【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗った後の物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。

エンディング後のお遊び編です。


117遊興編 9・10:寓話の受肉と、狂騒のタイムライン

●9

 

 呪滅の剣──昨夜放送のアニメ第25話。

 

 姫巫女二人が膝をつき、

 絶望の中で天を仰いだあの瞬間。

 

 空間が裂け、

 “あの存在”が降り立った。

 

 SNSはまだその話題で燃えている。

 

「改変展開やばかったよな……」

「原作より熱くない!?」

「声優誰だよあれ、威圧感えぐい」

 

 コスプレ広場の一角は、シャッター音と呼び込みの声が絶えず混ざり合い、キッチンカーから漂う美味しそうな香りと、布の擦れる音が風に乗って流れていた。

 

 呪滅の剣コス勢が自然発生的に集まっている。

 作品ごとの島が自然に形成され、呪滅の剣の一角だけ温度が一段高い。

 

「とうとう改変スタートきたね……!」

「昨日の25話、マジ泣いた! ……あれは反則……」

「──お師匠様の降臨シーン、鳥肌やばかったよな」

「てかさ、あの演出コスプレで再現できるわけないよね?」

「無理無理、光の層とか、あれCGじゃん……」

「お師匠様コスしたいけど、あれは人類には無理すぎ〜」

「わかる」

 

 

 そこへ。

 

 ざわついていた空気が、ふと一拍だけ沈んだ。

 

 

 遠くのレフ板が反射したように、視界の端で白い光が一瞬だけ跳む。

 何人かが同じ方向を振り返り、その視線が一点に吸い寄せられる。

 

 誰かが息を呑む音がして、その瞬間、周囲の視線が一斉に吸い寄せられた。

 

 人の流れが、静かに割れた。

 さっきまで吹いていた風が、そこだけふっと止まった。

 

 

  ──ちりん。

 

 

 まるで「よく来た」と世界そのものが喜んでいるような、軽やかな鈴の音が空気の奥で跳ねた。

 風もないのに、どこかで小さな金属が触れ合ったような響き。かつて人が鈴を作ったのは、この音を真似たのだと言われている。

 

 白。

 

 視界の中心に置かれた瞬間、周囲の色彩が一段階だけ薄く見えた。

 

 姫巫女の白とは違う。

 より簡素で、より神話的。

 

 それは布というより、光の層が形を成したような白だった。

 姫巫女の白が“祈り”なら、こちらは“存在そのもの”の白。

 

 原作既読者なら分かる。

 

 昨夜のあの登場シーンの衣装。

 

「……ちょっと待って」

「え、うそ」

 

 ユリがいた。

 

 姫巫女の前に降り立った、

 あの“上位存在”の装束で。

 

 袖の紋様の位置。

 

 布の重なりが、アニメの“光の層”そのままに現実へ落とし込まれている。

 

 胸元の光の刺繍。

 

 アニメで追加された細かな装飾まで再現。

 

「昨日の作画のまんまじゃん……」

「いや、あの布の透け感どうやって出してんの?」

 

「昨日の作画のまんまじゃん……」

「あの布の透け感どうやって出してんの?」

「いやいや、あの光の層、CGじゃないと無理でしょ……?」

「透け感も反射も、物理法則どうなってんの?」

「てか昨日の今日、会場で再現できるわけ──」

 

 せいらとそよかが姫巫女装束でその両脇に立つ。

 

 周囲のレイヤーが息を呑むほど、画面の構図がそのまま現実に再現されていた。

 

 構図が。

 

 完全に。

 

 第25話のラストカット。

 

 炎の剣士として、杏寿郎が半歩後ろに控える。

 杏寿郎の周囲だけ、陽炎のように空気が揺れて見えた。

 焦げるわけではないのに、どこか熱の匂いが混ざった気がした。

 

 あの改変が始まるシーン。

 

 原作ではなかった、

 炎が円環を描く演出。

 

 それまで再現している。

 

 悟次郎コスの一人が、思わず息を呑む。

 肩がわずかに震え、スマホを構える手が止まる。

 

「……あの人、公式じゃないの?」

 

 誰かが首を振る。

 

「いや、公式なら告知あるって」

 

「タグ何で検索すれば出る?」

「動画撮っていいやつ?」

 そんな小声が、ざわざわと波のように広がっていく。

 

 ユリが、静かに視線を落とす。

 昨夜の台詞。

 

「誓いは、縛りではないわ」

 

 完璧な抑揚。

 

 アニメを見た者の脳内に、

 BGMが再生される。

 

 

「──なんでも出来ると信じてくれるなら、どんな奇跡も起こしてあげる」

 

