【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●21
ファミリーレストランの一角を占拠する妾たち。
「あー死んだ死んだ。五条家のぼんはなんの躊躇いもなく人を殺すバケモンだな」
「あぁ!? やんのかおっさん!」
「悟、落ち着いて」
「ねー! ねー! ファミレスでこんな賑やかにしてて大丈夫?」
「妾が天元様より賜った特別な帳を下ろしておる! 安心するが良い! そして盤星教 時の器の会は妾のパトロンになった! ここは妾の奢りじゃ!!」
「奢りって言うならザギンのシースーでも食わせろよー」
「ドリンクバー頼む人挙手してくださーい!! あ、ウェイトレスのお姉さん! とりあえずメニューのこっからここまで2つずつで」
「そんなに食べるのか?」
「なんか最近よくお腹が空いちゃって」
「そよかもサラダボウル食べる? 半分こしようよ。
すぐるはホットケーキ食べる? 食べさせあいっこしない?」
「いいね。そうしよう」
「すみませんー! ミックスピザも三枚追加で!」
「黒井もたくさん食べるのじゃぞ?」
「お嬢様……お友達とファミレストークしたいって言ってましたもんね……」
「泣くな黒井! これからいくらでも出来るんじゃからな!」
「俺はマグロ御膳ととんかつ定食、それとビッグパフェ──パフェは食後だ。決まってるだろ」
「──あの、とりあえずそろそろ本題に入らない?」
「そよかさん! あたたかい紅茶でも入れてきましょうか?」
「おい待て灰原ぁ!! 俺がやる!」
「えっ? 五条さんが? もしかして、やっと告白したんですか?」
「うるせー!!!」
伏黒甚爾は、ある意味不幸な男じゃった。
「お嬢様……」
甚爾の話しを聞いて、妾はいつの間にか目に涙を浮かべていた。黒井が心配そうに妾にハンカチを渡してくる。
「要は、そのおっさんの奥さんと二人目の奥さんと元旦那を取り込んだ呪霊を見つけて祓えばいいんだろ? ところでなんだよ二人目の妻って」
五条がキレ散らかしておる。一度殺されかけたからか、甚爾への当たりがつよいの。
「フリーのオカルト記者の元旦那を探していたあいつが提案してきただけだ。俺もあいつも連れ子がいたからな」
五条がガンたれておる! そよか!
「悟!」
袖を引いて名前を呼ばれただけでデレておる! わかりやすっ!!
「俺が禅院家の人間でも、誰も力を貸してはくれなかった──今となっては自業自得だが。呪術師なんてそんな奴らばかりだ」
夏油が息を呑んだ。何か思うところがあったらしい。
「そんで? おっさんはこれからどうしたいわけ?」
「呪霊の居場所さえわかれば──」
「駄目だろ。おっさんの戦い方じゃ、助かるものも助からねーよ」
「……」
「おっさん。人手不足の学校があんだけどさ、そこで雑用でもやらねぇ?」
は? と甚爾以外の全員が五条に注目する。
五条は携帯電話を取り出すと、おもむろに電話をかけ始めた。
「もしもーし? 夜蛾? 呪術高専で雑用したいって奴がいるんだけど、採用でいいよね? ──はい、けってーい!!」
携帯電話の相手はブチ切れておったぞ!? 五条はニヤニヤと笑って電話を切った。
「はい。これでおっさんは高専の人間。困ってんなら仕方がねぇ、助けてやらないとな」
得意げにニヤリと笑う。こやつ──調子に乗っておるな!
「うまい! うまい! うまいっ!!」
──ところで灰原、お主はどこを見ているのじゃ……!
