【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

156 / 156
【呪術廻戦/五条悟】
世界を越えて、悲劇に抗った後に続く物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。

note連載中の『チャッピー、またやったな。』でやったエピソードを加工してみました。
皆さんの脳内でMAPPAさん作画で再生されたらいいな。宜しくお願いします!


155幻灯編 17・18:強引に始まった救出劇と、広間に響く拒絶の警告

●17

 

 朝。

 

 虎杖悠仁は教室の扉を、元気に挨拶しながら開けた。

 

「おっはよー。みんなー」

 

 補助監督の前田まるこが、

 紙袋を抱えて、虎杖悠仁を待っていた。

 

「おはようございます。虎杖さん」

 

「あ、前田さん!?」

 

 悠仁が教室を見回す。

 

「あれ? みんなは?」

 

「着替えてお待ちですよ」

 

「着替えて?」

 

 前田は。

 

 にこっと笑った。

 

「さぁ、早く虎杖さんもこちらにお着替えください」

 

「え?」

 

 紙袋を渡される。

 

「何これ?」

 

「衣装です」

 

「衣装?」

 

 袋の中を覗く。

 

「……何、この服」

 

「さぁ、早く」

 

「いやいやいや!」

 

 悠仁が慌てて後ずさる。

 

「俺、聞いてないんだけど!?」

 

「大丈夫です」

 

「何が!?」

 

「きっと似合います」

 

「そういう問題じゃないって!」

 

 しかし。

 

 前田は。

 

 笑顔のまま。

 

 じりっと近づく。

 

「さぁ、お早く」

 

「えっ……えっ?」

 

 ──しばらくして。

 

 着替え終えた悠仁が、教室の外へ出る。

 

「……」

 

 固まった。

 

「何これ……」

 

 校庭に。

 

 何かが。

 

 できあがっていた。

 

 巨大な城。

 

 石造りの城壁。

 

 旗。

 

 兵士。

 

 そして。

 

「……なんかセット出来てるんですけどー!!」

 

「おーい!」

 

 遠くから。

 

 声がする。

 

 大きなメガホンを持った男が。

 

 こちらへ歩いてくる。

 

 白い髪。

 

 豪華な衣装。

 

 王冠。

 

 どう見ても。

 

 王子ではない。

 

 完全に。

 

 王様だった。

 

「遅かったじゃん、悠仁」

 

 五条悟がにこにこと笑っている。

 

「みんな待ってるよー」

 

「先生」

 

 悠仁が改めて自分の服を見る。

 

 その隣には。

 

 伏黒恵。

 

 釘崎野薔薇。

 

 吉野順平。

 

 全員。

 

 見事なファンタジー衣装に身を包んでいた。

 

「……何なんだよ、これ」

 

 伏黒が疲れた顔をしている。

 

「私、こんな話聞いてないんだけど」

 

 釘崎が旅人装束の裾をつまむ。

 

「俺もだよ……」

 

 順平が困ったように笑う。

 

 悟は満足そうに両手を広げた。

 

「というわけで!」

 

「どういうわけだよ」

 

「続編です!」

 

 悠仁が目を見開く。

 

「続編?」

 

「そう!」

 

 悟がメガホンを掲げる。

 

「あの名作をもう一度!」

 

「……」

 

 四人が顔を見合わせる。

 

 釘崎がぽつりと呟いた。

 

「まさか」

 

 順平が続ける。

 

「続編……?」

 

「その通り!」

 

 悟が親指を立てる。

 

「続編のタイトルはまだ考え中!」

 

「そこ決まってないの!?」

 

「細かいことはいいの!」

 

 悟が笑う。

 

「さぁ、行こう!」

 

 四人は巨大な城の中へ連れていかれた。

 

 ──。

 

 五条国。

 

 謁見の間。

 

 玉座の前に。

 

 四人の勇者が並んでいる。

 

 虎杖悠仁。

 

 伏黒恵。

 

 釘崎野薔薇。

 

