【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●15
高専の廊下を歩いていると。
「七海ぃぃ!! 助けて!!」
顔に引っ掻き傷のある五条さんが、そよかさんに噛みつかれていた。
「──随分と……楽しそうですね」
「これが楽しそうに見えんのかよ!!」
「わりとそう見えますけど? ……また何かそよかさんを怒らせるようなことをされたんですか?」
「またってなんだよ! 今回はランジェリーショップにそよかを連れて行こうとしただけだ!!」
「…………」
「いてててて!! だから噛むな!!」
「まったく理解できませんが」
「だから、そよかは色気のかけらもない競技用下着みたいなやつの愛好家なわけよ! 高校生なんだから、もっと色気のある下着を身に付けてほしいわけ!」
「は?」
「は? ってなんだよ七海。お前だってそよかがセクシーなのとか、キュートな下着を身につけた姿の方が興奮するだろ!?」
「──私はそよかさんの下着姿なら、どんな下着でも興奮します」
「!?」
そよかさんが驚いた顔をして五条さんを噛むのをやめた。私は自分の言ったことを脳内で反芻して、言ってしまったと少し頬を染める。
「なんで五条さんがそよかさんの下着の心配をするんです? ……そもそも、普通ならどんな下着を身に付けているかなんてわからないものでは」
「……そりゃあ俺とそよかは家族みたいなもんだし」
「今はシェアハウス生活ですよね」
五条さんは視線を逸らし、口笛を吹くように唇を尖らせる。そよかさんはじろりと五条さんを睨んでいた。
「五条さんが好意を持つ相手の下着にまで意見する変態だということはわかりましたので」
「おいおいおい!! そうじゃない!! そっちじゃないだろ!」
「当人の望まないものを与えようとするのはハラスメントでは?」
そよかさんが激しく頷いている。
「……ただ、若い内から身体に合った下着を身に付けていた方が良かったと以前母が言っていました」
「!!」
「身体に合ったものがどんなものか、知ってみても良いのではないでしょうか」
五条さんが小さくガッツポーズをしている。別に、五条さんのために言ってませんから。
「聞いた!? 七海! そよかDだって! Dカップ! やっぱりちゃんとした店で計測してもらうとサイズアップするって本当だったんだな!!」
ランジェリーショップの試着室にそよかさんを閉じ込めて、五条さんは嬉々として下着を選んでいる。
「店員さーん! これとこれとこれ、試着室の奴に試着させてください!」
店員は少し困っている様子だ。
「俺たち? まぁ家族みたいなもんなんで!」
勢いで言い負かす。
「……ふむふむ。ありだな。一個目あり! 店員さーん! いま試着してる一個目買いまーす!」
「五条さん、六眼で試着している様子を見るのはやめてください……」
眉間に皺を寄せてため息をひとつ。
「いいじゃん! 減るもんじゃないんだし! 可愛いいそよかの下着姿なんて今まで見られなかったんだからさ!」
試着室から店員さんが離れたタイミングで、そよかさんが試着室のカーテンの隙間からひょこと顔を覗かせる。
「悟、見るな……六眼で見るなぁぁぁ!」
小声で叫ぶそよかさん。
「バレてますよ」
「そよかー! 次はこのセクシーなの試着してー?」
不用意に近付く五条さん、そよかさんのパンチが五条さんの顔面を襲った。
●16
「にゃ? うにゃ!? うにゃにゃ!?」
広告の前で猫を頭にのせたせいらが激しくサイドステップを始めた。
「いきなり何しとんねん! お前が異変か!? バターにでもなりたいんかいな!!」
ガシリと肩を掴む。
「だってさー。広告の中の人がわたしたちを見てるんだよー?」
「見てるやとぉ?」
広告の中にいる女と視線が合う。せいらの肩を掴んだまま右に左に──。
「見とるなぁ……」
きっしょ!!
「これは異変確定やろ。戻るぞ」
「はーい。でもさー。誰にとっての異変が異変なんだろうね〜」
当たり前のようにせいらが手を繋いでくる。
「はぁ? なんやそれ。異変は異変やろ。誰とか関係あるかい」
「大事なことだと思うよー」
せいらは妙なところで鋭く、物事の本質を突く。
あの看板を見つけて、今来た道を戻っていったところでさっきの看板と同じものが通路の先に現れた。
「閉じ込められたか……」
「えー? どういうことー?」
「前に進んでも、後ろに進んでも同じ道しかあらへんよってこっちゃ。俺たちは壁に穴でも開けん限り、異変があるかもしれん通路に向かわにゃならんわけやな」
「なるほどねー」
「怖いか?」
「えー? なんだかわくわくするー」
「んなぁーーーぅぅぅ」
異変があるかもしれない通路に向かう。真新しい地下通路、左の壁に広告がいくつか。上に8番出口がこの先にあるという看板となぜか電気の通った蛍光灯。右の壁に3つのドアと消火栓。通路の奥の曲がり角からサラリーマン風のおっさんが歩いてきた。
「おい、お──」
話しかけようとしたところでせいらに腕を引かれる。
「なんや?」
「あのおじさん、わたしたちを認識できてないみたい。目が悪くたって、気配があれば注意を向けるでしょ? それがなかったから」
「…………」
おっさんは俺たちに注意を向けることも何を言うこともなく、俺たちが歩いてきた方にカツカツと規則正しい足音を立てて歩いていった。
「異変? 何が異変? いまのおじさんが異変?」
猫を頭の上にのせたまま、きょろきょろするせいら。
「電気も通ってない地下で、蛍光灯がついとるんも異変ちゃうんかい」
「えー? じゃあ異変があったら戻るんだっけ?」
「せやなぁ、異変があったら戻るんだったか……」
「「…………」」
顔を見合わせる。
「じゃあ、とりあえずさー。今すぐ危険そうな感じはしないから色々見て先に進んでみようよー」
「なんでや?」
「異変がなかったら先に進むじゃない? その先に何か変化があったら異変がなかった。その先も変化がなかったら異変があったってことかなーって」
「ほぉん? せいらのくせによう考えとるやないか」
「せいらのくせにってなによー」
ぽかぽかとぐーで叩かれる。
「全然効いてへんでー」
「むー」
せいらはぷいとそっぽ向いた。
「お前の言う通りにしたるから機嫌直せや」
ここが呪霊の腹の中だということを忘れてしまいそうになる。これが異変やったら大変やなと思った。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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遷光編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
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