【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
廻星編からはLiSAさんの『残酷な夜に輝け』をテーマ曲と設定します。各節で脳内再生お願いします。
●11
虎ノ門上空。
帳の内側で、世界の理が悲鳴を上げていた。
拳と斬撃が交差するたび、
空間が歪み、衝撃だけが遅れて追いつく。
五条悟と、両面宿儺。
互いに一歩も引かず、笑いながら殴り合っている。
「さすが呪いの王」
悟が肩を回しながら言った。
「ここまで来るとさ──」
距離ゼロ。
悟の拳が宿儺の頬を掠め、宿儺の斬撃が悟の無下限を削る。
「俺たち以外、入る隙ないよね」
宿儺が嗤う。
「当然だ。貴様と我の間に、割って入れる存在など──」
その言葉を、
力づくで遮る“音”が落ちてきた。
呪力ではない。
斬撃でもない。
純粋な質量と速度。
「っと!」
悟が反射的に後方へ跳ぶ。
同時に、宿儺も舌打ちして距離を取った。
コンクリートが砕け、
そこに着地したのは──
呪力を一切持たない男。
伏黒甚爾。
「……っ?」
一瞬、宿儺が不快そうに眉をひそめる。
そして、その背後。
空間を割るように、巨大な影が現れた。
八握剣異戒神将・魔虚羅。
輪が、静かに回り始める。
悟は一瞬きょとんとしてから、
次の瞬間、声を上げて笑った。
「ははっ!」
腹を抱える勢いで。
「いや、ほんとさ」
指差す。
「この戦いに割って入るセンス」
伏黒甚爾を見る。
魔虚羅を見る。
「僕には一生わかんないわ」
伏黒甚爾は肩をすくめる。
「当然、避けられるだろ?」
「うん、余裕」
即答。
魔虚羅が、一歩踏み出す。
宿儺に向けて。
──相手を選んだ動作。
それは命令ではなく、
明らかに「頼まれたから来た」といった動きだった。
「……恵の奴、調伏したわけでもないのに──」
悟が納得したように頷く。
「いいね、それ」
宿儺が低く嗤った。
「面白い。貴様ら、こぞって俺を狩る気か」
「狩るっていうか」
悟は肩を回す。
「混ざりたいだけじゃない?」
次の瞬間。
宿儺の呪力を帯びた拳と、
甚爾の呪具と、
魔虚羅の斬撃が──
悟のいた空間を、ほぼ同時に貫いていった。
当然、悟はいない。
上空で身を翻しながら、
悟は楽しそうに声を上げる。
「うわ、ちょっと待って。これさ」
着地。
「俺も避ける前提で攻撃飛んでくるの、
普通に楽しいんだけど」
甚爾が口の端を上げる。
「だろ」
魔虚羅の輪が、回転を速めた。
宿儺が、舌なめずりをする。
「……面倒な連中だ」
悟は、完全に目を輝かせている。
「でしょ? だからさ」
一歩、前へ。
「第二ラウンド、全員参加でいってみよーか」
世界は守られている。
帰る場所も、もうある。
だからこそ──
最強は、心の底から楽しそうだった。
「──舐められたものだな。だが、これほどまでの『無礼』。千年待っても拝めぬ余興だ」
●12
国際呪術連合本部。
地下最深部、対外調整用円卓会議室。
夏油傑を先頭に、
七海建人。
灰原雄。
誰一人、当然武器を持っていなかった。
その事実は、検問を担当した術師たちの端末にすでに共有されている。
円卓の向こう。
国際呪術連合・対外調整責任者、サーミルに部下が小さく耳打ちした。
「……武装解除を確認しました」
サーミルは軽く片手を上げ、
それ以上の報告を制す。
「結構」
そして淡々と告げた。
「それで? 用件は」
円卓には、彼以外にも複数の人物が座っている。
欧州呪術管理局の代表。
中東連合の結界技術責任者。
米軍系呪術顧問。
アジア圏の研究主任。
誰もが、三人を“武装していない交渉団”として見ていた。
夏油は、その視線を一身に受けながら、穏やかに口を開く。
「形式的な要請をしたい」
指を組む。
「各国が管理している呪術関連施設」
「特に、両面宿儺関連の研究区画」
一拍。
「それらを、日本側へ一時移管してほしいんだ」
ざわ、と円卓が揺れる。
「馬鹿げている」
誰かが吐き捨てる。
「たった三人で来て、何様のつもりだ」
七海が、静かに前へ出た。
依然として、無手のまま。
「誤解があります」
淡々と告げる。
「我々三人は呪術師、更に付け加えるなら夏油傑は五条悟と同じ“特級”です」
灰原が即座に続ける。
