【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


24余燼編 3・4:揃いの黒猫と白いリボンの独占欲、銀河を走るレイルライドと耳元の回答

●3

 

「そよか! ほら見てみ!? あそこにいるのウィッキーキャットじゃね!?」

 入場ゲートをくぐるとさっそく悟がウィッキーキャットを見つけて喜んでいる。

「……あっちにウィニーキャットもいるわよ? 入園時間にはみんなでお出迎えしてくれるものらしいわ」

「そうなのか! 写真一緒に撮ってもらう?」

 既にウィッキーキャット写真待機列は20組ほど並んでいる。

「悟……どうしても今撮りたいというならいいけど、キャッティーパスを先に取りに行った方がいいみたい──」

「ふーん。オッケー。じゃあ行こ。どこのパス取るの?」

 私の後ろから抱きついて一緒にガイドブックを覗き込む悟。

「絶叫系ならキャットボーン・ランか、キャットオーバーフローかしら? グリムニャール城とか興味ある?」

「じゃあキャットボーン・ランいってみよ! 途中で耳とかしっぽとか買おうぜ」

「…………」

 後ろにいる悟に視線を向ける。

「どした? キスでもしたい?」

「あなたって拒否されないと、どんどん距離を詰めるタイプよね」

「…………」

 視線を彷徨わせる悟、そして両手で自分の顔を覆った。

「嫌だったら教えてね……」くぐもった声。

「……はいはい。早く行きましょう」

 悟の手を掴んで歩き出す。

 ウィッキーキャットがこちらに手を振っていることに気付く、少し振り返ると悟がにこにこと手を振り返していた。

 

 キャットボーン・ランのキャッティーパスを貰って、猫耳猫しっぽの売られている洋風の店内に立ち寄った。

「色んな種類があるのね……」

 それほどキャラクター色はなく、ウィッキーキャットっぽいって感じはないけど。

「そよかー! 見て見てー」

 黒色の猫耳を着けて悟が顔を覗かせた。

「ど、どうしたの?」

「ん? 俺、文化祭の時も白耳あてがわれたからイメチェンで」

「……ふーん」

「似合う? いや、俺はどの色もいけてない?」

 ニヤリと笑っている。

「はいはい。そうね」

「そよかはやっぱり黒猫かなー。文化祭の時もだけど、やっぱり媚びない系の黒猫ってイメージ」

「……媚びなくて悪かったわね」

「いや、違う! むしろその媚びなさっぷりがいいというが、たまに──極稀にデレるのがご褒美というか!!」

 悟は必死に取り繕っていた。

「でもさ、甘えたくなったらいつでも甘えていいんだからなっ! 俺はいつでも大歓迎!」

「…………」

「そよかさん!? 無視しないでくれます!?」

 黙々と黒猫耳を装着して鏡を覗き込む。

「似合ってるー」

 ヒューと口笛を吹く悟に軽く頭突きをして、私はレジに向かった。

「待ってそよか! これも!」

 悟がレジ会計に割り込んできた。

「俺が払ってくるから店の前で待ってて!」

 疑いの眼差しを向けながらも、押し切られてしまい店内の他の商品を見ながら店の前までくると、

「お待たせー」

 悟が買ったばかりの猫耳と猫しっぽを持ってやってきた。

「はい! 猫耳。それから猫しっぽね。色は黒で俺とお揃いで──そよかには更にこれ!」

「あー」

 悟は猫耳、猫しっぽ売り場で一緒に売られていたリボンをふたつ手にしていた。

「俺カラー白色のリボンです! 猫耳としっぽにつけてください!! ……嫌そうな顔しないでー!!」

 これを……つけないといけないの? 悟に買ってもらわなければ断れたんじゃないの!?

「そよかー。つけよ? いいじゃんリボンぐらい。オシャレってことでさ。首輪は絶対嫌がると思ったから買わなかったんだよ? 俺偉くない?」

 首輪は嫌がる……あってる!!

 

 

