【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●13
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜のレジ
「え? すみません。もう一度お願いします!!」
「──だから、何度も言わせんなや。せいらのチェキあるだけ全部って言うとるやろ!!」
「いやー残念ながら買い占めは出来ないことになってまして!!」
「午前中は出来たやろ!! なんで午後になったらあかんねん!! こっちは買い占めるつもりで買うたのに詐欺やないか!!」
「直哉くん? 需要と供給という言葉を知っているかな?」
冥冥が静かに睨み返す。空気が一瞬で凍りついた。
「これ以上のやり取りは事務所の方で伺おうじゃないか」
直哉も引くに引けずガン飛ばし勝負となってしまう。
「灰原、状況が変わりました。プランBです」
レジの前を通過しながら、灰原に声をかける七海。
「プランB! あはっ! いよいよか!
禪院くん! 行こう!」
直哉の手を引いて店内に入る灰原。
「私も疲れてるんだけど?」
猫耳メイドの翔子が店内から出てくる。
「比較的レジ係は楽だよ?」
「本当かなぁ〜」
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜の厨房
「本来なら、教師を巻き込むなと言うところだが……体調不良者が出たというのであれば仕方がない」
そう言いながらエプロンを装備し、三角巾をした夜蛾正道。
「文化祭では、焼きそば屋台の正道と呼ばれたこの手腕──今こそ見せてやる!!」
「よ、夜蛾先生が……厨房に……!」
「伝説の屋台番長が……!」
騒然とする厨房チーム。
「天内、皿の管理と食器洗いを! 歌姫まだ動けるな? 調理の分担を! 俺はドリンク&盛り付けをやる! いくぞッ!!」
指示が飛び、全員が一斉に動き出す。
「了解です、先生!」
「……っていうか夜蛾さん、ちょっと楽しそうじゃない?」
「うるさい! 俺は真剣だ!!」
猫耳メイド喫茶〜クレイジーキャット〜の店内
「みんなごめんにゃ〜。そよかにゃんががんばりすぎてしまったのにゃん」
せいらの謝罪ステージ中。
「みんなで応援してあげてほしいにゃん! 整理券は明日か明後日に振り替えか、わたしとそよかにゃんが作ったマドレーヌとごめんねチェキとの交換もできるにゃんけど──」
ざわっと店内がざわめく。
「──そよかが倒れたんじゃあ、俺が出るしかないよな」
「……猫耳メイドとは客層が変わりますから、そのあたりは考慮してください」
「僕は燃えているよ! 猫耳執事! 最高だね!」
「なんで俺までやらなあかんねん!!」
「なおちゃーん! 猫耳の色お揃いだね!」
「せいら、私はどうかな?」
「すぐるーー!! 最高だよ!」
せいらからマイクを受け取る七海。
「皆様、申し訳ございません。体調不良の疑いのあるスタッフがおります関係で、サービスの一部を変更させていただきます。振り替え、引き換えに関しては先ほど説明のありました通り。
今から猫耳執事喫茶──開店します」
●14
猫耳メイド喫茶改め、猫耳執事喫茶(?)〜クレイジーキャット〜の店内
──やばい、やばい、これはやばいってば……!
文化祭の賑わいの中、調子に乗って近くの男子高生グループから「これマジでヤバいから」「一生の思い出になるから」と渡された紹介券。
「え〜なにそれ〜」「猫耳の執事とか、逆に見たい〜」って笑いながら、軽い気持ちで入店した私たちがバカだった。
「──そもそも最初に猫耳のぬいぐるみが配膳してたんだけど、あれ何? ロボット……?」
「え、なんか……奥の厨房でめっちゃ気合い入った人が。先生って呼ばれてる? いや、あれ先生なん? 何者なん?」
「なんか、“屋台の番長”とか囁かれててさ……謎すぎ……」
あれ、シャンパンコール……!?!?
……いや炭酸水だよね!? 文化祭だもんね!?
だけどあの勢い、完全に“お客様は姫”じゃなくて“担当に貢ぐ系の姫”じゃん!?
「シャンパンありがとにゃ〜ん♡ お嬢のキラキラ、今日も世界一っ♡」
「推し変しないでくれるかい? 私、泣いてしまうかも……にゃん」
こっちがドン引きしてる間に、猫耳執事たちが戦闘力高めのプロのテンションで客席を回ってる。
「いらっしゃいませ。お嬢様方! お名前、うかがっても?」
にこりと笑う"ゆう"と手書きの名札を身に付けた執事の接客スキルがえげつない。
「……あ、あの、ふつうに見てるだけで──」
「かしこまりました、お嬢様。では“見つめるだけ”のカウンター席へご案内させていただきます!」
そう言って案内された席の周囲がやたらと目立つの、罠だろこれ。
「ちょ、あそこに座ってる人"さとる"って名前だった……? え、待って、顔、良ッッ!」
友達がバタバタし始める。「やばい」「やばい」「推せる」「無理」って連呼。
普通の猫耳執事、どこ!?!?!?
「やばいやばい無理無理……帰ろ?」「てか、入った瞬間からおかしかったよね!? 猫耳って言うよりさ……」「え、あれ絶対ホスト……文化祭でやっちゃダメなやつ……!」
低い照明、きらめく炭酸水(でもシャンパンタワーの形)、舞い上がるチェキと紙吹雪。
推しと目が合ったら負け、っていうか、本当に目が合ってくるのが怖い──っていうか、顔面偏差値高すぎ!!
「おい。どないしたん? 水ばっかり飲んでても可愛げないやろ。まずはメニューでも見んかい……にゃん」
どこか不機嫌そうな猫耳執事。だけど顔はいい。めちゃくちゃいい。渡されたメニューを恐る恐る受け取る。
やっす! メニューの中身はいたって健全、ソフトドリンクと軽食ばかりの価格設定すら安心安全保障されてきた。
「なにか気になるもんでもあったんか? あんたみたいなヌルい客は、推しも早めに決めとかんと別の誰かに取られるぞ。知らんけど」
「は、はい!? え、なに!? めっちゃウザ……」
「ウザい? はっ、まさかあんた、こんなとこまで来て、俺みたいなモテ男にウザい言うてんのかい? せっかくメニュー持ってきてやったっちゅーのに、感謝の一つもあらへんのか、お嬢さん?」
軽く口元を吊り上げて見下ろしてくる。
距離、近い。顔、良すぎ。むかつく。でも、やばい。
「ねぇ……あの人って何者……?」
「え、さっき“なおや”って名札に……」
「なおや……やばい気になるかも……」
「……にゃ? 本気で沼に落ちても知らんぞ。俺は、弱い女には興味ないからにゃ」
忠告を残して立ち去っていった。
「──おや? お困りですか、お嬢様たち」
すっと現れたのは、無駄にオーラのある銀縁メガネの執事(というか絶対本職)。
「お飲み物だけでもよろしければ……わたくし、“猫の舌”と呼ばれておりまして、ちょうどよい温度での紅茶が得意なのです」
「猫の舌って!? なにそれ可愛い!!!」
思わず笑った友達の声に、スッとティーカップが置かれる。
「お嬢様が笑ってくださるなら……今日のシフト、無限に延長できる気がします」
「え、ちょっと……なんか楽しくなってきた……」
「やばい……この人、推せるかも……」
──こうして、私たちは**“文化祭”という名の罠**に堕ちていったのだった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。