手記の作成日はアビドス編とミレニアム編の間です。
手記 事前対策
①ベアトリーチェへの対策
小鳥遊ホシノとの友好関係を結ぶことに成功した現状、最も気を払うべき相手は目下、
私のいないゲマトリア、もといベアトリーチェ、ということになるでしょう。
私の手札では現状アリウスを支配しているベアトリーチェを直接攻撃することは不可能ですが、
彼女の取った行動の経緯については報告を受けていた以上、おおよそ分かっています。
かつての私は彼女と同輩であったため、好む好まざるに関わらず、彼女が明確にこちらを裏切るまでは手を出せなかったのですが、今は異なります。
こちらの持てる情報を最大限に活用して、対処するべきであると考えています。
それにあたり、今後の目標を最終目標と個別の目標に分け、整理しておきます。
最終目標
ベアトリーチェを
色彩についてはこちらでも完全に理解している訳ではありませんが、自暴自棄となったベアトリーチェが色彩を呼び寄せた結果、この世界に色彩が到達した。あるいは到達するのが早まった、というのは状況から見て間違いありません。呼び寄せた方法も彼女自身しか知り得ない情報でもありますが、あの『先生』がとった解決方法でうまくいくとは限らないため色彩をここに到達させない、あるいは最低限それを遅らせる必要があると考えています。
よって、彼女にはこちらの目的を直前まで気づかせず、逃がすことなく打倒してしまうというのが最終目標となります。
個別目標①
百合園セイアとの連携
ベアトリーチェが成功したと考えていた百合園セイアの暗殺は、偽装工作にすぎませんでした。
しかし、その偽装が余りにも完璧であったがゆえに、トリニティ内部でも犯人捜しが躍起になって行われており、『先生』はそれに巻き込まれた形となります。
偽装に成功すること自体は自明であるので、それをうまく活用できないでしょうか。襲撃が実行される日まで時間が無いので、そのためには早急に手を打たなければなりません。
個別目標②
エデン条約の乗っ取り及び巡航ミサイルによる攻撃阻止
エデン条約の締結が成功するかどうかに関しては正直なところどちらでも構わないのですが、エデン条約を利用されること、および、ミサイルによる多大な被害は避けるべきです。これに関しては、最悪の想定としてミサイルを着弾前に撃墜することを考える必要がありますが、それよりも発射地点候補の確認や、トリニティ、ゲヘナ双方への事前の擦り合わせが必要となるでしょう。
アリウスの兵たちは精鋭とはいえ数は多くありません。切れる手札を十分に使い有利に立ち回れるよう入念な準備を行う予定です。
個別目標③
スクワッドへの離反工作
成功する確率は低いと思われますが、ベアトリーチェが特別扱いしていたスクワッド、特にロイヤルブラッドと呼び寵愛していた秤アツコを離反させることができれば、最終目標を達成できる可能性が高まります。
少なくともエデン条約締結日まで直接関わることは不可能でしょうが、ベアトリーチェの目的とアリウスの生徒たちの目的はそもそも共通のものではないため、つけ入る隙はあるかもしれません。
当面はこれらの目標に向けて準備をする必要があるでしょう。まずはトリニティで会うべき人物が一人います。
それについては別途記録を残す予定です。
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②桐藤ナギサとの対話記録
アビドスの仕事を終えた私は、トリニティへの訪問を最優先タスクとしていました。名目は砲兵の派遣に対する礼ですが、目的は生徒会長たちに会うことです。そしてアポイントを取るコネクションが阿慈谷ヒフミしか存在しないため、ブラックマーケットで覆面をしている彼女の写真とともに念入りにお願いをしたところ、思いがけず翌日すぐスケジュールの調整が出来たとの返事がありました。戦力支援のお願いをした時もそうですが、彼女は桐藤ナギサからとても重要視されているようです。最も、本人がそれに気づいているかは怪しいものですが。
これはトリニティへ初めて訪問した際の対話記録です。
桐藤ナギサ(以下、ナギサ):それでは、改めまして先生。ようこそいらっしゃいました。
私:ご丁寧に、ありがとうございます。本日は急なお願いにお応えいただいたばかりか、このようにお茶までご用意いただき、恐縮の至りです。
ナギサ:まあ、先生ともあろう方がそこまでご丁寧にされることはありませんよ。それに私たちも一度、『シャーレの先生』にお会いしたいとは常々思っておりましたから。
私:それは光栄です。……私たち?