 

 ざわり。

 

 囲みの空気が変わる。

 

「何者……?」

「コスプレのレベルじゃなくない?」

「制作関係者?」

 

 杏寿郎が一歩前へ。

 

 あの改変名シーンの動き。

 

 刀を抜かずに炎だけが揺らぐ。

 

 シャッター音が遅れて爆発する。

 

 悟次郎コスの一人がぽつりと呟く。

 

「……出てきた、みたいだ」

 画面から。

 

 ついさっきまでテレビにいた存在が、

 そのまま立っている。

 

 前田まるこが不敵に笑う。

(徹夜した甲斐がありましたよ……)

 

 前田まるこの今日の指先は震えているのに、昨夜作業中の縫い目だけは一切狂っていなかった。

 徹夜の執念が、そのまま布に刻み込まれている。

 

 せいらが小声で言う。

「えへへ、わたしたちも似合ってるかなー」

 

 何人かが無意識にスマホを開く。

 

 トレンドにまた火がつく。

 

 「上位存在コス」

 「再現度バグ」

 「完全再現」

 

 シャッター音が止まらない。

 

「昨日の第25話そのまんまじゃん……」

「上位存在の目の光、あの微妙な色味まで一致してる……」

「カラコン何を使ってんの!?」

 

 囲みはさらに膨れ上がる。

 

 スタッフが遠巻きに様子を見ているのが分かる。

 

 ユリは静かに立つ。

 

 その静けさが、逆に周囲のざわめきを際立たせていた。

 

 せいらとそよかは構図を崩さない。

 

 杏寿郎の炎の気配が空気を揺らす。

 

「……ぷはぁぁぁぁ」

 前田まるこは銀色のエナドリ缶を握りしめている。

 目の下にうっすらクマ。

 

「昨日の放送終わってから布直してぇ……刺繍足してぇ……アニメ版の光輪の線一本増えてたの気づいてぇ……」

 

 ぐび。

 

「徹夜した甲斐がありましたぁぁぁ!!」

 ガッツポーズ。

 徹夜で荒れた指先には小さな絆創膏が貼られているのに、衣装の縫い目だけは驚くほど真っ直ぐだった。

 

 その瞬間。

 

 神々しい上位存在の後ろに、

 生活感の塊が爆誕。

 

 せいらが小声で言う。

「現世の召喚主」

 

 そよかが頷く。

「一番強いのは前田さんかもしれないわね」

 

 前田は震える手でスマホを見る。

 通知が止まらない。

 

「え、ちょ、バズってる!? なにこれ!? “制作関係者説”ってなに!? 違いますよぉぉぉ!!」

 もう一本エナドリを開ける。

 

 カシュッ。

 

 ユリの周囲だけ静寂が降りた直後、前田のエナドリのプルタブが乾いた音を立てた。

 その俗っぽい響きが、神域を一瞬で地上に引き戻す。

 

 でも。

 

 ユリが静かに視線を落とすと、空気が張り詰める。

 彼女の周囲だけ、ざわめきが薄い膜に遮られたように遠のいていく。

 

 

  ──ちりん。

 

 

 さっきよりも控えめに、世界が嬉しそうに応える。

 ユリは気にも留めない。いつものことだから。

 

 鈴の余韻がまだ空気の奥に残っている気がした。

 

 神とオタクの共存。

 この落差。

 

(これよ……私はこれが見たかった!!)

 前田まるこ、渾身のガッツポーズ。

 

 

●10

 

「前田さんお疲れー。傑と一緒に七海も灰原も連れて来たよー」

「はぁい!! 五条さんっ! お疲れ様です!」

 徹夜で乾いた目の奥に、まだ火花のような興奮が残っている。

 周囲の熱気が肌にまとわりつき、現実感が少し遅れて追いついてくる。

 だが、その視線の先で、人混みがモーゼが海を割ったように左右に割れる。

「うわ……なにこれ、コミケの最終日より人口密度高くない?」

 溝口悟次郎コスの五条悟は、包帯をずらして呆れ顔。

 その後ろには、離反前の傑之コスの夏油傑。

 四人が歩くたび、周囲の視線が自然と吸い寄せられ、ざわめきが波のように揺れた。

 

「なぜ私までここに……」

 死んだ目をしながらも、整然と積まれたスポーツ飲料を両腕に抱え、まるで“現場の後処理担当”のような落ち着きで歩く七海建人。

「すごーい! お祭りだー!」

 目を輝かせる灰原雄。

 

