【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●3
『すぐるー? わたしだよ。わかるー?』
画面の中で手を振るせいら。
──
せいらと連絡が取れなくなって、すぐに行動を開始した。
なぜだかとても嫌な予感がして、悟にもメールや着信を残すが折り返しが来ない。
東北での任務の帰りに、どうやらせいらは事故に遭ったようだ。
任務の報告書はその場で仕上げて、補助監督に預けたようだ。受け取った補助監督からは、メール添付で共有してもらった、せいららしいわかりやすい内容で、その後は急いで帰りたいからと新幹線に乗るために駅に向かったと教えてもらった。
補助監督と分かれた場所から、新幹線が止まる駅までの間で事故のあった場所はここだけ。
先ほど訪れた時に呪霊操術で呪霊たちに事故の痕跡や、せいらがここにいた証拠を探させていた。
「何か見つかったか?」
チーチーと小さな声で鳴く呪霊が、私の手のひらに缶バッジを乗せる。それはキャッティーランドのにゃかよしバッジだった。
「傑! 悪い。待たせたな」
悟の気配と共に背後から声がかけられる。
「待ちくたびれたよ──」
やっと悟が来てくれたという思いも込めて言葉にした。缶バッジをポケットに入れて振り返る。
「せいらがいなくなったって?」
「せいらが事故にあったって?」
悟の声が何故か重なって聞こえる。
「すまない、今なんて言った?」
「だから、せいらがいなくなったって?」
「だから、せいらが事故にあったって?」
もう一度聞いても同じでやはり重なって聞こえた。せいらに近づけまいとする何者かが仕組んでいるようで、ざらざらとした違和感が胸を締め付ける。
「……事故にあった可能性が高いが、その後のせいらの足取りがつかめない。誘拐の可能性もあると思う」
「なるほどね。了解了解」
横断歩道のあたりにしゃがむと、悟はサングラスを外す。彼の目が光を帯びて、呪いの痕跡を探り始めた。
「──この残穢は」
悟が驚いたように目を見開く。
「!?」
悟の鼻や目から血液が溢れた。
「悟!!」
驚いて肩を掴む。瞬間、私と悟の携帯がメールの受信を告げた。
「──そよかからだ。せいらのことで話があるって」
「ここで血を出してまで、わかることはないって書かれてるな……」
言葉を失い悟と顔を見合わせる、
「一度行ってみる? ここにまた戻りたくなったら来られるからさ」
「…………」
ポケットから缶バッジを取り出して裏を見ると、私とせいらで一緒に撮ったプリクラが貼られていた。
●4
そよかが待っていたのはシェアハウスの談話室。
一本のビデオテープを私たちの目の前でビデオデッキに入れた。
『すぐるー? わたしだよ。わかるー?』
画面の中で手を振るせいら。
わかるとも! わかるに決まってる。たったそれだけで目頭が熱くなる。
『えっと、これをみてくれてるということは……わたしはもうすぐるの側にいないんだって』
ぴえと変な声を上げてせいらが泣き出す。側にいないというショッキングな内容を聞いたというのに、せいらが泣き出したことについ気を取られてしまう。
あぁ、彼女がいま近くにいたなら、その涙を唇で拭ってあげるのに──。
『うぅ、違う違う。あのね。ちょっとの間一緒にいられないんだって』
涙を拭いながら、せいらは必死に言葉を口にした。
『この間のイベント。みんなで楽しかったね。ずっと一緒って言ったのに、約束を破るようなことになってごめんなさい』
いいんだよ。大丈夫だよと心の中でせいらを励ます。
『甚爾さんの奥さんを取り込んだ呪霊に、わたしは近々取り込まれるらしいの』
その言葉に悟を見る。
「やっぱりあの残穢は──」
悟も気付いていたらしい。
『ちょっとでもすぐると会えなくなるのは嫌だし、寂しいけど……そうしないとその呪霊は倒せないって言うから。私頑張る!! ちょっとってどのぐらい?』
せいらが画面外の誰かに声をかけている。
『5年……!? 5年も!? ちょっと!! それはちょっとって言わないよーーー!!!』
画面内のせいらが涙目で大暴れしている。鈍い音を立てて壁にぶつかってようやく静かになった。
『ん? あれ、5年……5年ってもしかして──』
せいらのメッセージビデオを見終えて。
「……そういうことじゃ仕方ないか」
頭の後ろで手を組んで悟は言う。そよかは停止ボタンを押してビデオテープを取り出している。
「じゃあ、今夜はこれで解散ってことで──おやすみ〜」
悟が談話室を出ていく。気配が遠ざかるのを待ってそよかに声をかけた。
「そよか」
「……なに?」
「それ、貰っていい?」
そよかは無言でケースに入れたビデオテープを渡してくる。
「あとさ、私は君たちのお師匠様とやらに会ってもらえるのかな?」
「……ついてきて」
まるで初めから私に言われることがわかっていたかのように、そよかは取り乱すことなく先に立って歩き出した。
──
静かにそよかに追従し、向かう先を推測する。
彼女はどうやら高専に向かっているようだった。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
●メインはpixivで活動しています。
幽境編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877