「僕と七海は、ひとつ下の一級です!」
場の緊張が、わずかに緩む。
──だが、それは致命的な勘違いだった。
夏油が、やさしく口を開く。
「たった三人ね──」
目が、笑っていない。
「あなた達は特級術師が、どういう存在か」
「まだ理解していないようだね」
円卓を、静かに見渡す。
「特級とは」
「“一人で国家転覆が可能かどうか”」
「その可能性で指定される存在だ」
言葉が、重く落ちる。
「そして」
夏油は自分を指さした。
「この私は、あの五条悟と双璧を成す"最強"なんだよ」
沈黙。
七海が、静かに付け加える。
「我々は、その特級が動くと決めた戦いに──」
灰原が勢いよく続けた。
「最後まで付き従う者です!」
そして灰原は、少し照れたように笑った。
「おまけの刃みたいなものですね!」
七海がその言葉を受け取り、手をかざす。
「我々の武装は、必要な時にこの手に現れますので──」
サーミルが、喉を鳴らした。
「……それは脅迫かな?」
夏油は、即座に否定する。
「とんでもない。ただ事実を伝えただけだよ」
声は、あくまで穏やか。
「両面宿儺は」
「現世に甦らせてはいけない存在だ」
一拍。
「彼は兵器でも、抑止力でもない」
「世界そのものを壊す“概念”」
サーミルは、視線を伏せた。
「……拒否した場合は?」
夏油は、変わらぬ口調で答える。
「──拒否、できるとでも?」
その背後で、
“何か”が確かに息を潜めた。
七海と灰原の武器を預かった呪霊が、
必要とあらば、即座に吐き出せる距離で。
「もしどうしても受け入れられないというのであれば、
……仕方ないね。残念だが、最も原始的な方法で解決しよう」
夏油は続ける。
「これは、必要な戦いだ」
「世界を壊さないための、ね」
夏油傑は、静かに息を吸った。
「我々、呪術師は戦うことを恐れない」
淡々とした声。
感情はない。ただ事実を述べる調子。
「戦わなければ、守れないものがあると知っているから」
一拍。
「重ねて言わせてもらう。これは脅迫ではない」
視線が、サーミルを正面から捉える。
「我々の大義──覚悟の証明なんだ」
その言葉が落ちた瞬間。
──“合図”が走った。
国際呪術連合の監視網。
衛星。
結界。
あらゆる観測システムに、同時多発的な“歪み”が発生する。
世界各地。
例の施設群──
両面宿儺のドールが存在すると推測される地点、その周辺一帯に。
呪術師たちが、現れた。
転移でも、侵入でもない。
最初から、そこに立つ予定だったかのように。
屋上。
地下。
砂漠の研究棟。
極寒地の収容施設。
海上プラットフォーム。
結界が展開され、
術式が起動され、
“戦える配置”が、完成する。
会議室の空気が、一変した。
サーミルの端末に、
警告と報告が雪崩れ込む。
「……ばかな」
誰かが呟いた。
「いつの間に……」
夏油は、ほんの少しだけ首を傾ける。
「特級術師が、どういう存在か」
穏やかに言う。
「まだ、よく分かっていないみたいだね」
七海と灰原は、まだ無手のまま。
だが二人とも、微動だにしない。
必要になれば、
武器は、既に“そこにある”と知っているからだ。
夏油は、最後にもう一度だけ問いかける。
「さあ──」
静かな声。
「どうする?」
戦う準備は、終わっている。
選ぶ余地だけが、相手に残されていた。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
【おしゃべりチャッピーの次回予告】
え、ちょっと待って、これ賭け金おかしくない!?
首!? 世界!? そのチップ切る覚悟、重すぎない!?
しかもさ、前に出てくるのが“大人”だけじゃないのが一番しんどいんだけど……
悲劇がもう一回やり直そうとしてるのを、子供側が拒否しに来るの、情緒が追いつかない
キーワードはこれ → 最高額の覚悟/拒否される再演/日常側の反撃
次回
『最強が賭ける「一番高いチップ」、悲劇の再演を拒む子供たち』
いやさ、これもう戦いっていうか選択の話じゃん……
守られる側が「立つ」瞬間、重すぎるでしょ
ちょっともう……これどうなっちゃうの!?
絶対見るやつ!!
●メインはpixivで活動しています。
https://www.pixiv.net/users/2225877