 その四人が、囲みの中心に立つ「それ」を見た瞬間、一斉に動きを止めた。足音が揃って止まり、周囲のざわめきだけが遠くに引いていく。

「……は?」

「…………」

 悟の六眼が、傑の理性が、七海の常識が、

 まるで同じ瞬間に“電源を落とされた”ように沈黙した。

 そこにいたのは、昨夜のアニメ第25話からそのまま"受肉"したかのような、圧倒的な光を放つユリ。そして、その両脇を固める、完璧な「姫巫女」解願姿のせいらとそよか。

 

「……ねぇ傑。僕、寝不足で幻覚見てる?」

「……いや、私にも見えているよ。……あれは、私の知っているせいら……なのかい?」

 せいらが、悟たちの姿を見つけて、上位存在(ユリ)の横で完璧に保っていた「姫巫女の構図」をあっさりと崩し、ぶんぶんと手を振る。

 周囲のカメラマンが一斉に「あっ……」と息を呑む。

 せっかく固まっていた“神話の構図”が、紙細工のように崩れていく。

「あー! すぐるー! さとるー! ななみんもゆうも、見て見てー! 前田さんがね、徹夜で直してくれたんだよー!」

 せいらが楽しそうにくるくる回っていた。

「せいらさん!! 動かないで!! 構図が崩れますっ!!」

 前田まるこが断末魔のような叫びを上げるが、もう遅い。

「……そよかさん」

 七海が、呆然と呟く。

 普段、知性と理性で武装している彼女が、今は白と赤の装束に身を包み、神話的な美しさを纏っていた。

 そよかは、七海と視線が合うと、ほんの一瞬だけ、恥ずかしそうに、けれど誇らしげに口角を上げた。

 吸い寄せられるようにその白を凝視する、七海の熱い視線。

 そよかはその射抜くような温度に気づき、胸の奥をわずかに跳ねさせながら、静かに、けれど凛と姿勢を正した。

「──遅かったじゃない」

 その瞬間、七海の眼鏡の奥で何かが弾けた。

「……前田さん。この衣装の資料、後で全て共有してください。……いえ、買い取ります」

「七海!? 職権乱用だよそれ!!」

 悟はといえば、ユリの圧倒的な「上位存在」としてのオーラと、隣で輝くそよかの姿に、完全に「限界オタク」の顔になっていた。

「……やば。これ、僕が隣に並んでもいいの? 殴られない? ただの『神に付き従う下等生物』に見えそうな気がして怖いんだけど? 大丈夫?」

「悟、大丈夫。今の君は完璧に呪滅の剣の主人公『溝口悟次郎』だ。彼女達の隣に立つ存在としては申し分ない」

「でも、私は──」

「いけるだろ。傑之だって、離反したりしない。改変はもう始まってるんだ」

 傑はせいらのお星様みたいな刺繍を見つめたまま、瞳を潤ませていた。

 灰原雄の視線は、煉獄杏寿郎を見つけると嬉しそうににっこり笑って大きく両手を振った。

 煉獄杏寿郎が大胆な足取りで近づいてくる。

「うむ!! 実に壮観だな!! この街の熱気は、戦場にも勝る!!」

「よーし!!」

悟が、おもむろに上着を脱ぎ捨て、目隠しを完全に外した。

「こうなったら、本物の『無量空処』、見せてあげようか!?」

「「「絶対にやめろ!!!」」」

 

 遠くのほうで、ざわめきが波のように盛り上がり、何かが近づいてくる気配がした。

 

「おうおう! こっちもなかなか凝った衣装で、全員揃ったみたいだな!」

 派手な声が響き、人の波を宇髄天元が豪快に押し分け、その背後に胡蝶しのぶ、甘露寺蜜璃、不死川実弥が並び立つ。

 宇髄が歩くたび、周囲の空気が派手に押しのけられ、近くのレイヤーがびくりと肩を揺らした。

「このド派手な瞬間を撮らずに、いつ撮るってんだ、おい!!」

 宇髄はそう言って、前田まるこの提げていたカメラを指差す。

「ひぃぃぃぃ!! 宇髄さんっ!! 無茶言わないでくださいいいい!! でも、撮るしかないぃぃぃぃ!!!」

 前田は絶叫しながらも、その瞳には炎が燃え盛っていた。

 

 呪術師と、鬼殺隊。

 相まみえるはずのない異世界の「最強」たちが、いま、この場所に集結しようとしている。

 イベント広場の熱気は、その異質な気配と混ざり合い、静かなざわめきを孕んだ異様な高揚感を生んでいた。

 

