黒服がシャーレの先生になった世界線   作:黒服先生

40 / 184
ミレニアムでの手記 3つ分です


手記 ミレニアムでの記録

①美甘ネルとの対話記録

 

黒崎コユキの誘拐騒動の後、それぞれゲーム開発部やセミナーに戻る生徒たちと別れ、

私は帰路についていました。

そこで美甘ネルと遭遇し、彼女が気になる事を話していたので記録として残しておきます。

 

美甘ネル(以下、ネル):よっ、先生。今帰りか?

私:おや、ネルさん。ええ、そうです。幸いミレニアムはシャーレから通える距離にありますから。

ネル:そっか。じゃあ、気をつけて帰れよ。

私:ええ、ありがとうございます。ところで、ネルさん。

ネル:ん?

私:今日倉庫区画の方で、メイド服の生徒とお会いしたのですが、C&Cの方でしょうか?

ネル:今日? 今日のいつ頃の話だ?

私:夕方頃ですね。

ネル:いや、だったらそれは無いな。私以外の生徒は別の仕事が入ってていなかったはずだ。

私:そうですか……ネルさんの来ているそのメイド服と同様の者に見えたのですが……

ネル:何?

 

私:リボンの色合いとか形ですか、それが同じに見えました。それから……戦闘能力もかなり高かったですね。

ネル:戦闘能力ぅ? 戦ったのか?

私:はい、コユキさん以外のゲーム開発部全員に加え、会計のユウカさんで戦ったのですが、かなり厳しい戦いでした。もっとも、相手は一人ではなく、妙なロボットもいましたが。

ネル:戦闘能力が高くてウチのメイド服を着てる奴か……もしそんなのがいるとしたら、そいつはあたしの知らないC&Cのメンバーって事になるな。そんな奴は……変なロボット? それってどんな感じに?

私:こちらも戦闘能力が高い自律移動ロボットだったのですが、そうですね、造形が独特というか、才羽姉妹なんかは『ダサい』と表現してました

ネル:……(暫く無言で何かを考えている)

 

私:ネルさん?

ネル:いや、その件についてはちょっとこっちでも調べとくわ。そいつがもし本当にC&Cの真似事をしてるんだったら……、話つけなきゃなんないかもしれないしな

私:……分かりました、ありがとうございます。

ネル:ああ、こっちこそ情報ありがとな。

私:ええ。ネルさんも、何かあればシャーレにご相談ください。私の力でよければお貸ししますよ。

ネル:ははっ、考えとくよ

 

メイド服の生徒については美甘ネルの知っている人物ではないこと、

そしてその件について彼女に何らかの心当たりがあることが分かりました。

 

②ミレニアムで起きたこと(ミレニアムプライス直前の記録)

 

ミレニアムで、特にゲーム開発部に対するサポートという意味で私にできることはもうほとんどないと言える状況です。後はゲーム開発部の生徒たちがどれだけのゲームを作り、どう評価されるかということになりますが、それについては直接介入することは不可能であり、

また望ましくもありません。

 

そこで、ミレニアムにいる間に起こったことをまとめておきます。

 

①ゲーム開発部の件

ゲーム開発部はその名の通り、ゲームを開発する部活動ですが、私が支援依頼を受けた段階で、人数が足りない、実績が無いといった状況でしたが、AL-1S(天童アリス)の発見と、早瀬ユウカとゲーム開発部との和解による黒崎コユキの紹介という経緯を経て、現状実績さえ残せば存続可能というところに来ています。

 

(追記)

ゲーム開発部は無事、ミレニアムプライスにて特別賞を受賞しました。

 

②天童アリスについて、

AL-1Sという型番が刻印された機械の少女は、目覚めた時点から自らを「ゲーム開発部の天童アリス」だと自称し、自分をそういう存在だと認識しています。

これが以前の時間軸でどうであったかは不明ですが、少なくとも私と同じような現象、つまり時間遡行などを経験している可能性が高いと思われます。

私と違い名称以外の記憶を失っているのは、本当に喪失したのか、思い出せないだけで今も残っているのか、それとも誰かからインプットされただけの情報なのか。

それらについては現状不明です。少なくとも彼女のことは今後も注視する必要があるでしょう。

 

(追記)

天童アリスはゲーム開発部のことは覚えていましたが、先生()はそれに含まれていなかったと証言しました。想定内の反応ですが、貴重な証言ではあります。

 

③廃工場のPCについて

廃工場の音声認識のついたAIは、天童アリスに対し、「覚えていますか?」とこちらの状況を把握しているような発言をしました。

また、そのAIに対し、天童アリスもまた、何かを思い出しているかのように言葉を発していました。このAIの正体自体はまだ調査中ですが、天童アリスと同じく時間遡行の影響を受けている可能性があります。

 

④黒崎コユキ誘拐事件について

首謀者が謝罪し、被害者がそれを許し、解決したかのように思えますが、実際には小塗マキは踊らされただけであり、何らかの目的でゲーム開発部とメイド服の少女を戦わせたかった、と現在は推測しています。これについては現在、ヴェリタスの元部長であり、その黒幕の第一候補たる明星ヒマリと連絡をつけられるよう、各務チヒロに打診しています。

 

 

自発的に取れた行動が少なく、成り行き任せになったところが多くあり、今後にどう影響するのかが現在の懸念点です。

しかしいずれにせよ、ベアトリーチェ対策という点では過去のあの『先生』とは全く異なる方法をとることになるでしょうし、そこに至るまでの進め方も大きく異なってくるでしょう。

 

③明星ヒマリとの対話記録

 

ゲーム開発部への支援とミレニアムの視察を終えた翌日、ヴェリタスの副部長である各務チヒロより連絡があり、私は再びミレニアムへと足を運ぶことになりました。案内されたのはヴェリタスの部室ではなく、『特異現象捜査部』という別の部活動の部室でした。

その際の対話記録です。

 

私:(ノックをする)

明星ヒマリ(以下、ヒマリ):どうぞ。

私:失礼します。

ヒマリ:お待ちしていました。あなたがシャーレの先生、ですね?

