【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
名駅編では再び高専時代に戻ってます。
note連載中の『チャッピー、またやったな。』でやったエピソードを劇場版って感じで加工してみました。
皆さんの脳内でMAPPAさん作画の劇場版が再生されたらいいなぁと。宜しくお願いします!
●5
しばらく歩くと、重厚な石垣が見えてきた。 ライトアップされた名古屋城の天守が、夜空に浮かぶように輝いている。
「あ、正門は流石に閉まってますね」
灰原が門を覗き込みながら言う。
「流石に今夜名古屋城へこれ以上接近は出来ません」
七海が静かに歩みを止め、落ち着いた声で告げる。
「東門とコラボ店舗の位置を確認して、名城公園のスタンプをとりに行きましょう」
そよかは動じることなく、瞬時に次の最適ルートを提示した。
「えー? なんなら俺が抱っこして飛んでくよ?」
悟がニカッと笑って提案する。
「やめなさい!! 捕まるわよ!?」
そよかは即座に拒否した。
「シャチホコが昔、盗まれたみたいな話がなかったっけ? 不法侵入で捕まりそうだよ」
傑が穏やかに言うと、灰原が素直に頷いた。
「あー。ありそうですね!」
悟はむくれたようにそよかを見る。
「抱っこの方が早いのにー」
「早くても犯罪を疑われるような真似はダメよ!!」
そよかはきっぱりと言い放ち、携帯を持ち直した。
「東門の位置を確認して、名城公園のスタンプを拾って……。 はい、行くわよ。時間がないわ」
そよかは地図を確認しながら歩幅を速め、夜風を切るように歩き出した。
七海と灰原がその後ろに続き、 悟はぶつぶつ言いながらも、結局そよかの後ろを大人しくついていった。
せいらと傑は手を繋いでのんびり後に続く。
名古屋城の石垣を撫でる涼気が、一行の足元をそっと通り抜けていった。
──
名古屋城周辺の夜風は心地よく、街灯の光が石垣を柔らかく照らしていた。
デジタルスタンプラリーの地図を開いたそよかは、画面いっぱいに並んだスタンプを見つめて、ふっと口元を緩めた。
「ふふふ……」
その不敵な笑みに、隣を歩く悟の目がきらりと輝く。
「そよか、機嫌がいい……可愛い……」
「まさか名城公園で名古屋城のスタンプまでとれると思ってなかったですからね!!」
灰原が自分の携帯を掲げながら、嬉しそうに声を弾ませる。
「雨の中、携帯を見ながらGPSを意識しなければならない状態から解放されたのは大きいですね。明日の行程にかなりの余裕が生まれました」
七海が淡々と分析する。
「今夜はこのままホテルに着いたら解散かな?」
傑が夜の街並みを眺めながら提案する。
「そうなの?」
せいらが首をかしげる。
「いえ、まだこれからよ!!」
一同が揃って固まった。
「!?」
完全に休息モードに入りかけていた空気を、そよかの鋭い一言が切り裂いた。
「そうですね。まだあれが残ってます……」
七海が何食わぬ顔で上着の襟元を軽く整え、そよかへ静かに視線を合わせた。
「私たちのコラボルームに集合!! フロントが閉まる前にコラボ謎解きよ!!」
◯コラボルーム集合
数分後。 それぞれの部屋に荷物を置いた一行は、そよかとせいらのコラボルームへ再集合した。
「へー。ここがコラボルームかー」
悟がドアを開けた瞬間、室内の特別仕様な内装に興味深げな声を上げる。
「立ち絵パネルの存在感……」
壁際に飾られた、ほぼ等身大のキャラクターパネルを前に、傑が圧倒されたように微笑む。
「わー。凄いですねー。あ、こっちにも悟次郎、こっちは傑之が!」
灰原はベッドのスローやクッションにプリントされたちびキャラたちを見つけて大興奮で部屋を見回していた。
そんな男子組の賑やかな声を他所に、 部屋の小さなテーブルでは──
そよかと七海が向かい合って座り、パンフレットを広げてすでに“ガチ謎解きモード”に突入していた。
「悟、今度は大浴場入り口! キーワードが置いてあるはずだから写真撮ってきて!!」
そよかが問題用紙から顔を上げ、韋駄天(=悟)に鋭く指示を出す。
「え〜? 俺が? しょうがないな〜、そよかの頼みなら──」
「五条さん一人では心配です。私も行きます」
ガタッ。
悟が引き受けるのと同時に、七海が驚異的な俊敏さで椅子を引いて立ち上がった。 その目は「五条を一人で行動させてはいけない」という強い意志に満ちている。
「ふにゃあ? 片っ端からホテルの中みてくればキーワード全部集められるんじゃないのぉ?」
せいらがベッドにゴロンと横になりながら素朴な疑問を口にする。
「それもひとつの手だけど…… 少しずつ集まっていく方が面白いでしょ」
