【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●13
せいらが隠していた呪霊バレしているとは思いもせず、そよかは自身の服や下着を引越しのため丁寧に梱包していた。
──足らない? ……圧倒的に下着の数が。
「なぜ?」
「おーい」
ノックと同時に顔を覗かせるのは悟だった。
「反応があってから開けなさい!」
慌ててバババと下着をまとめて袋に詰める。
「なに?」
「大事な話」
ついぴくりと反応してしまう。
「せいらが拾ってきた呪霊、そよかは知ってたんだろ?」
「…………」
無言で返すとそれ以上は何も言ってこなかった。
「それと、そろそろ下着にもう少し気を使えよ」
「はぁ!?」
思いもしないことを言われて、思わず大きな声で反応してしまった。
「そよかは女の子なんだから! いつまでも競技用下着みたいのじゃなくてさ!!」
「使い勝手が一番でしょ!? 勝手に決めつけないで!」
「なんなら俺が選んで買ってやるから! 色も黒とかピンクとか! 種類だってセクシーなやつや、キュートなのとか色々あるじゃん!!」
「やめて! なんで悟が選んだ下着を、私が身につけなきゃいけないの!」
「二人とも、落ち着いて」
すっと音もなく傑が間に入ってきていた。悟の顔面を狙った拳が、やんわりと傑の手のひらに包まれる。
「せいらが呪霊たちを紹介してくれるっていうから、一旦集まってくれる?」
「「……はい」」
傑の有無を言わせぬ圧に、悟と共に推し黙った。
傑がせいらに声をかける。そよかと共に部屋の中に入り椅子に腰掛けた。
「せいら。みんな集めてきたから紹介してくれる?」
「はーい! まずねぇ、この水槽にいるのが"けんちゃん"」
小さな金魚鉢のような水槽にコポコポと、水の循環装置がついている。
「脳みそにしか見えねぇんだけどな……」
「けんちゃんは物知りで、話しかけると色々答えてくれるんだよ」
にこにことせいらは言う。
「どんなことを聞いてるの?」
「んっとね。ピーマンが苦くて食べられない時はどうするかーとか。お姉さんっぽい発言ってどんな感じかなーとか」
脳みそがギチギチと歯軋りみたいなことしていて、絶対本意じゃないんだろうなぁと思った。
その脳みそ……話すの? 口あるけど。
「そんでねー。これは"おじいちゃん"! 話し方がおじいちゃんっぽいから!」
「漏瑚じゃ!!」
頭の火山をカッカさせておじいちゃんと呼ばれた呪霊が言うが、直ぐに興味をなくしたようにぷいとそっぽ向いた。
「あとはーお花とか植物のお手入れが上手な"花ちゃん"」
ぬっと巨体が姿を現して、ぺこりとお辞儀をするとまた邪魔にならないようにと姿を消す。
「そんでこの子がー。"まーくん"」
「真人だよ」
せいらの膝の上に座っている幼児が、にこにこと答える。
その声を聞いた瞬間、背筋がゾクッとした。
──人の形で、ここまで自然に喋る呪霊なんざ、そうはいねぇ。
六眼が捉える呪力の渦は、縛りによって抑え込まれているのがはっきりわかる。
「……せいら。彼らとは、どういう約束をしているんだい?」
傑が声をかける。
「約束? えっとー。困ってるなら助けてあげるよって言ったのー」
せいらは無邪気に笑う。
……マジでヤバい。けど、笑ってるせいらを前にしたら何も言う気になれなかった。
●14
【任務内容】取り壊しが検討されていた廃ビル。地下に今は使われていない地下鉄駅がある。事前調査に来ていた取り壊し業者3名が行方不明。三級術師1名を派遣するが消息不明、更に三級術師2名を派遣するが同じく消息不明となっている。
「ここが入り口か」
廃ビルの一角、薄暗い場所にその入り口はあった。
「三級術師が3人も連絡とれんようになってるって……もう死んどるやろ。外側から壊して終わりにしたらええんやないの?」
「なおちゃん!? なんでそんなひどいこと言うの!!」
隣にいたせいらが"ぷー"と頬を膨らませる。せいらは見慣れん猫を腕に抱いていた。
「はぁ? お前こそ、そんな畜生なんぞ腕に抱いて、のんきにお散歩にでも行くつもりでおるんかいな」
「まーくんは頼りになる助っ人なの。ねー」
猫を自分の頭の上にひょいと置いて、せいらがくるくるまわる。まーくんと呼ばれたその猫は、まるで帽子のようにせいらの頭の上で満足そうにしていた。きっしょ。
「なんで古くなったものは、壊さないといけないんだろうねー」
せいらが手にした長めの枝で、小汚いゴミ山をつんつん突きながら言う。
「何言うとんねん。古いもんがそのままあったら、新しいもんが出来へんやろ。"老いては子に従え"ゆう言葉もあるぐらいやから、古いもんはどんどん新しいもんに譲ったらええんや」
「でもー。それってなんか寂しくない?」
寂しい? 何を言うとんねんと言いかけると。
「あー!!」
せいらが大きな声を上げて、壁にある看板を指差している。
「なんや? そんな阿呆みたいな声あげて、どないしたん?」
「なんかこの看板に変なこと書いてある!」
「変なことぉ?」
異変を見逃さないこと。
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。
異変が見つからなかったら、引き返さないこと。
8番出口から外に出ること。
「なんやこれ」
しかも妙に真新しい看板なのが気色悪い。
「んなーーーぅぅぅ」
猫が妙に気持ちの悪い声で鳴いた。今までに眠たげにしていた目を大きく見開いている。ほんまきっしょ。
「あっちに行くと0番出口みたいだね。8番出口ってどこだろ?」
「普通はいっちゃん離れた所やろな。ここを作った奴がよほど捻くれもんやなければ」
「なおちゃん豆腐の角並みに鋭いねー。私もそう思うー」
豆腐の角並みぃぃ?
「じゃー0番出口とは逆の方向にレッツゴー!! ……なおちゃん?」
元気に歩き出したせいらが、歩き出さん俺のところに戻ってくる。
「どったの? 怖いの?」
「そんなわけあるか! ただ考え事しとっただけや!」
にこりとせいらは微笑んで。
「じゃあ、わたしが怖いから手繋いでもいいよね?」
するりと手のひらを重ね、指を絡めてくる。
「!? ほんま仕方のない奴やなぁ。今回だけやぞ?」
「えへへ。なおちゃんは優しいね」
「フン!」
手を繋いで歩き出す。
それが、8番出口を探す長い道のりの第一歩やった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
●メインはpixivで活動しています。
遷光編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877