織に関してはある程度意図的に距離を取っているところもあったが、今後起こりうる事態を考えれば、これからはある程度距離を近づける必要があるだろう。
そして、最後に私自身にまつわることや、この世界について、現在分かっている事をまとめておく。
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④シッテムの箱について 更新
これまでも様々に特異、かつ異常に性能の高い機能を有していましたが、最近『EXスキル』という名称が明らかになった、生徒自体の能力に直接干渉し、その力を大幅に引き上げる力に関しては、これまで以上に不可思議なものと言えます。
発動条件もまだ正確には分かっていませんが、シッテムの箱と生徒だけではなく、私自身の感情や思いが条件に含まれていることは間違いないと思います。
今のところ戦闘時にしか発生していませんが、条件に含まれるのでしょうか。あるいはその他の場合で有用なEXスキルがあるのかもしれません。
また生徒たちに協力を依頼し、安定した発動ができるよう検証したいと考えています。
⑤私自身に起こっていることについて 更新
当初、私に起こった現象は時間遡行であり、それに伴って他の人物にも影響が出ている、
という説を考えていましたが、現在は有力な説だと考えていません。
ベアトリーチェの存在や、狐坂ワカモの持つ記憶など、複数の要因が、この世界を平行世界、あるいは多世界解釈における別世界線であることを示唆しており、
私自身は、
それゆえに、『先生』としての立場を強制されていた、というような考えについても、再度考え直す必要があるでしょう。
具体的に私に何が起こっているか、について結論を出すためには、まだ時間がかかりそうです。
⑥この世界について
最後に、この世界で今後懸念される点と、行動指針をまとめておきます。
・色彩
私の知っている世界において、ベアトリーチェが呼び寄せていた色彩ですが、錯乱していた彼女の言葉を信じるのであれば、現在はそのような事態になっていません。いずれ近づいてくる可能性も十分にありますが、緊急事態とまでは言えないと考えています。
しかし、依然として最重要の懸案事項であるため、来るべき時に備え、対策を練っておく必要はあります。
無名の司祭の動きについては、把握することも難しいですがこれについても対策が必要です。
・名もなき神々の王女
先述したミレニアムの項で記載した通りです。強いて言えば、調月リオと他のセミナー部員や明星ヒマリは、情報共有をより強固にすべきだと考えていますが、今の関係性でそれを強く要求するのは難しいとも考えています。
・その他
私に起こっている現象や、ベアトリーチェに起こったこと、小鳥遊ホシノや百合園セイア、そして狐坂ワカモなどに起こっている不可解な現象について、可能性としては半々程度ですが、
その黒幕たる人物について、いくつか可能性のある人物の候補が存在しますが、これも憶測にすぎない上、私がまだ知らない存在である可能性もあるため、記載はせず、保留としておきます。
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さて、こんなところだろう。そう思い、記録していたメモを閉じた。
端末に通知が2件来ていた。一件は梯スバルのものだ。渡したいものがあるという連絡の返事で、まだ入院中であるため、いつでも問題ないという回答だった。
そして、もう一つは、桐藤ナギサのものだった。内容は、エデン条約の新たな条項についての雛形だった。
私はまた近いうちにトリニティへ訪問すべく、スケジュールを確認した。
次回 本章エピローグです