【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●11
この私"前田まるこ"の目に狂いはない。
私はいつだって全力で、自分も楽しい周囲も楽しいを心掛けている。
どこか南国を思わせる高級カラオケの"パセリ"にやってきていた。南国風の壁紙と金色のシャンデリアが輝き、テーブルには小洒落た大皿料理が並んでいる。
「皆さーん! 今日はお疲れ様でしたー! おかげさまで前田屋の新刊は完売! 通販の要望も後を絶えません!
打ち上げ用にこのお部屋、3時間ほどおさえておきましたので! ご自由にお過ごしくださいませ! ドリンクはプレミアム飲み放題でっす!」
にこにこと私がマイクを握り挨拶をした。
「へー。ここが噂のパセリかー。ハニートーストが有名なんだよね」
「その通りですせいらさん! よくご存知で!」
「今日はハニートーストも食べられるのー?」
「追加オーダーも出来ますよ! メニューをどうぞ!」
「わー。すごーい。メニューが豊富〜。可愛いのもあるー」
せいらさんのキラキラとした嬉しそうな表情を見て微笑みながら、夏油さんは
「今日は一年生メンバーは参加できなくて残念だったね」
「急な任務が入ったって。特に怪我もなかったみたいだから良かった」
硝子さんが自分用の携帯端末を確認しながら言う。
「そよかっ!? そよかーーー!!」
五条さんが気を失ったそよかさんを腕に抱きながら慌てた様子で声をかけていた。
「悟、また何かしたの?」
硝子さんが冷たく話しかける。
「さっきのコスプレ広場で撮った写真をみせたら、微笑んだまま意識を失った」
「…………」
──わざとやってるんじゃないかな〜。なんて思ってしまう。
「せいらさん! 呪滅の剣(じゅめつのつるぎ)の主題歌お願いします!」
リモコンを触っていたせいらさんに声をかける。
「おっけー!」
すると、直ぐに返事が返ってきて聞き慣れたイントロが流れ始める。
ほどなくして、むくりとそよかさんは起き上がった。マイクを差し出すと当たり前のように受け取ってくれる。
♪ 歌唱中 ♪
「せいらさんとそよかさんのデュエット。なかなかの迫力ですね」
スケッチブックを取り出して、歌唱している二人をスケッチ中。よし、これを次回の表紙にしよう!
「いいねー。そよかもせいらもサイコー!」
シャンシャンタンバリンを叩く五条さんもノリノリで。
「五条さんの溝口少年、なかなかのハマりコスプレだったんじゃないんですか!?」
「おー。前田さんもそう思う? なんかそよかが気に入ってくれたみたいで、嬉しくってさ」
にへと表情を綻ばせる。
「コスプレしたい時はいつでもお申し付けください!」
「頼りにしてるぜ、前田さん」
両手で揉み手をしながら、私はニヤリと笑った。
「五条さんも溝口少年の様子で、そよかさんを口説いてみては?」
「いえ、僕(悟次郎)は女性を口説いたりなんてしませんよ」
どこか悟次郎の雰囲気で五条さんが言う……いいですねぇニチャアと笑った。
「そよかさんとせいらさんも呪滅の剣のコスプレすればいいんじゃないですかね。映えそう」
「たとえば?」
「双子の姫巫女とか」
「あの二人は……幼すぎるんじゃ」
「いやそれが、最近の本誌連載"解願"演出で大人化しまして。それがまた大変セクシーで超人気なんです」
「えぇ? どんな感じなの?」
スケッチブックにさらさらとラフ絵を描くと五条さんがほぉぉと感嘆の声を漏らす。
「ちなみに……外見や言動はせいらさんそよかさんの正反対って感じなんですよ。ウィッグで髪色交換すればちょうど良いかもですね」
「へぇ、逆かぁ。面白いな」
「それから問題があるとすると、そよかさんは単行本派なんですよねぇ……」
単行本派にとって、本誌連載中の内容はネタバレNG案件なのだった。
「あ、次の曲は私か」
せいらさんがすかさず夏油さんにマイクを渡す。