そよかは笑いながら答え、傑が「なるほどね」と楽しそうに頷いた。
◯大浴場への密偵
悟と七海は部屋を出ると、廊下で無言のスピード勝負を始めた。 呪術を使わない超高速競歩。 ほぼ同時に大浴場入り口へ到着し、互いに一歩も譲らぬ速度で携帯を構えた。
そして──ほぼ同時に戻ってきた。
「撮ってきました」
「俺の方が送信早かったし! 絶対俺の勝ちだし!」
二人が同時に携帯の画面をそよかへ突き出す。
そよかは写真を確認しながら、眉をひとつ寄せてため息を落とした。
「……ちゃんと届いているわよ。受信は同時だったけど」
「えっ!?」
「…………」
悟はその場で固まり、絶望の色を浮かべた。
「……よし。次のキーワードね」
「僕も探してきます!!」
灰原が元気よく部屋を飛び出していく。
傑は傑之のクッションを抱っこしながら、穏やかにその様子を見守っていた。
コラボルームは、散らばるパンフレットと光る携帯の画面で満たされ、
夜なのに熱気だけが増していく“眠らない作戦本部”と化していた。
●6
コラボルームのテーブルには、謎解きキットの紙片が散らばっていた。
スタンプラリーの達成感に浸る暇もなく、そよかは次の難問へと視線を落とす。
「次はフロントにキーワードを伝えに行くはずだけど……」
机の上に並んだ文字の断片を睨みながら、そよかがうなる。
「意味のある文字の並びにすると……『ハイタイ(敗退)』でしょうか?」
七海が淡々と読み上げる。
「……ですが、いかにもバッドエンドなキーワードですね」
そよかは眉をひそめた。
「とりあえず悩むよりは言ってきちゃえばー!?
わたし行ってくるー!!」
せいらがぴょんぴょんと跳ねながら部屋を飛び出していく。
──しかし数分後。
そよかの携帯に『間違ってた』とメッセージが届いた。
更にその後、ドアがゆっくりと開くとトボトボとせいらが入ってくる。
「違うってー……」
せいらは完全に落胆の“しわしわ顔”になり、ベッドの隅で小さく丸まった。
「せいらありがとう。私たちのせいで損な役をさせてしまったわね……」
そよかは申し訳なさそうにせいらの頭を撫で、再び問題用紙に目を落とした。
「どこで間違えたのかしら……」
そよかは紙片を指先で軽く弾き、再び問題へ視線を落とした。
「今から一から考え直すのは、フロントの閉鎖時間までに間に合うかどうか……」
七海が静かに告げる。
部屋の空気が一瞬だけ重くなる。
その時──
「ふむ。この折り紙が何か間違えている気がするな」
傑が静かに折り紙を指先で弄び、光の角度を確かめるように折り目をなぞった。
謎解きキットに含まれていた一枚の折り紙。
それは“あんみつ”のイラストが描かれたものだった。
「何々どういうこと?」
悟が身を乗り出して覗き込む。
「あ、本当だ!
こっち側に折ると、シンプルなあんみつにトッピングがのりますね!」
灰原がパッと声を上げる。
「ふにゃー? こっちのが美味しそう!!」
せいらがしわしわ顔から一転、勢いよく顔を上げた。
「なるほど。その条件(トッピングがのった状態)の折り目で文字を拾い直すと……」
七海が折り紙をそっと広げ、文字を読み上げる。
「『カイヘン(改編/回変)』。
これは次に繋がる一手になりそうです」
そよかの瞳が一気に輝いた。
「せいら! フロントに向かうわよ!!」
そよかはせいらの手を引き、勢いよく立ち上がる。
夜のホテルの廊下に、反撃の足音が力強く響いた。
「よーし、今度こそクリア特典分捕ってきてよ、そよか!」
悟が後ろから手を叩いて応援する。
傑は微笑みながら呟いた。
「食いしん坊なせいらの一言が、結果的に正しいルートへ導いてくれたわけだね」
七海は静かに姿勢を正し、そよかへ穏やかに視線を向けた。
「ミスリードの罠を回避できたのは、全員の気付きがあったからですね」
コラボルームは、まるで深夜の作戦本部のように熱気を帯びていた。
──
ホテルの廊下を駆け抜けるそよかとせいらの足音が、夜の静けさに響いた。
折り紙の“トッピング”から導き出した新たなキーワード──カイヘン。
その確信が二人の背中を押していた。
「せいら、急ぐわよ!」
「うにゃー! いこー!」
フロントのカウンターには、夜勤のスタッフが穏やかな笑顔で立っていた。
「こんばんは。謎解きのキーワードは……?」
そよかは息を整え、胸を張って告げた。
「『カイヘン』です」
スタッフの女性は一瞬だけ目を丸くし、
次の瞬間、ぱっと花が咲いたように柔らかく微笑んだ。
「正解です!」
「やったー!!」
せいらが両手を挙げて跳ねる。
そよかも思わず拳を握った。
「こちら、クリア特典のホログラムポストカードになります。