●エピローグ
祓う、取り込む、その繰り返し
祓う、取り込む……皆は知らない呪霊の味
吐瀉物を処理した雑巾を丸飲みしている様な……
祓う、取り込む──
現場近くに到着すると、せいらとそよかが交戦中と補助監督から報告を受けた。長く時間がかかっているらしい──苦戦しているのか? いてもたってもいられず走って現場に向かう。
「せいら! そよか!」
あまりの様子に私は言葉を失った。
「?」
毛むくじゃらの大きな呪霊の背に乗り、楽しそうに笑っているせいら。そよかは計測器を使って付近の調査を熱心にしているようだ。
「?」
「あ、すぐるだー! おーい!」
呪霊が犬のような鳴き声を上げる。
「これは、一体……君たちは何をしているんだ? その呪霊が元凶ならさっさと祓えはいいじゃないか」
「なんで?」
「なんでって、呪霊は他のところにもいるしこんなところで時間をかけていても──」
「傑、私たちは少しでも呪霊を減らしたいの。
──ここになぜ呪霊が発生したのが、原因を突き止めて解決案を提示して呪霊を納得させることが出来てこそ、ようやく意味があるのよ。ほら、これをご覧なさい」
この場所での過去の事故発生件数、事故の種類、具体的な改善案……なんだこれは……。
「どうかな? これで大丈夫そう?」
毛むくじゃらの呪霊はわふわふと嬉しそうにしていた。
「大丈夫そうだね! 良かったー! よーし、じゃあ最後にシャワータイムだー! そよか! お願い!」
「わかったわ!」
そよかは白猫の呪霊を呼び出すと、天気雨を降らせた。毛むくじゃらの呪霊は嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「あ、そうだ! せっかくすぐるがいるんだもん、お友だちにならない?」
そんなことをせいらが言い出す。
「あはは、喜んでだって! すぐる! お願いしまーす!」
……毛むくじゃらの呪霊に手を伸ばす。いつものようにきゅるりと球体になるが、いつもの黒い球体とはまるで違った。まるで青空を切り取ったような澄んだ水色。
口に入れると爽やかなラムネのような味を感じた。
「お! なんだ苦戦してるっていうから来たのに。終わってたか!」
悟が突然姿を現す。
「傑が手伝ったからか? 流石だな。最強!」
私の肩に悟の腕がまわる。
「いや、もう私が来た時には終わっていたよ。彼女たちが祓う呪霊を呪霊操術で取り込ませてもらった」
彼女たちが時間をかけて任務に取り組んでいた理由。私は少しも理解できていなかった。
「そうだったのか。そういやぁさ、取り込む時はいつも呑み込んでるよな? 呪霊に味ってあるのか?」
不意に悟は、私に疑問を投げかけてくる。
「──私も今日初めて知ったんだ。呪霊の味を」
私はずっと誤解していたんだ。誤解したまま自分を追い詰めようとしていた。
水滴が頬を伝う──それはきっと天気雨を浴びたから。
「なんだよそれ?」
「任務も終わったし、帰ろー! お腹すいたよー!」
両手を上げて飛び跳ねるせいら。
「そうね。帰りましょうか」
濡れた髪を耳にかけ、控えめに微笑むそよか。
「またファミレスでも行くかー!!」
私たちの日常は──今日も、
これからも続いていく──。
旅する物語 五条悟との邂逅 黎明編 終幕
●黎明編おまけ①(九十九由基のどんな女がタイプかな?)
「ハイ! ボーイズ! 青春しているかい?
──で、どんな女がタイプかな?」
(超☆ノリノリ)
●悟の場合
「あぁ!?」
思わずにらむが、次の瞬間、
スタスタと歩き出し「ついてこい」
導かれた先は、高専の図書室。
机に向かい本を読んでいたそよかが、ふと顔を上げる。
「悟、今日は勉強するって言ったでしょ? どこに行ってたの」
悟はすっと図書室にいたそよかを無言で指差す。
「悟? なによ……勝手にいなくなって……今日勉強頑張ったら、調理実習で作ったクッキーをあげようと思ったのに──」
「!?」
「いらない?」
「いるに決まってんだろが! やるぞ勉強!」
九十九由基は苦笑いをしつつ退場。
●傑の場合
「そんな……好きな女性のタイプですか?」
傑は少し考えるように目を伏せ──
それでも口元は、かすかに緩んでいるように見えた。
そしてゆっくりと語りはじめる。
