【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●9
「建人さん、今日は猫耳つけないの?」
ぽつりとそよかさんが言った。
「私は……その……似合わないので」
「そんなことないわ。猫耳執事似合っていたもの」
「……そうですか?」
不思議とそよかさんに言ってもらえると自信がわいてくる。
探偵団に向かう途中、そよかさんに誘われて近くのショップに立ち寄った。
「やっぱり黄色系? クリーム色とかも似合うかも……」
猫耳を手にそよかさんが色々考えてくれている。
「そよかさん、今日はどれかを選ぶなら決めていた色があります」
「え?」
五条さんとお揃いになるのは屈辱だが、彼だけが貴女とお揃いでいるのは我慢ならない。
私が手にした猫耳の色は、そよかさんと同じ"黒"だった。
月波湾エリアの奥──潮騒が聞こえる演出の小さな広場に、簡易ステージと受付ブースが設けられていた。
“キャッティー探偵団”と大きく書かれた幕の下には、パッチリ目をした猫のキャラクターが探偵帽と虫眼鏡を構えて立っている。
「ようこそ、名探偵をめざす新米キャット諸君!」
ステージに現れたキャストの女性が、くるりとマントを翻しながら高らかに声を上げた。
探偵帽に猫耳がついた衣装。台詞回しもどこか芝居がかっていて、見ていて飽きない。
「このキャッティーランドには、長い間“鍵”が隠されていると言われてきたのです。
それは忘却の門を開く唯一の手がかり──記憶の鍵。
しかし、その鍵は四つの“猫の記憶”の中に、ばらばらに封じられてしまいました……」
周囲には、親子連れやカップルがちらほら。スタンプ帳を手にわくわくと話し合っている。
「君たちは、配られる手帳と地図を頼りに、四つの記憶を集め、“鍵”を完成させるのです。
成功すれば──忘却の門が開かれ、真の探偵だけが進める『記憶の旅』が待っていますよ!」
「──面白そう」
そよかさんが隣で、微かに笑った。
「でしょう? この空気、少し子供っぽいと思われるかと思いましたが……」
「ううん。むしろ、ちゃんと物語があるのが素敵だと思うわ」
彼女の指先が手帳の表紙をなぞる。箔押しされた“CAT DETECTIVE CLUB”のロゴ。
「手帳とマップ、それに謎のヒント……探偵キットの準備はバッチリですか?」
キャストがキットの中身を最終確認してくれた。
「準備はいいですか?」
「──もちろん」
私の声かけに静かに頷き、微笑むと私と目を合わせてくれる。
「それでは、**最初の手がかり『星読みの猫・ルーミィの記憶』**は──この月波湾エリアのどこかにあります!」
指差された方向には、星座の装飾がきらめく壁と、浮かび上がるように配置された猫のシルエット。
私とそよかさんは、手帳と地図を手に、その場所へと歩き出した。
●10
「建人さん! ほら、こっちこっち!」
少し先を歩いていたそよかさんが、何かに気付いて私を手招きする。その様子が可愛いらしくて、つい微笑んでしまう。
「スタンプ台。やっぱりここにありましたね」
小さく囁くと、にこにことそよかさんが笑顔を返してくれる。
「色んなところにヒントが隠されていたりして、それを見つけたりするのも楽しいわ。普段と違う」
「それは良かったです」
スタンプを押し終えて、少し離れたところで次の謎解きをしていると、小学生ぐらいの子供たちが探偵団の手帳を手に何か迷っている様子だった。
そよかさんはきょろきょろと周囲を見回す。
「ちょっと行ってくる」
その子供たちに向かって近くにしゃがみ手帳を指差しながら話しかけると、子供たちの表情はみるみる明るく、笑顔になっていった。
「おねぇちゃん! ありがとう!」
お礼を言って歩いていった。
「そよかさんはそういうところ……ありますよね」
立ち上がろうとするそよかさんに手を差し伸べる。
「そういうところって?」
「率先して人助けをしようとするところ。五条さんの世話をよく焼いているのも、そういうところなんじゃないんですか?」
「そうなのかしら?」
「…………」
隣で少し考え込むような様子。手を貸したまま、それとなく手を繋いだ。
手を繋いでいても嫌がる様子もなく微笑んでくれるから、ほっと安堵の息を漏らす。
二人きりで真剣に謎解きをして、スタンプを集め僅かな時間を思い切り楽しんだ。
「建人さん、あれ──」
そよかさんが何か仕掛けのある箱に気が付いた。
「混雑した時に人の動線を分散させるための物でしょうか? 気になりますか?」
「少しだけね。見てきてもいい?」
「もちろん。私も見てみたいです」
●【記憶のかけら】星読み猫ルーミィの悩み
※星座の壁の下にある箱に隠された診断パネル/問いに答えると“ヒント”が出てくる
ルーミィの悩み:
「あたし、ずっと空に輝く“星”に恋をしてるんだニャ。でも、その星は遠くて、触れることもできないニャ……。どうしたらいいと思う?」
Q. もしあなたがルーミィなら、どうする?
A. 星に近づくために、努力し続ける
B. 星を見上げながら、そっと想い続ける
C. いっそ自分から星に叫んで、想いを届けてみる
D. 星に飛びついて抱きつく──届かなくても、近づこうとする行動が大事!
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「星って、何かの比喩かしら?」
「手の届かないものへの憧れ……ですか」
じっとそよかさんを見る。私の視線に気付いて、彼女は頬を赤らめた。
「──どれを選びますか?」
そよかさんはしばらく迷い、くすっと笑って「……Dかな」と指を差した。
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★診断結果:「衝動ロマン派」あなたは心のどこかで、“理性よりも気持ち”を優先したいと思っているタイプ。普段は落ち着いていても、本当に好きな人の前では、ぐいぐい距離を詰められると心が動いてしまう……かも? もしかしたらあなた自身も、“手が届かない相手”を追いかけることに魅力を感じているのでは?
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「当たっていますか?」
「うーん。どうなんだろう。でも、そうね……せいらや悟が近くにいると安心するかな」
「……私も入ってますか?」
「え? ……どうかしら。せいらや悟とは付き合いが長いから──でも建人さんは……特別、なのかも?」
少しだけ距離を詰めると、そよかさんが頬を赤く染める。特別? ここでその言葉が貰えるとは思わず問いただしたくなる気持ちをぐっと堪えて。嫌がられないだけまだマシかと、ひとまず現状で満足しておくことにした。
「……どう特別なのか、いつか教えてもらえたら嬉しいです」
ここまでご覧いただきありがとうございました。