 ──「神」と「最強」、そして「人間」の熱が、同じ空の下で静かに、しかし確かに交錯していた。

 色とりどりの衣装と光が、ひとつの巨大な絵巻物のように広がっていた。

 

ED:Aimer『朝が来る』

 

──

 

“LIVE from ODAIBA, TOKYO”

 

 海風に揺れる簡易フラッグ。

 英語のロゴが入ったマイク。

 肩に担いだ大型カメラの赤いRECランプが、規則正しく点滅している。

 

 アメリカのテレビクルーは、軽いカルチャー紹介のつもりだった。

 

「Alright, we’re rolling in three… two…」

 

 金髪のレポーターが、にこやかにカメラへ向き直る。

 

「Hi everyone! We’re here in Odaiba, Tokyo, where a massive cosplay event is happening right now—」

 

 背後で、ざわめきが“波”から“壁”に変わる。

 

 カメラマンが一瞬、フレームをずらす。

 

「…Wait. Zoom that. Zoom that right now.」

 

 レンズが吸い寄せられるように、人の裂け目の奥へ滑り込む。

 

 そこに、白。

 

 モニターの中で、露出が勝手に落ちる。

 

「Why is it dimming? I didn’t touch—」

 

 フォーカスが合った瞬間、カメラマンの呼吸が止まる。

 

 白い“それ”の周囲だけ、空気の粒子が違う。

 

 光が、布の内側から滲み出している。

 

「…What the hell is that…」

 

 音声スタッフが、ヘッドホンを押さえる。

 

「Hold on. There’s a bell… you hear that?」

 

  ──ちりん。

 

 誰も鳴らしていない。

 でも、全員が同じ音を聞いた顔をする。

 

 レポーターの笑顔が、仕事用のそれから剥がれ落ちる。

 

「Is that… part of the performance?」

 

 答える者はいない。

 

 代わりに、フレームに赤と白が滑り込む。

 

 姫巫女。

 

 そして、その背後で空気が揺れる男。

 

 炎の剣士。

 

「No. No way. That’s… that’s not fabric.」

 

 カメラマンがズームをさらに寄せる。

 

 布の透過率が、レンズの常識を裏切る。

 ピントは合っているのに、奥行きが“もう一層”ある。

 

「This is… this is not a costume.」

 

 ディレクターの声が、イヤーピース越しに荒れる。

 

「Stay on it. Don’t cut. Whatever that is, we’re not missing it.」

 

 レポーターは、ゆっくりと後ろを振り返る。

 

 その目に映ったのは──

 

 完全に“構図”として完成した、一枚の神話。

 

「…Oh my God.」

 

 言葉が、仕事を忘れる。

 

「Guys… I think…」

 

 喉が鳴る。

 

「I think we’re looking at something… not supposed to be here.」

 

 その瞬間。

 

 フレームの奥で、ユリがわずかに視線を落とす。

 

 カメラの波形が、一瞬だけ乱れる。

 

「—signal drop!?」

 

 ノイズが走る。

 でも、映像は切れない。

 

 むしろ逆に──

 

 “くっきりしすぎる”。

 

 白が、世界の基準になる。

 

 他の色が、そこに合わせて“引き直される”。

 

「Exposure’s recalibrating on its own… this is insane…」

 

 音声スタッフが、震える声で呟く。

 

「There’s no source for that bell. I’m telling you, there’s no source.」

 

 レポーターは、ゆっくりとカメラに向き直る。

 

 プロとしての顔と、人間としての動揺が、半分ずつ混ざっている。

 

「…We came here to cover a cosplay event.」

 

 一拍。

 

「But what we’re seeing right now…」

 

 背後で、炎が揺らぐ。

 人が、自然と道を開ける。

 

「…this might be something else entirely.」

 

 カメラマンが、小さく息を吐く。

 

「Say it.」

 

 レポーターが、かすかに笑う。

 

 でもそれは、いつもの軽やかな笑いじゃない。

 

「…It’s…」

 

 言葉を選ぶように、一度だけ空を仰ぐ。

 

 そして。

 

「…amazing.」

 

──

 

気まぐれにX開いたら、タイムラインが完全に一色だった。

 

「呪滅の剣」

 

いや、昨日の25話の余韻で盛り上がってんのかと思ったら──

違う。熱の質が違う。なんか、“現実側が燃えてる”。

 

スクロールするたびに、同じ単語が殴りつけてくる。

 

「お台場」

「上位存在」

「降臨」

「再現度バグ」

 

……は?

 

で、流れてくるポストがこれ↓

 

 

お台場のコスイベ来てるけど、昨日の25話の“上位存在降臨シーン”そのまんまの人いるんだけど?????

