【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


28余燼編 11・12:冷めた紅茶と未来の家庭、不意打ちのキスと打ち上がる鼓動

●11

 

 探偵団の謎を全て解き明かし、お洒落なカフェでドリンクとスイーツが提供されていた。猫をモチーフにしたスイーツにそよかさんも喜んでくれている。

 紅茶とスイーツを口にしながら、先ほどまでの謎解きを振り返って楽しんだ。

 

「……ところで」

 私は徐に口を開いた。

「そよかさんは、年上男性が好みなのでは?」

 口に含もうとしていた紅茶を吹きそうになるそよかさん。

「大丈夫ですか?」

 ハンカチを渡す。

「建人さん? 急に何を……」

 口元をハンカチで隠しつつ、少し苦しそうな様子。

「そよかさんを観察してたどり着いた……推測です。

あと恋愛を楽しみたいって感じでもなくて、いきなりプロポーズされると喜ぶのかなって」

「!?」

 そんなまさかと顔には書かれているが、何か思い当たるものがあるようだ。

「……私は貴女より歳下でその差は縮まりませんが、でも今は同じぐらいの身長でも……あと一年もしたらきっとそよかさんより背が高くなると思うんです。今よりもっと落ち着いた大人の男になったら、その時は──」

 そよかさんが猫型のクッキーを一枚私の口にあてた。

「今の建人さんだって、私にとっては特別で大事な人よ?」

「特別で大事……この上ない言葉です」

 苦笑を浮かべてクッキーを口に含む。

「私は五条さんや、禪院さんのようにあなたを急かしたいとは思っていません。学生の領分はあくまで勉学ですし。でもいつか、貴女となら幸せな家庭というものを築けたりするのかなって思ったりしてしまうんです」

 ……肩の力を抜いて、会話を楽しめているだろうか? 自分自身もそよかさんの様子も気になる。

 

 二人で協力して特別なイベントをクリアした。

 

 クリア報酬で手に入れた猫のしっぽが揺れる黒猫のストラップを見る度に、今この瞬間をきっと思い出すだろう。

 

「──そよかさんとの時間、とても楽しかったです。出来ればこのまま二人で過ごしたいですが」

 そよかさんの猫耳と猫しっぽから私カラーのリボンを外した。

「建人さん?」

「今夜は五条さんが、どうしてもあなたと過ごしたいというので──」

「…………」

「もう紅茶も冷めてしまいましたね。どうぞ行ってください」

 

 そよかさんが出て行った出入り口のドアを見つめる。

 冷めた紅茶を口に含むと、少しだけ苦いなと感じた。

 

 

●12

 

 ──日が沈み、空が濃紺に染まりはじめる頃。

 

 キャッティーランドの中心にある「願いの城」には、人々が集まりつつあった。

 夜のメインイベント“星降る瞬間(スターライト・フェリス)”のライトアップショーが始まる直前。

 

 私は、その光に導かれるように、ゆっくりと足を踏み入れていた。

 

 黒猫のストラップが、バッグにつけたチャームと共に小さく揺れる。

 足元には、パークが用意した発光タイルが星座のように光を放ち、まるで夜空の上を歩いているようだ。

 

 ──そして、願いの城の前。

 人だかりの中、私を見つけたその人は、周囲の喧騒に負けない存在感で、まっすぐに立っていた。

 

「やっと来たじゃん。ずっと、待ってたよ」

 

 五条、悟。

 いつもの軽さはそのままに、でもその笑顔には、どこか安心したような影が差している。

 

『──おいで』

 

 両手を広げて呼ばれたような気がした。

 駆け寄って抱き付く、なんだかとてもドキドキしていた。

 悟の顔がふっと綻ぶ。

 

「あ! 俺カラーのリボン外してたな? 七海とのデートは、やっぱり後ろめたいわけ?」

「!?」

「ま、いいよ。今日は。

こうして戻ってきてくれたし……」

 

 周囲の人々が一斉にざわめき、空を見上げはじめた。

 音楽が変わり、淡い光が地面からゆっくりと広がっていく。

 

「お、そろそろ時間だな。そよかも──上、見てみ?」

 

 悟の言葉に促され、私も自然と顔を上げる。

 星座のように散らばった発光タイルが足元から夜空へと繋がり、最初の花火が──

 

 ぱん、と大きな音を立てて弾けた。

 まばゆい光に目を細めた、その時。

 

 ──視界の端に、何かが近づいてきた気がした。

 不意に、唇に柔らかな温度が触れた。

 その瞬間だけ、すべての音が遠くなった気がした。

 

 ──え、いま、なに?

 戸惑いの中で顔を向けると、悟がいつもの調子でにやりと笑っていた。

 その背後では、願いの城がライトアップに包まれ、無数の光が夜空に広がっていく。

 

 何が起きたのか、心が追いつかない。

 でも、確かに──花火が上がるよりも早く、

 私の鼓動は、打ち上がっていた。

 猫耳の影が、光の中で揺れている。

 

 カウントダウンの音声。

 手にしたチケットに記された“願いの時間”が始まろうとしていた。

「いくよ、そよか。今日は俺と一緒に、最終イベントまで見届けるんでしょ?」

「悟、あなた今……」

 いたずらっぽい微笑みを浮かべ、悟は私の手を取って──ステップを踏むように、光のタイルを走り出す。

 走りながら笑って振り返る彼の瞳に、何の迷いもないように感じた。

 

 空に流れる音楽。無数のライトが夜空を彩り、星のように城を包む。

 その中央で、黒猫の耳を揃えたふたりが、ライトに照らされている。




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