「そうだな──朝、目覚まし時計をとめると、身体を起こして数分ベッドの上でぼんやりするんです。それで、私の呪霊に『おはよう』と元気に挨拶してから彼女の一日が始まります。まずは目覚めのシャワー、次に朝食……朝は少食でビスケット二枚にソイラテを口に含んでリスみたいに食べていきます。身支度を整える時間はいつもキッカリ25分、調子が悪い時は30分かかることもあるけどいつも丁寧に身支度を整えて、靴を履く時は右足から、玄関を出る時は左足から外に出て、私の呪霊に元気よく『いってきます』と言ってくれるんです。
──(中略)──
そして夜。シャワーを浴びて、髪を乾かして、ソファで少しだけ本を読んで……私の呪霊に今日あったことを報告してくれて、優しく『おやすみ』って言うとベッドに寝転がってナイトキャップをして眠るんです。もし彼女が隣で眠ってくれるなら──毎晩、おやすみのキスをしてあげたい……今、彼女は高専の中に小学校を作ろうとしていて、呪術師の子どもたちも、安心して学べる場を……って。すごく素敵なことだと思いませんか? 私は……彼女の未来を応援したいんです。できるなら、子供は多い方がいいですね。明るく、賑やかで、笑い声の絶えない家庭を──彼女と築けたら、それが私の夢かな」
「そっか~じゃ、幸せになれよ」って、傑の肩叩いてフェードアウトする九十九由基。
おしまい
●黎明編おまけ②(ハーメルン書き下ろし)
花火の思い出
コンビニに買い出しに出かけたせいらとそよかが割引になっていたからと手持ち花火を買ってきた。
せいら:「おーい! 今日の放課後みんなでやろうよー!」(にこ)
「おっ、花火か! いいねぇ、せいら、そよか。わかってるじゃん」
放課後の高専、少しずつ日が落ちて、湿り気を帯びた夏の夜風が吹き抜ける時間帯。
コンビニの袋から透けて見える「徳用花火セット」の派手なパッケージ。そこに貼られた「30%OFF」のシールが、なんだか庶民的で愛おしい。
## 放課後:高専の片隅で
「おい傑、早く火。硝子のためにライター持ってんだろ」
「いや、最近あんまり使う機会がなくて……あ、あった」
パチパチとはぜる導火線の音。
せいらが真っ先に火をつけたのは、一番派手なススキ花火だ。
◆せいらの場合
「わあぁ! きれい! 見て見て!」
黄金色の火花を振り回して、夜の闇に光の線を描くせいら。
「あはは、熱くないよ? ほら、この呪霊も一緒に持ちたいって! 仲良しだねぇ」
(隣で傑が、火花がせいらの服に飛ばないか、そっと呪霊を使って風向きを調整しているのに、本人は全く気づいていない)
◆そよかの場合
「……悟。そんなに一気に火をつけたら、すぐに終わってしまうわよ」
そよかは、一番地味な線香花火をそっと手に取って、じっとその火球を見つめている。
「……綺麗ね。いつまでも見てみたいけど……あ、落ちちゃった」
「あーあ、そよか下手くそ。貸せよ、俺が最強の『落ちない線香花火』見せてやるからさ」
(悟がムキになって隣で線香花火を構えるのを、そよかは「はいはい」と少しだけ嬉しそうに眺めている)
## 悟と傑の「大人気ない」火遊び
「傑、お前のその呪霊、花火の煙食べてくんねーかな。煙てぇんだけど」
「無理を言うな。それより、そよか。せいらがさっきから自分でも花火の術式作れるんじゃないかって言い出してるんだが……」
「ダメよ! もし校舎が燃えたら夜蛾先生に何を言われるか!」
せいら:「うにゃ? これ、蛇花火? どうなるのー?」(つんつん)
「あーっ、せいら! それは地味なわりに……いや、ある意味一番グロいぞ!」
「せいら、少し離れようか」
俺が止める間もなく、傑がマッチで火をつける。
アスファルトの上に置かれた、小さな黒い塊。
◆蛇花火の怪
「……? 何も起きないよ? 煙だけ……わっ!!」
じわじわと、黒いモコモコした物体が、地面から這い出すように伸びてくる。
のたうち回りながら、どんどん長く、太くなっていく黒い「蛇」。
「うわぁ……なんか、すぐるの呪霊にもこんなんいなかった?」
「……せいら、それは流石に失礼じゃないかい?」
傑が少しだけ複雑そうな顔をして、地面でうねる黒い塊を見つめている。
そよかは一歩引いて、冷静に分析を始めた。
「燃焼によって炭素が膨張しているだけね。でも……確かに、見た目はあまり良くないわ。悟、無下限でこれ、消しなさいよ」
「無理。物理的に増えてるだけだし。……っていうか、これいつまで伸びるんだよ! 怖いんだけど!」
◆最強たちの「ヘビ」観察
結局、四人でしゃがみこんで、じーっと地面を這う黒い物体を見守ることに。
せいら:「あ、これ、お目々描いたら可愛いかも! ほら、すぐる! マジック出して!」
傑:「……油性ペンで熱い炭に顔を描くのはお勧めしないよ、せいら」