 吉野順平。

 

 そして。

 

 玉座には。

 

 王様。

 

 五条悟。

 

「よく来たね」

 

 悟が満面の笑みで。

 

「勇者たち」

 

「先生」

 

 悠仁が恐る恐る手を挙げる。

 

「これって……」

 

「うん」

 

 悟が嬉しそうに頷く。

 

「『最強王子と森の魔女』の続きを思いついちゃってさ〜」

 

「やっぱり!?」

 

 釘崎が叫ぶ。

 

「でも」

 

 悠仁が。

 

 周囲を見る。

 

「前作って……」

 

 少し考える。

 

「魔王を倒さずに終わったよね?」

 

「そうそう」

 

「じゃあ続編って何するの?」

 

「魔王を倒すとか」

 

「いやいやいや! 無理!」

 

「違う違う! 魔女を助ける」

 

「……?」

 

 悟がにこっと笑う。

 

「僕の王妃の魂が」

 

 少し間を置いて。

 

「魔鏡に奪われちゃったみたいなんだ」

 

「……」

 

 四人が黙る。

 

 伏黒がゆっくり顔を上げる。

 

「王妃?」

 

「うん」

 

「……魔女?」

 

「そゆこと」

 

「……」

 

 伏黒の眉間に皺が寄る。

 

「じゃあ」

 

 釘崎が嫌な予感を抱きながら尋ねる。

 

「私たちは何をするの?」

 

「魔鏡から王妃を取り戻す!」

 

 悟が勢いよく立ち上がる。

 

「よろしくー!」

 

「軽っ」

 

 四人の声が見事に重なった。

 

 すると。

 

 悟が伏黒を見る。

 

「ちなみに」

 

「……何ですか」

 

「恵は魔王の息子」

 

「……」

 

 伏黒の顔が固まった。

 

「……は?」

 

「魔王の息子」

 

「聞こえてます」

 

「よかった」

 

「よくないです」

 

「親子共演だねぇ」

 

「いや、どんな役なんだよ」

 

 伏黒が心底嫌そうに尋ねる。

 

「魔王の息子」

 

「それしか言わないんですか」

 

「だって設定だから」

 

「設定なら何でもいいと思うなよ」

 

 釘崎が横から口を挟む。

 

「いいじゃん恵」

 

「何がだ」

 

「魔王の息子なんて、あんたにぴったりよ」

 

「どういう意味だ」

 

「顔」

 

「……」

 

 伏黒が釘崎を見る。

 

「喧嘩売ってんのか」

 

「褒めてるのよ」

 

「絶対違うだろ」

 

 順平が苦笑する。

 

「まあまあ」

 

 その様子を。

 

 悟は嬉しそうに眺めていた。

 

「いいねぇ」

 

「何がですか」

 

「ちゃんと仲間っぽい」

 

 悟が王笏を肩に担ぐ。

 

「それじゃあ」

 

 一歩。

 

 謁見の間の奥へ進む。

 

「勇者たちよ」

 

 声だけは。

 

 妙に格好いい。

 

「魔鏡の謎を解き、王妃の魂を取り戻してきて」

 

 そして。

 

 最後に。

 

 いつもの軽い笑顔。

 

「よろしくー」

 

「軽っ!!」

 

 再び。

 

 四人の声が響いた。

 

 ──その頃。

 

 誰も知らない。

 

 その「映画」の中で。

 

 本当に。

 

 魔女が大鏡の前に倒れていることを。

 

 そして。

 

 王子が。

 

 今も。

 

 映画の中で。

 

 彼女を待っていることを。

 

 現実と。

 

 夢と。

 

 創作物。

 

 その境界は。

 

 もう。

 

 少しずつ。

 

 崩れ始めていた。

 

 

●18

 

 五条国、謁見の間。

 

「はーい。じゃあ続きいくよー。シーン18テイク1、アクション!!」

 

 五条悟の軽い掛け声とともに、画面外でパチンとカチンコが鳴る。

 

