【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


02黎明編 3・4:白猫の導きと煉獄の炎、クレープが繋ぐ"させそ"の絆

⚫︎3

 

 きらきらと光輝く物語。

 その光たちはどれも眩くて、どんな色にも変化する。

 

 煉獄家の中庭で、私は他の物語を覗いていた。見る人が見れば、私の前にある空間が歪み、まるで宇宙が見えているように見えるかもしれない。

「まだ起きていたのか」

 杏寿郎が私に声をかけてきた。

「あなたこそ、寝かしつけは終わったの?」

「当然だ。昼間によく遊んだからな。二人共ぐっすり眠っている」

「そう。良かったわ」

 杏寿郎と子供たちが転がるように遊んでいた姿を思い出して微笑む。

「……今宵も誰か救いに行くのか?」

「──そうよ。と答えたら?」

「もちろん俺も共に行く。俺は君のために戦い続けると決めた」

 真っ直ぐな瞳と彼の言葉に、私は微笑みを返す。

「今宵はどんな世界に行くのだろうか?」

 杏寿郎は覗き込むが、

「やはり俺ではわからんな!」

 そう言って笑った。

 

 私は物事を物語として認識できる魔女。

 学園と呼ばれる場所で、魔女としてのあり方を学び、使い魔召喚の儀式で煉獄杏寿郎と出逢う。

 学園を卒業できなければ、外の世界を知ることなく出来損ないの魔女として学園内で生涯を終える。

 そんな運命から、彼は私を救い出してくれた。

 

 ……その後、一度は別れて生きてきた私たちだけど、杏寿郎を探す長い旅の果てに、私は彼を見つけたわ。

 ──杏寿郎は私を認めて、寄り添ってくれる。

 それが何より嬉しい。

 

「仕方ない。説明してあげる」

 ユニゾンするように額を合わせた。イメージの共有は、魔女にとって初歩的な物語への干渉術。

「なるほど、呪霊……呪術師……」

 杏寿郎は目を閉じたまま、頭に浮かぶ言葉を口にする。

「雰囲気としては、杏寿郎の世界と同じ国、時代背景としては今より未来のようね」

「それは面白いな。見たこともない食べ物もあるようだ。身体ごといくなら着替えねば!」

 わくわくと杏寿郎は表情を輝かせていた。

「ん──」

 物語の関与を考えた時点で、物語は激しい早さで書き変わる。私は杏寿郎の物語を理解しようと集中する。

「身体は置いていきましょう。あなたには一人の呪術師を誕生から見守って導いてくれる?」

「導くのか! それは腕が鳴るな!」

 幽体が離脱するように、私と杏寿郎の意識は手を取り合って身体から抜け出した。

 私は姿を白猫に変えて、杏寿郎を背中に乗せる。まるで私が大きくなったように見えた。私たちの肉体は意識体の私たちに視線を送り一度だけ頷くと、何事もなかったかのようにゆっくりと部屋に戻っていく。

 

『さぁ行こう!』

『はいはい。慌てない慌てない──』

 夜毎行われる私たちのいる物語とは違う物語への干渉。戻ってくる時は一瞬で、まるで夢を見てみていたようだと彼は言う。

 

 私たちは『希望と絶望が交錯する青い春の世界』へと旅立った。

 

 

●4

 

 出来たてのクレープを受け取って、せいらは嬉しそうにくるくるとまわっていた。

「わーい。さとるのおごりー」

 クレープのキッチンカーを発見したからと連行される俺。そしてストロベリーカスタードを買わされる。

「なんでお前らいつも俺にたかるわけ?」

「悟は私たちのお財布だもの、食料を購入して与えるのはあなたの義務よ。クレープ屋のおじさん、私はチョコバナナを」

 メニュー表を真剣に見ていたそよかが言う。

「へーへー。おっさん、俺にもチョコバ──」

「待ちなさい悟!」

「なんだよ?」

「一人で食べるには量が多いわ。半分食べなさい」

 なんで俺は女子高生の食べかけのクレープを食べないといけないんだよ! どんなご褒美だ!

「おっさん。悪い。注文キャンセルで」

「いいねぇ、青春してるねぇ」

 職人顔のおやじが、俺の本音を見透かしてにやりと笑う。

「カロリー押し付けられてるだけなんで」

 近くにあったベンチに座りクレープを食べる二人に挟まれる。なんで俺がセンターなんだというツッコミはもう飽きるほどしたし、もう慣れた。

「えへへ、おいひぃね」

 せいらがクレープで口の中をいっぱいにしながらニコニコと俺に話しかけてくる。ちょうど別の高校の男子生徒たちと下校時間が被っていた。

「こんな甘ったるいもん、食ってられるか」

 他校の男子生徒を意識して悪びれる。

「悟、嘘は良くないわ。どうしてそんなくだらないことで嘘をつくの。甘いものは三度の食事より好きだと常々言っていたじゃない」

「そこまで好きとは言ったこともねーよ!」

 口のまわりをクリームまみれにしながらも、無邪気な笑顔で食べ進めるせいら。髪を耳にかけながら慎重に食べ進めるそよか。他校の男子生徒たちが、そわそわと二人に視線をチラチラ向けてくる。術師でもなんでもねぇ。盛りのついたガキ共が。俺はふんっと鼻で笑って、ベンチの両端の二人の肩に手をポンと置き、

「お前ら、離れすぎ。他の人が座れるようにもっとくっつけよ」

 グッと抱き寄せる。

「わわっ! クリームついちゃうよ!」

「……虫除けのつもり? 黙ってやればいいのに」

 慌てるせいら、冷静なそよか。

「あーぁ、ガキの相手は疲れるぜ」

俺はサングラスを直す。ま、悪くねぇか。

「ほら、悟。食べなさい」

 急に口に突っ込もうとするな! ぐいぐいとそよかにクレープを押し付けられる。

「……」

 チョコバナナクレープ……甘ぇな。

 

 俺の携帯が着信を告げた。

 通話にして携帯を耳にあて──

「──歌姫と冥さんが?」

 

「なになにー? どうしたのー?」

「せいら、通話中は静かに」

 そよかはせいらの口の周りを拭いている。

「悪ぃな、二人共、急用だ。先に帰ってくれ」

「えー?」

「せいら、私たちにも任務が入ったわ」

 せいらにそよかは携帯のメール画面を見せる。

「ふむふむ」

 見せられた画面を真剣に見つめるせいら。

「なんだ。じゃあちょうど良かったな。

 ──二人共つまんねぇ死に方すんなよ」

「それは面白い死に方をしてこいって言ってる?」

「ばっか、ちげぇよ」

「ならもっと違う言い方になるじゃない」

「ぜったいに死ぬなよー! 必ず帰ってこいよー! だよね」

「そうね。流石はせいらだわ。根がひねくれた悟とは大違い」

「おぃぃぃぃ!!!」

「それじゃあ、いってくるね! さとるも気をつけて!」

 二人は俺に笑顔を残して背を向けて歩き出す。

 

「──死ぬなよ、二人共」

 無意識に口から出たらしくもない言葉に驚いて頭をかく。

「さて、俺も行きますかねぇ」




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