余りにもあっけなく終わったカイザー元理事との戦いの顛末はこのようなものだ。
戦闘後、理事含むこの戦闘に加わったカイザーの兵たちは、突然武装蜂起したテロリストとして身柄を拘束された。
詳しい捜査についてはこれからだが、カイザー上層部は様々なやり口で責任を回避し、元理事に責任を擦り付けるだろう。
こちらとしてもそうであってもらわなければ困るというものだ。
小鳥遊ホシノは突然姿を消し、単身でカイザーPMC基地へ乗り込んだ理由について、私の不在理由を知らなかったため、誘拐されたと思い込んだ、ということにしたらしい。
無理のある説明であったと思うが、陸八魔アルが私の不在を他の人員に伝えた際既に小鳥遊ホシノはいなくなっていたこともあり、他に論理的な筋が通る理由を誰も思いつくことが出来なかったため、受け入れるかどうかは保留として、それはそれとして説教されていた。勿論、私自身も同様に説教を受け、甘んじて受け入れた。
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「では、私はシャーレへと戻りますが、借金の話もありますので、また近いうちに来ることになると思いますので」
事後処理が終わり、私はアビドスから本部へと戻るため駅に来ていた。便利屋68は昨日中に任務終了となり、既に報酬の受け渡しも終わっている。
一方、アビドスの生徒たちは見送りという名目で同道している。駅へ向かう前、私が参加する最後の対策会議にて、シャーレへの借金の借り換えを前向きに進めていくという方針が正式に決定していた。
「もしアルバイトをしたいということであれば、仕事はいつでもありますので、書類にまみれたい方はぜひいらっしゃってください」
便利屋68との関わりを見て、他校の生徒たちとの交流もいい刺激になるだろう、と柄にもないことを考える。
乗車予定の電車が定刻通りに到着する。珍しく言葉少なだった生徒たちから、一言ずつ別れの言葉がかけられる。
「道に迷ったりしないよう、気を付けて。今度、自転車でそっちまで行ってみようかな」
最後まで私を遭難者として扱うことをやめなかった砂狼シロコ。警戒は随分解けたようだ。
「次にいらっしゃったときには、またいろいろお話を聞かせてくださいね☆」
十六夜ノノミが裏表の無さそうな笑顔でそう口にする。会議での彼女への意見に真面目に検討していたのがうれしかったようだ。
「私もアルバイト続けることになったから、またラーメン食べに来なさいよ!」
アルバイトを掛け持ちしている黒見セリカだが、やはり紫関でのバイトが一番思い入れがあるようだ。私は頷く。
「私は、先生の仕事に興味があります。アルバイト、真面目に考えてみます」
生真面目な奥空アヤネはそう私に告げた。彼女はシャーレでの仕事に向いているだろう。
「えー、じゃあおじさんはお昼寝しに行こうかなー。先生、ありがとうね、色々と」
抱えている物がすべて解消されたわけではないだろうが、小鳥遊ホシノは当初より幾分か穏やかな表情で最後に私へと話しかける。重大な秘密を共有している間柄としても今後も関係を続けていくことになるだろう。
こうして、私が『先生』になって初めの大きな仕事である、アビドスへの出張は終わった。
私や小鳥遊ホシノに起こったことについては、未だ不明な点が多い。黒幕が存在することは確かだろうが、その目的、そしてそれが敵なのか味方なのかもまた、不明である。
私自身の感情制御を含め、検証すべき謎はむしろこの仕事で増えたと言ってもいいだろう。
いずれにしても、私はまだしばらく『先生』を続ける必要があるらしい。私は心の中でそう締めくくった。
対策委員会編 了
対策委員会編 ここで終わりです。
ここまでは一気に投稿しました。ミレニアム編はこれよりはゆっくりになると思います。