黒服がシャーレの先生になった世界線   作:黒服先生

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手記 シッテムの箱について/手記 小鳥遊ホシノとの対話記録

 シッテムの箱について

 

 私が時間遡行に遭遇した日に入手した奇妙な端末「シッテムの箱」が本日、新たな反応を示したのでこれまでの調査結果を記述します

 

 ①低品質なAIと高過ぎる権限

 一般的な少々旧式のタブレット端末程度の機能と、余り高性能とはいえないサポートAI(A.R.O.N.Aという名前の独自OSのようです)が搭載されているだけのようですが、一方でサンクトゥムタワーの権限奪取を瞬時に行えるほどに高い権限を有しています

 

 ②不自然なデータベース

A.R.O.N.A(サポートAI)を通してのみ閲覧可能なデータベースには生徒のことについて詳細な記載がありますが、見ることができるのは既に関わったことのある生徒に限るようです。

 識別方法は不明です。

 その生徒の現在地や、信憑性は不確かながら私に対する友好度を示すと思われる数値など、通常のデータベースではありえない異常なデータが確認可能です。

 

 ③解析不可能性

 この端末を操作することや、他端末との接続でこの端末の中身を解析する試みは失敗しています。

 分解や耐久度調査には私自身に強い拒否反応が起こりこちらも失敗します。

 

 これまでの検証内容は以上ですが、本日アビドス高等学校内にて生徒たちの戦闘時、シッテムの箱が自動起動し次の機能が出現しました。

 

 ・戦場が俯瞰表示され、敵味方(識別方法は不明)の場所がリアルタイムで監視可能な機能

 ・指揮下にあると見なされる生徒への音声、テキストでの簡易的な指示機能

 

 元より戦術指揮については多少の心得がありましたが、そういった技術はむしろ不要で、

 例えるならゲームを遊んでいるかのような単純な操作で的確な指示が出せるような仕組みでした。

 

 実際に指示を受けた生徒たちは驚いてはいたものの、疑問に感じている様子はありませんでした。

 ただ戦闘中に指示を受けそれに従ったと認識しているようです。

 

 今日のこの反応から、シッテムの箱には未特定の様々な機能を持っていると推測されます。

 なお、サポートAIに機能の全貌を確認したところ「何でもできます」とだけ回答があり、それ以上具体的な回答を得ることは不可能でした。

 

 ──

 

 小鳥遊ホシノとの対話記録

 

 アビドスで出会った小鳥遊ホシノは黒服(ゲマトリア)としての私を認識していませんでした。

 

 彼女はキヴォトス最高の神秘であると同時に、以前の時間軸の私であれば是が非でも欲しい研究対象でした。

 しかし、事実として今の私にとってはそうではありません。

 今も研究対象として魅力的なのは事実ですが、この身に起こっている事象そのものが今の一番の関心事であり、観測した最高の神秘的現象(研究対象)と言えるからです。

 

 一方、この研究や時間軸において、彼女のような力のある存在と敵対するのは明確に避けるべきでしょう。

 ある意味フラットな状態で小鳥遊ホシノと知り合えたのは運が良かったというべき事象です。

 

 アビドスでの戦闘の後、その小鳥遊ホシノと短時間会話することができたため、その記録を残します。

 

 小鳥遊ホシノ(以下、ホシノ):いやー、まさか勝っちゃうとはね。さすがは大人の力ってやつ?

 私:いえいえ、大したことはしてませんよ。それより、見事な連携ですね。とても場馴れされているように見えましたよ。

 ホシノ:まあそれはねー。最近しょっちゅうだしおじさんもうやんなっちゃうよ。

 私:それでシャーレに支援を依頼したと。

 ホシノ:うん、正直ダメ元だったからびっくりだよ。

 私:それは何よりです。ところで……

 ホシノ:なぁに?

 私:以前、どこかでお会いしたことがありませんか?

 ホシノ:……(束の間、逡巡するような仕草)えー? それナンパ? おじさん困っちゃうよ。

 

 その後、他の生徒達が興奮気味に追いついてきたので話は打ち切りとなりました。

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