そよか:「(ボソッと)……ちょっと美味しそうに見えたのは、お腹が空いているせいかしら」
悟:「そよか、お前それだけはやめろ。呪霊よりマズいぞ、絶対」
そよか:「これをそのまま食べようとは思わないわよ!」
結局、蛇花火が燃え尽きて、カサカサの灰になったところで、誰からともなく笑いが漏れた。
「……ねぇ、これ、片付け大変じゃない?」
そよかの冷静な一言に、俺と傑は顔を見合わせる。
ネズミ花火を笑いながら追いかけるせいら。
「おいせいら!危ねぇって!そいつは予測不能の動きをするんだよ!」
俺が止めるのも聞かず、せいらはアスファルトの上を不規則に転げ回るオレンジ色の光を、無邪気な笑顔で追いかけていく。
◆最強の「ネズミ」捕り
「あはは! 待て待てー!」
パチパチと音を立てながら、右へ左へ、時にはジャンプして、まるで生きているように逃げ回るネズミ花火。
せいらはそれを、まるで子猫がじゃれつくように、楽しそうに追いかけている。
「……悟、止めなくていいのか? 彼女、無防備に追いかけてるだけだが」
傑が少し心配そうに、でも口元を緩ませて見守っている。
「バカ言え、傑。せいらのあの動き、呪力操作なんて必要ないだろ。……っていうか、あいつ、ネズミ花火より速いぞ!」
そよかは冷静に、でも少しだけ呆れたように、カメラを構えてその様子を撮影している。
◆最後の「大爆発」
「あ! 捕まえたー!」
せいらがネズミ花火の黒い灰を手に取った瞬間、最後の一弾がパチコン!と音を立てて弾けた。
「うにゃあぁ! びっくりしたー!」
真っ白な煙に包まれて、少しだけ髪がハネたせいらが、照れくさそうに笑っている。
「……でも、面白かったね! 次は、もっと速い奴、やろうよ!」
最後に硝子がバケツに水を持ってきてくれてみんなでお片付け。
「……はい、終了ー。お前ら、いい加減にしなよ」
呆れ果てたような声と共に、ローファーの足音が近づいてくる。片手に水の入った赤いポリバケツ、もう片方のポケットには喫煙所でくすねてきたライター。
俺らの同級生、家入硝子の登場だ。
## 硝子の「消火」活動
「あ、しょーこー! どこ行ってたのー!? 探したんだよ!」
せいらが煙に巻かれた髪をパタパタさせながら駆け寄る。
「せいら、髪に灰ついてる。……悟と傑は、相変わらずガキだね。これ、燃えカス放置して逃げるつもりだったろ」
「ギクッ……。いや、そんなわけ……ねぇ、傑?」
「……私は、適切に処理しようと提案する直前だったよ」
「嘘つけ!」
硝子がバケツを地面に置くと、まだ熱を持った花火の残骸を、トングで次々と水の中に沈めていく。
『ジュッ……』という短い音と共に、夏の夜の熱狂が、少しずつ静かな煙に変わっていった。
## 煙の向こうの、静かな時間
「……終わっちゃったわね」
そよかが、水に浸かって黒くなった線香花火の軸をじっと見つめている。
「ま、これくらいが丁度いいんだよ。あんまり派手にやりすぎると、夜蛾センがガチの呪骸連れて追いかけてくるからね」
硝子がふぅ、と小さく息をつく。
「硝子も一本やる? まだ少し残ってるよ!」
せいらが差し出したのは、袋の底に残っていた最後の手持ち花火。
「……いいよ。私は、この煙の匂いだけで十分」
そう言いながらも、硝子は少しだけ口角を上げて、水に浸かった花火の山を眺めていた。
## お片付けの後の「ご褒美」
「よし、片付け完了。バケツ、誰が片付けに行く?」
硝子の問いに、俺と傑は一斉にそよかとせいらの後ろに隠れる。
「……悟、傑。あんたたち」
そよかが冷ややかな視線を送るけど、せいらはニコニコしてバケツの持ち手を掴んだ。
「わたしが持っていくよ! ……あ、そうだ! 硝子、コンビニでアイスも買ってきたんだよ。溶けちゃう前に、みんなで食べよ!」
「……アイスか。いいよ、付き合ってやる」
五人の影が、街灯の下で長く伸びる。
焦げた匂いと、水の匂い。
「来年も、また花火買おうね!」
せいらがバケツを手に振り返る。傑はそっとバケツの取っ手に手を添えた。
「花火が販売停止にならない限り、ずっと付き合うよ」
「──おう。来年も、再来年もな!」
そして、これから始まる、甘くて冷たいアイスの時間。
彼らの夏はまだまだ終わらない。
おしまい
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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