ナギサ:ええ。ご存じかもしれませんが、ここトリニティには私含め3人の生徒会長がおります。トリニティの名の通り、フィリウス・パテル・サンクトゥスの3つの分派それぞれに代表を選出しているという訳です。
私:つまり、残りのお二人の生徒会長も、ということですか。
ナギサ:ええ、ですが、ミカさん……パテル派代表の聖園ミカは最近何かに勤しんでおり、姿を見せないことがあるのです。そして、サンクトゥス派の代表である百合園セイアは本来この場に同席する予定だったのですが、先ほど体調が優れないと、急遽不参加となってしまいました。今日は調子がよさそうだと思っていたのですが……
私:体調不良? 大丈夫なのですか?
ナギサ:……よくあることですので、そこまで心配は不要と言われているのですが、そういわれてもやはり、心配するものはするものです。……あ、申し訳ありません、身内の話ばかりで
私:いえ、構いませんよ。ナギサさんがその方たちのことを大切に思っていることが伝わってきました。
ナギサ:そ、そうですか。うふふ、少し照れてしまいますね……
私:それにしても、急な訪問した身で言うのもどうかとは思いますが、随分お忙しい様子だとお聞きしましたよ。
ナギサ:……そうですね、近々この学園にとっても大きなイベントがありまして、その準備がありますので
私:エデン条約、ですか?
ナギサ:ご存じでしたか。
私:ええ、一応
ナギサ:そうなのです。準備にやることが多くありまして
私:そうでしょうね。それに、今まで対立していた学園同士が不可侵条約を結ぶとなると、反発も大きいのでは?
ナギサ:……それは、どういう意味ですか?
私:失礼いたしました。決して揶揄したりする意図はないのです。ただ、少々きな臭い話を耳にしまして……
ナギサ:きな臭い話、ですか?
私:はい。実は今回急ぎ訪問したのは、もちろんこの前のお礼をお伝えするためもありますが、この話をするためでもあるのです。
ナギサ:……どういったお話でしょう。
私:エデン条約を利用して良からぬことを企んでいる者がいるようです。そしてその者は、エデン条約締結の責任者となる人物たちの身を狙っている、と。
ナギサ:……急にそのようなことを言われても……いえ、そのお話が嘘ではないとしてですが、どうしてこちらに来たばかりであるはずの先生がそのような話を知ったのですか?
私:……それに関しては、外部から来た大人として、特殊なコネクションを持っている、としか言えませんね。
ナギサ:そうですか……
私:急にこのような話をして申し訳ありません。ですが、私としてはこの話を鵜呑みにしてほしいという訳ではないのです。
ナギサ:え?
私:与太話としてでも聞いていただき、少しでも警備を強化するなどしていただければ、と思っただけです。私としても確信や根拠のある話ではないのです。
ナギサ:そうでしたか……貴重な情報、ありがとうございます。そちらについては、こちらでもお調べするとともに、警備についても考えてみます。
私:はい、ぜひお願いします。また、こちらで何か分かれば、お知らせします。
ナギサ:はい、こちらも何か掴めれば、共有させていただくことがあるかもしれません。
私:ええ、何でもご相談ください。
この話はこれで終了となり、その後はアビドスでの話やシャーレの仕事内容など、そして阿慈谷ヒフミとどのように知り合ったのかなど(これに関しては、アビドスに観光に来ていたと無理のある誤魔化しをしました)世間話をして、桐藤ナギサの次のスケジュールの時間が迫っているという事で会談は終わりとなりました。
記録は以上となります。
明日からトリニティ編となります。