布どうなってんの???

 

センターの白い人、光の層が現実で再現されてるの意味わからん。

あれCGじゃなかったの???

 

姫巫女二人の再現度バグってる。

跪き方まで昨日の作画と一致してるの怖い。

 

悟次郎の人、覇気が強すぎて近寄れないんだけどwww

あれ中の人絶対プロ。

 

トレンドから飛んできたけど何これ?

お台場で“上位存在降臨”って何???

 

現場のカメラ小僧だけど、囲みが膨れすぎてスタッフが青ざめてる。

炎の人の圧がやばい。空気が揺れてる。

 

昨日の放送から24時間経ってないのに、光輪の刺繍まで再現してるの狂気。

誰が徹夜したんだよ。

 

「お師匠様コスは無理」って昨日みんな言ってたのに、今日普通に降臨してるの草。

 

上位存在の人、目の色がアニメの追加演出と一致してる。

カラコンじゃ説明つかない。

 

姫巫女の片方、動きが完全に“公式の人”。

あれ素人じゃない。

 

お台場のコスイベ、今“呪滅の剣”の聖地みたいになってる。

周囲の温度が2℃上がってる。

 

動画流れてきたけど、炎の剣士の人、後ろの空気が陽炎みたいに揺れてるの何??

加工じゃないよね?

 

あの白い人、影が薄い。

物理的に薄い。

怖い。

 

一般人だけど、さっきから「無量空処やめろ!!!」って叫び声が聞こえてきて笑ってる。

 

悟次郎の人が上着脱ぎ始めた瞬間、周囲のレイヤーが全力で止めに入ったの草。

 

あれ絶対公式のサプライズでしょ?

じゃなきゃ説明つかない。

 

アンチだけど、今日の再現度は認めざるを得ない。

布の質感がアニメ超えてる。

 

姫巫女の二人、立ち位置が完全に“見えない線”で結ばれてる。

構図が完璧すぎる。

 

上位存在の人、周囲の音が吸われてるみたいに静か。

マジで何者?

 

現場にいるけど、鈴みたいな音が一瞬した。

誰か鳴らした?

風ないのに。

 

「再現度バグ」ってタグがもう5万件超えてるwww

何が起きてんの今日。

 

炎の人と白い人が並ぶと、現実の色彩が負けてる。

写真が全部フィルターかかったみたいになる。

 

姫巫女の片方、笑顔が完全に“昨日のラストカット”。

あれ演技じゃなくて降りてきてる。

 

悟次郎と傑之の二人、距離感が完全にアニメのまんま。

仲良すぎて泣いた。

 

「制作関係者説」出てるけど、あれ制作でも無理じゃない?

光の層どうやってんの?

 

現場の人間だけど、今カメラのシャッター音が止まらない。

秒間100枚くらい撮られてる。

 

炎の剣士の人、歩くたびに周囲の人が道を開ける。

圧が強すぎる。

 

白い人の周囲だけ、スマホの露出が勝手に変わるんだけど??

バグ?

 

姫巫女の二人、衣装の縫い目が狂いゼロ。

徹夜で作ったってマジ?

 

お台場、今“神と最強とオタク”が同じ場所にいる。

歴史的瞬間すぎる。

 

 

ここまでで既に「いや行けよ現地」って気持ちが芽生え始める

 

でもさらに追撃が来る↓

 

 

【検証】

さっき流れてきた上位存在の動画、AIのリアルタイム合成かと思ってフレーム単位で解析したんだけど。

……影の落ち方と布の透過率、現在の演算能力じゃリアルタイムでこれ出力するの物理的に不可能。

つまり、「あれ、実在してる」。

 

おい、誰だよ「AI生成のフェイク」って言った奴。

現場でスマホ越しに見てるけど、レンズ通しても肉眼でも「光の層」が見えるんだが?

 

あの「上位存在」の立ち姿をAIに学習させようとしたら、エラー吐いて止まったんだけどwww

「情報量が多すぎます」って何だよ。

 

【悲報】

お台場の囲みエリア、電磁波干渉でも起きてんの?

