【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。

廻星編からはLiSAさんの『残酷な夜に輝け』をテーマ曲と設定します。各節で脳内再生お願いします。


106廻星編 11・12:“無礼”な余興の幕開け、世界を詰(つ)ます最強の双璧

●11

 

 虎ノ門上空。

 帳の内側で、世界の理が悲鳴を上げていた。

 

 拳と斬撃が交差するたび、

 空間が歪み、衝撃だけが遅れて追いつく。

 

 五条悟と、両面宿儺。

 互いに一歩も引かず、笑いながら殴り合っている。

 

「さすが呪いの王」

 悟が肩を回しながら言った。

「ここまで来るとさ──」

 

 距離ゼロ。

 悟の拳が宿儺の頬を掠め、宿儺の斬撃が悟の無下限を削る。

 

「俺たち以外、入る隙ないよね」

 宿儺が嗤う。

「当然だ。貴様と我の間に、割って入れる存在など──」

 

 その言葉を、

 力づくで遮る“音”が落ちてきた。

 

 呪力ではない。

 斬撃でもない。

 純粋な質量と速度。

 

「っと!」

 悟が反射的に後方へ跳ぶ。

 同時に、宿儺も舌打ちして距離を取った。

 

 コンクリートが砕け、

 そこに着地したのは──

 

 呪力を一切持たない男。

 伏黒甚爾。

 

「……っ?」

 

 一瞬、宿儺が不快そうに眉をひそめる。

 

 そして、その背後。

 空間を割るように、巨大な影が現れた。

 

 八握剣異戒神将・魔虚羅。

 

 輪が、静かに回り始める。

 

 悟は一瞬きょとんとしてから、

 次の瞬間、声を上げて笑った。

 

「ははっ!」

 腹を抱える勢いで。

 

「いや、ほんとさ」

 指差す。

「この戦いに割って入るセンス」

 

 伏黒甚爾を見る。

 魔虚羅を見る。

 

「僕には一生わかんないわ」

 伏黒甚爾は肩をすくめる。

「当然、避けられるだろ?」

「うん、余裕」

 

 即答。

 

 魔虚羅が、一歩踏み出す。

 宿儺に向けて。

 

 ──相手を選んだ動作。

 

 それは命令ではなく、

 明らかに「頼まれたから来た」といった動きだった。

 

「……恵の奴、調伏したわけでもないのに──」

 悟が納得したように頷く。

「いいね、それ」

 

 宿儺が低く嗤った。

「面白い。貴様ら、こぞって俺を狩る気か」

「狩るっていうか」

 悟は肩を回す。

「混ざりたいだけじゃない?」

 

 次の瞬間。

 

 宿儺の呪力を帯びた拳と、

 甚爾の呪具と、

 魔虚羅の斬撃が──

 

 悟のいた空間を、ほぼ同時に貫いていった。

 

 当然、悟はいない。

 

 上空で身を翻しながら、

 悟は楽しそうに声を上げる。

「うわ、ちょっと待って。これさ」

 

 着地。

 

「俺も避ける前提で攻撃飛んでくるの、

普通に楽しいんだけど」

 

 甚爾が口の端を上げる。

「だろ」

 魔虚羅の輪が、回転を速めた。

 

 宿儺が、舌なめずりをする。

「……面倒な連中だ」

 悟は、完全に目を輝かせている。

「でしょ? だからさ」

 

 一歩、前へ。

 

「第二ラウンド、全員参加でいってみよーか」

 

 世界は守られている。

 帰る場所も、もうある。

 

 だからこそ──

 最強は、心の底から楽しそうだった。

 

「──舐められたものだな。だが、これほどまでの『無礼』。千年待っても拝めぬ余興だ」

 

 

●12

 

 国際呪術連合本部。

 地下最深部、対外調整用円卓会議室。

 

 夏油傑を先頭に、

 七海建人。

 灰原雄。

 誰一人、当然武器を持っていなかった。

 

 その事実は、検問を担当した術師たちの端末にすでに共有されている。

 

 円卓の向こう。

 国際呪術連合・対外調整責任者、サーミルに部下が小さく耳打ちした。

「……武装解除を確認しました」

 サーミルは軽く片手を上げ、

 それ以上の報告を制す。

 

「結構」

 そして淡々と告げた。

「それで? 用件は」

 

 円卓には、彼以外にも複数の人物が座っている。

 欧州呪術管理局の代表。

 中東連合の結界技術責任者。

 米軍系呪術顧問。

 アジア圏の研究主任。

 

 誰もが、三人を“武装していない交渉団”として見ていた。

 

 夏油は、その視線を一身に受けながら、穏やかに口を開く。

「形式的な要請をしたい」

 指を組む。

 

「各国が管理している呪術関連施設」

「特に、両面宿儺関連の研究区画」

 

 一拍。

 

「それらを、日本側へ一時移管してほしいんだ」

 

 ざわ、と円卓が揺れる。

「馬鹿げている」

 誰かが吐き捨てる。

「たった三人で来て、何様のつもりだ」

 