 その瞬間、悟の顔から軽薄さが消え、一瞬にして玉座に君臨する名君の貫禄が宿った。

 

「えっと……」

 

 虎杖が恐る恐る手を挙げた。

 

「つまり」

 

 悟を見る。

 

「王妃のそよかさんが、魂を魔鏡っていうのに奪われて眠り続けている……と?」

 

「そーそー」

 

 悟はにこにこと頷く。

 

「頑張って取り返してきて!!」

 

「なんで最強王子が行かないのよ」

 

 釘崎が即座に突っ込んだ。

 

「え?」

 

「王妃が魂を奪われてるんでしょ?」

 

「そうだよ」

 

「じゃあ、王様が助けに行けばいいじゃない」

 

「僕は僕で忙しいわけ」

 

「何でよ」

 

「最強であるがゆえに」

 

 悟が胸を張る。

 

「国政も完璧でさ」

 

「自分で言うんだ……」

 

「ここで僕が抜けちゃうと」

 

 悟は真剣な顔を作る。

 

「国が傾くの、分かっちゃうわけ」

 

「……」

 

「そしたら不幸な人が増えて」

 

「……」

 

「魔王復活」

 

 悟がびしっと指を立てる。

 

「それは阻止しないと」

 

「理屈が通っているようないないような……」

 

 順平が腕を組む。

 

「妙な説得力はある」

 

「でしょ?」

 

「納得しないで、順平!」

 

 釘崎が叫ぶ。

 

「俺は」

 

 伏黒がずっと気になっていたことを口にする。

 

「魔王の息子扱いされたくないんですけど」

 

「細かいことはいいじゃん!」

 

「細かくないですよ」

 

「とにかく!」

 

 悟が改めて王笏を掲げる。

 

「王妃の魂を取り戻してきて!」

 

「「「えー!?」」」

 

 声が重なった。

 

 伏黒だけ。

 

「……」

 

 無言だった。

 

「恵も言っていいんだよ?」

 

「言いません」

 

「ノリ悪いなぁ」

 

「誰のせいですか」

 

 こうして。

 

 勇者たちは。

 

 半ば強制的に。

 

 王妃救出の旅へ送り出された。

 

──

 

 大鏡の間。

 

 巨大な扉が。

 

 ゆっくりと開いていく。

 

「……」

 

 四人が中へ入る。

 

 そこには。

 

 巨大な鏡があった。

 

「これが……」

 

 順平が息を呑む。

 

「魔鏡?」

 

「たぶん」

 

 虎杖が鏡へ近づく。

 

 その表面には。

 

 何も映っていない。

 

「……王妃の魂は?」

 

「見えないな」

 

 伏黒が答える。

 

 釘崎が鏡の周囲を見回す。

 

「で」

 

「どうするの?」

 

「どうって?」

 

「王妃の魂を救うんでしょ?」

 

「そうだけど……」

 

「どうやって?」

 

「……」

 

 四人が黙り込む。

 

 しばらくして。

 

 虎杖が恐る恐る口を開いた。

 

「『王妃の魂を、鏡から出してもらえれば捕まえます』みたいな?」

 

「一休さんか!!」

 

 釘崎が間髪入れずに鋭いツッコミを叩き込んだ。

 

「え?」

 

「『この屏風の虎を捕まえてください』って言われて」

 

 伏黒が室内を見回しながら言葉を続ける。

 

「『では出してくれたら捕まえます』ってやつだろ」

 

「ああ」

 

 順平が頷く。

 

「それは無理だね」

 

「そもそも」

 

 伏黒が冷静に鏡を見る。

 

「それができるなら」

 

 一拍。

 

「あの王様が勝手に助けてるだろ」

 

「……」

 

 三人が、悟の顔を思い浮かべる。

 

「確かに」

 

「そうね」

 

「納得した」

 

 その時。

 

 鏡の表面に。

 

 ほんの一瞬。

 

 何かが映った。

 

「……!」

 