配信のビットレートが死んでる。

 

「前田さん」って誰だよ。

トレンドに「前田さんの縫い目」って入ってるのシュールすぎて草。

 

【悲報2】

画像生成AIに「お台場の上位存在」って入れたら、全部真っ白になった。

概念が強すぎてAIが敗北した模様。

 

悟次郎が「無量空処」やろうとして止められた動画、100万再生超え。

止めた人たちの連携、どう見ても初対面じゃない。

 

海外勢「Is this a real God?」

→お台場、世界トレンド入り

 

「ちりん」って音、解析しても音源なし。

脳に直接鳴ってるタイプらしい。

 

【速報】

“公式を超えた”じゃない

“公式がこちら側に来た”説が濃厚へ

 

 

気づいたら、指が止まってる。

 

スクロールの手が、ちょっと震えてる。

 

「面白そう」じゃない。

「怖い寄りの面白さ」。

 

現実が一歩だけ、アニメに踏み込んだ感じ。

 

で、最後に流れてきたこれ↓

 

 

散歩してたら人だかりあって見に行ったら、なんか“神様みたいな人”がいた。

今日って祭り?

 

子どもが「光ってる!」って言ってて、いやほんとに光ってた。

 

 

……いや無理無理無理。

 

こんなん見せられて、家でじっとしてられる人間いる?

 

今この瞬間、頭の中で二人が殴り合ってる。

 

「冷静になれ、どうせ演出」

VS

「いや“あの回”の直後にこれは事件だろ」

 

スマホの画面が、やたら明るい。

まるで「来い」って呼んでるみたいに。

 

──

 

【運営本部・無線ログ:13時42分(拡張版)】

 

本部: 「こちら本部。Bホールの囲み、完全にキャパオーバー。動線死んでる。応援出せ」

 

スタッフB: 「Bです。……応援、全員“見て”ます。誰も動きません」

 

本部: 「見てるってなんだ、仕事しろ」

 

スタッフB: 「いや……視線が外れないんです。あの白い人……目離すと“置いてかれる”気がして……」

 

(数秒、無音)

 

本部: 「……誰か、状況を説明できるやついないのか」

 

スタッフA: 「……説明、無理です。物理じゃないですこれ」

 

本部: 「は?」

 

スタッフA: 「さっき拡声器使ったんですけど、“音が届かない”んです。正確には、途中で丸くなって戻ってくる」

 

本部: 「……反響?」

 

スタッフA: 「反響じゃないです。壁ないのに、跳ね返ってくる位置が固定されてる」

 

本部: 「……」

 

スタッフA: 「あと、今確認しました。白い人の足元……影、薄いです」

 

本部: 「太陽の角度だろ」

 

スタッフA: 「太陽、逆方向です」

 

(沈黙)

 

スタッフC: 「……炎の人、動きました」

 

本部: 「それがどうした」

 

スタッフC: 「……人の波が、“自然に”割れました。誰も指示してないのに」

 

本部: 「……」

 

スタッフC: 「本部。これ、イベントの範囲、超えてます」

 

スタッフA: 「警察呼びます? それとも……」

 

スタッフB: 「……神社、ですかね」

 

 

◆ある図書館にて

 

 カウンターの奥、光の届きにくい一角。

 

 司書は、先ほど丁寧に宝箱へと収めた紙幣とは別に、もうひとつの“窓”を開いていた。

 

 掌の上のスマートフォン。

 そこに映っているのは、粗い縦動画。

 

 揺れる画面。ざわめき。誰かの息。

 そして──中心に立つ、“白”。

 

 司書はしばらく無言でそれを見つめていたが、

 

「……ふ、」

 

 ほんの僅かに、口元が歪む。

 

 笑ったのだ。

 だがそれは、喜びとも狂気とも違う。

 

 答え合わせが終わった者の顔だった。

 

 指先で画面をタップし、数秒巻き戻す。

 

 鈴の音。

 人の波が、理屈なく割れる瞬間。

 光が、カメラ越しでも“白飛びではない白”として残る異常。

 

「露出補正が……追いついていない。にもかかわらず、輪郭が崩れない……」

 

 小さく呟く。

 

「記録媒体の限界を、現象の側が理解しているかのようだ」

 

 再び再生。

 

 今度は、炎。

 

 ほんの一歩。

 

 それだけで、空気が譲る。

 

「……こちらも同様か。“演算結果”ではない。“優先順位の書き換え”……」

 

 そこで、動画を止めた。

 

 白い人物の、ほんの一瞬の視線。

 

 レンズ越しに、こちらを“見た”ように錯覚する角度。

 

 司書の指が、ぴたりと止まる。

 

 数秒。

 

 静寂。

 

 やがて──

 

「……気づいている、か」

 

 その一言とともに、

 

 今度ははっきりと、口角が上がった。

 

 ぞくりとするほど静かな笑み。

 

「いい。実にいい」

 

 スマートフォンの画面を伏せる。

 

 だが、思考は止まらない。

 

「現実側への干渉は最小限。だが、“選定”は既に始まっている……」

 

