【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


40遷光編 13・14:競技用下着と特級の集い、引き返せない地下鉄と繋がれた指先

●13

 

 せいらが隠していた呪霊バレしているとは思いもせず、そよかは自身の服や下着を引越しのため丁寧に梱包していた。

 

 ──足らない? ……圧倒的に下着の数が。

「なぜ?」

「おーい」

 ノックと同時に顔を覗かせるのは悟だった。

「反応があってから開けなさい!」

 慌ててバババと下着をまとめて袋に詰める。

「なに?」

「大事な話」

 ついぴくりと反応してしまう。

「せいらが拾ってきた呪霊、そよかは知ってたんだろ?」

「…………」

 無言で返すとそれ以上は何も言ってこなかった。

「それと、そろそろ下着にもう少し気を使えよ」

「はぁ!?」

 思いもしないことを言われて、思わず大きな声で反応してしまった。

「そよかは女の子なんだから! いつまでも競技用下着みたいのじゃなくてさ!!」

「使い勝手が一番でしょ!? 勝手に決めつけないで!」

「なんなら俺が選んで買ってやるから! 色も黒とかピンクとか! 種類だってセクシーなやつや、キュートなのとか色々あるじゃん!!」

「やめて! なんで悟が選んだ下着を、私が身につけなきゃいけないの!」

「二人とも、落ち着いて」

 すっと音もなく傑が間に入ってきていた。悟の顔面を狙った拳が、やんわりと傑の手のひらに包まれる。

「せいらが呪霊たちを紹介してくれるっていうから、一旦集まってくれる?」

「「……はい」」

 傑の有無を言わせぬ圧に、悟と共に推し黙った。

 

 

 傑がせいらに声をかける。そよかと共に部屋の中に入り椅子に腰掛けた。

「せいら。みんな集めてきたから紹介してくれる?」

「はーい! まずねぇ、この水槽にいるのが"けんちゃん"」

 小さな金魚鉢のような水槽にコポコポと、水の循環装置がついている。

「脳みそにしか見えねぇんだけどな……」

「けんちゃんは物知りで、話しかけると色々答えてくれるんだよ」

 にこにことせいらは言う。

「どんなことを聞いてるの?」

「んっとね。ピーマンが苦くて食べられない時はどうするかーとか。お姉さんっぽい発言ってどんな感じかなーとか」

 脳みそがギチギチと歯軋りみたいなことしていて、絶対本意じゃないんだろうなぁと思った。

 その脳みそ……話すの? 口あるけど。

「そんでねー。これは"おじいちゃん"! 話し方がおじいちゃんっぽいから!」

「漏瑚じゃ!!」

 頭の火山をカッカさせておじいちゃんと呼ばれた呪霊が言うが、直ぐに興味をなくしたようにぷいとそっぽ向いた。

「あとはーお花とか植物のお手入れが上手な"花ちゃん"」

 ぬっと巨体が姿を現して、ぺこりとお辞儀をするとまた邪魔にならないようにと姿を消す。

「そんでこの子がー。"まーくん"」

「真人だよ」

 せいらの膝の上に座っている幼児が、にこにこと答える。

 その声を聞いた瞬間、背筋がゾクッとした。

 ──人の形で、ここまで自然に喋る呪霊なんざ、そうはいねぇ。

 六眼が捉える呪力の渦は、縛りによって抑え込まれているのがはっきりわかる。

「……せいら。彼らとは、どういう約束をしているんだい?」

 傑が声をかける。

「約束? えっとー。困ってるなら助けてあげるよって言ったのー」

 せいらは無邪気に笑う。

 ……マジでヤバい。けど、笑ってるせいらを前にしたら何も言う気になれなかった。

 

 

●14

 

【任務内容】取り壊しが検討されていた廃ビル。地下に今は使われていない地下鉄駅がある。事前調査に来ていた取り壊し業者3名が行方不明。三級術師1名を派遣するが消息不明、更に三級術師2名を派遣するが同じく消息不明となっている。

 

「ここが入り口か」

 廃ビルの一角、薄暗い場所にその入り口はあった。

「三級術師が3人も連絡とれんようになってるって……もう死んどるやろ。外側から壊して終わりにしたらええんやないの?」

「なおちゃん!? なんでそんなひどいこと言うの!!」

 隣にいたせいらが"ぷー"と頬を膨らませる。せいらは見慣れん猫を腕に抱いていた。

「はぁ? お前こそ、そんな畜生なんぞ腕に抱いて、のんきにお散歩にでも行くつもりでおるんかいな」

「まーくんは頼りになる助っ人なの。ねー」

 猫を自分の頭の上にひょいと置いて、せいらがくるくるまわる。まーくんと呼ばれたその猫は、まるで帽子のようにせいらの頭の上で満足そうにしていた。きっしょ。

 

「なんで古くなったものは、壊さないといけないんだろうねー」

 せいらが手にした長めの枝で、小汚いゴミ山をつんつん突きながら言う。

「何言うとんねん。古いもんがそのままあったら、新しいもんが出来へんやろ。"老いては子に従え"ゆう言葉もあるぐらいやから、古いもんはどんどん新しいもんに譲ったらええんや」

「でもー。それってなんか寂しくない?」

 寂しい? 何を言うとんねんと言いかけると。

「あー!!」

 せいらが大きな声を上げて、壁にある看板を指差している。

「なんや? そんな阿呆みたいな声あげて、どないしたん?」

「なんかこの看板に変なこと書いてある!」

「変なことぉ?」

 

 異変を見逃さないこと。

 異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。

 異変が見つからなかったら、引き返さないこと。

 8番出口から外に出ること。

 

「なんやこれ」

 しかも妙に真新しい看板なのが気色悪い。

「んなーーーぅぅぅ」

 猫が妙に気持ちの悪い声で鳴いた。今までに眠たげにしていた目を大きく見開いている。ほんまきっしょ。

「あっちに行くと0番出口みたいだね。8番出口ってどこだろ?」

「普通はいっちゃん離れた所やろな。ここを作った奴がよほど捻くれもんやなければ」

「なおちゃん豆腐の角並みに鋭いねー。私もそう思うー」

 豆腐の角並みぃぃ?

「じゃー0番出口とは逆の方向にレッツゴー!! ……なおちゃん?」

 元気に歩き出したせいらが、歩き出さん俺のところに戻ってくる。

「どったの? 怖いの?」

「そんなわけあるか! ただ考え事しとっただけや!」

 にこりとせいらは微笑んで。

「じゃあ、わたしが怖いから手繋いでもいいよね?」

 するりと手のひらを重ね、指を絡めてくる。

「!? ほんま仕方のない奴やなぁ。今回だけやぞ?」

「えへへ。なおちゃんは優しいね」

「フン!」

 手を繋いで歩き出す。

 

 それが、8番出口を探す長い道のりの第一歩やった。 




ここまでご覧いただきありがとうございました。

●メインはpixivで活動しています。
 遷光編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
 もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877
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