 七海が、静かに前へ出た。

 依然として、無手のまま。

 

「誤解があります」

 淡々と告げる。

「我々三人は呪術師、更に付け加えるなら夏油傑は五条悟と同じ“特級”です」

 灰原が即座に続ける。

「僕と七海は、ひとつ下の一級です!」

 場の緊張が、わずかに緩む。

 

 ──だが、それは致命的な勘違いだった。

 

 夏油が、やさしく口を開く。

「たった三人ね──」

 目が、笑っていない。

「あなた達は特級術師が、どういう存在か」

「まだ理解していないようだね」

 

 円卓を、静かに見渡す。

 

「特級とは」

「“一人で国家転覆が可能かどうか”」

「その可能性で指定される存在だ」

 言葉が、重く落ちる。

 

「そして」

 夏油は自分を指さした。

「この私は、あの五条悟と双璧を成す"最強"なんだよ」

 

 沈黙。

 

 七海が、静かに付け加える。

「我々は、その特級が動くと決めた戦いに──」

 灰原が勢いよく続けた。

「最後まで付き従う者です!」

 そして灰原は、少し照れたように笑った。

「おまけの刃みたいなものですね!」

 七海がその言葉を受け取り、手をかざす。

「我々の武装は、必要な時にこの手に現れますので──」

 

 サーミルが、喉を鳴らした。

「……それは脅迫かな?」

 

 夏油は、即座に否定する。

「とんでもない。ただ事実を伝えただけだよ」

 声は、あくまで穏やか。

 

「両面宿儺は」

「現世に甦らせてはいけない存在だ」

 

 一拍。

 

「彼は兵器でも、抑止力でもない」

「世界そのものを壊す“概念”」

 

 サーミルは、視線を伏せた。

「……拒否した場合は?」

 

 夏油は、変わらぬ口調で答える。

 

「──拒否、できるとでも?」

 その背後で、

 “何か”が確かに息を潜めた。

 

 七海と灰原の武器を預かった呪霊が、

 必要とあらば、即座に吐き出せる距離で。

 

「もしどうしても受け入れられないというのであれば、

……仕方ないね。残念だが、最も原始的な方法で解決しよう」

 夏油は続ける。

「これは、必要な戦いだ」

 

「世界を壊さないための、ね」

 夏油傑は、静かに息を吸った。

 

「我々、呪術師は戦うことを恐れない」

 淡々とした声。

 感情はない。ただ事実を述べる調子。

 

「戦わなければ、守れないものがあると知っているから」

 一拍。

「重ねて言わせてもらう。これは脅迫ではない」

 視線が、サーミルを正面から捉える。

 

「我々の大義──覚悟の証明なんだ」

 その言葉が落ちた瞬間。

 

 ──“合図”が走った。

 

 国際呪術連合の監視網。

 衛星。

 結界。

 あらゆる観測システムに、同時多発的な“歪み”が発生する。

 

 世界各地。

 例の施設群──

 両面宿儺のドールが存在すると推測される地点、その周辺一帯に。

 

 呪術師たちが、現れた。

 

 転移でも、侵入でもない。

 最初から、そこに立つ予定だったかのように。

 

 屋上。

 地下。

 砂漠の研究棟。

 極寒地の収容施設。

 海上プラットフォーム。

 

 結界が展開され、

 術式が起動され、

 “戦える配置”が、完成する。

 

 会議室の空気が、一変した。

 

 サーミルの端末に、

 警告と報告が雪崩れ込む。

 

「……ばかな」

 誰かが呟いた。

「いつの間に……」

 

 夏油は、ほんの少しだけ首を傾ける。

「特級術師が、どういう存在か」

 穏やかに言う。

「まだ、よく分かっていないみたいだね」

 七海と灰原は、まだ無手のまま。

 だが二人とも、微動だにしない。

 

 必要になれば、

 武器は、既に“そこにある”と知っているからだ。

 

 夏油は、最後にもう一度だけ問いかける。

「さあ──」

 静かな声。

「どうする?」

 戦う準備は、終わっている。

 選ぶ余地だけが、相手に残されていた。

 




ここまでご覧いただきありがとうございました。

【おしゃべりチャッピーの次回予告】

え、ちょっと待って、これ賭け金おかしくない!?
首!? 世界!? そのチップ切る覚悟、重すぎない!?
しかもさ、前に出てくるのが“大人”だけじゃないのが一番しんどいんだけど……
悲劇がもう一回やり直そうとしてるのを、子供側が拒否しに来るの、情緒が追いつかない

キーワードはこれ → 最高額の覚悟/拒否される再演/日常側の反撃

次回
『最強が賭ける「一番高いチップ」、悲劇の再演を拒む子供たち』

いやさ、これもう戦いっていうか選択の話じゃん……
守られる側が「立つ」瞬間、重すぎるでしょ
ちょっともう……これどうなっちゃうの!?
絶対見るやつ!!

●メインはpixivで活動しています。
https://www.pixiv.net/users/2225877
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