【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
物語はいよいよ呪術廻戦0の時間軸になりました。
これまで積み重ねてきた彼らの絆は、物語をどう変化させるのかお楽しみください。
45幽境編 1・2:百鬼夜行の悪夢と一妻多夫の交渉術、死後の勧誘と前田まるこのハスハスな前世
●プロローグ
『俺たちは親友だ。昔も、今も──』
五条袈裟を身に纏った夏油傑。
袖を翻し、高らかに宣言する。
「来たる12月24日、日没と同時に!! 我々は『百鬼夜行』を決行する!!!」
新宿と京都、各地に千の呪いを放つという。
「下す命令は勿論"鏖殺"だ」
にやりと不気味に笑う。被術師の殲滅を喜ぶように。
『なんでそんなことを──。そんなことしたってあいつは──』
あいつ? あいつって誰だ?
『けっこんっていうのは、ずーっと一緒にいられるようにっていうおまじない』
花嫁衣装を着て嬉しそうに笑っていたあいつ。
「……思う存分、呪い合おうじゃないか」
闇の中、消えていく傑の後ろ姿。
『待て! 行くな!』
まるで水の中にいるように声が出ない。
苦しい──くる──。
目覚まし時計が、けたたましく朝が来たと教えてくれていた。はぁと深く息を吐いて目覚ましを止めて起き上がる。
なんだ、夢か──なんて思ってはいるが。心臓は激しく脈打ち、さっきまで自分は現実だと思っていたと思い知らされる。
なんであんな夢を見たんだろう。傑はそんな被術師を皆殺しにするような奴じゃない。でも──
現実と見間違うほどの夢。
『私たちが生きている世界の他に、色んな世界があるのよ──』
遠い昔に、頭を撫でられながら優しく声をかけられた。
『あの時あぁしていたら、こうしていたら──。
別の世界のあなたは、人より聡いかもしれない。
また別の世界のあなたは、誰よりも友の変化に気付けるかもしれない』
優しく微笑んだ顔が、そよかと重なって見える。
でもその人は"そよか"ではない人だと、意識せずともわかった。
『選ばなかった選択をしたあなたが、別の世界にはいるの。あなたは特別な眼をしているから、別の世界の様子が見えたりするかもしれないわね……』
●1
人払いの帳を下ろして、大きな橋の下でそよか七海と合流した。
「完全秘匿での死刑執行? ありえないでしょ」
「そうよ。ありえない。だから呪術高専で引き取りますって言っておいたわ」
乙骨憂太に関する書類を見せてもらいながら、そよかとの会話を楽しんでいる。
「さっすが、そよか! 話しがわかるー」
指をパチンと鳴らして口笛を吹く。
「まったく上層部にスカウトされたから何かと思ったら、悟との橋渡しばかり……あの老害共……」
「大丈夫? そよか、じじいたちにセクハラされたら俺にちゃんと言うんだよ」
黒スーツのそよかを抱きしめて唇を近付ける。
「ハラスメントなら今まさに受けてますけどね……」
「五条さん、そよかさんから離れてください」
少し離れたところにいた七海が眼鏡を押さえながら低い声で言った。
「婚約者の抱擁ぐらい喜んでよ」
「誰が、誰の婚約者よ。いい加減にして」
ぶーぶー言いながらも、俺は大袈裟に両手を上げて距離を取る。
「でもさー。1級術師の七海を護衛兼秘書として連れ歩くのは、なかなか良い案だったでしょ? そよか一人で上層部に飛び込んだら絶対今より苦労してたって!」
「それはそうだけど、頑張ってくれているのは建人さんなんだから、アドバイスしただけの悟がいい気にならないで」
腕組みをしてそよかはぷいとそっぽ向いた。
「まーまー。こんな業務伝達ばっかりじゃなくて、また俺の部屋に来てくれてもいいんだよ? 食事も作ってあげるし、マッサージだってしてあげるし……ゆっくり眠らせて──はあげられないかもだけど」
七海が音もなくため息をして、そよかが俺の顔めがけて拳を振るう。顔面パンチはご褒美です!!
