【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗った後に続く物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
note連載中の『チャッピー、またやったな。』でやったエピソードを加工してみました。
皆さんの脳内でMAPPAさん作画で再生されたらいいな。宜しくお願いします!
●17
朝。
虎杖悠仁は教室の扉を、元気に挨拶しながら開けた。
「おっはよー。みんなー」
補助監督の前田まるこが、
紙袋を抱えて、虎杖悠仁を待っていた。
「おはようございます。虎杖さん」
「あ、前田さん!?」
悠仁が教室を見回す。
「あれ? みんなは?」
「着替えてお待ちですよ」
「着替えて?」
前田は。
にこっと笑った。
「さぁ、早く虎杖さんもこちらにお着替えください」
「え?」
紙袋を渡される。
「何これ?」
「衣装です」
「衣装?」
袋の中を覗く。
「……何、この服」
「さぁ、早く」
「いやいやいや!」
悠仁が慌てて後ずさる。
「俺、聞いてないんだけど!?」
「大丈夫です」
「何が!?」
「きっと似合います」
「そういう問題じゃないって!」
しかし。
前田は。
笑顔のまま。
じりっと近づく。
「さぁ、お早く」
「えっ……えっ?」
──しばらくして。
着替え終えた悠仁が、教室の外へ出る。
「……」
固まった。
「何これ……」
校庭に。
何かが。
できあがっていた。
巨大な城。
石造りの城壁。
旗。
兵士。
そして。
「……なんかセット出来てるんですけどー!!」
「おーい!」
遠くから。
声がする。
大きなメガホンを持った男が。
こちらへ歩いてくる。
白い髪。
豪華な衣装。
王冠。
どう見ても。
王子ではない。
完全に。
王様だった。
「遅かったじゃん、悠仁」
五条悟がにこにこと笑っている。
「みんな待ってるよー」
「先生」
悠仁が改めて自分の服を見る。
その隣には。
伏黒恵。
釘崎野薔薇。
吉野順平。
全員。
見事なファンタジー衣装に身を包んでいた。
「……何なんだよ、これ」
伏黒が疲れた顔をしている。
「私、こんな話聞いてないんだけど」
釘崎が旅人装束の裾をつまむ。
「俺もだよ……」
順平が困ったように笑う。
悟は満足そうに両手を広げた。
「というわけで!」
「どういうわけだよ」
「続編です!」
悠仁が目を見開く。
「続編?」
「そう!」
悟がメガホンを掲げる。
「あの名作をもう一度!」
「……」
四人が顔を見合わせる。
釘崎がぽつりと呟いた。
「まさか」
順平が続ける。
「続編……?」
「その通り!」
悟が親指を立てる。
「続編のタイトルはまだ考え中!」
「そこ決まってないの!?」
「細かいことはいいの!」
悟が笑う。
「さぁ、行こう!」
四人は巨大な城の中へ連れていかれた。
──。
五条国。
謁見の間。
玉座の前に。
四人の勇者が並んでいる。
虎杖悠仁。
伏黒恵。
釘崎野薔薇。
吉野順平。
そして。
玉座には。
王様。
五条悟。
「よく来たね」
悟が満面の笑みで。
「勇者たち」
「先生」
悠仁が恐る恐る手を挙げる。
「これって……」
「うん」
悟が嬉しそうに頷く。
「『最強王子と森の魔女』の続きを思いついちゃってさ〜」
「やっぱり!?」
釘崎が叫ぶ。
「でも」
悠仁が。
周囲を見る。
「前作って……」
少し考える。
「魔王を倒さずに終わったよね?」
「そうそう」
「じゃあ続編って何するの?」
「魔王を倒すとか」
「いやいやいや! 無理!」
「違う違う! 魔女を助ける」
「……?」
悟がにこっと笑う。
「僕の王妃の魂が」
少し間を置いて。
「魔鏡に奪われちゃったみたいなんだ」
「……」
四人が黙る。
伏黒がゆっくり顔を上げる。
「王妃?」
「うん」
「……魔女?」
「そゆこと」
「……」
伏黒の眉間に皺が寄る。
「じゃあ」
釘崎が嫌な予感を抱きながら尋ねる。
「私たちは何をするの?」
「魔鏡から王妃を取り戻す!」
悟が勢いよく立ち上がる。
「よろしくー!」
「軽っ」
四人の声が見事に重なった。
すると。
悟が伏黒を見る。
「ちなみに」
「……何ですか」
「恵は魔王の息子」
「……」
伏黒の顔が固まった。
「……は?」
「魔王の息子」
「聞こえてます」
「よかった」
「よくないです」
「親子共演だねぇ」
「いや、どんな役なんだよ」
伏黒が心底嫌そうに尋ねる。
「魔王の息子」
「それしか言わないんですか」
「だって設定だから」
「設定なら何でもいいと思うなよ」
釘崎が横から口を挟む。
「いいじゃん恵」
「何がだ」
「魔王の息子なんて、あんたにぴったりよ」
「どういう意味だ」
「顔」
「……」
伏黒が釘崎を見る。
「喧嘩売ってんのか」
「褒めてるのよ」
「絶対違うだろ」
順平が苦笑する。
「まあまあ」
その様子を。
悟は嬉しそうに眺めていた。
「いいねぇ」
「何がですか」
「ちゃんと仲間っぽい」
悟が王笏を肩に担ぐ。
「それじゃあ」
一歩。