私:ええ、そのようになっています。

ヒマリ:突然お呼び出しして申し訳ありません。私はミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーであり、「全知」の学位を持つ眉目秀麗な乙女であり、そしてミレニアムに咲く一輪の高嶺の花である「特異現象捜査部」部長、明星ヒマリと申します。よろしくお願いしますね。

私:……何とお呼びすれば?

ヒマリ:ふふっ、ヒマリ、で結構ですよ

私:分かりました、ヒマリさんとお呼びしますね

 

ヒマリ:それで、早速ですが、本題に移りましょう。今回、先生をお呼びした理由ですが。

私:はい。

ヒマリ:改めて謝罪と、感謝をお伝えするためです。

私:謝罪と感謝、ですか?

ヒマリ:はい。ちなみにどのような理由かおわかりになりますか?

私:そうですね……今敢えてその話題をされるとなると、やはりG.Bibleに関する誘導やコユキさんの誘拐事件の糸を引いていたのは貴女だった、という事でしょうか。

ヒマリ:……気づかれていましたか。

私:はっきりとではありませんが。G.Bibleの情報源がヴェリタス、コユキさんの誘拐事件の主犯もヴェリタス。そして関係あるかは不明ですが、セミナーがヴェリタスから押収した物品がヴェリタスに戻されたという話もユウカさんから聞いています。

私:何者かがゲーム開発部の生徒たちの動きを誘導していたとすれば、それはヴェリタス以外あり得ない、そう考えていました。勿論偶然の可能性も考えていましたが。

 

ヒマリ:……お見事です、先生。まさかそこまで分かっていらっしゃるとは。

私:単なる憶測でしたが。それで、それについて謝罪と感謝とは、具体的にどういう話ですか?

ヒマリ:はい。まずは謝罪についてです。それは、コユキの誘拐事件についてです。

私:謝罪ならマキさんにいただいていますが、それ以外のことでですか?

ヒマリ:そのことも含めてです。あの子を唆して実行させたのは私ですから。……元々は別の方法でゲーム開発部の子たちを誘導するつもりだったのですが、予想外のことが起こり、急遽計画が変更になったのです。

私:予想外の事?

ヒマリ:ええ、私たちにとって、コユキやユウカがゲーム開発部に協力的になることは想定外だったのです。そのため準備不足の状態でゲーム開発部の……いえ、アリスのことを調査しなければならなかった。その結果、先生方を危険な目に合わせてしまった。

私:……なるほど、そういうことですか。つまり、貴女とその協力者……状況から察するに生徒会長の調月リオさんでしょうか。は、天童アリスと名乗るあの少女のことを知っていて、それがどういった存在なのか確認しようとした、と言ったところでしょうか。

 

ヒマリ:(驚いた様子で)……今の説明でそこまで理解されたのですね。

私:リオさんについては当てずっぽうでしたが、あっていましたか?

ヒマリ:はい。ですが、一つだけ補足があります。私たちが調べたかった事、それはアリスさんともう一人、先生のこともあります。

私:私ですか?

ヒマリ:はい。失礼を承知ですが、アビドスでの騒動でのきな臭い動きから、私は先生の事をどういった人物なのかを知りたいと思っていました。

私:成程、確かにミレニアムにとっては突然武器の手配を依頼してきた怪しい人物、と言ったところだったでしょうか。

ヒマリ:……ええ。

私:それで、どうでしたか? 私の評価は。

ヒマリ:そうですね……この学校に来られて以降先生のことを見させていただいていましたが、先生はよき先生として、ゲーム開発部の子たちやユウカのことを導いていらっしゃったと思います。疑ったことを恥ずかしいと思うほどに、先生は先生でした。

私:……。

ヒマリ:……ですから、先生に対して謝罪と感謝を述べたくて、お呼びしたのです。試すような真似をしたことへの謝罪と、あの子たちを導いてくれたことの感謝を。

 

私:……成程、理解しました。

ヒマリ:お許し、いただけますか?

私:許すも何も、別に怒るような内容ではありませんよ。学校を守る立場として考えると、当然の事でしょう。

ヒマリ:……ですが……

私:気にされるのであれば、一つお願いを聞いてもらえませんか?

ヒマリ:はい? 私にできることでよければ。

私:ええ、これはユウカさんにもお願いしているのですが……

 

私は明星ヒマリに、調月リオ生徒会長と会談する場を設けたいという要望を伝えました。

その後は、特異現象捜査部の活動内容などについて雑談をし、対話は終了となりました。

記録は以上です。




ミレニアム編 完結です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。