皆さまの分、六枚ございます」
手渡されたポストカードは、光の角度で色が変わる美しい仕様だった。
そよかは胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
「……嬉しい……」
「ふにゃー! キラキラしてるー!」
二人はポストカードを大事に抱えながら、コラボルームへ戻っていった。
◯コラボルーム・ランダム開封式
他のメンバーはそれぞれの部屋へ戻り、コラボルームにはそよかとせいらだけが残った。
謎解きの興奮がまだ指先に残っている。
「そろそろ大浴場行かなーい?」
せいらがのんびりと声を上げる。
「そうね……そろそろ……でもその前に、今日物販で買ったものをチェックしないと……」
「悟次郎いるかなー?」
「わからないわ……でも、いるいないで追加購入するかどうか決まるし……」
そよかはランダム仕様のパッケージを前に、余計な期待を捨てるように深呼吸した。
「まずはこれね」
ひとつ目を開封する。
「……硝太」
「ざらめえびせん美味しそう。ちょっとだけ食べていい?」
「いいけど──もう夜も遅いし少しにしなさいよ。ふたつ目は……」
「悟次郎だ! 良かったね!」
せいらが嬉しそうに跳ねる。
そよかはほっと胸をなでおろした。
「等身絵で出てくれたのはありがたいわ。次はこれ」
次の箱を手に取る。
「赤みそキャラメル?」
そよかは無言で開封した。
せいらもえびざらめえびせんの袋を、勢いよく開封した。
「ひとつ目は……やっぱり硝太ね。おかしいわ……確率どうなってんのかしら?」
箱の中を覗き込み、思わず眉間を押さえる。
「等身は4種、デフォルメは5種なのに……どちらもひとつ目は硝太を引く確率は……(ぶつぶつ)」
「ほらほらーどんどん開けていこうよー」
せいらがペンペンと背中を叩く。
「はっ、そうね。でもここまでくると、もしかしたらもしかするかもしれないし……」
ビリッ。
「ふにゃー?」
「……セブンスさん……」
「セブンスさん?」
「最近登場した大人キャラよ。この人も少し気になり始めていたから嬉しいわ」
そよかが頬を緩めた、その瞬間──
◯クローゼットからの悲鳴
「ちょっと待って! それ浮気じゃないの!?」
バカッ!!
クローゼットの扉が跳ね上がるように開き、悟が凄まじい勢いで飛び出してきた。
「悟!? まだ帰っていなかったの?」
「開封式やるっていうから誰が出るのか見届けてからと思って!
なんだよこのセブンスってキャラー。微妙に七海に似てない?
こういうの好みなの?」
悟は身悶えしながら詰め寄ってくる。
そよかは冷ややかな目で一言。
「うるさいわね。邪魔しないで!」
「えぇぇぇぇ!!」
悟が絶望の声を上げる横で、せいらは最後のグッズを差し出した。
「ほらほら、あとはアンブレラチャームだよー」
「そうね。これはふたつで一つ……まずひとつ目は……傑之と硝太……硝太またここで来るのね。
ふたつ目は……セブンスさんと悟次郎……」
「凄い引きじゃなーい!? やったー!!」
「ちょっとおおお!
なんで俺の横にそのセブンスってやつが並んでんのさぁぁ!!」
深夜のコラボルームに、最高の引きを喜ぶ二人の歓声と、
一人置いてけぼりの男の悲鳴がこだました。
◯悟、強制送還
隣の部屋から壁を軽く叩く音がした。
「悟、いい加減に戻ってきなさい。不審者で通報されるよ」
傑の穏やかな声が響く。
「えぇぇぇぇ!!」
悟は首根っこを掴まれ、ドナドナされるように連行されていった。
「……これで心置きなく大浴場に行けるわ」
そよかはため息をつき、せいらと一緒にバスタオルを準備した。
「うにゃー、このざらめえびせん本当に美味しい!」
せいらはえびせんをサクサク食べながら笑っていた。
名駅の夜は、まだ終わらない。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
8月15日まで時間不定で毎日更新予定です。
うちの禪院直哉が活躍(?)する関連作品も一旦完結
『あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。』
https://syosetu.org/novel/409273/
◆ノベマ!にて公開中 完結済
https://novema.jp/book/n1778713
→オリジナル作品(現代ファンタジージャンルの不思議な学園ホラー)
お気に入り数としおり数と評価者数の合計5ずつで、各編おまけ公開は地味に続けてます。
85は七海建人2026誕生日に挿絵付き追加公開しました。
次は90です。