「早く乙骨くんを迎えに行ってあげて、一人でいると気が滅入ってしまうでしょうから」
「了解、了解。僕に任せて」
手を振って立ち去ろうとした。
「待って、悟」
「なに?」
「傑とは連絡とれてる?」
「もちろん。今まで通り、ここぞという呪霊を祓う時はわざわざ連れて行ったりもしてる」
「そう──」
「どうして?」
「嫌な夢をみたの。傑が被術師を憎む夢」
──俺がみた夢と同じ感じかな。でも、ここで俺もみたと言ったら余計に不安にさせるだろう。
「それこそ、ありえないでしょ。だって傑だよ?」
大袈裟に一蹴した。
「うん。そう、なんだけどね」
「なんだよ……そんだけ? わざわざ呼び止めるから、キスでもして欲しいのかと思った」
そよかの顎に手をかけて上を向かせる。
「やめなさい……あ、そういえば上層部の連中が呪術師界だけでも一夫多妻にすべきではとか行っていたわ。相変わらず、物事の優先順位がおかしいのよ!」
「はぁ? あぁ、まぁあのじじい共ならそんなこと言うかもな」
「だから私はそれなら一妻多夫だって許されるべきではと言っておいたわ」
いやいやいや、そよかさん!? そんなことふんと鼻息荒く言われましても……それ、俺は素直に喜べないよね!?
そんなことになったら、そよかは俺と七海と結婚する気でしょ!! 助けを求めるように七海を見た。すっと視線を逸らされた。七海ぃぃぃ!!
「そよかさぁ?」
「何よ?」
「その一妻多夫も許されるべきっていうのは、具体的に結婚したいやつが複数いるってこと?」
「!? なっ……」
そよかが顔を真っ赤にして視線を彷徨わせた。俺と七海を交互に見ている。
「ん?」
「ち、違うわよ。私は男女平等の観点から──」
あわあわと狼狽えていた。特に俺たちとの結婚を意識してとかじゃなかったんならホッとしたというか……少しガッカリしたというか──。
●2
この私"前田まるこ"の目に狂いはない。
私はいつだって全力で、自分も楽しい周囲も楽しいを心掛けている。
遠い昔に、私は若くして死んだ。
死んだらどうなるのか興味はあったけど、正直今じゃないだろと思った。お気に入りの漫画も最終回まで読めなかった。アニメ化されるって言われていたあの作品がどうアニメ化されるのか、とても興味があった。
身体に良いと言われることをギリギリで積み重ねたりもしたけれど、結局私は余命宣告通りに死んでしまった。
では死んだらどうなるのか、死後の世界というやつに行かねばならないらしい。天界はいつも人手不足で、自力で上がらないといけないとか。
天界に上がるための空に開いた穴を視界の隅に入れながら、私は私をじぃっと視認するスタイリッシュな黒スーツを着たイケメンを見つめる。
『えぇっと、もしかして死神とかです?』
地獄からの使者とかかな……生前特別悪いことした記憶もないけど──なんて思って昔を思い出していると。
『あなたには輪廻の輪に戻る以外の選択肢があります』
は? まさか死んだ後にそんな勧誘を受けるとは。
そうして私はエージェント道を歩み始めた。
天職だった。
元々原作厨だったし、時々自分の現世に近い物語を訪れると自分が見知った漫画の続きや最終回を堪能した。
素晴らしきこの世界。
私は幸せだった。
うきうき"仕事"をしている時に、怖い話を聞いた。
"ウィッチ"という化け物がいると。
いや、そもそもウィッチがいるから我々の仕事が増えるということらしい……でもちょっと待って?
ウィッチがいなくなったら仕事なくなっちゃわない? ちらりとそんなことを思ったこともあったが、すぐ忘れた。それはきっと私如きが考えることではない。
右に左に経験を積んで、いつしか古参と呼ばれるような存在になった。
やがて、オフィスの最奥にある禁書保管庫への出入りも許されるようになる。禁書がどんなものなのか、なぜ禁書とまでされるものを保管しなければならないのか。
隠されているものを見られるなんて──ハスハスと興奮しながら、こっそりと禁書保管庫にやってきた。
「君は、ユニークなタイプのエージェントだね」
「!?」
急に声をかけられて、ずっこけた勢いで転がって後頭部を強打した。
「エージェントは昔から大きく二種類に分けられる。真面目で勤勉な個性のないタイプ。君のようにユニークで独特の視点が持てるタイプ。なんでだと思う?」
私がどうなっているかもお構いなしに、その人は言葉をかけてくる。この人……局長じゃない?
「前者では物語を調律することしか出来ない。魔女のような視点が持てなければ、魔女に近付くことも出来ないからだよ」
やべー。エージェントやってて初めてのピンチが自分で後頭部強打したからなんて笑えない。そう思いながらも私の意識は闇に飲まれていった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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幽境編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
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