小鳥遊ホシノの提案により、ヘルメット団への追撃を終え、学校に戻ってきた際、黒見セリカが借金について、口を滑らせた。
借金については当然こちらは認識している上、この時間軸でも借金を抱えているのはアビドスに来る前に調査済み。
あえて知っていると明かす必要があるかどうかは……
「待って! それ以上は」
「この学校が多大な借金を抱えているということであれば、すでに存じ上げていますよ」
「え!?」
知っていることに対し言うか言わないか議論するのは無駄なことだろう。そう思い伝えることにした。
奥空アヤネの言葉を遮ろうとしていた黒見セリカ、その二人がこちらの発言に目を丸くする。
「何で知ってるんですか?」
十六夜ノノミも訝し気に疑問を向けてくる。
「こちらとしてはこれから支援を行おうとしているわけですから、事前に何に困っているか位は調べておこうと思いまして」
砂狼シロコが少しむっとした表情になり、小鳥遊ホシノは僅かに目を細める。
不穏な空気に気付いたのか、奥空アヤネが慌てて口を挟む。
「で、でも先生は調べたうえで、支援のために来てくれたんですよね? ええと……遭難しそうになってまで」
「アヤネ、違う。先生は実際に遭難してた」
砂狼シロコが不必要な訂正を行う。特に否定するつもりは無いが。
「ええ、アヤネさんの言う通りです。具体的な支援内容は決めかねていますが、基本的にこちらとしては支援を行うという前提で伺っています。実際の生徒たちへのヒアリングも必要だと思いましてね」
主目的は小鳥遊ホシノや砂狼シロコに接触するためではあるが、支援を用意があることは事実だ。
先生が行ってきたことを考えれば、ここでアビドスの生徒たちに好印象を持たせておくに越したことはない、という打算もある。
「では、相談してもいいってことでしょうかー?」
十六夜ノノミが笑顔で、周囲に問いかけるように言う。
「そうだねー。知ってくれているなら話は早いんじゃない?」
「ん。信用できるかは別として、知られているなら相談してしまった方が良いと思う」
小鳥遊ホシノと砂狼シロコが賛同を示す。奥空アヤネもうなずいており、賛成に傾いているようだ。
「み、みんな本気なの? 確かに助けてくれたけど、今日初めて会った、
黒見セリカがそう言って立ち去るのを横目に、私は奇妙な感覚に陥っていた。
既視感。以前に同じ体験をしたような記憶。先生の記憶なのだろうか。
気付くと十六夜ノノミも黒見セリカを追っていなくなっており、小鳥遊ホシノと奥空アヤネがこちらを窺うようにじっと見つめていた。
気を取り直し、私は残った二人から改めて話を聞くことにした。