 四人が一斉に振り返る。

 

 けれど。

 

 そこには。

 

 誰もいない。

 

 ただ。

 

 鏡の奥で。

 

 黒いドレスの女が。

 

 一瞬だけ。

 

 こちらを見ていた。

 

「今……」

 

 虎杖が目を凝らす。

 

「誰かいたよな?」

 

「……いた」

 

 伏黒も鏡を見つめる。

 

 釘崎が小さく息を呑む。

 

「まさか……」

 

 順平が鏡へ一歩近づいた。

 

「王妃……?」

 

 鏡の中で。

 

 魔女が。

 

 ゆっくりと。

 

 顔を上げる。

 

 そして。

 

 その唇が。

 

 わずかに動いた。

 

 ──逃げて。

 

 声なき警告に、四人の表情が凍りつく。

 

 次の瞬間。

 

 重厚な大鏡の間の巨大な扉が、勢いよく内側へ倒れ込むように閉ざされた。

 

 バタンッ!!

 

 重い封鎖の音が、広間に響き渡ったのだった。




ここまでご覧いただきありがとうございました。
それではまた来週。

うちの禪院直哉が活躍(?)する関連作品も一旦完結
『あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。』
https://syosetu.org/novel/409273/

◆TAILESでオリジナル作品公開中
https://tales.note.com/masuda028

お気に入り数としおり数と評価者数の合計5ずつで、各編おまけ公開は地味に続けてます。
100は碧淵編のおまけ2を追加しました。次は105です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TS憑依ゼンゼ(作者:TS好き)(原作:葬送のフリーレン)

幼少期のゼンゼに憑依した。▼とりあえず、死なないように頑張ろう。


総合評価:1938/評価:8.02/連載:15話/更新日時:2026年08月22日(土) 20:13 小説情報

畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件 (作者:鳳飛鳥)(原作:呪術廻戦)

癌で人生を終えた男が、若い頃の過ちが原因で畜生道へと堕ちる▼しかし生前に積んだ徳のお陰でただの畜生道では無く、特別な畜生道へと至る事となった▼その上、生まれ変わったのは生前好きだった漫画の一つ呪術廻戦の世界だった▼好きな作品ではあったが死亡フラグ満載のヤベー世界で畜生道に堕ちた自分がどうやれば生き抜けるのか?▼そんな感じの物語


総合評価:2333/評価:7.23/連載:134話/更新日時:2026年11月06日(金) 22:23 小説情報

日番谷に転生した(作者:使い手なない)(原作:BLEACH)

気がつけば、私は『BLEACH』の世界に転生していた。▼しかも、転生先はあの日番谷冬獅郎――の女の子版、日番谷冬華。▼銀白色の髪に翡翠色の瞳。そして、いずれ手にする氷雪系最強の斬魄刀『氷輪丸』。▼前世の記憶を持つ私は、この世界で待ち受ける数々の悲劇を知っている。▼雛森桃を守りたい。▼市丸ギンを救いたい。▼そして、藍染惣右介の野望を阻止したい。▼そのために必要…


総合評価:1081/評価:6.4/未完:37話/更新日時:2026年11月03日(火) 19:00 小説情報

篠ノ之束になったので配信しながらアベンジする(作者:BBBs)(原作:アベンジャーズ)

気が付いたら篠ノ之束に転生してて成長したらマーべル・シネマティック・ユニバース世界だったのでISもどきを作ってアベンジャーズで頑張ろうという話。▼思いつき作品、続きは不明。


総合評価:23740/評価:8.63/連載:24話/更新日時:2026年10月16日(金) 01:39 小説情報

伏黒恵に転生したから魔虚羅をブン殴る(作者:鈍い)(原作:呪術廻戦)

呪術廻戦の伏黒恵に転生した男が魔虚羅をブン殴る話。▼今作は何番煎じかも分からない伏黒恵転生モノです。


総合評価:4030/評価:7.84/連載:23話/更新日時:2026年09月20日(日) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>