 星降るレイルライド(幻想列車)の待機列に並んだ。

「20分ぐらいで乗れるなら早い方みたいね」

 ガイドブックを見ながら待機目安時間を確認する。

「──なにしてるの?」

 私のしっぽと自分のしっぽを巻き付けている悟に声をかける。

「いやーほら、カップルでここに来るとこうするものらしいからー」

「カップル? 誰と誰が?」

「そよかさん!? 確かにお付き合いOKのお返事はいただいておりませんが、二人でこうしてキャッティーランドに来たんだしさ!」

「私は悟と二人で来たいとは一言も口にしてないのよ」

「それはそうですがっ!!」

 またしても両手で顔を覆う悟。

「……なんで私なんかと付き合いたいの」

「だって、そよかは俺のこと一番に考えてくれるじゃん。一番っていっても甘やかすだけじゃなくて、ちゃんとしてるっていうか──」

 顔を覆った指の間から見つめてくる。

「それは躾られるのが嬉しいっていうこと?」

「いや、躾が嬉しいっていうか。嬉しいには嬉しいよ? 嬉しいけどそれだけじゃないんだよ。大事にされてるって感じがしてさ──」

「それは依存じゃなくて?」

「俺はそよかがいなくても普通に……出来ないかも。だってそよかがいることが当たり前だから。これってもう運命じゃない!?」

 目をキラキラさせて顔を近付けてくる。

「綺麗な言葉で誤魔化そうとしない!」

「すみません!」

 悟は避けずに私からの腹パンチを受けた。

 

 

●4

 

◽️星降るレイルライド(幻想列車)

 

〜夢と記憶をめぐる、ちいさな旅へ〜

(CattyLand ランドサイド・しっぽの駅より発着)

 

 ⸻

 

「その列車に乗った者は、

ひとときだけ、忘れていた願いと出逢う——」

 

かつて、夢を追って空へ駆けた猫たちがいた。

星の降る夜、彼らは“幻想列車”に乗り込んだという。

 

今も静かに息づくその伝承が、**“星降るレイルライド”**としてよみがえりました。夜明け前のしじまを走るこの列車は、キャッティーランドの森や湖、そして記憶の迷宮をめぐり、ちいさな願いたちの灯火に触れていきます。

 

木のぬくもりが残る車両、列車を導く星の灯り、

そして、窓の外に浮かぶのは……まだ見ぬ誰かの夢の続き。

 

どこか懐かしくて、ちょっぴり胸がきゅんとする不思議な時間。ふたりでそっと手を重ねたなら、忘れていた大切な気持ちに気づけるかもしれません。

 

 ⸻

 

◆所要時間:約10分

◆発着駅:しっぽの駅(ランド側)

◆キャッティーパス対象(夜空車両限定)

◆カメラ撮影OK(一部屋内ゾーンを除く)

 

 ⸻

 

◆ちいさなお願い

• 車両内での大きな声はご遠慮ください。

• 夢を見ているお客さまもおりますので、走行中の立ち上がりは危険です。

• 星の精たちに話しかけても、お返事は少しだけ遅れて届くかもしれません。

 

 ⸻

 

あなたの願いが、

誰かの星になりますように——。

 

 星降るレイルライド(幻想列車)は園内をぐるっと周るライドでもあるから初心者向けの乗り物でもある。

 私たちはようやく車内に乗り込んだ。

 

 ぼんやりと放送を聞き、ランドの景色を見ながらぽつりと。

「悟はキャッティー社の作品ってどう思う?」

「どうって?」

「アニメ化にしろ実写化にしろ、キャッティー社の作品って原典に忠実でしょ? 残酷なところは残酷だし……救われないところは救われないみたいなところがあるから」

「たしかにね。最近の映画でも王女が国を救っても家族は帰ってこないってやつあったしなー。観たあとしんどかった」

「でも、現実が綺麗事ばかりじゃないからこそ、そこが好きっていう人も多いわよね」

「俺は、まぁ現実ってそんなものだしってわからされるためのものとして考えれば、それでいいんじゃないかなって。そよかは?」

「──私は、物語の中だからこそ救いがあってもいいんじゃないかなって思うわ。小さい頃に読み聞かせるような話ならなおさら、頑張った先に夢や希望があるんだって考えられた方が幸せじゃない?」

 窓の外には、星のきらめく夜の風景と、光の動物たちが草原を駆ける映像が流れていた。

 幻想列車のレールは、空に浮かぶ銀河をなぞるように走っていく。

「俺、そよかが何も見ずに話すおとぎばなしが好きだったよ……眠くなって話すのが面倒になると、ムキムキの桃太郎が乱入してきてパンチして終わるやつ」

 昔、悟に何か話してほしいと言われて話していた眠りにつく前の僅かな時間を思い出す。

「……そんなこともあったわね」

(幻想列車のスモークに包まれながら、過去作の映像が走馬灯のように流れる──)

 

 ある作品の友だちと離れ離れになってしまった青年の横顔に、

『──俺があの頃、もう少し大人だったら──』

 そう言って寂しそうにしていた悟の横顔を思い出す。

 

「──悟、あなたはいま幸せ?」

 

 ぽつりと問いかける。悟は少し驚いた顔をしてから微笑み──私を抱きしめると、

 

「幸せだよ」

 小さく私の耳元で囁いた。




ここまでご覧いただきありがとうございました。
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