謁見の間の奥へ進む。
「勇者たちよ」
声だけは。
妙に格好いい。
「魔鏡の謎を解き、王妃の魂を取り戻してきて」
そして。
最後に。
いつもの軽い笑顔。
「よろしくー」
「軽っ!!」
再び。
四人の声が響いた。
──その頃。
誰も知らない。
その「映画」の中で。
本当に。
魔女が大鏡の前に倒れていることを。
そして。
王子が。
今も。
映画の中で。
彼女を待っていることを。
現実と。
夢と。
創作物。
その境界は。
もう。
少しずつ。
崩れ始めていた。
●18
五条国、謁見の間。
「はーい。じゃあ続きいくよー。シーン18テイク1、アクション!!」
五条悟の軽い掛け声とともに、画面外でパチンとカチンコが鳴る。
その瞬間、悟の顔から軽薄さが消え、一瞬にして玉座に君臨する名君の貫禄が宿った。
「えっと……」
虎杖が恐る恐る手を挙げた。
「つまり」
悟を見る。
「王妃のそよかさんが、魂を魔鏡っていうのに奪われて眠り続けている……と?」
「そーそー」
悟はにこにこと頷く。
「頑張って取り返してきて!!」
「なんで最強王子が行かないのよ」
釘崎が即座に突っ込んだ。
「え?」
「王妃が魂を奪われてるんでしょ?」
「そうだよ」
「じゃあ、王様が助けに行けばいいじゃない」
「僕は僕で忙しいわけ」
「何でよ」
「最強であるがゆえに」
悟が胸を張る。
「国政も完璧でさ」
「自分で言うんだ……」
「ここで僕が抜けちゃうと」
悟は真剣な顔を作る。
「国が傾くの、分かっちゃうわけ」
「……」
「そしたら不幸な人が増えて」
「……」
「魔王復活」
悟がびしっと指を立てる。
「それは阻止しないと」
「理屈が通っているようないないような……」
順平が腕を組む。
「妙な説得力はある」
「でしょ?」
「納得しないで、順平!」
釘崎が叫ぶ。
「俺は」
伏黒がずっと気になっていたことを口にする。
「魔王の息子扱いされたくないんですけど」
「細かいことはいいじゃん!」
「細かくないですよ」
「とにかく!」
悟が改めて王笏を掲げる。
「王妃の魂を取り戻してきて!」
「「「えー!?」」」
声が重なった。
伏黒だけ。
「……」
無言だった。
「恵も言っていいんだよ?」
「言いません」
「ノリ悪いなぁ」
「誰のせいですか」
こうして。
勇者たちは。
半ば強制的に。
王妃救出の旅へ送り出された。
──
大鏡の間。
巨大な扉が。
ゆっくりと開いていく。
「……」
四人が中へ入る。
そこには。
巨大な鏡があった。
「これが……」
順平が息を呑む。
「魔鏡?」
「たぶん」
虎杖が鏡へ近づく。
その表面には。
何も映っていない。
「……王妃の魂は?」
「見えないな」
伏黒が答える。
釘崎が鏡の周囲を見回す。
「で」
「どうするの?」
「どうって?」
「王妃の魂を救うんでしょ?」
「そうだけど……」
「どうやって?」
「……」
四人が黙り込む。
しばらくして。
虎杖が恐る恐る口を開いた。
「『王妃の魂を、鏡から出してもらえれば捕まえます』みたいな?」
「一休さんか!!」
釘崎が間髪入れずに鋭いツッコミを叩き込んだ。
「え?」
「『この屏風の虎を捕まえてください』って言われて」
伏黒が室内を見回しながら言葉を続ける。
「『では出してくれたら捕まえます』ってやつだろ」
「ああ」
順平が頷く。
「それは無理だね」
「そもそも」
伏黒が冷静に鏡を見る。
「それができるなら」
一拍。
「あの王様が勝手に助けてるだろ」
「……」
三人が、悟の顔を思い浮かべる。
「確かに」
「そうね」
「納得した」
その時。
鏡の表面に。
ほんの一瞬。
何かが映った。
「……!」
四人が一斉に振り返る。
けれど。
そこには。
誰もいない。
ただ。
鏡の奥で。
黒いドレスの女が。
一瞬だけ。
こちらを見ていた。
「今……」
虎杖が目を凝らす。
「誰かいたよな?」
「……いた」
伏黒も鏡を見つめる。
釘崎が小さく息を呑む。
「まさか……」
順平が鏡へ一歩近づいた。
「王妃……?」
鏡の中で。
魔女が。
ゆっくりと。
顔を上げる。
そして。
その唇が。
わずかに動いた。
──逃げて。
声なき警告に、四人の表情が凍りつく。
次の瞬間。
重厚な大鏡の間の巨大な扉が、勢いよく内側へ倒れ込むように閉ざされた。
バタンッ!!
重い封鎖の音が、広間に響き渡ったのだった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
それではまた来週。
うちの禪院直哉が活躍(?)する関連作品も一旦完結
『あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。』
https://syosetu.org/novel/409273/
◆TAILESでオリジナル作品公開中
https://tales.note.com/masuda028
お気に入り数としおり数と評価者数の合計5ずつで、各編おまけ公開は地味に続けてます。
100は碧淵編のおまけ2を追加しました。次は105です。