【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●7
「はーい、お前らー……話し声が大きい!! 自習で待ってろと言われとるんやから、静かに待っとれ!!」
ドアをバーンと開けて禪院直哉が入ってきた。
直哉おじさんは一般クラスを受け持つ高専の教師だ。どうやらこの教室の話し声が、一般クラスの方まで届いていたらしい。
「真希ちゃん? 真依ちゃんが寂しがっとったで。月に一回ぐらいは顔見せに行ったらどうや?」
来たついでにとばかりに話しかけられる。
「交通費かかるんで行けませーん」
「交通費ぐらいおじさんが出したるわ!!」
懐から財布が取り出される。
「ちょっとー、教室での金銭のやり取りはやめてもらえますー?」
パンダが注意してくる。さっきうるさかったのお前じゃね?
「しゃけ」
パンダの発言に棘が頷いている。
「別に、ほぼ毎日電話で話してるんだからいいだろうが」
「会いたがってる妹の気持ちを、少しは察したらな」
小さい頃から世話になってるから、そんな風に言われるとつい反省してしまう。
──
呪術高専敷地内、先導する五条悟の後ろを乙骨憂太が歩いている。
「改めて見ると、ここって……なんだか村みたいな感じですね」
憂太を高専の校舎へ案内する道すがら、ぽつりと彼はそんなことを言った。
「そうだね。小さい子もいるし、畑とかもあるとそんな雰囲気になるのかな」
幼等部の前を通ると、小さな子供たちがわいわい話しながらこちらを見ているので手を振ると手を振り返してくれる。
「「「ごじょーせんせー!」」」
「はーい! また遊びに行くからね」
「待ってるー!」
「楽しみー!」
「いつー!?」
「みんながいい子にしてたら! 明日にでも行こうかなー!」
子供たちが『わーい』と楽しそうに笑っているので、憂太もつられて笑っている。
「大人気じゃないですか」
「僕は高専の顔だからね。あっちが小等部、向こうが中等部」
建物を指差しながら追加で軽く説明した。
「──高専だけじゃないんですね」
「うん。前は高専だけだったよ。でも親が呪術師だったり呪詛師だったりさ、親は呪術に関係なくても才能があって悩んでる子とか、なるべく見つけてここで暮らしてもらうようにしたんだ。
──みんなが笑顔で楽しく過ごせるように」
憂太は真剣な様子で僕の話を聞いてくれている。なかなか真面目な子みたいだな。そよかが渡してくれた資料の通りだ。
「呪いは得体の知れない怖いものってよく思われるし、実際そうなのかもしれないけど。人から生まれたものだから、そこまで怖がらなくていいんじゃないって」
「えぇ!?」
「よくわからないから怖いのさ。だからまず理解するための場所が必要だった。そのためにみんなでここを作ったんだ」
憂太は驚いた顔をしている。
「乙骨憂太君、だからもう君は一人じゃない。期待してよ。知らないことを知るって楽しいよ」
●8
『すぐるー? 元気ー? あと一年かー。会えるの楽しみにしてるからね!』
画面の中で手を振るせいら。
微笑みながら小さく手を振り返して、停止ボタンを押す。
ビデオテープは以前見させてもらった内容だけではなかった。少し間をあけて一年、二年後のメッセージが入っていた。
メッセージを残してくれているのは、あの頃のせいらだ。再会した時に幻滅なんてされたくなくて、今まで以上に体調管理には気を使っている。
「夏油さん、迎えの車がご用意できました」
ノックをして秘書の菅田真奈美さんが部屋に入ってきた。女性の秘書なんてせいらが嫉妬するかな……なんて思ったこともあったけど、菅田さんは熱心なせいらのファンで彼女の帰還を心待ちにしている一人だ。
「あぁ、菅田さん。ありがとう。今日はオフってことで良かったよね?」
手元のファイルに目を落として、
「はい。大丈夫です」
「じゃあ少し出かけてくるよ」
少し色のついたサングラスをかける。
「──いってらっしゃいませ」
いざなってみると宗教家っていうのも、厄介なものだよね……。
──
湾岸エリアのコーヒーショップで悟が来るのを待つ。
「待ったー?」
甘そうなフラッペを手に悟がやってきた。
「今来たところだよ」
言いつつも、私のコーヒーカップの中身はほとんど空。
「この辺ってオフシーズンはこんなに人がいないのか」
「イベント会場で何かイベントがある時は人も集まるんだろうけどね」
閑散とした逆三角形のイベント会場に視線を向ける。悟は私の服装をチラリと見てニヤリと笑った。
「今日は五条袈裟じゃないんだな」
向かいの席に悟が腰掛ける。
「そりゃ、今日はオフだからさ」
「ふーん」
「ようやく乙骨君が高専に入学したって?」
「そうそう。やっとだよ。事件が起きてからじゃないと接触できないって縛りは本当なんなんだろうな」
「その目のおかげでそういうタイミングがわかるのなら、少し羨ましいよ」
「そうかぁ?」
「うーん。やっぱり羨ましくないか」
「言い方〜」
「最近、そよかとは?」
「すれ違ってばっか、家に誘っても警戒されてていちゃいちゃ出来ないし。護衛兼秘書で七海推薦したの失敗だったかなー。七海はそよかが何かと世話焼いてるみたいで最近ホント健康そうで──こっちは嫉妬で禿げそうなのに!!」
「禿げたら大変じゃないか」
思わず吹き出して笑う。
「それで、例の呪霊からは何かせいらの呪力を感じたのか?」
「まだ。完全顕現したらまた違うのかもだけど。
──今度さっそく実地に連れて行こうと思うんだよね」
「まだそこまで鍛えてないのに? 随分スパルタだな」
「どこがいいと思う?」
「そうだなぁ──」
悟の急な問いに顎に手をあてて考え込む。
「あの小学校がいいんじゃないか? 地脈も悪さして、呪いが溜まりやすくて……前はよく定期的に祓いに行ってたじゃないか」
「あぁ、いいかも! ついでにお社もぶっ壊しておこうか!」
「──そりゃ、やりすぎだって。止めはしないけどさ」
まるで学生時代に戻ったかのように会話を楽しんだ。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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幽境編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
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