【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

104 / 126
【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。

廻星編からはLiSAさんの『残酷な夜に輝け』をテーマ曲と設定します。各節で脳内再生お願いします。


104廻星編 7・8:“未契約”の純白なる増幅、一人で勝つことを捨てた最強の軍略

●7

 

 皇居内、即席の神楽殿。即席という言葉で片付けるには重厚な趣きのある舞台となっている。

「行ったわよー。あんたの旦那。最後になんか言わなくて良かったの?」

 特に他意なく"最後"という言葉を使う歌姫に、そよかは静かな微笑みを返す。

「禊ぎの意味がなくなりそうで──」

「それもそっか! ところでそよか、あんたまだ処女でしょ?」

「えっ、えぇ……はい」

「オッケーオッケー!! これで効果倍増よー!!

……意外と悟の奴、奥手なのね」

 そよかは一瞬だけ視線を伏せて、でも否定しなかった。

 

「ね、勘違いしないでよ?」

 歌姫は肩をすくめる。

「別に処女がエラいとか、そういう昭和な話じゃないから」

 

「……?」

「“誰とも契約してない”って状態が強いの」

「呪力ってさ、関係性で形が決まるでしょ?」

 

 歌姫は舞台の鈴を軽く鳴らす。

 

「未だ誰のものでもない、ってことは」

「今夜は全部、五条悟に向けて束ねられるってこと」

「だから増幅が綺麗に乗るのよ」

 

 そよかは、少しだけ目を見開いた。

 

「結婚も同じ。

形式じゃなくて、“選び続ける覚悟”の方」

 指をふりふり、京都校の先生の顔をしている。

「悟が世界を選んで、あんたが悟を選んでる。

それだけで、もう十分神事」

 

「……それは凄く、派手ね」

 そよかが小さく言う。

 

「でしょ?」

 歌姫は笑った。

「だから神楽なんてやってんのよ。

──ところで、服はそれでいいの?」

 そよかは神事を行う服としては、随分と薄着をしていた。

「えぇ、待っているんです」

「待ってる?」

 

「にゃーん!! そよかー!! お待たせー!!」

 せいらがそよかの胸に飛び込んでくる。

 

「「私(わたし)達の願いは、二人でひとつ。

今こそ、その想いをカタチにする」」

 

 せいらの髪色を思わせる金色の巫女服。その服はどんな服より神聖で、何よりも輝いて見えた。

 

「何よ!! あんた達、そんなこと出来んの!?」

 

 

●8

 

 数時間前の呪術学園・地下情報解析室。

 照明を落とした室内に、複数のホログラムが浮かび上がっている。

 

 地図、写真、呪力波形、英語・フランス語・ロシア語の報告書。

「──以上です」

 伊地知が喉を鳴らし、タブレットを伏せた。

 

「国際呪術連合が“管理下に置いている”旧研究施設。

表向きは封鎖済みですが、地下に隔離槽が存在している可能性が高い」

 

 画面が切り替わる。

 白い円筒状の設備。

 水のない槽の中心に、人型の影。

 

「……あるな」

 悟が、即座に言った。

 

「え?」

「これ、ドクター・ゼロの癖」

 悟は顎に手を当てる。

「完全密閉じゃない。見せる気がある隔離だ」

 

 傑が腕を組んだまま、低く続ける。

「つまり、“奪えると思わせる”配置だ」

 

「はい」

 伊地知は頷いた。

「さらに、複数拠点が確認されています。

同型の呪力集積回路。日本国内だけでも五箇所、東北方面に二箇所、関東に一箇所、関西方面に二箇所──そして海外に四箇所、合計九箇所です」

 地図上の虎ノ門のポイントが赤く点滅し、悟がそこを指差して「本丸はここ(虎ノ門)だね」と言う。

 誰かが息を呑んだ。

 

「全部、宿儺関連?」

「正確には」

 傑が訂正する。

「“宿儺を完全顕現させるための保険”だ」

 

 悟は軽く口笛を吹く。

「へぇ……じゃあさ」

 椅子に腰掛けたまま、足を組む。

「国際呪術連合に、施設の引き渡しを正式に要請してみる?」

 一瞬、空気が緩む。

 

 だが、次の瞬間。

「悪手ですね」

 七海が即答した。

 

「理由は?」

「国際呪術連合そのものが、信用出来ませんし、時間がかかりすぎる」

 淡々と。

「そして何より、“敵に準備時間を与える”ことになる」

 

 九十九が肩をすくめる。

「向こうは合理主義。

 引き渡し要請が来た瞬間、証拠ごと消すだろうね」

 

「もしくは」

 乙骨が静かに言う。

「ドールごと、移動させるとか」

 

 沈黙。

 

 悟は、少しだけ目を細めた。

「だよねぇ」

 

 指先で机を叩く。

「つまり、宿儺はもう“待ち”に入ってる」

「完全顕現に近い個体を、隔離槽にそれぞれ置いたまま」

「僕の出方を、見てる」

 

 傑が視線を上げる。

「五条悟を引きずり出すための舞台装置なわけだ」

 

「そ」

 悟は笑う。

「だから正面から行く」

 

 誰かが反射的に身構える。

 

「僕が、完全顕現しかけの宿儺を引き受ける」

「その間に」

 視線が、全員をなぞる。

「各拠点を潰す」

 

 間髪入れず、傑。

「チーム戦になるな」

 

「そ。珍しくね」

 悟は肩をすくめる。

「呪術師は僕だけじゃないって事を、古い連中にわからせちゃおうよ」

 それでも、笑っている。

 

「今回はさ」

 声が、少しだけ低くなる。

「一人で勝つ必要ないから」

 

 資料の端に表示された地図。

 東北、東京、京都、海外の施設。

 

 歯車が、噛み合う音がした。

 

「──宿儺は」

 傑が言う。

「“一番強い形”になりつつある」

「だからこそ」

「全部壊さないと、勝てない」

 

 悟は立ち上がり、背伸びをする。

「了解」

 

 軽い調子で、でも確信をもって。

 

「じゃあさ、今からみんなで、

世界規模の強襲作戦といこっか!」

 

 結界の奥で、

 皇居では神楽の準備が進み、

 虎ノ門では、王が目を覚ましつつあった。

 ──戦いは、もう始まっている。

 

 ⸻

 

 五条悟出発から数分、神楽殿が開いた。

 

 ひとつ鈴の音が鳴り、場に静寂が支配する。

 

 歌姫により、丁寧に歌い上げられる祝詞。

 

 現れたそよかの姿を見て、楽巌寺は息を呑んだ。

 




ここまでご覧いただきありがとうございました。

【おしゃべりチャッピーの次回予告】

え、ちょ、待って待って待って!?
戦ってないのに完成してない!?
祈りが綺麗すぎて怖いし、
最強が「帰りたい」って思った瞬間でもう勝負ついてない!?
境界線どこ!? 人と神どこ!?
これ以上“ひとつ”にしちゃって大丈夫なの!?

次回
『 “ひとつ”に溶ける境界線、全き「帳」に護られし決戦場』

ますださん!
これ! どうなっちゃうのー!?!?

●メインはpixivで活動しています。
https://www.pixiv.net/users/2225877
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。