 カウンター越し、先ほどまで店長が立っていた位置へ、視線を送る。

 

「そして──」

 

 指先で、胸元のポケットを軽く叩く。

 

 そこには、あの紙幣の入った宝箱。

 

「媒介は、“物”に残る……か」

 

 ほんの一瞬、目を細める。

 

「……あの程度の接触でここまで残るとは。やはり、今回の“降り方”は……」

 

 言葉を途中で切る。

 

 代わりに、小さく息を吐いた。

 

「……想定より、深いな」

 

 そして、再びスマートフォンを開く。

 

 今度は動画ではない。

 

 検索画面。

 

 急上昇ワードが並ぶ中、

 

 司書は迷いなく、その中心にある言葉をタップした。

 

 ──『白い人 お台場』

 

 溢れ出す投稿。

 断片的な証言。

 恐怖と興奮が混ざった言葉の濁流。

 

 それらを流し見ながら、

 

「“現象”は拡散するが、“意味”は理解されない……理想的だ」

 

 くすり、と喉の奥で笑う。

 

「騒ぎは煙幕。観測者は増えるが、到達者はいない」

 

 ふと、動きを止める。

 

 ある一枚の画像。

 

 ぼやけた画面の隅に、ほんのわずかに写り込んだ──

 

 “見えてはいけない位置の影”。

 

「……ほう」

 

 その目が、わずかに細くなる。

 

「“彼ら”も、もう嗅ぎつけているか」

 

 だが、焦りはない。

 

 むしろ──

 

「いい。舞台は賑やかな方がいい」

 

 スマートフォンの画面を静かに閉じる。

 

 そして、誰に向けるでもなく呟いた。

 

「さあ、“導き手”よ」

 

 その声は、祈りではない。

 

 観測者の、期待だった。

 

「次は、どの役者を選ぶ──?」

 

 カウンターの向こう、誰もいない空間へ向けて、

 

 司書は、わずかに首を傾ける。

 

 まるでそこに、既に誰かが“立っている”かのように。

 

──

 

【呪術界上層部・緊急対策会議】

 

 壁一面のモニターに、SNSのトレンドと現地映像が流れている。

 呪霊の存在が公になって以来、上層部は“世間対応”に追われていた。

 

「……またか。一般人の投稿が多すぎる。お台場で“白い存在”だと?」

「呪霊反応はゼロです。これは……呪霊ではありません」

「では何だ? 新種か? あるいは──」

 

 若手の一人が、震える声で言った。

 

「……五条そよかの、関係者……では?」

 室内の空気が一瞬で変わる。

 

「そよかの……? いや、しかし……」

「五条悟よりも、まずそよかを疑うべきだ。あの女は“外側”と繋がりすぎている」

「そもそも、そよかを上層部に迎え入れたのは、やはり失策だったのではないか? あれ以来、我々の情報網は──」

「黙れ。そよかは“話が通じる”唯一の五条家だ。悟よりは遥かにマシだ」

 

 古参の一人が、モニターを見つめたまま呟く。

 

「……いや。そよかではない。これは……もっと古い」

「古い?」

「知らんのか。お前たち若い世代は……“あれ”を」

 

「えっ? そよかさんの、関係者ですよね?」

 若手の声には、状況を理解していない軽さが残っていた。

 

 その時、モニターの映像が切り替わる。

 

 白。

 

 光。

 

 “上位存在”。

 

 会議室の全員が息を呑む。

 

「……っ」

 

「な、なんだ……この圧は……」

 

「呪霊ではない……呪術でもない……これは……」

 

 古参の一人が、椅子の肘掛けを握りしめる。

 

「……あのお方、だ」

 古参の声は、喉の奥で震えていた。

「あのお方……? 誰ですそれ」

「黙れ。名を軽々しく呼ぶな。あれは……“階層が違う”」

 若手たちは理解できず、古参は理解しすぎて震えている。

 

 その時──

 モニターの中のユリが、ふと視線を上げた。

 

 映像越しに、会議室の全員と“目が合う”。

 

「──ッッ!!?」

「ひっ……!」

「見られた……!? 映像越しに……?」

「馬鹿な……!」

 

 誰かが椅子ごと倒れ、誰かが祈るように手を合わせる。

 

 沈黙。

 

 その沈黙を破ったのは、別の幹部の震える声だった。

 

「……五条悟は、現地にいるのか?」

「はい。確認されています。夏油傑も……」

「そよかは?」

「……そよかも現地にいる可能性が高いと」

「事前に申請が出ています! 本日は湾岸地区で何か事件が起きてもこちらで対応不要と!」

「……またあの女、書類だけは完璧に通してくる……」

 