「にゃー!!! すぐるのバラード!! 待ってましたっ!!」
店員がドア越しにのぞいてしまうほどの美声が響き渡る。
夏コミ打ち上げ会は、大いに盛り上がったのだった。
●12
「傑、どした?」
寮で引っ越し準備をしていると、傑が何か考え込んでいるようだったので声をかけた。
「ん? あぁ、さっきせいらが『呪霊を運ぶ時は段ボールでいいのかなぁ』なんて言っていたから気になってね」
「はぁ? そんなことせいらが言ってたのか……怪しいな」
「うーん。少し気になるよね」
「引っ越し準備は?」
俺の部屋の前にも傑の部屋の前にも段ボールの山が出来つつある。
「大体は片付いているよ」
「よーし、なら女子寮の手伝いってことで、いっちょお邪魔してみますか」
ニヤリと笑ってわざとらしく袖をまくった。
「と、いうわけでー。お邪魔しまーす」
「邪魔しにきたの?」
女子寮の談話室のソファーに座る硝子。
「違う違う。そろそろ大きめの家具も運び出さないとじゃん? 力仕事のお手伝いだから」
「そうそう」
「先に連絡ぐらいしろ」
「それはごめんね」
引っ越し作業も終盤、せいらの部屋からひょいと顔を覗かせる。
「あ、すぐるにさとるー」
「準備は順調?」
「うん。大体終わって──」
「はい! お邪魔しまーす」
「ちょっとさとるー!?」
せいらの部屋に入って全体を一瞥する。
「異常なーし」
ひょいと部屋を出てきて妙な気配の方に一歩二歩。
「どこに行くのー!? そこは空き部屋だよ!!」
「んー?」
「わたし、そっちへ行きたくないの!」
サッと部屋のドアを開けられまいとせいらが移動する。
「怪しいなぁ……」
「きちゃだめー! こないで! なにもいないったら!」
「せいら、大丈夫だよ。私たちを信じて」
「すぐるは信じるけど、さとるはだめー!!」
「ひどっ!!」
ドアの向こうで何か動く気配がした。
「何を隠しているんだぁ? せいらぁぁ……」
「やめてー!! なにもいないったらー!!」
バーンとドアが開かれると、何か禍々しい気配が流れ込んでくる。
「こ、これは……」
しかし、思ったよりも部屋の中は片付いていた。
小さな水槽にいくつかの植物が植えられた鉢植え。
椅子に座ってお茶を飲んでいた一つ目の呪霊がこちらをじろりと睨め付けるようにみてくる。
「ぴぇ! みんなごめんねー! びっくりしたよね……」
「せいら、これは……」
「せいらー!! おかえりー!!」
髪の長い幼児の姿をした呪霊がぴょいとせいらに抱き付いてきた。
「おいおい……」
俺は目を細める。六眼に映るのは、災厄級の呪力の塊。
けれど、こいつらの呪力の流れには不自然な“歪み”があった。
「──縛られてるな、こいつら」
「縛り?」
傑が問い返す。
「呪力の流れが完全に制御されてる。……自由に暴れるのは不可能ってわけだ」
俺は真面目に告げる。
それ以上の説明は飲み込み、代わりに傑と視線を交わす。せいらは状況をあまり理解していない様子で、幼児の姿をした呪霊を抱き上げたまま微笑む。
「みんな、いい子なんだよー? そんで困ってたんだよねー」
「“いい子”ね……」
硝子は眉を寄せるが、悟と傑は黙って視線を交わした。
(……こんな縛りをかけられる存在なんざ、あまりに限られている)
俺は心の中で舌打ちした。だがそれを口に出すことはなかった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
ハーメルンにて公開予定を保留にしていた各編のおまけを、
お気に入り・しおり・評価5つごとに活動報告で公開することにしました。
現在黎明編と静謐編のおまけが公開しておりますので、良ければご覧ください。
次は15です。現在お気に入り7・しおり2・評価1です。
●メインはpixivで活動しています。
遷光編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877