【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


30余燼編 15・16:もじゃもじゃおばけと双子の出会い、廃村の美しい繭と鎖の罠

●15

 

 駅でレンタカーを借り、黒岩さんの運転で山村に到着した。すると、なにやら山村内が騒がしい。

「何かあったんですかね……」

 ゆっくりと村人がいるところに車を近付ける。

「あぁ、あんたらは呪術高専の人らかね?

いま元凶が逃げ出して村人総出で探しちょるところよ。こんな山奥までの移動疲れたじゃろ、あの村長さんの家で休んどってくれ」

 黒岩さんは"あの"と指差された家に車を向かわせようとした。

「元凶が逃げ出して? どういうことだろう……」

「呪霊を捕まえていたのかなぁ?」

 首を傾げるせいらに、黒岩さんがすかさず言葉を返す。

「呪霊を捕まえるなんて、そういう能力や特殊な設備がないと出来ない事だわ」

 妙にトゲがあるように感じるのは、気のせいではないかもしれない。

「黒岩さんは、村長に挨拶を済ませて待っていてください──せいら、行こうか」

「うん!」

 二人で素早く車を降り、村人が向かった山の方へと駆け出す。

「ちょ、ちょっと、傑さん!?」

 

 

 ──痛いのは嫌、寒いのも嫌、お腹が空いて泣きたくなる。気がついた時から、わたしたちはずっと二人きりだった。

「違う! わたしたちじゃない!」

 村の人たちから疑われ始めた。わたしたちが閉じ込められていると、何も起きないらしい。だからわたしたちは疑われた。ずっとずっと檻の中に閉じ込められて。

 わたしたちを可哀想に思ってくれる男の人が、数日に一度水と少しの食事を持ってきてくれる。

 その人を押しのけて、わたしたちは逃げ出した。

「あの人、気持ち悪かったね」

「ホントホント! なんでわたしたちの足をあんなに触ってたんだろ」

 笑いながら山道を走っていく『こっちだよ』『おいで』と、わたしたちにしか聞こえない木々や草花の影に潜む何ものかの声を聞きながら。

 

 日も傾いて、森の中には珍しい金色のもじゃもじゃしたものを見つけた。

「なに? あれ……」

「さぁ……わかんない……」

 

「ねーねー」

 

 木々の間に生えたシダの葉の影から、もじゃもじゃした金色のかたまりが、声をかけてくる。わたしたちはびくりと身体を震わせた。

 動かない。怖くない。けど、不思議。

 

「話しかけていい?」

 

「…………」

 わたしたちは警戒する。お互いにお互いを抱きしめて、それがなんなのか距離を取ったまま様子を見る。

「あなたは何?」

 

「わたしはねー。呪術高専のせいらだよ」

 

「じゅじゅつこうせん?」

 わたしたちは顔を見合わせた。

「村の人じゃないの?」

 

「違うよ」

 

「わたしたちのこと捕まえる?」

 お互いにお互いの身体を抱きしめる。

 

「捕まえないよ」

 

「…………」

「へくちゅむ! ……あ、ごめんくしゃみ出ちゃった」

 がさがさと茂みが揺れて、人がぴょんと飛び出てきた。黒い学生服を着た金髪と青い目の女の人だ。ふわふわの金髪には葉っぱや枝がついている。

「みみこちゃんに、ななこちゃんだよね? 大丈夫? お腹すいてない? お菓子とか飲み物あるよ。一緒に食べようよ!」

 背中に背負っている大きなリュックサックをこちらに見せる。確かに色々入っているようだ……お菓子とか飲み物という言葉にごくりと喉を鳴らす。しかし、同時にこの人を信じていいのだろうかと思う気持ちもあった。

 

 

●16

 

 村人たちの動きも気にはなったが、私は穢れを追って山道を進んだ。そしてたどり着いた先は廃村。

 

 せいらとは途中から別行動をしている。村人たちが追いかけている相手が、美々子・菜々子という双子の女の子だということがわかってからは、私が何か言う前にもう山道を走り出していた。本気で走り出すと早いんだよね──彼女。

 にしても、相変わらず初対面のはずの村人たちに対する彼女の話術には目を見張った。相手の懐にするりと入り込んで、上手く必要な情報を聞き出している。何かコツがあるのか……でも聞いたって、なんとなくそうしてるってせいらなら言いそうだな。

 自分も人ったらしなんて言われることが多いけど、せいらこそ生粋の人ったらしなんじゃないかなと思った。

 

 廃村の空気は重い。もう何年も人が住んでいないはずの建物の中で、腐ったような甘い匂いが漂っている。

 瓦礫を踏み越え進むと、朽ちた蔵の奥にそれはあった。

 

 ──大きな繭。

 

 白く、柔らかく、なぜか美しい。一見するとそれは神聖なものであるかのように存在している。だが、それは“美しい”のではなく“人の目に心地よく映るよう設計された”……そんな違和感が、背筋を冷やす。

 そして内部には微かに何者かの気配。繭には中にいる何かの“幸せな夢”でも詰まっているのかな。

 それは外から干渉されることなく、ただそこに在り続けていた。

 

「……これは、すぐには取り込めないな」

 指先をかざして感じた呪力量に、私は小さく舌打ちする。

 取り込もうとすれば、抵抗どころか、周囲を巻き込んで暴走する可能性すら考えられた。

 

 じわりと繭から鎖の形をした呪力が伸びてきていることに気付いて、簡易術式で祓う。私まで取り込もうとしている? 得体の知れない存在に改めて警戒した。

 こんな相手ならまさに悟向きの任務だったかもしれないな……悟なら六眼で特徴も知覚出来るし、呪力の暴走も無下限呪術で対象できるだろう。

 ただここにきて悟に丸投げしてしまうのも格好がつかない。私たちは最強……その言葉をこれからも口にするには、私だって努力しないと──

 

 そのとき、微かに呪霊が伝えてくる。

 村人たち──数人が、この繭から伸びる“鎖”に絡め取られていることを。

「……人質、ってわけか」

 厄介だ、と思った。だが、同時に口元がわずかに緩む。

「面白いな。やってやろうじゃないか」

 思考に集中しようとしたところで、何やらせいらの近くで動きがあったようだった。




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