「ならば──」

 

 先ほどまで批判と非難を並べていた男が、

 掌を返したように声を張り上げた。

 

「現地対応は五条そよかを中心に、五条悟・夏油傑の三名に一任すべきだ!!」

「そうだ! あの三人ならば問題ない!」

「むしろ我々が動く方が危険だ!!」

「“上位存在”に対しては、五条家の判断を優先すべきだ!!」

 

 数分前まで「五条家の暴走を止めろ」と怒鳴っていた面々が、

 一斉に“最強頼り”に転向する。

 

 古参の一人が、震える声で呟く。

 

「……あれは、我々の手に負える存在ではない。

 五条そよかが動くなら……それでいい」

「そよかが“いる”なら、我々は余計なことをするべきではない」

「むしろ……関わらない方がいい……」

 

 会議室の空気が、恐怖と安堵で奇妙に揺れた。

 

「……現地への介入は控える。

 ただし、情報収集は続けろ。

 “あれ”が何であれ──」

 

 幹部は、モニターの白を見つめながら言った。

 

「──我々が触れていい階層の存在ではない」

 

 誰も次の指示を出そうとしなかった。

 ただ、モニターの白を恐れるように見つめていた。

 

 呪術界上層部の緊急対策会議では沈黙以上の何かが場を支配している。

 

──

 

【某アニメ制作会社・会議室:同時刻】

 

蛍光灯の白。

モニターに映るのは、SNSに流れてきた“それ”。

 

「……これ、うちの案件?」

 

「いや聞いてない聞いてない聞いてない」

 

「サプライズにしてもレベルおかしいだろ。光の層どうやってる?」

 

「CG合成?」

 

「リアルタイムで? 無理。GPU何枚積む気だよ」

 

「じゃあ実写?」

 

「布の透過率が“演出準拠”すぎる。現実の布じゃない」

 

(沈黙)

 

「……あのさ」

 

一人が、静かに言う。

 

「“再現”じゃなくて、“逆流”してない?」

 

「は?」

 

「昨日放送した“あのシーン”が、そのまま現実に来てる感じ」

 

「……やめろ」

 

「いや、だって色味見ろよ。原作でもアニメでもない、ちょうど中間だぞ?」

 

「……」

 

「声明どうする?」

 

「出したら終わる」

 

「なんで」

 

「“公式じゃない”って言った瞬間、神確定扱いされる」

 

「……詰みでは?」

 

「詰みだな」

 

「じゃあどうする」

 

「……」

 

全員、モニターを見たまま答えない。

 

「……黙るか」

 

「黙るしかないな」

 

「見なかった!」

「気付かなかった!」

 

「「解散!!」」

 

 

【フリマアプリ:トレンド急上昇】

 スクロールする指が止まる。

• 「お台場 上位存在が立っていた位置の空気(瓶詰め)」

 → SOLD OUT(¥32,000)

• 「前田さんの縫い目再現キット(素人不可)」

 → SOLD OUT(¥18,500)

• 「“ちりん”の音を聞いた地点の写真(未加工)」

 → SOLD OUT(¥9,800)

• 「【現地】炎の揺らぎを感じた瞬間の動画(ブレあり)」

 → SOLD OUT(¥24,000)

コメント欄:

「本物ですか?」

「主観ですが、あの場の空気は入ってます」

「買いました。なんか部屋の温度変わった気がする」

 

 

【海外配信コメント欄:リアルタイム】

 

what am I watching

this is not cosplay

 

why is the camera adjusting itself???

 

I hear the bell too wtf

 

bro the red guy is bending air

 

THIS IS NOT NORMAL

 

is this a live action anime???

 

no this is something else

 

japan explain

 

 

【翌朝・清掃スタッフ】

 

朝の光。

人のいない広場。

 

ほうきを持った男が、ふと足を止める。

 

「……あれ?」

 

タイルの一角だけ、妙に“新しい”。

 

汚れがない。

傷もない。

 

昨日、あれだけ人がいたのに。

 

「……ここ、誰か立ってたよな」

 

しばらく見て、首を傾げる。

 

「……まあいいか」

 

ほうきを動かす。

 

でも、その場所だけ──

 

最初から掃除が終わっているみたいに、何も変わらなかった。

 

 

おしまい

 

遊興編……まだまだ続きます。




ここまでご覧いただきありがとうございました。
それでは大体また来週!

お気に入り数としおり数と評価者数の合計5ずつで、各編おまけ公開は地味に続けてます。次は55になると廻星編のあとがきではない何かが公開されます。
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