【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●11
俺はどこにでもいる。よくいる系の高校男子である。ひとつ変わったことがあるとすれば、裏山になんとか高専っていう、俺の通う高校とは違う姉妹校みたいなものがあって、そことたまに合同で文化祭やら体育祭やらをやったりする事が少しだけ他の高校と違っている。
今日から3日間の大規模文化祭、金土日と土日は周辺住民も巻き込んでの大イベントになる。
今日の昼飯はどうするかなーと、お化け屋敷の店番をしながら考えていると、高専に朝一で行っていた俺の親友たちが息も絶え絶えに帰ってきた。
「──おい、どうしたお前ら?」
やばいやばいと口々に言ってひっくり返っている。いや、まぁあの高専へ行くにはだいぶ長い階段を上がっていかないといけないしなと宥めていると、
「違う、そうじゃないんだ。今年の高専は猫耳メイドなんだ──」
「は?」
「見ろ、これを俺の推しのしょーこにゃんだ……」
「!?」
その小さなチェキに衝撃を受ける。気怠げな様子、しかし一度見たら目を離さないそんなセクシー系の可愛さ。
「ボクの推しの働き者のそよかにゃんも見てくれ……」
「!?」
真面目そうな様子の可愛い猫耳メイドが映っていた。
「目付きの悪い大阪弁男に危うく買い占められそうになった、オレのせいらにゃんも見ろ……」
「!?」
そこには可愛くポーズを決めたふわふわ金髪の天使が猫耳メイド姿で映っている。
「やばい──やばすぎんだろ高専!! これはもう……──行くしかねぇ!!!」
「まさか、我らが普通校の文化祭が高専の前座に成り下がるとは……」
「午後からは“猫耳メイドのお給仕タイム”があるらしい」
「マジかよ!? それって……」
「“そよかにゃんに、おにぎり食べさせてもらえる券”付きだ」
「そこまでやるのか高専……」
「途中から人が集まりすぎて整理券制にしてくれたんだ。お前のために午後一の1テーブル分整理券は貰っておいたぜ……そよかにゃん発案だ。マジそよかにゃん有能説。一家に一人は欲しい……」
「……おい、しかもなんだよこの整理券の裏」
「『本日限り! 指名した猫耳メイドから“にゃんにゃんお疲れさま♡”の労いワードが貰える券』だと……!?」
「これ、“そよかにゃんに名前呼ばれながら励まされる”ってことか!?」
「高専って……何屋なんだよ!!! 手慣れすぎてて怖すぎんだろ!!」
「どうなってんだこの世界は! 行くぞ、全員突撃!!!」
俺たちは猫耳メイドを求めて高専へ続く長い階段を全力で駆け上がっていった。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜のレジ
冥冥と灰原(それぞれとりあえず猫耳は装置中)
「ふふふ、クレジットカード使用可能にしておいて良かっただろう?」
「本当ですね! まさか初日からブラックカードを使用する来客があるとは!」
「チェキはランダム。売るものは無限に生成できる……まさに金のなる木といったところかな。土日は更に集客が期待出来るぞ。アングラの掲示板も既に大盛り上がりだからね」
にやりと笑う冥冥。
「ランダムチェキガチャは通常のランダムチェキよりレア度が高い分、値段を吊り上げても売り切れ続出だ。補充が追いつかないと歌姫が悲鳴を上げているよ」
「うわぁ…………あっ! いらっしゃいませ! 整理券はお持ちですか? はい……1テーブル4名様ですね。ご案内のご希望は? はい。そよかにゃんですか? 今おにぎりサービスタイム中なので少々お待ちいただくことになりますが、お時間大丈夫ですか? ──ありがとうございます。それではこちらで並んでお待ちください!!」
「……君の接客も、だいぶ安定したね」
「そうですか!? それは良かったです!!」
●12
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜店内
「そよかが分身して見えるんだが」
「それだけ忙しくしているということだね」
「すぐるー! せいらの特製オムライスだにゃん!」
「ありがとう」
「おいしくなーれ! もえもえにゃんにゃん!」
カワイイポーズのせいら……店内で「可愛い……」「ギャワッ!」っと口々に呟いている。
「ふふふ、にゃんにゃん」
せいらに笑みを返す傑。
「お前、そのオムライス何個め?」
「え? 3個目だよ。5個食べると特別なチェキが貰えるんだってさ」
「悟……にゃんにゃん……」
おにぎりを手にそよかが登場。
「そよかー!!! 待ってた!」
雑におにぎりが悟の口に突っ込まれる「ブフォ!」店内で「極上のツン」「そよかにゃんお疲れ……」そよかを労るような声かけが。
「悟こそ、今のおにぎりで何個?」
「9個目……あと1個で特別なチェキ2枚目ゲットだぜ!」
特別なチェキ1枚目を見せびらかす悟。ははって乾いた笑いを返しながら、値段より控えめなオムライスを食べ始める傑。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜厨房
「待って待って待ってーーー!!! 限界っ! 限界だから! 誰かっ! 助っ人!!!」
厨房を所狭しと動き回る歌姫。しかし調理は完璧。
「あわわわ……目がまわるのじゃ」
ひたすら食器洗いを続ける天内。
「オーダー表持ってきました」
七海のオーダー表の束を見て、歌姫の顔が青ざめる。
「七海!!! お願い!! ちょっと手伝って!!」
「ちょっと、とは? 出来た料理を運ばねば、置くスペースも出来ませんので。まずは提供を迅速に行うべきでは?」
「そーだけどー! そーだけどー! 冥冥さんからランダムチェキガチャの在庫切らすなって言われてるし言われてるし! あーもー! あーもー!」
「口を動かすより、まずは行動するべきでは? オーダー表読み上げていきますよ」
淡々と七海がオーダーを読み上げる。しかし七海が有能なところは、数枚のオーダー表のメニューを一度に暗記して手際良く調理できるオーダー数を歌姫に伝えるところなのだ。
「──ひとまず以上です」
「ヒィィィ──了解よ〜」
調理を再開した歌姫を見守っている七海。
「お米……炊けましたか?」
猫耳メイド姿のそよかがふらふらとやってきた。厨房に入るまでは気を引き締めていたようで、厨房に入った後のそよかの後ろ姿を見てどよめきが起こっている。
「そよかさん……」
「……建人さん」
ふらりと七海の腕に倒れ込むそよか。
「ご、ごめんなさい……目眩が──」
「──いいんです。まだ米が炊けるまで数分ありますから。少しでも目を閉じて休んでください……」
「建人さん──ありがとにゃん……」
お礼を言う時はにゃんをつけろと言われ続けて、こんなになってまで──七海は悲しみと怒りで表情を歪ませる。
ピコピコピコーピコピコリー。炊飯器の音を聞いて、ビクリとそよかの身体が震える。
「米が炊けたのじゃ!!」
天内さんが教えてくれた……わかってます!
「お米……おにぎり……早くしないと」
七海はそよかを抱き締める。
「待ってください! そよかさん! あなたはもう限界だ。私に考えがあります。今この時間から、猫耳メイドタイムは休みにしましょう。代わりに──前田さん……撮影係はそれぐらいにして、例のものを」
「ははっ!!」
ぐへへ!! 弱ったそよかにゃん最高!! と、激写しまくっていた前田まる子がビシリと敬礼した。
ここまでご覧いただきありがとうございました。